研削研磨

研削研磨とは研削研磨

研削研磨は、金属などの材料を加工する工程(切削・研削・研磨)における切削後の作業です。それぞれを研削加工、研磨加工といいます。

まず、切削により、加工対象物をある形状に切るもしくは表面を削ります。続いて、研削により加工対象物の表面をわずかに削り取りながら寸法を整えます。最後に、仕上げとして、研磨により加工対象物の表面の細かな凹凸を削り滑らかにします。

研削研磨加工は、ダイヤモンドやCBN砥粒用いる方法が幅広く用いられています。このほか電解溶液の中で加工する電解研削・研磨などがあります。

研削研磨の使用用途

研削研磨加工は、DIYをはじめ工業製品における表面の面取りや平面出し、および機械内部の部品の製作に利用されています。金属製品が多いものの木工品もあります。以下に代表的な例を挙げます。

  • 家庭用品
    コーヒーミルのグラインダー、家具、包丁、はさみが挙げられます。
  • 機械部品
    軸受、ベアリング、ワッシャー、金属パイプ・チューブ、スクリューが挙げられます。
  • 輸送機器
    航空機のプロペラ、自動車のブレーキディスクやクランクシャフト、鉄道車両の車輪や車軸、船舶のスクリューが挙げられます。
  • 工具類
    丸鋸が挙げられます。

研削研磨の種類

研削研磨加工は、大きく分けて砥粒研削・研磨と電解研削・研磨があります。それぞれの特徴は、次の通りです。

  • 砥粒研削・研磨
    研削、研磨いずれも砥粒を用いる点は、同じですが、加工原理が異なります。研削は、砥粒を運動させて刃のように使用し、加工対象物に切り込みを与える加工方法です。一方、研磨は、砥粒を加工対象物に一定の圧力で押し付け運動させることで、微細な凹凸を均す加工方法です。

砥粒研削には、砥粒および加工対象物の運動方法の違いにより、大きく分けて3種類あります。

  • 平面研削
    加工対象物を固定し、研削砥石を回転させて研削します。
  • 円筒研削
    加工対象物、研削砥石の両方を回転させて研削します。
  • 内面研削
    加工対象物と研削砥石、あるいは研削砥石のみを回転させて、パイプの内部を研削します。

砥粒研磨には、砥粒に直接力を加えて研磨する固定砥粒方式と、磁気を利用して研磨する遊離砥粒方式があります。

  • 電解研削と研磨
    電解研磨・研削は、加工対象物を電解溶液中に浸して、電解反応により表面を溶解する加工方法です。ステンレス、チタン、アルミなどの加工に用います。

 

内面研磨

内面研磨とは内面研磨

内面研磨とは、シリンダ、パイプ、チューブ、あるいはノズルの内面を研磨することです。加工対象物は、金属のみならず3Dプリンターで製作したパイプなど多岐にわたります。内面の凹凸の除去や仕上げのほか、切断後のバリ取り、錆取り、内面寸法の調整など、さまざまな目的で研磨を行います。

また、医療や分析機器においては、高品質の金属チューブが重要な役割を果たしています。金属チューブ内面に鏡面加工を施すことにより、正確な量の薬液の注入や、精度の高い成分検査が可能になります。

内面研磨の使用用途

内面研磨は、エンジンをはじめとしたシリンダー類、機械設備の部品、医療機器まで幅広く利用されています。

オートバイ、自動車、船舶、鉄道車両においては、各種シリンダーの錆落としや内面寸法の調整を行っています。

金属あるいは非金属パイプ加工において、切断後のバリやカエリの除去、および溶接時に生じた溶接ビードやスパッタの除去に用いられています。

このほか、機械設備のメンテナンス時における錆取りや塗装剥がし、および医療機器や分析機器に用いるチューブの鏡面仕上げに利用されています。

内面研磨の種類

内面研磨には、砥粒研磨や化学研磨、電解研磨、磁気研磨などがあります。それぞれの概要を以下に示します。

1. 砥粒研磨

砥粒研磨は、物理研磨のひとつであり、砥粒を利用して加工対象物を直接研磨する方法です。固定砥粒方式とも呼ばれています。樹脂や繊維、あるいは金属に砥粒を付けた砥石で研磨します。

2. 化学研磨

化学研磨は、化学研磨液(酸性液体)に加工対象物を投入し、表面を溶かして研磨する方法です。研磨液が触れている部分は、全て均一に研磨される特長があり、パイプの内面研磨においてもほぼ均一に研磨できます。

3. 電解研磨

電解研磨は、加工対象物の表面にある極微細な凹凸を電解反応により溶解し、鏡面化する研磨方法です。ステンレス、チタン、アルミなどの加工に使用します。内面研磨においては、パイプ内の電極位置にずれが生じるため、仕上がり精度に課題があります。

4. 磁気研磨

磁気研磨は、物理研磨のひとつであり、磁気を利用して研磨する方法です。 遊離砥粒方式とも呼ばれています。磁気力で磁性砥粒を加工対象物の表面上で動かして研磨します。

平面研削加工

平面研削加工とは

平面研削加工とは、高速回転する砥石を加工材料にあて、その平面を削って加工する研削方法の1種です。加工には、平面研削盤と回転研石が使用されます。

類似した加工方法として、平面研磨というものがあり、平面研削と同様、材料の表面に加工を加えるものですが、目的や手法はそれぞれ異なります。平面研磨は通常、平面研削よりも高精度のものを指し、表面を滑らかにすることを目的としています。一方、平面研削は平面度および平行精度の向上を目的としています。

平面研削加工の使用用途

平面研削加工は、材料の厚さを調整すること、また平面度および平行精度を向上させることを目的として用いられます。また、研削加工は少しずつ加工するために荒削りには時間がかかりますが、平面研削盤では、ミクロン単位での精密な研削をすることが可能であり、加工面の仕上がり精度が良いため、切削加工後の仕上げ工程でよく使われます。

特に、平行度が厳しく求められる機械部品の製作や、半導体ウエハーの加工などで使われています。

平面研削加工の種類

平面研削加工で使用される機械装置は平面研削盤と呼ばれ、砥石の主軸がテーブルに対して垂直であるか、平行であるかで、縦軸型と横軸型の2種類に分けられます。 また、テーブルの形状(長方形・円形)により、角テーブル形と丸テーブル形に分類されます。 軸の方向とテーブルの形状の組み合わせにより、4種類に分類されます。以下にそれぞれの方法と特徴を示します。

  • 縦軸角テーブル形 テーブルが左右に動きながら、砥石の側面を使い研削します。 広範囲を一度に研削できるため、長尺物の研削に適しています。
  • 縦軸丸テーブル形 テーブルが回転しながら、砥石の側面を使い研削します。 小さい部品を一度に加工でき、量産性に優れます。
  • 横軸角テーブル形 テーブルが左右に動きながら、砥石の外周面を使い研削します。 最も一般的に使用されている方法です。
  • 横軸丸テーブル形 テーブルが回転しながら、砥石の外周面を使い研削します。 小さい部品の量産加工に適しています。

鉄板曲げ加工

鉄板曲げ加工とは

鉄板曲げ加工

鉄板曲げ加工とは、熱などを加えて鉄板を曲げることです。アルミニウムやステンレスと比較し、耐食性に劣るものの、価格の安さや加工の容易さから、さまざまな部品や工業製品に用いられています。また、加工後にメッキ処理などの加工が容易にできる点も鉄の特長です。

なお、一般的に純度100%の鉄を使用することはなく、炭素を含ませることで強度を高めて使用しています。炭素を2%以上含んだ鉄を「鋼(はがね)」といい、鉄板と呼んでいる多くのものは鋼板になります。

鉄板曲げ加工の使用用途

鉄鋼は、主にSS材と炭素鋼鋼材S-C系に分類できます。それぞれの特徴と使用用途は、次の通りです。

  • SS材
    一般構造用圧延鋼材をSS材と呼んでいます。硬度があまり高くないことから、硬度や耐摩耗性を必要とされる部品には適していません。その反面、その柔らかさから曲げ加工に一般的に用いられています。主な用途は、建築物の柱や梁、橋梁などの構造物、機械設備、船舶、車両です。
  • 炭素鋼鋼材S-C系
    機械構造用炭素鋼鋼材を炭素鋼鋼材S-C系、あるいは単にSC材と呼んでいます。SS材と比較し、炭素をより多く含んでいることから、強度や硬度が高くなっています。強度を求められる部材の製作時に曲げ加工を施します。主な用途は、機械の構造用の部品、ベアリングや工具類です。

鉄板曲げ加工の種類

鉄板曲げ加工には、冷間曲げ、熱間曲げ、線状加熱の3つの方法があります。それぞれの加工法の概要と特徴を以下に示します。

  • 冷間曲げ加工
    冷間曲げは、常温〜720℃以下の条件下で、圧力をかけて鉄板を曲げる方法です。ベンダー曲げやロール曲げが代表例です。

ベンダー曲げとは、プレス曲げともいい、ベンダーブレーキというプレス機械を用いる加工方法です。生産速度が高く大量生産に適しています。

ロール曲げとは、複数のローラーを用いて鉄板を曲げる加工方法です。ローラーの距離の調整により、さまざまな形状に曲げることができます。また、加工素材をローラー上で一周させて筒状の部品を製作できます。しかしながら、ローラーによる曲げ加工のため、加工できる厚みに制限があります。

  • 熱間曲げ加工
    熱間曲げとは、800℃〜900℃まで熱を加えて鉄板を曲げる加工方法です。冷間曲げと比較し、より小さな圧力で加工できます。板厚や板幅の大きい鉄板や半径の小さな曲げや鋭角の曲げに適しています。
  • 線状加熱加工
    線状加熱加工は、炎熱加工のひとつです。鉄板を加熱し膨張させた後に、水で冷却して収縮させて曲げる加工方法です。造船所における船体外板や橋桁、鉄骨作業で良く用いられています。

 

樹脂板加工

樹脂板加工とは

樹脂板加工

樹脂板加工とは、合成樹脂でできた板の切断、曲げ加工、接着などを行うことです。なお樹脂には植物を由来とする天然樹脂と、原油を蒸留して得られるナフサを原料とする合成樹脂がありますが、ここでは合成樹脂について説明します。

合成樹脂は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に大きく分けられます。熱可塑性樹脂は、熱を加えると柔らかくなり、冷却により再び硬くなる性質があります。一方、熱硬化性樹脂は、熱を加えると、いったん柔らかくなるものの、さらに熱を加えると硬くなります。

樹脂板加工の使用用途

合成樹脂は、一般的にプラスチックと呼ばれています。耐熱性により、プラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されます。それぞれの特徴や用途は、以下の通りです。

  • プラスチック アクリル(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)など
    耐熱性が劣るものの、価格の安さや加工性の良さから、家庭用品や工業製品で最も多く用いられています。
  • エンジニアリングプラスチック ポリカーボネート(PC)など
    耐熱性、耐衝撃性、難燃性においてプラスチックより優れており、自動車、電気製品、建材などに使用されています。
  • スーパーエンジニアリングプラスチック ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など
    耐熱性、耐溶剤性、耐衝撃性、耐摩耗性に最も優れており、航空機の部品などに利用されています。

樹脂板加工の種類

用途に合わせて切断や曲げなどの加工を行います。主な加工方法は、以下のとおりです。

  • 切断加工
    プラスチックに対応したカッター、ノコギリ、電動工具を用いて板を切断します。カッターを使用する場合は、カッターで溝を設けた後に折り曲げて切断します。切断後の端部が鋭利になっている時は、面取りを施します。
  • 曲げ加工
    棒ヒーターやヒートガンを用いて局部を加熱し、プラスチック板を曲げます。R曲げを行う場合は、治具に合わせて折り曲げることで、正確な曲線を得ることができます。
  • 穴あけ加工
    プラスチック用のドリル、円切りカッター、テーパーリーマなどを用いて加工します。温度変化による伸縮を考慮して大きめにあけます。また、複数の穴をあける場合は、強度を損なわないように間隔を確保するなどの注意を要します。
  • 接着
    合成樹脂の種類に見合った接着剤を用いて加工します。各樹脂に対応する接着剤の一例は、次の通りです。
    難接着物用:ポリプロピレン、ポリエチレンナイロン
    布用:ナイロン、ポリエステル
    アクリル用:アクリル、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル

 

アルミヘアライン加工

アルミヘアライン加工とは

アルミヘアライン加工

アルミヘアライン加工とは、アルミ素材に対し単一方向へ伸びる髪の毛のようなラインを付ける研磨方法です。

ヘアラインと呼ばれる髪の毛ほどのライン (幅0.18mm程度) が表面上に生まれ、外観の印象も変わります。つや消し効果があるので光沢や映り込みは少ないですが、アルミ特有の質感は維持されています。

加工方法にも種類があり、模様や風合いが調整可能です。装飾や傷を目立たなくする目的で使用されるケースが多く、使用用途は多岐に渡ります。

アルミヘアライン加工の使用用途

電化製品では、スマートフォンケースやウェアラブル系のデバイスにアルミヘアライン加工が施されれいます。より精密機器では、外付けハードディスクドライブとも相性が良く、採用される場合が多いです。 建材では、システムキッチンの外装や窓枠フレーム、家具の支柱が挙げられます。

表面処理済みの板材も汎用性が高いです。アルミ素材自体、比重が軽く丈夫であり、電気伝導率も高いため、さまざまな分野に使用されています。そこにヘアライン加工処理での意匠性が加わり、さらに適用が広がっています。

アルミヘアライン加工の特徴

装飾を目的とした加工において高級感を付与できるため、デザイン重視の製品へ広く採用されています。表面に線状の凹凸が発生し、指紋などの油分汚れが目立ちにくく、滑り止めの効果も期待できます。

一方で、ヘアライン方向に対し垂直に入った傷はとても目立つのがデメリットです。ラインの溝に成分が溜まりやすいので、その他研磨方法よりも耐食性が低い傾向もあります。また、経年劣化によりヘアライン模様自体が薄まる現象も挙げられます。

アルミヘアライン加工の種類

1. 機械加工

機械加工は、旋盤やベルト研磨機など、様々な機械設備で研磨を行う方法です。旋盤ではアルミ材料自体を回転させ、研磨工具を接触させることでヘアライン模様を付与します。研磨盤では研磨工具を回転させ、そこにアルミ材料を接触させます。

ベルト研磨機では、輪形状の砥粒研磨ベルトを研磨機で回転させ、アルミ材料に接触させることで金属表面の加工が可能です。研磨ベルトの表面には砥粒が付着しており、これにはJISにて設定された規格が存在します。

粒径の大きい粗粒がP12~P220で15種、粒径の小さい微粉がP240~P2500で13種あります。機械加工は仕上がりが安定しているので大量生産に適していますが、加工の微調整が不可のため、デザインによっては対応できません。

2. 手作業加工

手作業加工は、手動でヘアライン模様を付与する加工方法です。研磨剤を塗布し、サンドペーパーやクロスにて一定方向に磨きます。

手作業にて行うため、加工の微調整が可能ですが、コストが高くなりがちです。一点物の記念品などは手作業でのヘアライン加工が好まれる傾向にあり、より高いデザイン性への対応が求められます。

アルミヘアライン加工のその他情報

アルミヘアライン加工による外観の種類

スクラッチヘアライン
意図的にヘアラインを短い線にして加工を行います。よりつや消しの質感が強まり、落ち着いたトーンの外観が表現できます。

ヘアライン・クロス

ヘアラインをクロス状にデザインし、意匠性を高めた加工方法です。交差したヘアラインが各々の角度で光を反射させ、表面に高級感をもたらします。

デザインヘアライン
ヘアラインを織物状にデザインして加工する方法です。編んだ繊維のような模様を表現することが可能で、金属上に柔和なイメージを付与できます。

2. アルミヘアライン加工後の表面処理

ヘアライン加工後の処理の一例として、陽極酸化処理が挙げられます。化学品による表面処理の1種であり、ヘアライン加工での外観を維持したまま耐食性の向上や染色が可能です。人工的に表面へ酸化被膜を生成させ、装飾や機能性皮膜として新たな性能が加わります。

ヘアライン加工自体はステンレスや他の金属にも可能ですが、素材自体の性能は変わりません。より使用用途のスペックへ近付けるため、ヘアライン加工後もさまざまな表面処理手法が存在しています。

型彫り放電加工

型彫り放電加工とは型彫り放電加工

型彫り放電加工とは、目的の形に加工された電極の形状を加工対象の材料に転写する加工技術のことです。

銅やグラファイトなどを電極として用います。加工する材料は油や水などの絶縁性のある液体に沈め、電極に近づけて放電させ、工作物を少しずつ溶かし、目的の形に加工していきます。

一般的に、複雑な形状のものや、削ることが難しい材料に使用される加工技術です。 放電加工は大きく2種類あり、この他にはワイヤ放電加工という技術があります。

型彫り放電加工の使用用途

型彫り放電加工は、電極にグラファイトなどを使用し、その形状を転写する加工方法のため、導電性がある材料にのみ適用可能です。

導電性があれば、切削工具では削ることのできない、非常に硬い金属や厚みのある材料でも複雑な加工ができることから、主に精密金型の加工に用いられます。

量産性は無いものの、複雑な形状も加工できるため、携帯電話やスマートフォン、航空機やロケットに使用される部品などの精密な加工に用いられております。

型彫り放電加工の種類

型彫り放電加工は、水や油などの加工液(絶縁液)の中で、電極に電流を流し、加工対象材料との間に電気による火花を起こし(放電)、その熱(放電熱)で金属を溶かすことにより加工します。

加工液によって、材料と電極が絶縁状態にされている状態で、材料と電流が通った電極が近接すると、絶縁破壊が生じ、火花放電が発生します。この時、材料と電極との間隔はわずか数μmという距離です。

絶縁破壊によって、アーク柱という高密度な放電状態が発生し、局所的に電極と材料表面が加熱され、高温になり、材料の一部が沸点に達することで、蒸発による材料除去が行われます。

放電は、1秒間に数千~10万回の頻度で何度も発生させられ、徐々に電極の形状を金属に写すように加工します。電極の形状が加工対象物に転写されるため、加工形状を反転させた形の電極を作る必要があります。電極には銅、グラファイト、タングステンなどの電気を通しやすく、柔らかく簡単に加工ができる金属が用いられます。

ルーバー加工

ルーバー加工とはルーバー加工

ルーバー加工は、別名ガラリ加工とも呼ばれる金属加工の一種です。プレス加工の1種でもあるので、金型を使用し、ルーバーと呼ばれる形に成形します。

ルーバーとは、羽板を枠組みに対して隙間をあけ、水平に組んだもののことを指し、住居の目隠しや日よけによく使われております。

一方、ルーバー加工された金属板は、通気口や、パソコンやディスプレイなど発熱する基板等を内蔵する筐体に用いられ、内部の熱を逃がすために用いられます。

ルーバー加工の使用用途

ルーバー加工は、主に加工された隙間から風を通し、内部の熱を放熱するために用いられます。また、ミニルーバーは位置決めやストッパーに使われることもあります。

主に、電気設備、機械設備、電気製品で用いられており、例えば、トランジスタや電池などの発熱する部品を内蔵する電子機器や、モータ、エンジンなどを内蔵する機械などに利用されています。 身近な製品では、パソコンやディスプレイなどが挙げられます。

また、電子機器以外では、倉庫やロッカーなどの通風孔にも利用されています。

ルーバー加工の種類

ルーバー加工はプレス加工の1種です。プレス加工は簡単に言うと、薄い金属板(板金)を切る、曲げる、形を作るなどして、必要な形状にする加工方法です。ルーバー加工は「切る」、「曲げる」、「形を作る」の全ての工程が含まれています。

その加工方法は、まず、ルーバー金型を用いて成形対象物を切り絞ってスリットを入れ、開口部を作ります。さらにそこからフォーミングを同時に行うものです。この時、フォーミングの高さは材料を伸ばすことによって作られます。フォーミングとは形状づくりのことで、ルーバーの形状の大半は、半月型を横(または縦)に長く引き伸ばしたような形です。

ルーバー加工以外に放熱構造として使われるものは、パンチングメタル加工がありますが、ルーバー加工はパンチングメタルと異なり、開口部が下を向いている形状です。そのため、加工下部から通風させることができ、機器の内部へホコリなどの侵入を防ぎながら放熱することができます。

金属プレス加工

金属プレス加工とは

金属プレス加工

金属プレス加工 (英: metal stamping) とは、プレス機械を用いて大きな圧力をかけ、加工物に金型を圧着 (プレス) して成形する加工方法のことです。

プレス加工で対となった工具を金型 (英: die) 、加圧する機械をプレス機械 (英: forming press) と呼びます。金属加工を代表する方法で、塑性加工の1種であり、自動車、家電製品の部品等、身近な製品には欠かせない技法です。

現在でもプレス機械、被加工物、金型に使用する材料の種類や加工方法などが進化し続けています。プレス加工は一度金型を作成すると同じ形状のものを大量に生産できるため、生産性が非常に高く、製造コストが下がります。その一方でプレス機と金型の初期投資が高いです。

金属プレス加工の使用用途

金属プレス加工には目的に応じた金型やプレス方法が豊富にあり、さまざまな形状の製品を製造可能です。製造製品のうち、約80%が自動車部品に用いられます。それ以外にも、身近な製品の製造に適用されています。具体的には、エアコンなどの大型家電、スマートフォンやパソコンのような電子部品、日用品などです。

また、近年では交通カードや電子マネーなどのICチップから、医療器具やロケットなどの最先端産業まで、精密な加工が必要な部品にも使われています。

金属プレス加工の原理

金属プレス加工は、金属板を金型に挟んで、専用のプレス機械で変形させる加工方法です。プレス機械や金型が破損しなければ同じ部品を製造し続けられるため、コストが低くなります。

また、成形するのに必要な金属性の型を金型と呼びます。プレス金型には主に3種類があり、単発型、順送型、トランスファー型です。

1. 単発型

金型1つだけで1つの加工ができます。金型がシンプルなため、製作コストが低いです。ロットが少ない場合や大きいサイズを生産する際に向いています。

2. 順送型

プログレ型とも呼ばれ、複数の加工工程が可能な金型です。生産効率が良いため、大量生産に向いています。ただし、金型の作りが複雑で、金型の製造費が高いです。

3. トランスファー型

複数の単発型が並んでいるタイプです。複数の工程を自動的に効率良く大量生産可能です。搬送機構の設計は困難で、金型の製作費が高くなる可能性があります。

金属プレス加工の種類

金属プレス加工は、目的によって加工方法が分かれています。主にせん断加工、曲げ加工、絞り加工に分類可能です。

1. せん断加工

せん断加工は鋼板などの加工材を切断したり、打ち抜いたりする加工方法です。素材を必要なサイズや形にするために用いられます。

材料から不要な部分を打ち抜く場合にも使われ、抜き加工と呼ばれます。せん断加工の身近な例は、パンチでの穴あけやクッキーの型抜きです。

2. 曲げ加工

曲げ加工とは、材料を目的の形に曲げる方法のことで、プレス加工の代表例です。鋼板をV字、U字、L字など、加工機や金型によって任意の形状に加工可能です。自動車のボディなどに用いられています。

3. 絞り加工

絞り加工とは加工対象をパンチとダイに挟み込み、圧を加えながら伸ばし、容器形状のものを作る加工方法です。1枚の板を伸ばして加工するために溶接が必要なく、液漏れが防げて台所のシンクなどに採用されています。

金属プレス加工の選び方

プレス機械が作業のほとんどを行い、加工工程で人力に頼る行程がないため、安定して高精度な部品を生産できます。低いコストで大量生産可能な一方で、初期費用が高いです。

プレス機械の導入にはコストがかかり、一般的な金型は数十万〜数百万円です。とくに高精度の金型であれば、初期費用が高くなります。金型は金属製であり、保管方法を正確に把握していないと破損しやすく、部品単価に影響します。

転造加工

転造加工とは

転造加工

転造加工は、加工対象物に強い力を与えて変形させる塑性加工のひとつです。加工対象物を回転させながら転造ダイスを押し付けて成形します。

転造加工が可能な金属は、鉄、アルミニウム、真鍮、ステンレスなどです。伸び率5%以上で、張力1700N/㎟までの材料が適しています。

塑性加工は、一般的に他の加工方法より加工時間が短いことや材料のロスが少ない、あるいはエネルギー原単位が、比較的少ないことから、工業製品の生産において幅広く用いられています。転造加工のほかに、押出し加工、圧延加工、プレス加工、鍛造加工などがあります。

転造加工の使用用途

転造加工は、元々雄ねじを製造するために開発された加工方法です。転造により作られたねじを転造ねじといい、切削ねじ(金属を切り出して成形したねじ)と比較して強度があります。また、加工能率が高いことからねじの量産に適しています。

また、転造ダイスの形状を変えることによりメートルねじをはじめ、台形ねじ、テーパネジ、特殊成形ねじなど、多種多様なねじを製作することができます。

ねじ製作のほかには、歯車やウォームなどの機械要素部品の加工に用いられています。

転造加工の種類

転造加工における主な加工の種類は、平面ダイス転造、丸ダイス転造、プラネタリ転造です。それぞれの加工方法と特徴を以下に示します。

  • 平面ダイス転造加工
    平面ダイス転造加工は、加工対象物を2枚の平面ダイスで挟み込み加工する方法です。片側のダイスを固定し、もう一方のダイスを動かすという生産性の高い加工方法であり、汎用ねじの大量生産に用いられています。
  • 丸ダイス転造加工
    丸ダイス転造加工には、円筒状の丸ダイスを使用します。同一の方向および速度で回転させた2~3つの丸ダイスに、加工対象物を挟み込み成形します。ダイスの間隔を容易に変更できることから、ねじ以外の金属加工にも利用されています。
  • プラネタリ転造加工
    プラネタリ転造加工は、外側のアーチ状のセグメントダイスと、内側の丸ダイスがセットになった加工方法です。丸ダイスのみが回転し、セグメントダイスとの間で加工対象物を成形します。生産性が高い加工方法であり、高ロットの一般的なねじの生産に適しています。