パワーアシストスーツ

パワーアシストスーツとは

パワーアシストスーツ

パワーアシストスーツとは、モーターや電動アクチュエータによる動作のアシスト、人工筋肉などを用いた加重分散効果により、重量物の持ち上げをはじめとする作業補助に用いられる装着型機器の総称です。

パワードスーツ、ロボットスーツ、アシストスーツなどさまざまな名称があり、その製品によって形状や補助機構、補助内容などが大きく異なります。パワーアシストスーツの大きな分類として、フレームといわれる外骨格の有無が挙げられます。

フレームを持つものの多くは電動でのサポートを行うためサポート力が強く、動作による出力の制御などが可能ですが、その一方でコストが高い、サイズがかさばり重い、外部出力のない場所での使用が困難などの問題があります。これに対してフレームがなく、空気圧やゴムなどを動力として用いるものは、サポート力が劣る反面、安価かつコンパクトといったメリットがあります。

パワーアシストスーツの使用用途

パワーアシストスーツの使用用途は多岐におよび、軍用、医療介護用、物流産業用といった産業用途をはじめ、アミューズメント要素を盛り込んだホビー用などさまざまです。農業用途はその中でも注目されている分野で、これは重量物の持ち上げ作業が頻繁に発生すること、農業従事者の高齢化が進んでいること、女性作業者の就労支援につながることなどが主な理由として挙げられます。

実際の農作業は重量物の持ち上げだけではなく、中腰での継続した作業や、腕を長時間挙げた状態での作業などさまざまな作業状態があります。そのため、パワーアシストスーツもその作業に見合ったものを選定することが大切です。

パワーアシストスーツの特徴

長所

1. 作業者の負担が軽減する
パワーアシストスーツを着用することによって、作業者に掛かる身体的負担が大幅に軽減されます。介護や農業、建設工事の現場などでは、重いものを持ったり降ろしたりする作業が多く発生します。

パワーアシストスーツを着用することにより、そうした作業をアシストし、負担を軽減します。なお、一般的なアシストスーツは最大25kg程度のアシスト力があります。

2. 作業効率が上がる
パワーアシストスーツ着用により、数人掛かりで行っていた作業を一人で行えたりするなど作業効率の向上が期待できます。また、女性や高齢者などが難しかった重い物の運搬ができるようになります。

3. 事故のリスクが抑えられる
パワーアシストスーツを着用することで疲労を軽減できるため、事故の防止につながります。突発的な事故が無くとも、日常的な重労働により肉体に蓄積されるダメージは大きいです。

パワーアシストスーツを導入することにより、作業環境そのものを改善し、事故のリスクを抑えられます。

短所

1. 着脱に時間がかかる
パワーアシストスーツの多くは、脱着に1分程度の時間がかかります。1人で着脱ができるものの、頻繁に着脱する場合は面倒に思うことも多いです。

また、空気圧を利用したパワーアシストスーツは、1日1回程度ポンプで空気を入れる必要があります。

2. 本体が大きく重量がある
パワーアシストスーツを着用することで、身体的負担が軽減される一方で、パワーアシストスーツ自体にも重量があります。5kg前後が平均的です。

また、パワーアシストスーツの多くは背中に背負うタイプなのですが、本体が肩幅よりも広く作られています。狭い場所での作業が必要な場合、支障が出る可能性も少なからずあります。

3. コストが高い
パワーアシストスーツを導入するにあたり、コストが高くなってしまうことは避けられません。メーカーや製品により、10万円台のものから100万円以上するものまで幅広いです。

また、長期的かつ安全に使用するために定期的なメンテナンスが必要になります。これによりランニングコストがかかってしまうことも考慮しなければなりません。

パワーアシストスーツの種類

パワーアシストスーツは部位別の製品に分けることができますが、外見やサポート方法により、大きく分けて3種類のタイプに分けられます。

1. サポータータイプ (動力なし) 

サポータータイプは、安価に取り入れられる点が特徴です。さらに、使い方を習得するまでに時間を必要としない点も特徴と言えます。

動きをあまり制限されないため、自由度の高い複雑な動きを必要とするときに効果的です。

2. 外骨格アシストスーツ (動力なし)

動力がないアシストスーツ特徴として、サポート能力が高く、駆動時間を気にしなくて良いことが挙げられます。バネや空気圧を利用し人工的に筋肉のような作用を作り出し、パワーを発揮します。

3. 外骨格アシストスーツ (動力あり)

動力付きアシストスーツは、モーター駆動やセンサーによりアシスト力が最も高いのが特徴です。パワーの調整ができるので、無駄な力を必要としないなどのメリットがあります。

しかし、電力を必要とするため、連続稼働時間に制限があり、1日中装着し続けるのは難しい点がデメリットです。

パワーアシストスーツの選び方

パワーアシストスーツは上記の3種類の中から、使用したい場面に合わせて選ぶことが大切です。いざ購入して、作業しづらかったり、逆に作業効率が悪くなってしまったりしては意味がありません。事前に使う場面を洗い出しておくことをおすすめします。

1. サポータータイプ (動力なし)

サポータータイプは、腰をメインにサポートします。収穫した農作物のコンテナを持ち上げたり降ろしたりする作業などに適しています。また、動作に制限がないので、移動を伴う運搬などに活躍します。

2. 外骨格アシストスーツ (動力なし)

動力なしの外骨格アシストスーツを使用する場面は、長時間の反復作業や大きな移動を伴わない比較的重いものを扱う作業に適しています。具体的には、ライン作業や物流現場での荷物の積み替え等です。

3. 外骨格アシストスーツ (動力あり)

動力ありのアシストスーツは、発揮できる力が大きくない方が能力以上の力を発揮する現場に使用されます。アシスト力が最も優れているため、年配の方でも思いものが持てるようになります。また、同じ姿勢を長時間続ける作業において、姿勢を保つ補助として使うことも可能です。

パワーアシストスーツの使い方

1. 動力なしのアシストスーツ

ショルダーベルトを両肩にかけ、胸・腰・脇などのベルトを留めて長さを調整し、体に合わせます。空気圧による人工筋肉を作動させるものは、メーカーが推奨する量の空気を注入し、使用します。

2. 動力ありのアシストスーツ

ショルダーベルトを両肩にかけ、胸・腰・両足のもものベルトを留めて体に合わせます。ベルトを留める順番やサイズの調整方法は製品によって異なることに注意が必要です。

装着後は、電源を入れ使用します。アシスト力やアシストタイプを設定できるものは、操作してから作業を始めます。

蛇口ニップル

蛇口ニップルとは

蛇口ニップル

蛇口ニップルとは、水道の蛇口にホースを接続する場合に、蛇口側に取り付ける部品のことです。

メーカーによって呼び方は異なり、広汎に蛇口ニップルと呼ばれます。また、蛇口の形状は屋内・屋外によって異なり、その形状により使用する蛇口ニップルはさまざまです。

蛇口ニップルの使用用途

蛇口ニップルは、接続したホースを使用して作物への灌水、庭や通路などへの散水、洗車などに使われます。蛇口にホースを直接押し込んだだけで使用すると、水圧が高くなった際にホースが外れてしまう可能性があります。

また、蛇口の外径 (円の直径) がホースより広い場合や形状が特殊な場合、直接ホースを押し込むのは不可能です。そこで蛇口ニップルが活躍します。取り付けることにより、ホースが外れる心配がなくなり、安心してホースを使用できます。

蛇口ニップルの特徴

長所

適切な蛇口ニップルを使用することにより、ホースが蛇口から外れる心配はほとんどありません。そのため、水圧を気にせず使用できます。また、取り付けることにより、ホースの着脱が楽になります。

他の似た形状の蛇口を使用する場合、使い回しも可能です。また、屋外に水道がない場合でも、ニップルを使用することにより、屋内から簡単に水を引けるようになります。

短所

規格に合った蛇口ニップルを使用しないと、外れる恐れがあります。ビスで止めるタイプは、ビスを締めすぎると蛇口を痛める可能性があります。また、ネジを各方向から均等に締めていないと、水圧で外れてしまうことも多いです。

屋外で使用する場合、プラスチックのニップルはおすすめできません。紫外線や雨風にさらされて、劣化が早くなる可能性があります。

蛇口ニップルの種類

屋内・屋外によって使用する蛇口ニップルが異なります。材質は大きく分けて、金属製と樹脂製の2種類です。

1. 屋内の蛇口ニップル

屋内の場合、台所や洗面台、浴室などに使われる混合栓には、泡沫蛇口用ニップルが適しています。洗濯機の蛇口には、洗濯機蛇口用ニップルを使用します。

また、従来の洗濯機蛇口用ニップルは、洗濯ホースが外れた場合に蛇口が開いていると、水が勢いよく出てしまうのが懸念点でした。しかし、現在では万が一洗濯ホースが外れても、蛇口から水が出ないよう防いでくれるストッパー機能付きのニップルも存在します。

その他、角蛇口と呼ばれる先端が角型のものもあり、主に洗面台や屋外の立水栓などに使われています。その場合、丸角・角型両方に使えるニップルが便利です。

2. 屋外の蛇口ニップル

屋外の蛇口には、大きく分けて先端が丸いもの、先端にカップリング (段々になっており、蛇口先端から取り外せる) のものがあります。先端が丸いもの (丸型) には、3方向からビスで締め付けるタイプが多く使われます。

この場合、ホース側にアジャスターが必要です。また、工具不要で手で締めるワンタッチのタイプやキャップで固定するタイプもあります。蛇口の先端がカップリングの場合、水栓柱にはネジ蛇口ニップル、地面に埋め込まれて設置されている地下散水栓ボックスには45度に曲がった蛇口ニップルが便利です。

蛇口ニップルの選び方

屋内と屋外どちらで使用するかを選び、蛇口の形状を確認します。先端の外径を測り、それに適合した蛇口ニップルを選びます。角蛇口の場合、丸角共通で使用できるニップルを選ぶと良いです。形状が丸型に似ているので、購入の際にしっかり確認することをおすすめします。

また、屋外で使用する場合、劣化が気になるのであれば、耐久性の強い金属製ニップルが最適です。

蛇口ニップルの使い方

蛇口ニップルの種類によって、若干使い方が異なります。上記に述べたような広汎なニップルの使い方について説明します。

1. 丸蛇口の場合

まず蛇口ニップルの3本のビスをドライバーで緩めておきます。そして蛇口に押し込み、ネジを均等に締めていきます。

2. カップリング付き蛇口の場合

カップリングを回して取り外し、ニップルを取り付けます (地下散水栓の場合は、初めに蓋を開けておきます) 。

3. 混合栓の場合

泡沫キャップを取り外し、ニップルを取り付けます。この時、キャップは無くさないよう注意が必要です。蛇口の形状や規格により付属のアダプターを使います。

4. 洗濯機蛇口ニップルの場合

初めに蛇口を閉めておきます。洗濯機ホース取り外し、ニップルを取り付けます。その際にツメが必ず引っかかるようにしてください。また、長時間使用しない場合は、蛇口の閉め忘れに注意が必要です。

 

ニップルが適したものであっても、きちんと押し込まれていないと抜けたり、水漏れしたりしてしまいます。確実に奥までしっかり押し込むのがポイントです。また、ニップル内部のゴムが劣化して固くなると、抜けてしまうことがあります。劣化した場合は新しいものに交換しましょう。

雨除け

雨除けとは

雨除けとは、農作物などを雨から守り安定した収穫を可能にするための、ビニール製の屋根のことです。

フレームパイプにビニールシートを被せるだけの簡易型が多いものの、ハウス型も活用されています。また、多くの雨除けが各メーカーから販売されており、通販やホームセンターなどで購入できます。

雨除けの多くは、2坪程度の小さなタイプです。組み立てが比較的簡単なので、農家だけでなく家庭菜園を楽しむ個人でも多く利用されています。

雨除けの使用用途

雨除けは、主にトマト・キュウリ・ナスなど降雨が苦手な野菜や、ブドウなどの果実栽培に使用されます。農作物の頭上をビニールシートで保護するように設置して使用します。

作物などに雨があたらないよう、雨除けの高さや幅などを考慮し、正しく使用することが重要です。

雨除けの特徴

長所

雨除けを使用すると、雨風や直射日光による農作物の実割れを防げるほか、ベト病や苗立ち枯れ病などの発生率が減少します。例えば、トマトやスイカなどの栽培に雨除けを導入することが多く、生産の安定化や収量の増加、品質の向上などが期待できます。

簡易型の雨除けは、雨を遮りながらも太陽光や風を適度に透過させるため、温度や湿度の調節がしやすい点が長所です。また、壁部分をシートで覆うことで保温性が向上し、冬季の野菜の栽培も可能です。

一方、ハウス型の雨除けであれば、春・夏は雨除けとして、秋・冬は温室として活用でき、収穫時期の調整も容易になります。

短所

雨除けに用いられるビニールシートは耐久性が低いため、繰り返し使用する場合は交換が必要です。また、劣化して穴が空いていると雨水が作物にあたってしまい、実割れやカビの原因となります。雨除けを使用する前に、ビニールシートに穴や破れ、ひどい汚れがないか確認してください。

雨除けの構造

雨除けの構造は、簡易型とハウス型によって異なります。

1. 簡易型

簡易型の雨除けの構造は、フレームパイプを支柱とし、天井部に厚さ0.1mm前後の透明な農業用ビニールシートを被せたシンプルな構造です。フレームパイプは錆に強い亜鉛メッキスチールやスチールパイプが用いられ、ビニールシートはポリプロピレン・ポリエチレンなどの材質が使われます。

簡易型の雨除けは軽量で簡易な構造のため、一人でも組み立てることが可能です。支柱を地面にしっかり挿し、トップ部分のアーチ状の支柱と連結させてからビニールを被せ、専用クリップで留めます。

2. ハウス型

ハウス型の雨除けにはドアが付いているのが特徴で、パイプの骨組に天井部と側面にビニールシートを張った構造です。春夏は雨除けとして、秋冬は温室として、1年中利用できます。また、移動式の雨除けハウスは移動が可能で、連作障害を防げます。

ハウス型の組み立て方法は、簡易型と基本的には同じです。パイプをジョイントで組み立て、ドアを取り付けたら、ビニールシートをパッカーで留めて組み立てます。

雨除けの選び方

雨除けは、作物の性質や目的に応じて、簡易型もしくはハウス型のいずれかを選びます。鳥や害虫などの被害から守る場合は、ハウス型の雨除けがおすすめです。

また、パイプやビニールシートなどがセットになった「雨除けセット」を購入する際は、畝幅・肩幅・高さが作物に合っているか、組み立てやすさなどを確認して選びます。

以下に、雨除け栽培に向いている野菜や果樹などを列記するので参考にしてください。ブドウのツルを這わせられるタイプの雨除けも販売されています。

  • トマト
  • キュウリ
  • ピーマン
  • ナス
  • シュンギク
  • ホウレンソウ
  • イチゴ
  • スイカ
  • メロン
  • サクランボ
  • ブドウ

雨除けのその他情報

雨除けの寿命

雨除けのビニールシートの耐用年数は、あまり長くありません。農業用ビニールシートとして一般的な「農ビ」の耐用年数は1~2年ほどです。「農PO」は約3~5年ほどの耐用年数を備えています。

雨風や紫外線、気温の影響により、ビニールシートの柔軟性や透明性が経年劣化するため、定期的な張り替えが必要です。また、雨除けの構造上、強風が内側から天井部を突き上げると、ビニールシートが剥がれたり破れたりしやすいため、台風が予測される際は取り外しておくことをおすすめします。

シルバーシート

シルバーシートとは

シルバーシート

シルバーシートとは、アルミニウムをポリエチレンフィルムで挟み、多層構造からなる光反射シートのことです。

シルバーポリとも呼ばれます。農業分野では、主に光線不足の解消や地温上昇の抑制などに使用されています。

シルバーシートの使用用途

シルバーシートは、光線不足の解消、果物などの着色、地温上昇の抑制、及び害虫対策、保温・防湿、日焼け防止などの用途があります。

1. 光線不足の解消

農業ハウスでは、光線不足になりやすいので、シートを地面に敷いて反射光を利用します。植物の葉は、主に表側の面に光を受けて炭酸同化作用で生育しますが、裏側の面でも、効率は悪いですが光を受けて養分を作るので、生育面で効果が出ます。

2. 果物などの着色

果樹園では、シルバーシートを敷いて乱反射光を果実に照射することで、生成された養分が糖を作り、アントシアニンを生成して果実が着色され糖分も上がります。

3. 保温・日焼け防止

水稲の育苗には、シルバーシートを苗の上から被せ、保温と日焼け防止に使います。

シルバーシートの特徴

長所

シルバーシートは、シートに含まれるアルミニウムが光を反射することにより、アブラムシやハモグリバエ、アザミウマなどの害虫に対する忌避効果を発揮します。また、比較的雑草を抑える効果もあるので、草刈りの回数だけでなく、除草剤・殺虫剤など農薬の使用回数も軽減されます。

一般的な農ポリと比べてべたつきにくく、換気がしやすいのが特徴です。

短所

他の種類のマルチと比較すると高価です。光線を反射するので、作業の際には日に焼けないように帽子やサングラスを付けるなど、日焼け防止対策が必要です。

シートの厚さに規格があり、厚みが薄いと破ける可能性があります。厚いと丈夫で長持ちはしますが、重くなるので持ち運びが大変である上、マルチに穴を開ける際に手間がかかります。

収穫終了後になると、所々破けたり、シートの上に土が被っているので、片付けに手間がかかります。

シルバーシートの種類

農業用マルチシートは主に、幅が95cm・135cm・150cm・180cm・210cmといくつかの規格があり、シルバーシートも同様です。厚さも規格があり、0.02mm~0.03mm、長さは200mが一般的です。

シルバーシートに含まれるアルミニウムの形状はメーカーによって異なり、平織の織物に接着したタイプは、強度に優れ、アルミニウムの消失を防ぎます。通水性能については、防水、通水、透水、透湿などさまざまです。また、遮光率の高いものは、白ネギの軟白化に用いられたり、水稲育苗専用のものなどがあります。

シルバーシートの選び方

基本的に植える作物の種類や大きさ、植え方、畝の幅や高さが変わります。それによって使用するシートの幅も変わります。 例えば、95cmの規格は、畝幅60cm〜80cm、135cmのものだと、畝幅100cm〜120cmというように、畝の表面だけでなく側面もきちんと覆うように、少し余裕をもたせたサイズが最適です。

また、幅が広すぎて、畝間まで落ちてしまうと、人が通った際に踏んで破れる可能性があります。

シルバーシートの使い方

シルバーシートを使うにあたり、張る前の準備、張り方、仕上げ、それぞれの工程を丁寧に行うことが重要です。ハウス内だと問題ありませんが、露地の場合、風のある日だとシートが飛ぶ可能性があるので、風のない日を選らんだ方が無難です。

張る前の準備として、耕運・畝立てをし、数日間ならしておきます。畝の表面を丁ならし、凹凸のないようにしておくのがポイントです。凹凸があると、作物がうまく育たない原因にもなります。シルバーシートを張る開始点に押さえをし、飛ばないようにキーパーやピンなどで仮止めをします。

空気ができるだけ入らないように、ロールを転がすようにして広げます。シートを巻いている芯に棒を通して、通した棒の両端に紐を結んで引っ張ると、楽に作業することができます。その際に、シートの中心と畝の中心ができるだけ合うように広げることが、きれいに仕上げるコツです。

終点まで伸ばしたところで、シートをピンと張り、クワやカッターなどでカットします。開始点と同様、押さえで仮止めします。風で飛ばないよう、クワやトンボなどで畝間の土を使って、側面や表面に土寄せをし、抑えていきます。ここで表面に土を乗せすぎると、そこから草が生える可能性もあるので注意が必要です。

アルミ台車

苦土石灰とは

苦土石灰 (くどせっかい) とは、ドロマイト (CaMg(CO₃)₂) と呼ばれる鉱物を原料とし、加熱・粉砕して粉状または粒状に形成した石灰資材の一種です。

主な成分は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムで、マンガンやホウ素などの微量要素も含まれます。苦土はマグネシウム、石灰はカルシウムを指します。

苦土石灰の使用用途

苦土石灰は、主に、酸性に傾いた土壌のphを中和して、カルシウムやマグネシウムなどの栄養素を農作物に補給するために使用されます。農作物は、弱酸性 (ph5.5~6.5) を好む場合が多いです。土壌の酸度が強いと、毒性の強いアルミニウムを溶出し、根の成長を妨げます。また、リン酸と結びついて作物が吸収できない状態になり、生育する上で様々な障害をもたらす可能性が高いです。

雨が降ると土壌中のアルカリ分が流出するため、降雨量が多い日本では酸性に偏りやすい傾向にあります。さらに、プランターなどの狭い範囲で作物を栽培する場合、土の劣化が早くなり、酸性に傾きやすくなります。そこで、アルカリ性である苦土石灰を土にまくことで、土壌の酸度・phを調整することが可能です。

ただし、農作物の種類によって生育しやすいph値が異なるので、苦土石灰の量を調節する必要があります。また、カルシウムやマグネシウムを補給することによって、農作物の根の成長を助けたり、葉緑素を作り葉が黄色くなっていくのを防いでくれます。

苦土石灰の特徴

長所

苦土石灰の適切な散布により、土壌のph値を安定させることができます。また、カルシウムやマグネシウムを補給することによって、植物の根の成長や葉が枯れていくのを防げます。他の石灰資材と比べると、栄養素のバランスがよく、初心者でも扱いやすい資材です。

短所

使用方法が適切でないと、アルカリ性に傾きすぎてしまいます。鉄やマンガンなどが欠乏し、植物に悪影響を及ぼしたりする可能性が高くなります。

苦土石灰の種類

苦土石灰の種類は、大きく分けて粉状と粒状のものがあります。粉状の方が水に溶けやすく、土に混ざりやすいので比較的効果が速く現れます。粒状は、粉状と比べ効果は遅く現れますが、その分長く続きます。

粒の大きさや苦土の割合に多少の違いはありますが、基本的にはどの製品でも成分に大きな違いはありせん。また、粉状も粒状も使用量は変わりませんが、使いやすさを考えると、粒状の方が風に飛ばされにくく、手で撒きやすいです。

苦土石灰の選び方

前述した通り、効果の暖効性、使いやすさを考えると粒状がおすすめです。価格面を考えると、粉から粒へ加工する工程が入る分、粒状の方が比較的高いです。そのため、施肥面積が広い場合は粉状がよいでしょう。また、粉状は水分で固まりやすい性質があります。家庭菜園で使う場合は、使いきれる少量のものを買うようにしましょう。

苦土石灰の使い方

苦土石灰の使用量は、10aの畑で考えると年間50~100kgを目安とされています。ただし、苦土石灰の効果は、土壌の質とこれから植える予定の農作物によって異なるため、事前に土壌診断としてphを測定しておく必要があります。

堆肥や他の肥料と同時に使用すると、苦土石灰のアルカリ成分が他の肥料に含まれるチッソと反応してアンモニアガスを発生させてしまうため、2週間程度の間隔を空けるのが望ましいです。また、苦土石灰の効果が表れるのに約1~2週間かかるので、農作物を植える2週間くらい前にまいておくことをおすすめします。

粉状のものを使用する場合は、できるだけ風のない日を選びましょう。まき方としては、苦土石灰を畑に均一にまき、土と十分に混ぜ合わせます。まいた石灰をそのままにしておくと、雨などで濡れて固まり、土壌が固くなる可能性があるので、すぐ混ぜ合わせるのがポイントです。

その際に、散布機を使ってまいたり、耕運機などで混和したりすると効率的に作業が終わります。皮膚に触れると炎症を起こす可能性があるので、手袋やゴーグルなどでしっかり防御しましょう。残った場合は、袋の開封口をビニル紐などでしっかり閉じて、湿気の少ない場所で保管します。

動力噴霧器

動力噴霧器とは

動力噴霧器

動力噴霧器 (動噴) とは、農薬や肥料などを田畑に噴霧する機械で、内燃機関や電気の動力を使用するものです。

人が背負って噴霧する小型のものから、乗用トラクターを使う大型のものまであります。

動力噴霧器の使用用途

動力噴霧器は、農薬や肥料の散布のほか、灌水作業、農作物や果樹の消毒などにも使われます。背負い型の噴霧器は、エンジン動力を使った場合は重量が30kg近くになります。小規模の農地や菜園用の場合は、充電式や乾電池のものが一般的です。 

家庭菜園に使う場合は、薬液のタンク容量が5~10l程度の噴霧器が向いています。除草剤の散布用途は、圧力が低い噴霧器でも十分使用可能で、軽量な電池式の背負い型が適しています。水稲の防除に使う場合は、畦畔噴口などのノズルを使います。広い面積への散布となるため、流量が多い噴霧器が必要です。また、ラジコンタイプや自走式も使われます。

野菜の防除の場合は、微細な噴霧が必要となるので、高圧タイプが適しています。ノズルは、すずらん噴口などの多頭口ノズルを使用します。果樹防除用の場合は、圧力と流量のバランスが重要です。ノズルに鉄砲噴口やピストル噴口などを使います。

動力噴霧器の特徴

ホースの先にあるノズルと呼ばれる部分が取り外し可能で、用途に合わせてノズルを交換することができます。水圧の調整は動力噴霧器で行い、水量の調整はノズルのコックの開き具合で調整するのが一般的です。

ノズルの中には吹き出し口の開き具合で水圧を調整できるものもあり、特にセット式の動力噴霧器を使用する際に便利です。

長所

手動式噴霧器に比べると水圧も強く、一定の水圧で噴霧し続けることができます。 セット式や乗用タイプなどの薬液を入れるタンクが大きいタイプは、噴霧出来る水量が多いため面積の広い農地で使用するのに便利です。

短所

背負い式の動力噴霧器は、燃料タンクとエンジンがついているので、その分重くなっています。また、動力噴霧器は燃料を必要とするため、手動式のものに比べて燃料費が追加のコストとして発生します。

動力噴霧器の種類

動力噴霧器の種類として、ポンプと動力のユニットが定置型でホースとノズル部を移動させて散布するセット式、車輪が付いた移動式、ラジコン操作で自走させるタイプ、及びトラクターを使うタイプ、背負い型などがあります。

ポンプのタイプは、一般の低圧のものからピストン式の高圧型まで、流量別に揃っています。使用用途に応じて適切なものを選択することが重要です。

動力噴霧器の選び方

動力噴霧器は、以下のような使い分けができます。

1. 家庭菜園や苗の防除

使用する範囲が狭いため、薬液のタンクの小さい背負い式の動力噴霧器が適しています。

2. 除草剤の散布

除草剤の散布は比較的に低い水圧で使用するため、電池式や背負い式の動力噴霧器が適しています。背負い式の場合は水圧が高くなり過ぎないように調整が必要です。

3.  狭い範囲の畑の防除

10r程度の面積の防除であれば、背負い式やキャリー式、自走式の動力噴霧器が適しています。しかし、キャリー式や自走式の場合は、畝間が狭いと動力噴霧器自体が畝間を通ることが出来ないため適しておりません。

4. 広範囲な畑の防除

大規模農家になると農薬を散布する面積も広くなるため、セット式の動力噴霧器やラジコン式や自走式の大容量モデルを使用します。

動力噴霧器の使い方

動力噴霧器は電池式やエンジン式、モーター式など様々な動力源を使用した種類があります。近年では、バッテリー式の動力噴霧器も販売されています。

エンジン式の動力噴霧器を使用する際は、燃料に注意が必要です。2サイクルエンジンには混合燃料を使用し、4サイクルエンジンには通常のガソリンを使用します。エンジンの種類によって使用する燃料が違うため、間違って使用すると故障の原因になります。

また、防除用の農薬と除草剤を同じ動力噴霧器で使用するのはおすすめできません。除草剤に使用した後に、除草剤が動力噴霧器の中に残っている状態で防除に使用してしまうと、残っていた除草剤が作物を枯らしてしまう危険性があるためです。

肥料散布機

肥料散布機とは

肥料散布機

肥料散布機とは、畑や水田に肥料・農薬をまくための機械です。

エンジンの力で肥料散布する動力散布機、背負い式肥料散布機、手押し式肥料散布機、自走式試料散布機、トラクター取付け式散布機など、さまざまな形状・タイプ・大きさの散布機があります。

肥料散布機の使用用途

肥料散布機は、主に肥料を畑・水田・家庭菜園にまくために使用されます。用途や畑の規模などに応じて、適切な散布機を選択することが大切です。

散布量を自動調節する機能、ムラ無く均一に散布する機能、肥料詰まりを起こさせない攪拌機能など、さまざまな機能を持つ肥料散布機もあります。

肥料散布機の種類

1. 背負い式肥料散布機

背負い式肥料散布機は、肥料の入った容器を背中で背負い、ホースを通してノズルから肥料を散布します。広い畑を歩いて移動しながら肥料を散布したい場合に最適です。

このタイプの肥料散布機には手動式ととエンジン式の2種類があり、エンジン式は動力散布機とも呼ばれます。​​肥料の散布機能ではどちらも大差はありませんが、作業時間を短縮したい場合にはエンジン式がおすすめです。

また、エンジン式の肥料散布機は、除草や害虫駆除といった用途にも使用可能なため、水田や広い農地での利用にも適しています。

2. 手押し式肥料散布機

手押し式散布機は、タイヤのついた本体を手で押しながら移動することで、肥料を散布します。動力が必要ないので、場所を選ばず使用できる点が魅力です。

また、体力に自信のない女性などでも手軽に取り扱うことができます。さらに肥料・農薬だけでなく融雪剤・塩化カルシウムなどをまくこともできるので、雪の季節に使用されることもあります。

3. 自走式肥料散布機

自走式肥料散布機は、自動で走行しながら肥料を散布する肥料散布機です。重い肥料散布機を背負ったり押したりする必要がないので、少ない労力で肥料をまくことができます。

デメリットとしては、他の種類と比較するとやや高額であることが挙げられます。また、水を含んだけいふんや牛糞などは散布できないので注意が必要です。

4. トラクター取付け式散布機

トラクター取付け式散布機は、トラクターに取り付けて肥料散布ができるため、苗植えと同時に施肥する場合に便利な散布機です。

容量が大きいものが多く、肥料を無駄にせず、少ない労力で広範囲かつ均一に散布できることが特徴です。

肥料散布機の選び方

肥料散布機を選ぶ際は、以下のポイントを考慮することが大切です。

1. 種類

肥料散布機には様々な種類があります。肥料散布機を選ぶ際には、使用場所や目的に合った種類の肥料散布機を選ぶことが大切です。

2. 対応している肥料

肥料散布機の種類によっては、粉状の石灰などは非対応のもの、反対に種子や融雪剤も散布できるタイプのものもあります。散布可能な薬剤等の種類については、事前にきちんと確認しておくことが大切です。

3. レンタル

肥料散布機にはレンタルが可能なものもあります。実際に使ってから購入を検討したい場合は、まずはレンタルで試してみる方法もおすすめです。

肥料散布機の特徴

長所

1. 肥料を短時間で散布できる
肥料散布機を用いることで、施肥にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。特に広い農場などにおいては、肥料散布機の導入は必須と言っても過言ではありません。

2. 複数の用途に利用できる
肥料散布機は肥料の散布だけでなく、除草剤や農薬、除雪剤など複数の薬剤に対応しているものもあります。種類によって対応している薬剤は異なるので、うまく使いこなせば幅広い用途での使用が可能です。

3. 身体への負担が軽減できる
手作業での施肥は時間がかかるだけでなく、身体への負担も大きくなりがちです。その点、肥料散布機を用いることで作業時間を短縮し、労力を削減することができます。身体への負担を軽減したい方には、肥料散布機の活用がおすすめです。

短所

肥料散布機の短所として、コストが高い点が挙げられます。特に自走式肥料散布機は、他の種類のものと比較して高額なことが多いです。しかしながら、肥料散布機の導入によって得られるメリットはたくさんあります。使用場面や用途について、十分に検討した上で導入することが大切です。

PPテープ

PPテープとは

PPテープ

PPテープとは、ポリプロピレン製素材で作られた紐状またはテープ状の資材のことです。

耐久性が高く強度があり、長さ方向への引っ張りに対して伸びにくい特徴があるため、主に段ボールの荷造りや梱包、結束などに使用されます。また、ポリプロピレンは耐水性に優れるため、屋内・屋外での使用に適しています。さらに、耐油性や絶縁性をも有する素材です。

なお、PPテープは広義で粘着性を持つテープを指すこともありますが、本記事では紐状のPPテープに特化して解説します。

PPテープの使用用途

PPテープは、一時的な梱包・結束用として、非常によく用いられる製品です。段ボールなどの梱包や新聞紙の結束など、様々な対象物を梱包・結束するための紐として使用されます。

また、農業用品・工業用品・引っ越し時の小物の結束にも用いられるほか、スポーツ用品や釣具など、レジャー用品としても有用です。農業での使用例としては、支柱同士の固定に使用したり、農機具をブルーシートで包んだり、野菜等の収穫物の結束などが挙げられます。

PPテープの特徴

PPテープは、玉巻ひもと呼ばれる中空状に巻かれた形状や、テープ状に巻かれた形状で取り扱われます。PPテープは適度な柔軟性を有しており、結びやすくほどけにくい特徴があります。

また素材として吸水・吸湿性がないため、カビや菌などを嫌う場所でも用いることが可能です。

長所

  • 長手の繊維方向への強度が高く、耐久性に優れている
  • 軽量で、コンパクトに収納できる
  • 適度な柔軟性に富むため、様々な形状に対応できる
  • 酸やアルカリへの耐薬品性に優れる
  • 耐水性があり、湿気や雨による劣化が少ない
  • 低価格であるため、大量に使用する場合でも経済的

短所

  • 火や熱に弱く、高温下での使用には向かない
  • 紫外線による劣化があるため、長期間の屋外使用には適さない
  • 短手の繊維方向には弱く、容易に裂ける
  • 紐状またはテープ状のため、デザイン性に欠ける

PPテープの種類

PPテープは、用途によって形状の種類がいくつかあります。共通して軽量であり、巾は5mm~50mm程度、長さは100~500mを超える製品など様々です。

また、色は白・ピンク・黄・緑・黒などがあり、仕分け用にも使えます。

1. テープタイプ

テープタイプのPPテープは、ポリプロピレン素材が平たいテープ状に加工されており、各種荷造りや結束、農作業での使用に適しています。木材のように角がある形状の物品を結束する際は、幅広タイプのPPテープが最適です。屋外での長期使用で劣化を遅らせるには、黒色のPPテープをおすすめします。

2. ロープタイプ

ポリプロピレン素材をロープ状にしたタイプのPPテープです。ロープタイプは強度がありながらも結びやすく、支柱同士の結束や重量がある対象物の結束に向いています。

3. ベルトタイプ

巾が広いベルト状のPPテープで、荷物を固定するためのベルトとして、またカバンなどの持ち手ベルトなどに利用されます。ベルト状のPPテープは、平織・綾織・袋とじ織り・シート織・バーバリー織など様々な織り方で製造されています。厚みは0.5~2.2mm程度、巾は2~50mm程度と様々なサイズが販売されており、希望の長さにカットされたPPテープの購入も可能です。

PPテープの選び方

PPテープを選ぶ際には、使用用途に合わせた形状を選ぶことが重要です。また、強度にも注目し、梱包する荷物の重さに合わせて、適切な強度のPPテープを選ぶ必要があります。

一般的なPPテープの色の多くは白ですが、色分けにより便利に活用できます。例えば、引っ越し荷物を配置する部屋ごとに、色違いのPPテープを段ボールや荷物に巻き付けておくと作業の効率性向上につながります。

PPテープのその他情報

PPテープの使用上の注意

PPテープの端が、ほつれたりバラついたりして使いにくいことがあります。PPテープ素材のポリプロピレンが火に弱い性質を利用し、あえて端の部分をライターの火で瞬間に炙ると、端を固められます。

ただし、長時間炙ると全体が燃えてしまうため、実施の際は十分に注意してください。

ビニールハウス

ビニールハウスとは

ビニールハウスとは、鉄骨やパイプ等で骨組みが作られ、屋根や側面をビニールで覆われた園芸農業用の施設の一種です。

ガラス温室と比べて安価で、農業経営において重要な役割を果たします。雨風を防ぐといった効果の他に、水・光・温度などに影響される作物の栽培環境を調節することで、生産性や収量を上げる働きがあります。また、作物の栽培時期をずらすことによって、作物が品薄の時期に高値で出荷できるという利点もあります。

求める機能により、ビニールハウスの形や広さ、使う骨材や被覆資材が決定されます。ビニールハウスの被覆資材としては、ポリオレフィン系特殊フィルムや農業用塩化ビニルフィルム等が挙げられます。骨材には、鋼管を利用するタイプと、コンクリートや鉄製の柱を利用するタイプがあります。 

ビニールハウスの使用用途

ビニールハウスは、野菜・果樹・花卉などの促成栽培、野菜や水稲の育苗など、様々な用途に幅広く使用されています。ビニールハウスの利点を活かして栽培される作物は主に下記の通りです。

1. 果菜類

ミニトマト、きゅうり、ピーマン、ししとう

2. 果実的野菜類

メロン、すいか、いちご

3. 葉菜類

ほうれんそう、レタス、小松菜

4. 果樹類

サクランボ、ブドウ、ナシ、みかん、もも、びわ、かき

クリスマスケーキ向けのイチゴなど、特定の季節に特に多く普及する果物類の栽培には、露地栽培が難しい時期に栽培するためビニールハウスが広く活用されています。 

ビニールハウスの種類

1. パイプハウス

ビニールハウスはこのパイプハウスが多いです。骨格部分にU字型のパイプを使用することからパイプハウスと呼ばれています。強度はそこまで高くないですが、比較的安く建てることができます。

2. 鉄骨ハウス

鉄骨ハウスは、骨格に鉄骨が使われるためパイプハウスよりも強度が高いです。しかし、価格が高いというというデメリットがあります。暖房設備等も取付可能なので、大規模経営にする場合などに多く利用されています。

ビニールハウスの選び方

ビニールハウスは、設置を検討している場所がどのような環境なのかによって選び方が変わります。

1. 作目で選ぶ

ビニールハウスの利用目的で最も多いのが作物の栽培です。栽培する作物に合わせて選ぶ方法もあります。例えば、温暖な環境を好む野菜を育てたい場合は、保温性が高い素材を使ったハウスが必要です。逆に、朝晩の冷え込みにある程度強い野菜であればそこまで保温性を気にしなくても栽培可能です。

2. 立地条件や気候で選ぶ

豪雪地帯などの厳しい気候である場合等は、ハウスの強度を強くする必要があります。パイプハウスだと雪の重みに耐え切れず、倒壊してしまう恐れがあるからです。

ビニールハウスの特徴

長所

ビニールハウスの最大の長所は、野菜などの農産物に適切な気温に調整しやすい点です。ビニールハウスは、鉄パイプの骨組にビニールを張ることにより、ハウス内部と外部の環境を分けることができます。

作物を作る際の重要な条件の1つに気温があります。ビニールハウスを利用すると内部の気温を一定に保てるため、野菜などの農産物が生育しやすい環境に整えることが可能になります。ビニールハウスは露地で栽培するよりも安定的に農産物を栽培できます。

短所

ビニールハウスを利用する際の一番のデメリットは導入や維持に費用がかかるという点です。ガラス温室よりも安いですが、実際にビニールハウスを建てる場合でも費用がかかります。また、日差しや強風等の影響を諸に受け、時間が立つほど劣化するため修理費や維持費がかかります。

育苗箱

育苗箱とは

育苗箱

育苗箱とは、苗を育てるときに使用する、浅い箱のことです。

育苗箱を使用する際には、まず育苗箱に土を入れ、そこに種を蒔いた後、ビニールハウスなどの適切な環境下で管理し、育苗します。育苗箱の多くはプラスチック製で、水稲用として用いるのが一般的です。

しかし、中には野菜の苗を育てる際に、育苗箱が使われることもあります。育苗箱を利用して苗を生育することで、雨・風といった天候や害虫から苗を守ることができます。

育苗箱の使用用途

育苗箱は、農業や家庭菜園において、水稲や野菜等の苗を育てる際に使用されています。育苗箱には、多くの苗を栽培管理しやすかったり、栽培時期を早めたり、天候や害虫による悪影響を和らげられたりする利点があります。そのため、特に大規模農家などにとって、欠かせない農業資材の1つです。

育苗箱は、水稲苗を育てる際に利用されることが一番多いです。育苗箱に、床土と肥料を入れ、そこに播種機を使って種を均一に蒔きます。種を蒔いた後は、寒冷な時期にはハウス内に育苗箱を管理し、比較的温暖な時期では、露地で育苗箱を管理します。

 育苗箱の特徴

長所

1. 管理がしやすい
育苗箱は、苗の場所を簡単に移動することができます。天候による影響を軽減し、苗の成長を妨げません。また、地植えのように雑草を抜くなどの手間がかからないのも長所です。

2. 収穫が早くなる
育苗箱を使うことで、苗に適した環境に置くことかできます。そのため、苗の成長が順調に進み、収穫も早くなります。

3. 効率の良い栽培ができる
育苗箱を使うことで、育苗箱で苗を育てている間に畑を使って作業ができたり、他の作物を育てたりすることができます。計画的にさまざまな作物を育てられるので、効率性の高い栽培が可能です。

4. 気候や害虫による被害が少ない
苗は雨や風などの自然による被害や害虫などからの被害を受けると、丈夫な苗に成長する可能性が低くなってしまいます。育苗箱を使うことで移動が簡単にできるため、被害を防ぎ、リスクを最小限に抑えることができます。

短所

1. 生育の違いが出る場合がある
苗は成長とともに、根をどんどん張っていきます。育苗箱は深さが浅いため、隣の苗との共有スペースが狭くなり、水や肥料の奪い合いになります。

そのため、小さい苗は大きい苗に負けてしまい、違いが出てしまうことが短所です。この場合、個別に鉢に植え替える必要があります。

2. 使用後は洗う必要がある
育苗箱を使ったあとは、必ず洗わなければなりません。洗わずに使うと、病害虫や病原菌の発生を促してしまい、苗の成長に影響を与えてしまいます。

3. 保管場所が必要
育苗箱は、直射日光の当たらない暗い場所に保管する必要があります。日光が当たるところに保管してしまうと、育苗箱の劣化や変形につながります。

育苗箱の種類

育苗箱は、種類によって保水力や通気性などが異なります。そのため、育てる作物や植物の種類によって使い分けられます。一般的に流通している種類は以下の3つです。

1. 中苗用育苗箱

育苗箱1枚あたりの穴数が1,300個程度あり、通気性に優れています。底面に凸凹がなく平らなため、病気の原因にもなるかん水の滞留が少ないのもメリットです。

2. クリスタルカット・ダイヤカット

底が凸凹になっていて、底面保水タイプの稚苗用育苗箱です。底面に滞水し保水力が高いため、給水する回数を減らすことができます。

根離れも良いので、作業効率を上げることが可能です。穴数は1,034個あります。

3. 稚苗用育苗箱

育苗の初期段階である稚苗を育てるのにおすすめする育苗箱です。ただし、穴数が56個などで水はけが悪いため、野菜の育苗にはあまりおすすめできません。

育苗箱の選び方

育苗箱は底面の形状以外に、穴数と穴の大きさに違いがあります。育てたい苗によって適した育苗箱があるので、しっかりと選ぶことが大切です。

稚苗の場合は、穴数が少ないものや穴の径が小さいものが最適です。肥料や土が根に絡んでいないため、水に入れると土や肥料が流れやすくなることが理由として挙げられます。

中苗や成苗を扱う場合は、穴数が少ないものやクリスタルカットがおすすめです。穴が大きいと、根が穴を突き抜けて苗箱から取りにくくなります。野菜に使用する場合は、水はけがいいものが良いので、底穴が多く平らなタイプがおすすめです。

育苗箱の使い方

1. 水稲に使用する場合

  1. 育苗箱に床土 (とこつち) と必要があれば肥料を詰める。
  2. 種をまく前に十分にしみわたるくらい水をかける。
  3. 種をまく。
  4. 種が隠れるくらい覆土 (ふくど) をかける。

2. 野菜

  1. 育苗箱に土を入れる。穴が大きい育苗箱の場合は下にシートなどを敷く。
  2. 種まき用の浅い溝を作る。
  3. 種を溝にまき適度に土で覆う。
  4. 育苗箱が入る大きめな水箱があれば、水を貯めてトレーに入れ給水を行う。無い場合は被せた土が流れないように霧吹きなどで優しく水をかける。