パワーアシストスーツ

パワーアシストスーツとは

パワーアシストスーツ

パワーアシストスーツとは、モーターや電動アクチュエータによる動作のアシスト、人工筋肉などを用いた加重分散効果により、重量物の持ち上げをはじめとする作業補助に用いられる装着型機器の総称です。

パワードスーツ、ロボットスーツ、アシストスーツなどさまざまな名称があり、その製品によって形状や補助機構、補助内容などが大きく異なります。パワーアシストスーツの大きな分類として、フレームといわれる外骨格の有無が挙げられます。

フレームを持つものの多くは電動でのサポートを行うためサポート力が強く、動作による出力の制御などが可能ですが、その一方でコストが高い、サイズがかさばり重い、外部出力のない場所での使用が困難などの問題があります。これに対してフレームがなく、空気圧やゴムなどを動力として用いるものは、サポート力が劣る反面、安価かつコンパクトといったメリットがあります。

パワーアシストスーツの使用用途

パワーアシストスーツの使用用途は多岐におよび、軍用、医療介護用、物流産業用といった産業用途をはじめ、アミューズメント要素を盛り込んだホビー用などさまざまです。農業用途はその中でも注目されている分野で、これは重量物の持ち上げ作業が頻繁に発生すること、農業従事者の高齢化が進んでいること、女性作業者の就労支援につながることなどが主な理由として挙げられます。

実際の農作業は重量物の持ち上げだけではなく、中腰での継続した作業や、腕を長時間挙げた状態での作業などさまざまな作業状態があります。そのため、パワーアシストスーツもその作業に見合ったものを選定することが大切です。

パワーアシストスーツの特徴

長所

1. 作業者の負担が軽減する
パワーアシストスーツを着用することによって、作業者に掛かる身体的負担が大幅に軽減されます。介護や農業、建設工事の現場などでは、重いものを持ったり降ろしたりする作業が多く発生します。

パワーアシストスーツを着用することにより、そうした作業をアシストし、負担を軽減します。なお、一般的なアシストスーツは最大25kg程度のアシスト力があります。

2. 作業効率が上がる
パワーアシストスーツ着用により、数人掛かりで行っていた作業を一人で行えたりするなど作業効率の向上が期待できます。また、女性や高齢者などが難しかった重い物の運搬ができるようになります。

3. 事故のリスクが抑えられる
パワーアシストスーツを着用することで疲労を軽減できるため、事故の防止につながります。突発的な事故が無くとも、日常的な重労働により肉体に蓄積されるダメージは大きいです。

パワーアシストスーツを導入することにより、作業環境そのものを改善し、事故のリスクを抑えられます。

短所

1. 着脱に時間がかかる
パワーアシストスーツの多くは、脱着に1分程度の時間がかかります。1人で着脱ができるものの、頻繁に着脱する場合は面倒に思うことも多いです。

また、空気圧を利用したパワーアシストスーツは、1日1回程度ポンプで空気を入れる必要があります。

2. 本体が大きく重量がある
パワーアシストスーツを着用することで、身体的負担が軽減される一方で、パワーアシストスーツ自体にも重量があります。5kg前後が平均的です。

また、パワーアシストスーツの多くは背中に背負うタイプなのですが、本体が肩幅よりも広く作られています。狭い場所での作業が必要な場合、支障が出る可能性も少なからずあります。

3. コストが高い
パワーアシストスーツを導入するにあたり、コストが高くなってしまうことは避けられません。メーカーや製品により、10万円台のものから100万円以上するものまで幅広いです。

また、長期的かつ安全に使用するために定期的なメンテナンスが必要になります。これによりランニングコストがかかってしまうことも考慮しなければなりません。

パワーアシストスーツの種類

パワーアシストスーツは部位別の製品に分けることができますが、外見やサポート方法により、大きく分けて3種類のタイプに分けられます。

1. サポータータイプ (動力なし) 

サポータータイプは、安価に取り入れられる点が特徴です。さらに、使い方を習得するまでに時間を必要としない点も特徴と言えます。

動きをあまり制限されないため、自由度の高い複雑な動きを必要とするときに効果的です。

2. 外骨格アシストスーツ (動力なし)

動力がないアシストスーツ特徴として、サポート能力が高く、駆動時間を気にしなくて良いことが挙げられます。バネや空気圧を利用し人工的に筋肉のような作用を作り出し、パワーを発揮します。

3. 外骨格アシストスーツ (動力あり)

動力付きアシストスーツは、モーター駆動やセンサーによりアシスト力が最も高いのが特徴です。パワーの調整ができるので、無駄な力を必要としないなどのメリットがあります。

しかし、電力を必要とするため、連続稼働時間に制限があり、1日中装着し続けるのは難しい点がデメリットです。

パワーアシストスーツの選び方

パワーアシストスーツは上記の3種類の中から、使用したい場面に合わせて選ぶことが大切です。いざ購入して、作業しづらかったり、逆に作業効率が悪くなってしまったりしては意味がありません。事前に使う場面を洗い出しておくことをおすすめします。

1. サポータータイプ (動力なし)

サポータータイプは、腰をメインにサポートします。収穫した農作物のコンテナを持ち上げたり降ろしたりする作業などに適しています。また、動作に制限がないので、移動を伴う運搬などに活躍します。

2. 外骨格アシストスーツ (動力なし)

動力なしの外骨格アシストスーツを使用する場面は、長時間の反復作業や大きな移動を伴わない比較的重いものを扱う作業に適しています。具体的には、ライン作業や物流現場での荷物の積み替え等です。

3. 外骨格アシストスーツ (動力あり)

動力ありのアシストスーツは、発揮できる力が大きくない方が能力以上の力を発揮する現場に使用されます。アシスト力が最も優れているため、年配の方でも思いものが持てるようになります。また、同じ姿勢を長時間続ける作業において、姿勢を保つ補助として使うことも可能です。

パワーアシストスーツの使い方

1. 動力なしのアシストスーツ

ショルダーベルトを両肩にかけ、胸・腰・脇などのベルトを留めて長さを調整し、体に合わせます。空気圧による人工筋肉を作動させるものは、メーカーが推奨する量の空気を注入し、使用します。

2. 動力ありのアシストスーツ

ショルダーベルトを両肩にかけ、胸・腰・両足のもものベルトを留めて体に合わせます。ベルトを留める順番やサイズの調整方法は製品によって異なることに注意が必要です。

装着後は、電源を入れ使用します。アシスト力やアシストタイプを設定できるものは、操作してから作業を始めます。

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