型彫り放電加工とは
型彫り放電加工とは、目的の形に加工された電極の形状を加工対象の材料に転写する加工技術のことです。
銅やグラファイトなどを電極として用います。加工する材料は油や水などの絶縁性のある液体に沈め、電極に近づけて放電させ、工作物を少しずつ溶かし、目的の形に加工していきます。
一般的に、複雑な形状のものや、削ることが難しい材料に使用される加工技術です。 放電加工は大きく2種類あり、この他にはワイヤ放電加工という技術があります。
型彫り放電加工の使用用途
型彫り放電加工は、電極にグラファイトなどを使用し、その形状を転写する加工方法のため、導電性がある材料にのみ適用可能です。
導電性があれば、切削工具では削ることのできない、非常に硬い金属や厚みのある材料でも複雑な加工ができることから、主に精密金型の加工に用いられます。
量産性は無いものの、複雑な形状も加工できるため、携帯電話やスマートフォン、航空機やロケットに使用される部品などの精密な加工に用いられております。
型彫り放電加工の種類
型彫り放電加工は、水や油などの加工液(絶縁液)の中で、電極に電流を流し、加工対象材料との間に電気による火花を起こし(放電)、その熱(放電熱)で金属を溶かすことにより加工します。
加工液によって、材料と電極が絶縁状態にされている状態で、材料と電流が通った電極が近接すると、絶縁破壊が生じ、火花放電が発生します。この時、材料と電極との間隔はわずか数μmという距離です。
絶縁破壊によって、アーク柱という高密度な放電状態が発生し、局所的に電極と材料表面が加熱され、高温になり、材料の一部が沸点に達することで、蒸発による材料除去が行われます。
放電は、1秒間に数千~10万回の頻度で何度も発生させられ、徐々に電極の形状を金属に写すように加工します。電極の形状が加工対象物に転写されるため、加工形状を反転させた形の電極を作る必要があります。電極には銅、グラファイト、タングステンなどの電気を通しやすく、柔らかく簡単に加工ができる金属が用いられます。