転造加工とは
転造加工は、加工対象物に強い力を与えて変形させる塑性加工のひとつです。加工対象物を回転させながら転造ダイスを押し付けて成形します。
転造加工が可能な金属は、鉄、アルミニウム、真鍮、ステンレスなどです。伸び率5%以上で、張力1700N/㎟までの材料が適しています。
塑性加工は、一般的に他の加工方法より加工時間が短いことや材料のロスが少ない、あるいはエネルギー原単位が、比較的少ないことから、工業製品の生産において幅広く用いられています。転造加工のほかに、押出し加工、圧延加工、プレス加工、鍛造加工などがあります。
転造加工の使用用途
転造加工は、元々雄ねじを製造するために開発された加工方法です。転造により作られたねじを転造ねじといい、切削ねじ(金属を切り出して成形したねじ)と比較して強度があります。また、加工能率が高いことからねじの量産に適しています。
また、転造ダイスの形状を変えることによりメートルねじをはじめ、台形ねじ、テーパネジ、特殊成形ねじなど、多種多様なねじを製作することができます。
ねじ製作のほかには、歯車やウォームなどの機械要素部品の加工に用いられています。
転造加工の種類
転造加工における主な加工の種類は、平面ダイス転造、丸ダイス転造、プラネタリ転造です。それぞれの加工方法と特徴を以下に示します。
- 平面ダイス転造加工
平面ダイス転造加工は、加工対象物を2枚の平面ダイスで挟み込み加工する方法です。片側のダイスを固定し、もう一方のダイスを動かすという生産性の高い加工方法であり、汎用ねじの大量生産に用いられています。 - 丸ダイス転造加工
丸ダイス転造加工には、円筒状の丸ダイスを使用します。同一の方向および速度で回転させた2~3つの丸ダイスに、加工対象物を挟み込み成形します。ダイスの間隔を容易に変更できることから、ねじ以外の金属加工にも利用されています。 - プラネタリ転造加工
プラネタリ転造加工は、外側のアーチ状のセグメントダイスと、内側の丸ダイスがセットになった加工方法です。丸ダイスのみが回転し、セグメントダイスとの間で加工対象物を成形します。生産性が高い加工方法であり、高ロットの一般的なねじの生産に適しています。