鉄板曲げ加工とは
鉄板曲げ加工とは、熱などを加えて鉄板を曲げることです。アルミニウムやステンレスと比較し、耐食性に劣るものの、価格の安さや加工の容易さから、さまざまな部品や工業製品に用いられています。また、加工後にメッキ処理などの加工が容易にできる点も鉄の特長です。
なお、一般的に純度100%の鉄を使用することはなく、炭素を含ませることで強度を高めて使用しています。炭素を2%以上含んだ鉄を「鋼(はがね)」といい、鉄板と呼んでいる多くのものは鋼板になります。
鉄板曲げ加工の使用用途
鉄鋼は、主にSS材と炭素鋼鋼材S-C系に分類できます。それぞれの特徴と使用用途は、次の通りです。
- SS材
一般構造用圧延鋼材をSS材と呼んでいます。硬度があまり高くないことから、硬度や耐摩耗性を必要とされる部品には適していません。その反面、その柔らかさから曲げ加工に一般的に用いられています。主な用途は、建築物の柱や梁、橋梁などの構造物、機械設備、船舶、車両です。 - 炭素鋼鋼材S-C系
機械構造用炭素鋼鋼材を炭素鋼鋼材S-C系、あるいは単にSC材と呼んでいます。SS材と比較し、炭素をより多く含んでいることから、強度や硬度が高くなっています。強度を求められる部材の製作時に曲げ加工を施します。主な用途は、機械の構造用の部品、ベアリングや工具類です。
鉄板曲げ加工の種類
鉄板曲げ加工には、冷間曲げ、熱間曲げ、線状加熱の3つの方法があります。それぞれの加工法の概要と特徴を以下に示します。
- 冷間曲げ加工
冷間曲げは、常温〜720℃以下の条件下で、圧力をかけて鉄板を曲げる方法です。ベンダー曲げやロール曲げが代表例です。
ベンダー曲げとは、プレス曲げともいい、ベンダーブレーキというプレス機械を用いる加工方法です。生産速度が高く大量生産に適しています。
ロール曲げとは、複数のローラーを用いて鉄板を曲げる加工方法です。ローラーの距離の調整により、さまざまな形状に曲げることができます。また、加工素材をローラー上で一周させて筒状の部品を製作できます。しかしながら、ローラーによる曲げ加工のため、加工できる厚みに制限があります。
- 熱間曲げ加工
熱間曲げとは、800℃〜900℃まで熱を加えて鉄板を曲げる加工方法です。冷間曲げと比較し、より小さな圧力で加工できます。板厚や板幅の大きい鉄板や半径の小さな曲げや鋭角の曲げに適しています。 - 線状加熱加工
線状加熱加工は、炎熱加工のひとつです。鉄板を加熱し膨張させた後に、水で冷却して収縮させて曲げる加工方法です。造船所における船体外板や橋桁、鉄骨作業で良く用いられています。