金属プレス加工

金属プレス加工とは

金属プレス加工

金属プレス加工 (英: metal stamping) とは、プレス機械を用いて大きな圧力をかけ、加工物に金型を圧着 (プレス) して成形する加工方法のことです。

プレス加工で対となった工具を金型 (英: die) 、加圧する機械をプレス機械 (英: forming press) と呼びます。金属加工を代表する方法で、塑性加工の1種であり、自動車、家電製品の部品等、身近な製品には欠かせない技法です。

現在でもプレス機械、被加工物、金型に使用する材料の種類や加工方法などが進化し続けています。プレス加工は一度金型を作成すると同じ形状のものを大量に生産できるため、生産性が非常に高く、製造コストが下がります。その一方でプレス機と金型の初期投資が高いです。

金属プレス加工の使用用途

金属プレス加工には目的に応じた金型やプレス方法が豊富にあり、さまざまな形状の製品を製造可能です。製造製品のうち、約80%が自動車部品に用いられます。それ以外にも、身近な製品の製造に適用されています。具体的には、エアコンなどの大型家電、スマートフォンやパソコンのような電子部品、日用品などです。

また、近年では交通カードや電子マネーなどのICチップから、医療器具やロケットなどの最先端産業まで、精密な加工が必要な部品にも使われています。

金属プレス加工の原理

金属プレス加工は、金属板を金型に挟んで、専用のプレス機械で変形させる加工方法です。プレス機械や金型が破損しなければ同じ部品を製造し続けられるため、コストが低くなります。

また、成形するのに必要な金属性の型を金型と呼びます。プレス金型には主に3種類があり、単発型、順送型、トランスファー型です。

1. 単発型

金型1つだけで1つの加工ができます。金型がシンプルなため、製作コストが低いです。ロットが少ない場合や大きいサイズを生産する際に向いています。

2. 順送型

プログレ型とも呼ばれ、複数の加工工程が可能な金型です。生産効率が良いため、大量生産に向いています。ただし、金型の作りが複雑で、金型の製造費が高いです。

3. トランスファー型

複数の単発型が並んでいるタイプです。複数の工程を自動的に効率良く大量生産可能です。搬送機構の設計は困難で、金型の製作費が高くなる可能性があります。

金属プレス加工の種類

金属プレス加工は、目的によって加工方法が分かれています。主にせん断加工、曲げ加工、絞り加工に分類可能です。

1. せん断加工

せん断加工は鋼板などの加工材を切断したり、打ち抜いたりする加工方法です。素材を必要なサイズや形にするために用いられます。

材料から不要な部分を打ち抜く場合にも使われ、抜き加工と呼ばれます。せん断加工の身近な例は、パンチでの穴あけやクッキーの型抜きです。

2. 曲げ加工

曲げ加工とは、材料を目的の形に曲げる方法のことで、プレス加工の代表例です。鋼板をV字、U字、L字など、加工機や金型によって任意の形状に加工可能です。自動車のボディなどに用いられています。

3. 絞り加工

絞り加工とは加工対象をパンチとダイに挟み込み、圧を加えながら伸ばし、容器形状のものを作る加工方法です。1枚の板を伸ばして加工するために溶接が必要なく、液漏れが防げて台所のシンクなどに採用されています。

金属プレス加工の選び方

プレス機械が作業のほとんどを行い、加工工程で人力に頼る行程がないため、安定して高精度な部品を生産できます。低いコストで大量生産可能な一方で、初期費用が高いです。

プレス機械の導入にはコストがかかり、一般的な金型は数十万〜数百万円です。とくに高精度の金型であれば、初期費用が高くなります。金型は金属製であり、保管方法を正確に把握していないと破損しやすく、部品単価に影響します。

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