電動シリンダーとは
電動シリンダーとは、電気の力で直線的な動きを生み出す装置です。
電気で動くモーターの回転運動を、直線運動に変換する機構を有します。一般的には内部にボールねじや送りねじが組み込まれている仕組みです。モーターがこのねじを回転させると、ねじに沿ってロッドが前後に動作します。この動作により、対象物を動かす、または位置決めするといった作業が可能です。
従来、このような直線運動は油圧や空気圧のシリンダーが主流でした。しかし、電動シリンダーは電気を動力源とするため、油圧ポンプやエアコンプレッサーといった周辺設備が不要です。電源ケーブルを接続するだけで簡単に導入できる点が利点です。また、モーターの回転を精密に制御することで、動作の速度や停止位置を細かくかつ正確に調整できる点も特徴です。
電動シリンダーの使用用途
電動シリンダーは以下のような用途で使用されます。
1. 製造業
最も多く使用される現場の一つが工場の製造ラインです。部品を組み立てる際の圧入や、製品を掴んで別の場所へ移動させる搬送などに使用します。油圧や空気圧と異なり、複数の停止位置をプログラムで簡単に設定できます。したがって、多品種の製品を一つのラインで製造する際に有利です。
2. 医療・介護機器
電動シリンダーは動作音が静かで、油や空気の漏れがないクリーンな特性を有します。そのため、医療現場や介護施設でも重宝されます。患者用ベッドの昇降やリハビリテーション支援機器のアームの動きなどに組み込みます。滑らかで正確な動作が特徴で、利用者の快適性と安全性を確保できます。
3. アミューズメント
精密な動作制御と静音性は、エンターテイメント分野でも活躍できる特徴です。テーマパークのアトラクションや舞台装置の昇降、フライトシミュレーターやドライビングシミュレーターの座席の傾きを制御する部分に採用されます。電気制御によって複雑な動きをリアルタイムで再現し、臨場感のある体験を生み出すために不可欠な部品です。