防風ネット

防風ネットとは

防風ネット

防風ネットとは、風からの影響を軽減させるためのネットです。

防風ネットの編み方は特殊な「ラッセル編み」と呼ばれ、ポリエチレン繊維をレース状に編んで加工しています。主に、農作物を強風から守るための農業資材として屋外で利用されます。

また、倉庫や一般家庭のベランダに設置するなど、様々な分野で活用できる資材です。

防風ネットの使用用途

防風ネットには、主に次のような使用用途があります。

  • 防風
  • 防雹 (ぼうひょう)
  • 防霜
  • 防砂
  • 防虫
  • 防鳥
  • 農薬の飛散防止
  • 塗装塗料の飛散防止
  • 簡易フェンス
  • 遮光
  • 目隠し
  • 保温

農業現場において、野菜や果物などの農作物を強風や台風、雹、霜などから守ります。虫や鳥などの侵入・食害・ふん害を防ぐ用途もあります。また、切り干し大根などの野菜類を乾燥させる際や、ビニールハウスのビニールが飛ばないように防風ネットを活用することもあります。

工場や倉庫群、倉庫の搬入口など強風の通り道に設置すれば、突風による事故の軽減や風の流れを変えることも可能です。プライバシーを守りたい空間や、スポーツグラウンドなどの風よけ・砂塵よけなどにも使えます。

防風ネットの特徴

長所

防風ネットの長所は、農作物や果樹などを強風・防風から守れる点にあります。また、耐久性・耐薬品性・通気性・通水性・軽量性などに優れている点も特徴です。

防風ネットで風を遮ることで作物の生育を安定させ、果実の落下などを防ぎます。同時に、収穫量の安定も期待できます。

防風ネット未使用時と比較した場合、体感で約50〜90%の風を抑制し、防風効果は設置した高さの約20倍の範囲まで及ぶと考えられています。

短所

防風ネットには目合 (網目の大きさ) の種類が豊富に用意されていますが、農作物に応じたタイプを選ばないと、蒸れを起こす場合があります。梅雨時期に細かい目合を使うと通気性が悪化し、農作物が根腐れを起こす可能性があるため、適切な目合サイズを選ぶことが大切です。

また、果樹などを防風したい場合はネットが高くなるので、支柱が倒れないように設置しなければなりません。

防風ネットの種類

多くのメーカーでは、目合サイズが1〜9mmまたは12mm程度までの防風ネットを販売しています。巾1〜10m・丈1〜30m以上など多様なサイズがあり、使用場所にマッチしたサイズをオーダーできるメーカーがほとんどです。広範囲に一気に設置したい場合はメーカーに相談するとよいでしょう。

色はブルー・ブラック・ホワイト・グリーンなど、複数あります。色による防風率は変わりませんが、遮光率は黒に近づくほど低くなります。防風ネットを農作物の上部に使用する際は、見合ったタイプの防風ネットを購入しましょう。

防風ネットの選び方

防風ネットの選び方のポイントは、「目合サイズ」「防風率」「遮光率」の3点です。

目合サイズ 防風率 遮光率
1mm 70%  55%
2mm 60% 35%
4mm 30% 20%

※目安としての記載につき、各メーカーにてご確認ください。

目合サイズが小さくなるほど、風・砂塵・小虫などの侵入を防ぎ、防風率・遮光率が高まります。 同時に保温効果が高まるものの、通気性の低下や直射日光を遮る割合も高まるので、農作物の種類に合った目合サイズを選び、生育を妨げないように注意しましょう。

農業で使う防風ネットの選び方で迷ったら、4mmのブルーを選んでみてください。また、自宅のベランダ用に防風ネットを選ぶ際は、室内が暗くなりにくいように2mmのホワイト系がおすすめです。ベランダがおしゃれな印象になり、目隠しとしても使えます。安全第一で「防炎」タイプを選びましょう。

防風ネットのその他情報

防風ネットの張り方

一般的な防風ネットの張り方をご紹介します。防風ネットが強風に耐えられるよう、しっかりと固定することが大切です。なお、ネットを張る前に以下の物を用意位します。

  • 防風ネット
  • 支柱 (単管パイプなど)
  • ハンマーまたは支柱ハンマー
  • ロープまたはワイヤー
  • パッカー
  • 吊り金具

ステップ1:支柱を設置
支柱とする単管パイプなどを、ハンマーまたは支柱ハンマーを使って地中に打ち込みます。深さは支柱の2割強の長さを目安にし、1〜2m間隔に設置すると強度が高まります。

地盤がやや固い場合は、「先端がスクリュー状の穴掘り機」を活用すれば、簡単に穴を開けられます。また、防風ネットの丈が数メートルに及ぶ場合は、地中に「基礎ブロック」などを設置してから支柱を設置すると安心です。強風に耐えられるよう、支柱に筋交いを施すとよいでしょう。

ステップ2:支柱に防風ネットを固定
固定式の場合

  1. 防風ネットの両端を、設置した支柱にロープなどでしっかり固定する
  2. 途中の防風ネットは、ネットを挟み込むパッカーで固定する

開閉式の場合

  1. 各支柱の上部にロープまたはワイヤーを渡し、しっかり固定する
  2. 防風ネットの上部に、吊り金具を約50cm間隔で取り付ける
  3. 防風ネットに設置した吊り金具を、ロープまたはワイヤーに通す
  4. 防風ネットの両端を、設置した支柱にロープなどでしっかり固定する
  5. 途中の防風ネットは、パッカーで固定する
  6. 開閉する際は、パッカーを取り外してネットをスライドさせる

鋼線

鋼線とは

鋼線

鋼線とは、硬鋼線材を伸長し、人の手で加工し易くした材料です。

農業用には、主に外被をめっき処理したものが主流で、サビに強いことが特徴です。めっきは主に耐食性に優れた亜鉛が塗布されており、量によって3種めっき、4種めっきとグレードがあります。

鋼線と似た材料では、樹脂被膜線があります。鋼線やワイヤーに樹脂被覆を施した製品で、表面が滑らかなので果樹やカーテン素材を傷めません。鋼線の方が安価で流通しており、汎用性が高いです。

鋼線の使用用途

鋼線は様々な場所に自由に張ることができることから、シートカーテンなどのカーテンレールとして利用されています。また、ブドウなどのツルが伸びる果物の栽培に重宝されます。

樹木を覆う様に鋼線を張り巡らすことで、果樹が伸び伸びと枝を伸ばすことができます。また、鋼線を十分に設置した場所ではツルが広がり、作業上十分な空間ができるため、刈り取り作業も簡単です。

果樹園の棚張りに適する耐久性、加工性に優れた針金 として頻用されています。

鋼線の特徴

長所

鋼線は針金の中では柔らかく、個人でも加工しやすいという特徴があります。ワイヤー、ワイヤロープ、ケーブル、ピアノ線などが鋼線に含まれ、それぞれ形状や強度がことなり、様々な分野において使用されています。

農業分野では圃場の環境、設備を整える際にワイヤーを多く使用します。果樹園など広い範囲での使用が考えられますが、線材の中では比較的安価で入手可能なためコストを低く抑えることが可能です。

亜鉛メッキ加工が施された鋼線が多く展開されており、これらは耐食性に優れるため錆びにくく長期間使用することができます。また、外観性にも優れており、圃場の景観を壊すことがありません。

果樹棚用の被覆鋼線には電線用黒色プラスチックを厚く被覆し強度、耐食性、耐候性に優れた製品も展開されています。

短所

亜鉛メッキ加工が施されている鋼線は、酸やアルカリなどの薬品によりメッキ加工が溶解してしまうという短所があります。メッキが剝がれると部分的な補修が困難なため、薬品に触れないよう使用することが大切です。

鋼線は細いため軽量ですが、カーテンレールなどに使用する際、鋼線を張る間隔が広すぎると重みで形を保てないことがあります。鋼線を張る際は鋼線の長さだけでなく、つる性植物に使用する場合はつるの重みをカーテンレールとして使用する場合は、シートカーテンの重みを考慮し、鋼線を支える支柱の数を調整する必要があります。

鋼線の種類

鋼線はシートカーテンのカーテンレール、果樹園の棚張りなどに使用され、様々な加工処理が施されているものがあります。その例が、亜鉛メッキのみのものや亜鉛めっきにプラスチックの被覆を組み合わせたものです。また、めっきの厚みによって区別されます。

鋼線には様々な太さがあり、線径によって使用用途が異なります。線径が大きなものを親線として張り、これを基準、柱として線径の小さなものを子線として分岐させていきます。

鋼線の選び方

鋼線を選ぶ際に確認すべきポイントは、以下の2つあります。

1. めっきやコーティングの素材

鋼線は亜鉛メッキ加工が施されているものが多いですが、その中でも加工の厚みによって7種に分類されます。メッキの厚みが大きいほど耐食性に優れているため、使用環境に合わせて選択する必要があります。

電線用黒色プラスチックなど特殊なものでコーティングした製品も展開されているため、用途によって使い分けることが可能です。

2. 鋼線の線径

線径については、使用時に考えられる負荷の大きさから選択する必要があります。用途の記載がある製品を選択することで、ミスなく鋼線を活用できます。

鋼線の使い方

鋼線はカーテンレール、棚張りに使用します。安定した場所に支柱を立て、親線、子線の配置を考えながら張るのが基本です。巻き癖が付いていることが多く、扱いにくいため、十分注意して作業を行う必要があります。

重量計

重量計とは

重量計

重量計とは、農産物の重量を量るはかりのことです。

水濡れや土ほこりが付着してもさびにくく、汚れを洗い落としやすいステンレス製が主流です。大型の重量計になると、外で保管することもあるため、雨風に耐えうる様に設計されています。

最大荷重は仕様により大きく異なり、数kgのものから、数百kgまで量れるタイプもあります。製品の中では、設定した重量に応じて音声で仕分けを手助けしてくれる、選別機能を持つものもあります。

重量計の使用用途

重量計は、収穫した農作物の計量や出荷の際の重量による選別に用いられます。対応する農作物は、その重量に合った適切な仕様の重量計であれば、種類を問いません。

また、重量ごとの選別では、農作物を入れた箱を重量計に乗せておき、そこから取り上げた農作物の重量から判別しています。

重量計の種類

1. 台はかりタイプ

台はかりタイプとは、量りたい物を台の上に置くことで重量を計測する重量計です。小型の作物から大型の作物まで幅広く利用できます。

このタイプは重量計の中でも比較的大きいため、購入前に設置場所を考慮しておく必要があります。しかし、最近ではコンパクトに収納できる折りたたみ式の製品も販売されています。

2. 上皿はかりタイプ

上皿はかりタイプとは、量りたいものを上部の計量皿に置くことで重量を計測する重量計です。アナログ式とデジタル式があり、これまで水濡れの心配がある場合にはアナログ式が用いられてきましたが、最近ではデジタル式でもそのまま水洗いができるものが主流です。

また、デジタル式の重量計には、ワイヤレス通信機能により計量結果の履歴管理などが可能なものや、防塵機能が施されているものなどもあります。

3. U字型タイプ

U字型タイプとは、手持ちのパレットを計量皿として使用する重量計です。主に米袋などの多くの製品が積まれたパレットの測定に用いられます。他のタイプと比べて薄型で、立てかけて収納すれば省スペースで保管することが可能です。

4. 吊りはかり

吊りはかりとは、量りたいものを宙づりにして質量を計測する重量計です。表示兼用コントローラで、操作しながら質量を手元で確認することができます。主にもみ殻やトウモロコシなど、フレコンバックに収納する作物の計測に使われます。

 

また、この他にも、計量台と台車がセットになった重量計や、規格コンテナを着脱できる一輪車はかりなど、用途に合わせてさまざまな重量計が販売されています。

重量計の選び方

1. 計量範囲

計量範囲とは、計量できる重量の範囲のことです。数kgまでしか計量できないものもあれば、数百kgまで計量できるものもあり、種類によって様々です。

2. 最小表示単位

最小表示単位とは、読み取ることができる最小の重量のことです。この値は重量計の種類によって様々なので、注意が必要です。0.01kgまで表示できるものもあれば、中にはkg以下の表示ができないものもあります。

3. 取引証明用であるか

農作物の量り売りにあたっては、取引証明用の重量計での測定が必須の場合があります。量り売りに使用したい場合は、取引証明用の重量計の中から選ぶことが大切です。

また、取引証明用の重量計は、2年ごとに最寄りの市町村が指定した場所へ持ち込みのうえ、定期検査を受ける事が計量法で定められています。

重量計の特徴

長所

重量計を用いることで、農作物の重量を確認できます。そのため、重量計は出荷前の選別作業などで役に立ちます。

また、場面に合った重量計を用いることで、より効率的に農作物の重量を測定することが可能です。

短所

重量計の種類によって機能が異なるため、選定を誤ると必要な機能が備わっていない場合があります。また、重量計の使用にあたり機能や保管場所など、事前に確認しておくことが大切です。

重量計のその他情報

重量計の機能

  • 単価計算機能
    計測した重量から、農作物の単価を計算する機能です。
  • 総合計金額計算機能
    計測した重量から、複数の農作物の総合計金額を計算する機能です。
  • 風袋引き機能
    農作物の袋など、計量する対象物以外の重量を先に引く機能です。​​あらかじめはかりに風袋の重量を設定しておくことで、農作物単体の重量を計測することができます。
  • ランク選別機能
  • あらかじめ重量ごとにランクを設定することで、重量選別が可能となる機能です。出荷前の仕分け作業をより細分化できるので、効率よく作業したい場合におすすめです。

  • 音声機能
    測定した重量やランクを読み上げる機能です。表示を確認しなくても選別作業を進めることができるので、作業の効率化を測ることができます。

遮光ネット

遮光ネットとは

遮光ネット

遮光ネットとは、直射日光を嫌う農作物や植物を、強い太陽光や高熱から守るために使用されるネット状の資材です。

農作物や花などの育苗や栽培で農業用として使われるほか、家庭・マンションなどのベランダで日よけ対策や家庭菜園の園芸資材としても利用されています。

遮光ネットの使用用途

遮光ネットは、ビニールハウスや畑、農家の作業場などに設置し、夏の直射日光や熱による高温障害防止、寒い季節の霜害防止などに使用します。

代表的な嫌光性農作物のキノコ類は、ほとんど光が当たらない場所での栽培が向いており、遮光ネットが欠かせません。キノコ類などには遮光率70~80%以上のネットを使用すると、効果的に光を遮ることができます。

また、比較的緩やかな木漏れ日のような光によって美しい花を咲かせる洋ランなどの観葉植物栽培や管理にも遮光ネットが有効です。

遮光ネットの特徴

遮光ネットには、遮光率○○%と表記されており、数字と比例して光を通しにくくなります。例えば、遮光率50%よりも70%、90%と数字が大きくなるほどに、より一層暗くなります。

ただし、野菜や花などは暗すぎると逆効果を引き起こす可能性があるので、各メーカーの遮光率を確認することが大切です。

長所

遮光ネットは遮光性だけでなく遮熱性もあるため、農作物などを人工的に直射日光や高温から守れる点が大きな長所です。また、強風を遮ることもできます。

遮光ネットは軽量素材で織られており、ビニールハウスなどに設置する際の労力が軽減されます。遮熱効果もある遮光ネットは、真夏でも地温を適切な温度に保てるので、灌水作業の省力化や葉焼けの防止にも効果的です。

短所

遮光ネットの短所は、使用することによって農作物に必要な光量や温度が不足すると、極端な徒長や生育不良などを起こす可能性があることです。また、ムレによる病気の発生も踏まえ、農作物の状況に応じて遮光ネットを外すなど、こまめなコントロールを心がける必要があります。

遮光ネットの種類

遮光ネットには、黒・白・銀・青など豊富なカラーの種類があり、それぞれ特性が異なります。

1. 黒色

遮光ネットの中で最も遮光性が高く、紫外線劣化に強いのが黒色です。黒色の繊維で織られた遮光ネットは光を吸収するため、シイタケ類などの栽培には黒色がおすすめです。

黒色は汚れが目立ちにくいこともあり農業用として人気が高いですが、熱を持ちやすいので遮熱効果はほかの色味よりも劣ります。

2. 白色

白色の遮光ネットは光を反射するため、遮熱性に優れています。ビニールハウス内や作業場が高温になるのを防ぐと同時に、内部の明るさもキープできます。

好光性のキャベツやニンジンなどの発芽過程、トマトやホウレンソウなどの色づきが必要な野菜にも最適な色味です。

各色の中で耐久性は最も弱く、汚れが目立ちやすいデメリットもあります。

3. シルバー

銀色の遮光ネットは、遮光性と遮熱性のバランスが取れているのが特徴です。適度に光を反射・吸収する色味なので、適度な光量と温度を維持しやすくなります。

輻射熱も少ないため、日差しによる地温上昇や葉表面の温度上昇を予防できます。

4. 青色

青色の遮光ネットには長波長域の赤色の光を吸収する特性があり、葉物野菜の栽培に使用されます。葉物野菜の代表でもあるホウレンソウの生育促進や、秋冬の霜害防止目的などに活用できます。

遮光ネットの選び方

遮光ネットを通販やホームセンターなどで選ぶ際は、事前に目的や用途を確認しておきます。農作物などに合った遮光率や色を選ぶのがポイントです。サイズ選びでは、若干縮むことを考慮して少し大きめの遮光ネットを選びましょう。

また、遮光ネットの編み方には「ラッセル織り」「平織り」「カラミ織り」などがあります。農業用には、カットした際に切り口がほつれにくい「ラッセル編み」の製品がおすすめです。

作業場の入り口などに2m程度の小さめの遮光ネットを設置したい場合は、端ハトメ加工が施されているタイプを選び、風で舞い上がらないようにロープで固定してください。

遮熱塗料

遮熱塗料とは

遮熱塗料とは、正式名称を高日射反射率塗料と言い、太陽の熱を反射することで、屋内の空気温度の上昇を回避するために用いられます。

直射日光を受ける建物は、屋根や外壁を伝って内部の温度を上昇させます。これにより、夏場などでは室内の熱中症が誘発されます。遮熱塗料を使用すると、急激な温度上昇を遮ることができます。また、冷房の使用量が減るため電気代が節約できます。類似した製品で、断熱塗料があります。こちらは、室内と室外の熱交換を抑える効果であり、遮熱塗料とは異なるため注意が必要です。

遮熱塗料の使用用途

遮熱塗料は、建物全般に使用できます。例えば、学校、体育館、福祉施設、美術館など様々です。特に、体積が大きい建物ほど冷房のための電気代を削減できるため、利用されています。

また、夏場の直射日光が強い地域では、一層効果が享受できます。遮熱塗料の効果が期待できる屋根の形状は、ストレート瓦、金属屋根、吹き抜けのある建物、背の高い建屋などです。これらの構造は、太陽光の熱射を受け易く、内部に伝え易いからです。農業においては、収穫物、穀物類を保管する農業用倉庫、資材置き場などの温度調整が必要な建物に利用されています。

農ポリ

農ポリとは

農ポリとは、主にマルチングやトンネル栽培、ハウス内トンネル栽培で用いられるシート状の資材のことです。

農ポリは耐候性があるため、作物を直射日光や冷たい風、雨から守る効果があります。農業用フィルムシートは軟質と硬質に大別できますが、農ポリは軟質に区分されています。一方の硬質フィルムは、屋根型ハウスなどに使用されます。

農ポリの使用用途

農ポリは汎用性が高く軟質なので、小型のトンネルフィルムやビニールハウスのカーテンなど、多用な農業用資材として使用されています。また、畝に被せてマルチング材として使用すれば、雑草防止・泥はね防止・霜除け・保温・保湿などにも役立ちます。

風で農ポリがはがれないよう、土やハウスバンド、クリップなどで押さえると良いです。

農ポリの特徴

農ポリは農業用ポリエチレンの略称で、原料は軟質ポリエチレンフィルム素材で作られています。

農ポリの仲間である農PO  (商標登録) との違いは素材にあります。農POは、ポリエチレンとポリ酢酸ビニールを多層成形しているのが特徴です。

長所

ポリエチレン製の農ポリの厚みは0.02mm~0.1mm程度と大変薄いものの、強度・耐久性・耐塵性・透明性に優れているのが長所です。2つの素材を組み合わせた農POは上記の長所に加え、保温性・防滴性・防霧性にも優れています。

また、ほかの被覆材よりも安価で、農ビ (農業用ビニール) の半分ほどの価格です。べたつきが少なく軽いため、取り扱いが楽なのもメリットといえます。

短所

温度上昇効果が期待できる一方で、農ビほど保温性は高くありません。農ポリは十分な強度があるものの厚みが薄く伸縮性は少ないため、強く張りすぎないよう注意が必要です。

農ポリは農薬などに含まれる硫黄に弱い性質がありますが、農POでは耐イオウ性機能が付帯した製品も開発されています。

農ポリの種類

農ポリは、トンネル栽培に使用するもの、マルチング栽培時の雑草避けなどに使用するもの、着色されたもの、特殊加工されたものなど種類が豊富です。また、マルチ用には透明、黒、シルバーなど複数の色があり、穴が空いているタイプやサイズもあります。

メーカーによってさまざまな種類があり名前も異なりますが、代表的な農ポリの種類をご紹介します。

1. トンネル栽培用の一般農ポリ

野菜や花、水稲育苗のトンネル栽培には、軽量で丈夫な一般農ポリが便利です。ブドウやサクランボといった果実の雨よけや夏場の日射しをやわらげる際には、耐候性を強化した農ポリが向いており、長期間使用する場合は農POが多用されます。

2. マルチ用の農ポリ

マルチ用に使う農ポリには、透明・黒・黒白・緑・シルバーなど、様々な色があります。透明タイプのマルチシートは光を透しやすいので、真夏の土の消毒や地温を上昇させたい作物に向いています。

黒や黒白タイプは地温上昇を抑制するため、夏場の使用や低温性作物にも有効です。緑のマルチシートは雑草除けと虫除けを兼ね備えており、農作業を軽減できます。

シルバーマルチは光の反射効果で害虫を寄せ付けにくく、低農薬栽培でも活用されています。

3. シルバーポリ

シルバーポリは、水稲などの育苗や接ぎ木栽培などに用いられます。一般的な農ポリと比較して温度管理性に優れ、べたつきにくいのが特徴です。

遮光性が高い製品や、片面に低発砲シートを溶着加工したシルバーポリも活用されています。

4. ハウスなどで使う農ポリ

農ポリには、ビニールハウスの内張カーテンとして使われるタイプもあり、さまざまな工夫がなされています。例えば、特殊な微細孔加工や塗布無滴処理が施されたタイプであれば、水滴がボトボトと落ちにくいため、作物が濡れることによる病気の予防に効果的です。

ほかにも、フィルムとフィルムの間に空気層を作り、夜間外気温に対して4度ほど保温できるハウス用農POや、長期間の展張に適するよう特殊配合された塗布型農POも販売されています。

農ポリの選び方

農ポリは、トンネル栽培に用いるのかハウス用資材に用いるのかなど、使用用途で選ぶのが基本です。また、無公害の特殊農ポリや、重金属・塩素を含まず、焼却時に有毒ガスを生じない農ポリ、生分解性が高い農ポリなど、環境に優しい製品に着目して選ぶのもおすすめです。

農ポリのその他情報

1. 農ポリの規格

農業用を目的とする農ポリには、JIS規格で厚さ・寸法・材質・強度などの規格が定められています。厚さは1種の0.1mmから5種の0.02mmまで、5種類の区分があります。

寸法は幅950mm×長さ50mに始まり、幅1,800mm×長さ100mまで複数の区分があるものの、規格以外の寸法を使用しても差し支えないと定義されているので、実質メーカーに任されています。

2. 農ポリの活用

農ポリは農業用資材ではありますが、アウトドアでもユニークな使われ方がされています。地面からの湿気をシャットアウトできるとして、キャンプ時のグランドシートとして使用するケースがあります。

ほかにも、アウトドアで防風や雨露を防ぐタープ代わりにするなど、農業以外の場面でも農ポリは活用されています。

育苗機

育苗機とは

育苗機とは、育苗箱を中に積んで発芽を促進するための機器類のことです。

育苗機にはサーモスタットや蒸気装置が付いており、適切な温度で保温できるため、育苗する際に均一な生育が可能です。約60時間で出芽し、2日ほどで初期緑化が始まります。

また、育苗機を使用すれば、天候不順や不安定な気温による出芽不良を回避できます。特に、寒冷地での早期育苗において、安定した出芽・生育には欠かせません。

育苗機の使用用途

育苗機は、主に水稲苗の出芽の過程で使用されます。育苗箱にセットして育苗機に入れることで、安定した生育を促せます。育苗の季節に突然冷え込んだとしても、精度の高い温度管理ができるので安心です。

また、冬場から春先に準備する野菜類の育苗に使用することもできます。ほかにも、麹の発酵や観葉植物の越冬保存など、用途は幅広いです。本体に水を張ることで水耕栽培にも使用できます。成長した場合は、自在支柱等を専用の支柱受け穴に差込んで、アーチ型ドーム温室として切り換えて使用できます。

育苗機の特徴

育苗機の中には棚があり、育苗箱を適度な間隔で積み重ねることができます。また、育苗機本体には出芽に最適な蒸気加温できるヒーターが付帯されています。

天候不順にも左右されず、理想的な環境下で計画的な発芽が可能です。各メーカーの育苗ポットをほとんど切らずに使用できる発芽育苗機もあります。

長所

育苗機の最大の長所は、天候に関係なく計画的な農作業が可能になる点です。また、簡単な操作で精度の高い温度設定や自動管理ができる長所もあります。

育苗機は工具不要で組み立てられ、アーチやレール、台枠は部材を差し込むだけなので、大きな労力を要しません。さらに、ビニールハウスに1枚ずつ並べる作業がないため、土地の有効活用や労力の削減にもつながります。

短所

大型の育苗機は単相100Vまたは3相200V電源を要し、平坦な場所に置く必要があるため、事前に設置場所の準備が必要です。育苗機は、直射日光の熱や風など外的な要因を受けやすいので、日陰で風当りの少ない場所に設置しなければなりません。

また、ヒーターは水濡れに弱く、場合によっては感電することがあるため注意してください。転倒事故や感電事故を起こさないよう、正しく設置することが大切です。

育苗機の種類

育苗機には様々な種類がありますが、農業には大型の育苗機が適しており、家庭菜園には一抱えほどの小さいタイプが最適です。

1. フォークリフト対応の育苗機

農業用の育苗機には、フォークリフトに対応した製品が販売されています。ただし、パレットは別途必要です。育苗箱の収容枚数は60枚程度から最大で1,000枚ほど入れられる大型の育苗機まであるので、作付面積に応じて選ぶと良いです。

オプションで育苗機全体を覆うビニールカバーや発芽後に棚育苗として使える棚桟を購入すれば、安定した作付けや労力軽減につながります。

2. 家庭菜園用の育苗機

屋内で野菜・ハーブなどの種まきや育苗する際は、家庭菜園用のフタ付き電気ヒーター式育苗機や、シート状の保温マットが便利です。家庭用の電源を利用して、低温期の栽培に使えます。

育苗中の病害虫からのリスクを低減でき、電気使用量も経済的です。適温になったら温まった地温は外に放熱しますが、地温調節ができるタイプもあるので使用目的に応じて選ぶ必要があります。

育苗機のその他情報

1. 育苗機の取り扱いにおける注意点

育苗機使用時の注意点として、電源部分やサーモスタット、ヒーターに水をかけないよう注意するとともに、アースの取り付けも必要です。また、タコ足配線やテーブルタップへの接続はNGです。育苗機に育苗箱を搬入する前に、温度テストを行っておくことをおすすめします。

また、フォークリフト利用時は、ゆっくり移動しないと転倒事故を起こす恐れあがあります。

2. 栽培対象の適温

ネギやキュウリといった野菜類などに使用する際は、栽培対象の適温を把握しておく必要があります。水稲苗を一例として挙げると、出芽時の適温は30℃です。

育苗機で2日間ほど適温を維持しながら保温し、一斉に出芽させます。30℃を大きく超えると病害発生のリスクが高まるので温度管理は大切です。また、中古の育苗機を入手した際は、清掃・消毒などを実施して病気の発生を防ぎましょう。

液肥混入器

液肥混入器とは

液肥混入器

液肥混入器とは、液体化学肥料と原水を混合し、設定された液肥濃度に希釈調整する装置です。

圃場面積や流量、希釈倍率、電源の有無によって選択します。また、原水に不純物が含まれていると機器が故障するので、ろ過器の併設が必要です。基本的に液肥濃度は低く、0.4%-4%程度になります。

調製には原水を比較的多く使用します。混合後の液肥供給流量は幅があり、毎時数十Lから数m3から設定が可能です。液体化学肥料を供給するポンプは、比例ポンプと言います。

これは、原水が注ぎ込まれる力を駆動源としており、水の供給量に比例した液体添加剤の供給が可能です。この方式は水圧損失が小さく、他の動力設備は不要です。

液肥混入器の使用用途

液肥混入器は、花卉園芸、家畜養殖、環境保護に用いられています。その中でも、養液土耕栽培に使用される場合が多です。この栽培方式は、点滴チューブで少量の水を雫の状態で供給するもので、慣行栽培より植物にストレスなく給水することができます。

例えば、定植直後の苗へのストレスを最小限に抑え、水・酸素・肥料を継続的にバランスよく与えることが可能です。これにより、良質な根が生育します。供給量と期間を設定すれば、必要最低限の量で収量・品質の向上を図れます。

また、業界によっては、液体肥料に替わる原液や水に替えて他の媒体が用いられることも多いです。装置は、廃水灌漑、設備保養、水処理、工業衛生、車両洗浄、印刷業界などでも活用されています。 

液肥混入器の特徴

長所

液肥混入器の長所は、使用することで液肥の希釈割合、濃度を一定に保てることです。濃度が変化してしまうと液肥の効果を十分に発揮できず、逆に作物の生育を阻害してしまう恐れがあります。

自動で液肥を薄め、濃度を一定に保てる液肥混入器を使用することで、そのような問題を防げるようになります。

短所

液肥混入器にはさまざまな種類がありますが、使用用途や灌水を行う面積によって大規模なタンクの設置が必要になったり、原水の水質改善が必要な場合はろ過装置が必要になったりと、状況によって設備を変更しなければならない点が短所として挙げられます。液肥混入器のみでは十分に稼働できないケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。

液肥混入器の種類

1. 比例式液肥混入器

養液土耕栽培時に、灌水に用いる配管の途中に設置して使用します。原水の量に比例し液肥を混入するため、希釈倍率の簡易的な調節のみ行えることが特徴です。

2. 圧入式定量液肥混入器

養液栽培時に混合タンクを用いて使用します。モーターを使用し、定量ポンプを動かすため、液肥混入の精度が高いことが特徴です。

液肥混入器の選び方

液肥混入器は、使用する環境が養液土耕栽培か、養液栽培かによって選び方が異なります。

1. 養液土耕栽培の場合

養液土耕栽培の場合は、混合タンクを使用せず、原水の流れる配管に直接混入する比例式液肥混入器を用いることが多いです。操作が簡便で施工費のあまり高くないため、養液土耕栽培時に液肥混入器を用いる際は比例式液肥混入器が適しています。

2. 養液栽培の場合

養液栽培の場合は、混合タンクを使用するかどうかを考えます。混合タンクを用いる場合、あらかじめ混合タンクに培養液を貯めておくことができるため、突然の断水にも対応できるほか、培養液の温度を調整したり培養液をリサイクルしたりするなど、さまざまな用途に使用することが可能です。

混合タンクを用いない場合は、定量ポンプを併用し精度を上げることで、養液栽培に使用しやすくなります。養液土耕栽培に比べ、養液栽培では追加の設備や維持費など、コストが高くなる傾向があります。

しかし、製品によって制御可能なものや精度が異なるため、使用用途に応じた機能を持つ液肥混入器を選択すると、より効果的に使用することができます。

液肥混入器の使い方

1. 比例式液肥混入器

比例式液肥混入器には制御のための機能が付いておらず、混入比率をダイヤルで設定し灌水のオン・オフのみ制御することができます。

2. 圧入式定量液肥混入器

圧入式定量液肥混入器は、灌水のオン・オフの他にECセンサーの値によって定量ポンプを稼働させるという制御が行えます。混合タンクを併用する際には、ヒーターなどを用いて温度を制御することも可能です。

捕獲器

捕獲器とは

捕獲器

捕獲器とは、野生動物を捕獲するためのものです。

人の手で野生動物を捕獲するのが難しい時に、捕獲器を使用します。罠のようなものではなく、あくまでも野生動物を傷つけず安全に保護するのが目的です。

捕獲器の使用用途

捕獲器は、農業に悪影響を与える害獣や野生猫の捕獲に使用されることが多いです。そのほか、飼育している犬や猫が逃げ出したときにも使用されます。

捕獲した動物が傷つかないように、捕獲器を正しく使用することが重要です。

捕獲器の特徴

長所

捕獲器の長所は、直接手で捕獲するよりも人と動物がお互いに安全でいられることです。人に慣れていない野生動物の捕獲は、とても危険と言えます。

捕獲器を正しく使用することで、怪我なく安全に捕獲できます。

短所

捕獲器の短所は、捕獲器の設置が難しいことです。動物を捕獲器で捕獲するには、対象動物の縄張りを詳細に把握した上で設置する必要があります。

また、動物は決まった場所で決まった動きをすることが多いため、エサで捕獲しようとするときは、いつものエサ場に捕獲器を置いておくことが有効です。それらの情報を把握するためには、多くの労力と時間が必要になります。

捕獲器の種類

捕獲器には様々な種類がありますが、大きく2種類の捕獲方式があります。

1. 踏み板式

踏み板式の捕獲器は、捕獲器の底面に板が置かれていて、板を踏むと入り口の扉が閉まるという仕組みです。捕獲器の中にエサを置き、板を踏ませるケースが多くあります。

しかし、底面全てが板になっているわけではないため、板を踏まないようにしてエサを食べる動物もいます。

2. 吊り下げ式

吊り下げ式の捕獲器には、捕獲器の奥にエサをつるす用のフックがあります。捕獲器に入った動物が、フックのエサを食べようと動かすだけで扉が閉まるという仕組みです。

先ほどの踏み板式では、板を避けると入り口が閉まらない可能性がありましたが、吊り下げ式は動かすだけで入り口が閉まるため、捕獲しやすいです。

しかし、フックが付いているため、動物が捕獲器内で暴れた場合、怪我をする可能性が高いです。吊り下げ式捕獲器を使用する際は、素早く捕獲器から解放できるように準備しておく必要があります。

捕獲器の選び方

捕獲器は、捕獲したい動物の大きさや習性から選定することが大切です。

1. ネコを捕獲する場合

ネコは避妊目的で捕獲されることが多いですが、奥行きのある長い捕獲器を使用します。これはネコは動きが俊敏で、奥行きのない捕獲器では、後ろに下がって逃げられてしまう可能性があるためです。

特に子を持つ野生のネコは、子どもを守ろうと気性が荒く、吊り下げ式捕獲器を使用する場合は、捕獲器内で暴れてフックでケガをしないように注意が必要です。

2. モグラを捕獲する場合

モグラは農業で害獣として扱われています。モグラを捕獲する場合は、前述した捕獲器ではなく、モグラ専用である筒状のものをトンネルに設置して捕獲します。

モグラは、決まった場所を通って行動するのが習性です。その習性を利用して捕獲しています。

3. イノシシを捕獲する場合

イノシシもモグラと同様に、害獣として捕獲されることが多いです。イノシシを捕獲する場合は、イノシシが入っても余裕があるくらいサイズが大きく、頑丈な捕獲器を使用します。

イノシシは暴れるため、頑丈で壊れない捕獲器が必要です。イノシシ専用の捕獲器を使用することをおすすめします。捕獲器が大きい分、危険性も高まります。捕獲器の正しい設置方法に従うことが大切です。

捕獲器の使い方

一般的な捕獲器の使い方は、以下のとおりです。

1. エサを用意・セットする

捕獲する動物に合わせて、エサを用意します。また、エサをセットしたら、罠が正しく作動するかを確認しておいてください。

2. 捕獲場所へ設置する

エサをセットした捕獲器を、動物を捕獲する場所に設置します。捕獲場所は、動物がいつも通っている道や、縄張りと考えられる場所に置くことが大切です。

3. 捕獲後に対処する

動物が捕獲器にかかったら、すぐに対処します。例えば、イノシシの場合、暴れて自分の身体を傷つけてしまうおそれがあるため、麻酔など、最悪の状態を考えて、事前に準備しておくと安心です。

堆肥枠

堆肥枠とは

堆肥枠

堆肥枠とは、農地に設置し、コンポスト (堆肥) の作成・保管を行う枠です。

堆肥枠は、自家製の堆肥を作る際に利用されます。コンポストとは、有機物を分解して天然の肥料を作ることです。肥料は土壌を豊かにし、植物を健康に育てるのに適しています。

堆肥枠を使用することで、農家や農業従事者は、収穫後の野菜の茎葉や落ち葉、雑草などの不要な部分を肥料に変換することが可能です。堆肥枠は、一度購入すれば半永久的に使えるため、設置しておくだけで年間を通して大容量のコンポストが作れます。有機農業の担い手として、堆肥枠を使うことで地球環境に配慮するだけではなく、長い目で見てコストパフォーマンスもよい農業資材です。

堆肥枠は、設置場所や容量、切り返し、取り出し作業のしやすさなどを考慮して選択します。形状は、角型や丸型などがあり、容量は一般家庭用の小さなものから、3,000L以上の大きなサイズの堆肥枠まで種類豊富です。材質には、プラスチックや金属、木製のものがあります。

堆肥枠の使用用途

堆肥枠は、不要な農作物や刈り取った雑草などを放置することで、有機廃棄物から堆肥を生成するために使用されます。また、堆肥を保管するのも一つの用途です。作ったコンポストは天然の肥料として使用可能で、土壌に栄養を与えて作物の生育を助けるとともに、廃棄物を減らすことができます。

堆肥枠は農家や企業、家庭でのコンポスト作りなど、幅広い用途で使われます。微生物を多く含むふかふかの手作りの堆肥は、土に養分を与えるだけではなく、通気性や水分保持能力を高める目的で、土壌改良資材としても使用されます。

堆肥の原料は、生ゴミや不要な農作物、剪定くず、落ち葉であることから、通常堆肥枠は屋外に設置されています。容器が太陽の熱によって暖められることにより、分解・発酵が促進します。雨風にさらされるため、蓋がないタイプの堆肥枠は、熟成中の堆肥にシートを被せておくことが必要です。

堆肥枠の特徴

長所

堆肥枠の長所は、収穫後の野菜の茎葉や剪定くず、落ち葉などを入れるだけで、天然の肥料を作ることができることです。通常は捨てられてしまうものをコンポストとして使用できるため、ゴミの削減にも役立ちます。環境保護の観点からは、有機の肥料で植物を育てることが可能になります。

堆肥枠は半永久的に使用可能で、設置しておくだけで多くの堆肥が作れます。堆肥の大きな特徴は「肥料を与えること、土壌改良をすること」の2つです。堆肥枠で作られる栄養豊富な土壌改良材は、農家が長期にわたり高額な肥料への支出を節約するのにも役立ちます。

短所

堆肥枠の短所は、正しく機能させるための継続した管理が必要なことです。堆肥枠に入れた有機物は、微生物による分解、発酵を経て堆肥にいたります。微生物が活動できるように、空気を入れるための切り返し作業や堆肥が含む水分量の確認を行います。

適切に管理されないと、堆肥作りがうまくいかず、臭いを発するようになることがあります。また、堆肥枠を設置できる土地も必要です。

堆肥枠の種類

堆肥枠には、主に下記のような種類があります。

1. 堆肥枠の形 による分類

堆肥枠には、大きく分けて四角い形と丸い形のものがあります。四角い形の堆肥枠は、土地の隅にすっきりとおさまります。

堆肥を混ぜたり切り返したりするメンテナンスの利便度は、どちらも同じです。丸型の堆肥枠で筒形の商品は大容量タイプです。

2. 堆肥枠の材質 による分類

堆肥枠には、樹脂製、金属製、木製の商品があります。アルミ製などの金属素材のものは錆びにくく、耐久性があり、プラスチックの堆肥枠のように、落ち葉などを押し固めているときに割れることもありません。

最も高価な堆肥枠です。一方、プラスチックのものは軽く扱いやすく、木製の堆肥枠は周囲の自然環境に溶け込む美観を備えています。

3. 組み立て方による分類

堆肥枠には、組み立て式の商品もあり、これらは不要になったら折りたたんで保管をすることができます。組み立て式の商品は、持ち手が付いていたり、プラスチック製のものが多く、軽いために運搬・設置がしやすいのが長所です。土地が有効利用できるため、一時的に堆肥作りをしたい人におすすめです。

堆肥枠の選び方

1. 大きさ

堆肥枠には、さまざまな大きさの商品が販売されています。そのため、まず堆肥枠のサイズを決定する必要があります。

堆肥枠のサイズは、作成できる堆肥の量に直結するため重要な部分です。大量の堆肥を作りたいにも関わらず、広い面積の置き場所がない場合は、堆肥枠を上に引き上げることでさらに投入が可能なタイプがおすすめです。

2. 材質

堆肥枠の場合、使用されている素材により価格に大きな違いがあります。耐久性があるアルミ製などの金属製のものが最も高価で、スタンダードなサイズ (150 x 150cm) で4万円程度から販売されています。

素材によって特徴が異なるため、機能面と価格面のバランスを考慮することが大切です。