育苗機

育苗機とは

育苗機とは、育苗箱を中に積んで発芽を促進するための機器類のことです。

育苗機にはサーモスタットや蒸気装置が付いており、適切な温度で保温できるため、育苗する際に均一な生育が可能です。約60時間で出芽し、2日ほどで初期緑化が始まります。

また、育苗機を使用すれば、天候不順や不安定な気温による出芽不良を回避できます。特に、寒冷地での早期育苗において、安定した出芽・生育には欠かせません。

育苗機の使用用途

育苗機は、主に水稲苗の出芽の過程で使用されます。育苗箱にセットして育苗機に入れることで、安定した生育を促せます。育苗の季節に突然冷え込んだとしても、精度の高い温度管理ができるので安心です。

また、冬場から春先に準備する野菜類の育苗に使用することもできます。ほかにも、麹の発酵や観葉植物の越冬保存など、用途は幅広いです。本体に水を張ることで水耕栽培にも使用できます。成長した場合は、自在支柱等を専用の支柱受け穴に差込んで、アーチ型ドーム温室として切り換えて使用できます。

育苗機の特徴

育苗機の中には棚があり、育苗箱を適度な間隔で積み重ねることができます。また、育苗機本体には出芽に最適な蒸気加温できるヒーターが付帯されています。

天候不順にも左右されず、理想的な環境下で計画的な発芽が可能です。各メーカーの育苗ポットをほとんど切らずに使用できる発芽育苗機もあります。

長所

育苗機の最大の長所は、天候に関係なく計画的な農作業が可能になる点です。また、簡単な操作で精度の高い温度設定や自動管理ができる長所もあります。

育苗機は工具不要で組み立てられ、アーチやレール、台枠は部材を差し込むだけなので、大きな労力を要しません。さらに、ビニールハウスに1枚ずつ並べる作業がないため、土地の有効活用や労力の削減にもつながります。

短所

大型の育苗機は単相100Vまたは3相200V電源を要し、平坦な場所に置く必要があるため、事前に設置場所の準備が必要です。育苗機は、直射日光の熱や風など外的な要因を受けやすいので、日陰で風当りの少ない場所に設置しなければなりません。

また、ヒーターは水濡れに弱く、場合によっては感電することがあるため注意してください。転倒事故や感電事故を起こさないよう、正しく設置することが大切です。

育苗機の種類

育苗機には様々な種類がありますが、農業には大型の育苗機が適しており、家庭菜園には一抱えほどの小さいタイプが最適です。

1. フォークリフト対応の育苗機

農業用の育苗機には、フォークリフトに対応した製品が販売されています。ただし、パレットは別途必要です。育苗箱の収容枚数は60枚程度から最大で1,000枚ほど入れられる大型の育苗機まであるので、作付面積に応じて選ぶと良いです。

オプションで育苗機全体を覆うビニールカバーや発芽後に棚育苗として使える棚桟を購入すれば、安定した作付けや労力軽減につながります。

2. 家庭菜園用の育苗機

屋内で野菜・ハーブなどの種まきや育苗する際は、家庭菜園用のフタ付き電気ヒーター式育苗機や、シート状の保温マットが便利です。家庭用の電源を利用して、低温期の栽培に使えます。

育苗中の病害虫からのリスクを低減でき、電気使用量も経済的です。適温になったら温まった地温は外に放熱しますが、地温調節ができるタイプもあるので使用目的に応じて選ぶ必要があります。

育苗機のその他情報

1. 育苗機の取り扱いにおける注意点

育苗機使用時の注意点として、電源部分やサーモスタット、ヒーターに水をかけないよう注意するとともに、アースの取り付けも必要です。また、タコ足配線やテーブルタップへの接続はNGです。育苗機に育苗箱を搬入する前に、温度テストを行っておくことをおすすめします。

また、フォークリフト利用時は、ゆっくり移動しないと転倒事故を起こす恐れあがあります。

2. 栽培対象の適温

ネギやキュウリといった野菜類などに使用する際は、栽培対象の適温を把握しておく必要があります。水稲苗を一例として挙げると、出芽時の適温は30℃です。

育苗機で2日間ほど適温を維持しながら保温し、一斉に出芽させます。30℃を大きく超えると病害発生のリスクが高まるので温度管理は大切です。また、中古の育苗機を入手した際は、清掃・消毒などを実施して病気の発生を防ぎましょう。

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