ノルマルパラフィンとは
ノルマルパラフィンは、炭素数20以上の直鎖型飽和炭化水素から成る溶剤の製品です。
主に石油または植物油から精製によって製造されます。
ノルマルパラフィンは炭化水素系溶剤であり、その特徴として金属の腐食性が少なく、毒性が低いものです。適度な揮発性があり、蒸留再生が容易にできるため、工場などでリサイクルしながら運用することができます。また、炭素数が多い (高分子量である) ため、溶剤類の中では比較的引火点が高く、安全であり、匂いが少ないことも特徴です。
類似の溶剤であるイソパラフィンとの比較では、沸点範囲が狭く、蒸留しやすい特徴から、使用後の回収が容易である点で優れています。沸点範囲が狭いことは、乾燥工程を構築する上でも有利な点です。
ノルマルパラフィンの用途
ノルマルパラフィンは、洗浄用溶剤を中心に様々な用途に用いられています。
洗浄溶剤
機械油を洗浄し除去する工程によく用いられています。脂溶性が高いため油を洗い落とす洗浄力が高く、また、粘度が低いため浸透性が高い点は、洗浄に適した特徴です。一方で沸点範囲が狭いため、最適化した温度での乾燥が容易となっています。
希釈溶剤としての用途
塗料の溶剤や油性インクの溶剤に用いられています。また、廃水処理用の高分子凝集剤を分散する溶剤としても用いられています。ノルマルパラフィンは、有機溶剤の中では低毒性で自然界での分解性に優れており、この特徴によって幅広い分野において希釈溶剤として活用されている状況です。
潜熱蓄熱材としての用途
ノルマルパラフィンは化学的に安定であり、流動性のノルマルパラフィンと固形パラフィンを混合することで任意の融点のパラフィンを作ることができます。融点付近で得られる融解・凝固熱を利用し、冷暖房の昼夜の負荷を平準化する潜熱蓄熱材の素材に用いられています。
使用目的と製品仕様
ノルマルパラフィンは、単一の物質から成るのではなく、様々な炭化水素の混合物です。性質としては炭素数が多いほど高沸点となりますが、製品としても沸点の異なる製品が提供されている状況です。そのため、用途に応じて適切な製品を選択することが重要となります。
沸点が異なる製品が提供されているため、製品ごとに消防法上の危険物分類 (第四石油類は沸点により区分) が異なる場合があり、入手および入手後の保管・管理には注意が必要です。実際の製品として、消防法危険物第四類の第2石油類の製品と、第3石油類のものがあります。危険物のなかでは比較的引火性の低い製品ですが、引火点以上では火源により着火するため、使用においては火気を制限して取り扱うことが必要となります。