リン酸鉄

リン酸鉄とは

リン酸鉄とは、鉄のリン酸塩の一種です。

鉄の酸化数により2種類あり、リン酸鉄(II)とリン酸鉄(III)です。リン酸鉄(II)はオルトリン酸鉄、リン酸第一鉄、オルトリン酸第一鉄とも呼ばれ、リン酸鉄(III)はオルトリン酸鉄、リン酸第二鉄、オルトリン酸第二鉄とも呼ばれます。

天然にリン酸鉄(II)はラン鉄鉱として産出し、リン酸鉄(III)はストレング石やコニンク石として産出します。

リン酸鉄の使用用途

リン酸鉄は食品添加物に利用可能です。農業では、従来使われていたメタアルデヒドに比べ、ペットや野生動物に対する毒性が極めて低いため、カタツムリなどの除用農薬に用いられます。

塗膜の耐食性を向上させるため、鉄皮膜処理に使用可能です。鉄皮膜処理とは、鋼材にリン酸鉄皮膜剤の溶液を、塗布や吹き付けによって、リン酸鉄の薄い皮膜を作る処理のことです。

また、電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池-リン酸鉄系の正極材に、リン酸鉄リチウムが使われています。リン酸鉄系は、三元系 (ニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム) よりもエネルギー密度が低く、低温時には出力が低下しやすい欠点がありました。技術革新を通じてリン酸鉄系のエネルギー密度が改善され、高い三元系金属を使用するよりもコスト面の魅力が相対的に高まっています。

リン酸鉄の性質

リン酸鉄(II)は常磁性です。酸には溶けますが、水に溶けません。空気によって酸化して、青色に変わります。リン酸塩溶液と鉄(II)塩溶液の反応によって、リン酸鉄(II)が生じます。

リン酸やリン酸水素二ナトリウム溶液と鉄(III)塩溶液が反応すると、リン酸鉄(III)を生成可能です。塩酸や硫酸には溶けますが、水や硝酸には溶けません。20°Cでの溶解度積はKsp = 1.3×10-22です。過剰なリン酸を塩化鉄(III)の黄色水溶液へ加えると、ホスファト錯体が生成して無色に変わります。

リン酸鉄の構造

リン酸鉄(II)の化学式はFe3(PO4)2で表されます。分子量は357.48で、密度は2.58g/cm3です。一般的な青白色の8水和物以外にも、暗緑色の1水和物や無色の6水和物が存在します。8水和物は単斜晶系結晶です。水素塩にはFeHPO4・nH2O (n=1、2) やFe(H2PO4)2・2H2Oが存在します。

リン酸鉄(III)の分子量は150.82、化学式はFePO4で表されます。リン酸鉄(III)の2水和物は、淡赤色の単斜晶系です。密度は2.87g/cm3で、140°Cで水を失います。2.5水和物や4水和物なども存在し、水素塩にはFeH3(PO4)2・2H2OやFe(H2PO4)3・2H2Oなどもあります。

リン酸鉄のその他情報

1. リン酸鉄の合成法

空気を遮断し、硫酸鉄(II)水溶液に酢酸ナトリウム水溶液とリン酸水素二ナトリウム水溶液を加えて数日放置すると、八水和物の結晶が析出します。リン酸水素二ナトリウム水溶液と鉄(II)塩水溶液の混合物を、封管中で加熱しても生成可能です。封管中でリン酸と塩化鉄(III)を、180°Cで数時間加熱すると、リン酸鉄(III)の二水和物が析出します。

2. 二リン酸鉄の特徴

二リン酸鉄(II)の化学式はFe2P2O7で、分子量は285.63です。ピロリン酸鉄(II)や二リン酸第一鉄とも呼ばれます。二リン酸ナトリウムと鉄(II)塩溶液の反応で生成します。白色の粉末で、三斜晶系結晶です。空気により酸化されやすく、褐色に変わります。粉乳や鉄分補強剤に利用可能です。

二リン酸鉄(III)の化学式はFe4(P2O7)3と表され、分子量は745.21です。ピロリン酸鉄(III)や二リン酸第二鉄とも呼ばれます。二リン酸ナトリウムと鉄(III)塩溶液の反応で生じる淡黄色の粉末です。水、酢酸、塩化アンモニウム溶液に不溶で、無機酸やアンモニア水に溶解します。水素塩である淡赤色のFe2H6(P2O7)3も知られています。触媒、鉄分の補強剤、非ハロゲン系防炎剤の原料などに使用可能です。

リン酸

リン酸とは

リン酸とは、窒素、カリウムとともに肥料の三大要素の1つで、リンのオキソ酸です。

オルトリン酸や正リン酸とも呼ばれます。植物の開花・結実を促す働きがあり、遺伝子であるDNA・RNAや、生物の細胞膜の重要な構成成分です。リン酸は生命が活動するために欠かせません。

天然資源としてリンは、リン鉱石として存在しており、その枯渇が懸念されています。なお、工業的なリン酸の製造方法には、乾式法と湿式法があります。

リン酸の使用用途

リン酸は、工業用途として、各種リン酸塩の原料、アルミニウムの化学研磨剤、金属防錆加工剤、金属洗浄剤、清缶剤・耐火物助剤、塗装下地処理剤、活性汚泥、リン酸肥料、試薬等に幅広く利用されています。

また、食品用途として、各種飲料の酸味料や醸造用のpH調整剤、ジュース・コーラ類その他食品の添加物用リン酸塩類の原料として使用可能です。

そのほか、染色用助剤、石油化学用触媒、医薬品添加物などの原料にも用いられます。

リン酸の性質

リン酸の融点は42.35℃で、沸点は407℃です。融解すると、無色透明な液体になります。

水、アルコール、エーテルなどに溶解します。液体の無水リン酸は強い酸性媒体で、高い電気伝導性を示します。

リン酸の構造

リン酸の構造

図1. リン酸の構造

リン酸の化学式はH3PO4で表されます。モル質量は98.00g/mol、25℃での密度は1.892です。純粋なリン酸は、斜方晶系の不安定な結晶を形成します。

リン酸イオンは正四面体型構造を取っています。リンと酸素の結合距離 (P–O) は、リン酸アルミニウム結晶中で152pmです。

リン酸のその他情報

1. リン酸の合成法

リンを燃焼すると五酸化二リンが生成し、希薄なリン酸水溶液に溶かすと純粋なリン酸が得られます。この熱合成法は、環境に優しい方法です。ただし、鉱山で採掘されたリンに含まれている不純物を除去する必要があります。

35%ほどの硫酸をリン鉱石と反応させると、リン酸を得ることが可能です。この湿式合成法では、ろ過によって精製可能です。しかし、フッ化水素酸のような不純物が混ざる場合があり、熱合成法よりも純度が低くなります。

2. リン酸イオンの構造

リン酸イオンの構造

図2. リン酸イオンの構造

リン酸は3価の酸です。水溶液中では電離して、水素イオンを3つ放出します。第一段階電離でリン酸二水素イオン (H2PO4) 、第二段階解離でリン酸一水素イオン (HPO42-) 、第三段階解離でリン酸イオン (PO43) を生成します。

25℃でのpKaの値は、それぞれpKa1 = 2.12、pKa2 = 7.21、pKa3 = 12.67です。

3. リン酸の脱水反応

縮合リン酸の構造

図3. 縮合リン酸の構造

リン酸を熱すると、脱水反応が起きます。加熱で生成する混合物は強リン酸と呼ばれ、高温では金属に対する作用も激しいです。

具体的には、150℃で無水物になり、200℃でリン酸2分子が反応して、ピロリン酸が徐々に生成します。高次の縮合リン酸も生じ、300℃以上ではリン酸ユニット1個あたり水分子が1個脱離すると、メタリン酸が生成します。メタリン酸はポリリン酸とも呼ばれ、リン酸が脱水縮合した化合物です。

いずれも四面体の複数のPO4を酸素原子によって架橋した構造を取っており、ポリリン酸はPO4が環状に連結されたシクロリン酸です。これ以上脱水するのは難しいですが、脱水すると五酸化二リン (十酸化四リン) が得られます。五酸化二リンは激しく水と反応するため、乾燥剤として利用されます。

4. リン酸と健康

リンは野菜や肉のような生物由来の食物に含まれている元素です。そして、食品や飲料に酸味を出すための添加物としてリン酸が使用されます。

リン自体は人体に必要なミネラルです。18〜49歳の成人の1日の目安量が、厚生労働省により定められています。摂取基準によると、男性が1,050mg、女性が900mgとされています。男女ともに上限量は3,500mgです。

ヨウ素酸カリウム

ヨウ素酸カリウムとは

ヨウ素酸カリウムとは、化学式KIO3で表されるヨウ素酸塩類の1種です。

無色の結晶で水には溶けやすいですが、エタノールには溶けません。常温では安定であり、加熱するとヨウ化カリウム (KI) と酸素に分解します。

ヨウ素酸カリウムは、ヨウ素を水酸化カリウムと反応させるか、あるいはヨウ化カリウム溶液を電気分解することによって製造されます。化学の「ヨウ素デンプン反応」の呈色実験で、チオ硫酸ナトリウム等とともに使用されます。

ヨウ素酸カリウムの使用用途

ヨウ素酸カリウムは、強力な酸化剤であり、ヨウ素還元滴定などの化学分析において酸化剤として利用されます。

その他、医療用途では放射線障害の予防薬やヨウ素不足による甲状腺機能障害の治療薬として用いられています。

1. 食品関連

ヨウ素酸カリウムは、海外の食品ではヨウ素不足予防のための栄養補助食品として、粉ミルクや食塩に添加されており、国内では牛や豚・鶏など産業動物の飼料の栄養成分 (ヨウ素、カリウム) 補給のために飼料添加物として使用されます。

また、パン生地の品質を安定させるパン生地改良剤としても有用です。パン生地改良剤は酸化剤であり、主にグルテンに含まれるチオール基 (SH基) を酸化することでジスルフィド結合 (S-S結合) の形成を促進します。これにより、生地の伸展性が向上し、パン容積が増大し、食感が改善されます。

2. 放射線対策

ヨウ素酸カリウムは、ヨウ化カリウムと共に安定ヨウ素剤として使用することができます。安定ヨウ素剤は、放射線被ばくによる癌の予防に効果があります。

ヨウ素は甲状腺に集積されやすいという傾向がありますが、放射性ヨウ素に被ばくする前の24時間以内、または被ばくした直後に安定ヨウ素剤を服用すると、甲状腺への放射性ヨウ素の集積を90%以上減らすことが可能です。甲状腺がん発生の予防に効果があるとされています。

原子力災害における放射性ヨウ素の放出は、体内に取り込まれると甲状腺に蓄積し、内部被ばくによる甲状腺がんなどが発生する恐れがあります。それに対して、安定ヨウ素剤の服用は放射性ヨウ素が甲状腺に蓄積するのを防ぎ、甲状腺による放射線被ばくを減少させることが目的です。

ただし、安定ヨウ素剤の服用は、甲状腺以外の臓器における内部被ばくや、クリプトン、キセノンなどの放射性希ガスによる外部被ばくに対しては効果がありません。

ヨウ素酸カリウムの性質

ヨウ素酸カリウムは、常温では無色澄明の液体で、水に溶けやすく (4.7g/100ml 0℃) 、水溶液は中性です。アルコール、液体アンモニア、硝酸には溶けにくい性質を持っています。

融点は560℃で、部分的に分解して溶け、酸素を放出します。強い酸化性があり、可燃物 (紙、布、木、油など) を発火させる恐れがあります。

ヨウ素酸カリウムのその他情報

1. ヨウ素酸カリウムの製造方法

ヨウ素酸カリウムは、水酸化カリウムなどのカリウム含有塩基をヨウ素酸と反応させることによって生成できます。

   HIO3 + KOH → KIO3 + H2O

また、熱い水酸化カリウムの濃縮溶液に ヨウ素を加えることによっても調製できます。

   3I2 + 6KOH → KIO3 + 5KI + 3H2O

ヨウ化カリウムを塩素酸カリウム、臭素酸カリウム、または過塩素酸カリウムと融合させることによって溶融物を水で抽出し、結晶化によって溶液からヨウ素酸カリウムを単離します。

   KI + KClO3 → KIO3 + KCl

2. ヨウ素酸カリウムの安全性情報

ヨウ素酸カリウムは強い酸化剤であるため、可燃性物質や還元剤と接触すると、火災を引き起こす可能性があります。また、ヨウ素酸カリウムを有機物などの可燃性物質と混ぜて加熱したり、衝撃を与えたりすると、爆発の危険性が高いです。

メタンスルホン酸

メタンスルホン酸とは

メタンスルホン酸 (CH3SO3H) とは、最も単純なアルカンスルホン酸です。

メシル酸 (英: Mesylic acid) やMsOHとも表されます。無色・無臭の強力な有機酸で、取り扱いが簡易かつ酸化しないという特徴があります。

水、アルコール、エーテルに溶け、アルカン、ベンゼントルエンに溶けません。また、金属鉄、、鉛に対して強い腐食効果があります。

金属めっきの分野では、加水分解反応を生じないこと、金属の濃度を高くできること、幅広い pH の範囲で安定であることから、さまざまな場面で広く用いられています。

メタンスルホン酸の使用用途

メタンスルホン酸は強力な有機酸で、医薬品原料や、化学合成、バイオ燃料合成をはじめ、工業用洗浄や電子産業の金属表面処理など、さまざまな業界で幅広い用途があります。また、容易に生分解され、非酸化性、無色・無臭といった優れた特性をもつため、環境への配慮からも硫酸リン酸酢酸といった他の酸の、持続可能な代替品となっています。

特にリン酸による環境汚染を削減できることなどから、洗浄剤に配合されているリン酸の代替化合物としての用途が多いです。これらの用途以外にも、染料の還元剤や、繊維製品の撥水処理剤メタンスルホン酸はさまざまな分野で利用されています。

また、本化合物から合成されるメタンスルホン酸エステルはメシラート (英: mesylate) とも言い、アルキル化試剤や脱離基として使用されます。

メタンスルホン酸の性質

メタンスルホン酸は 無色で油状の液体であり、悪臭を持ちます。pKa値が-1.9と非常に低い強酸です。メタンスルホン酸は水に非常に溶けやすく、高濃度の水溶液を形成することができます。また、多くの有機溶媒にも溶解するため、工業的に広範囲での使用が可能です。

酸は熱に対しては安定であり、加熱しても分解や変質が起こりにくいです。メタンスルホン酸はプロトン源としての役割を果たすことができるため、酸触媒反応や脱水反応にも利用されます。

これらの性質により、メタンスルホン酸は有機合成や材料化学の分野で広く利用されています。また、酸化力が弱いため、感度の高い機能基を持つ化合物とも反応させることが可能で、選択性の高い合成ができます。

メタンスルホン酸の構造

メタンスルホン酸は、メタンにスルホン酸(-SO3H)基が置換した構造を持つ有機化合物です。

CH3SO3Hという分子式で表され、分子量は96.1、密度は1.4812 g/cm3です。 融点は18°C、沸点 167°Cで、CAS登録番号は75-75-2です。

メタンスルホン酸のその他情報

メタンスルホン酸 の製造方法

メタンスルホン酸の製造方法は、いくつかの手法が知られています。特に、ジメチルスルフィドの酸化による合成法が工業的によく用いられます。

1. ジメチルスルフィドの酸化
ジメチルスルフィドに対し、過マンガン酸カリウムや硝酸などの強力な酸化剤を使って酸化することで、ジメチルスルフィドの硫黄原子が酸化されてメタンスルホン酸を生成します。

また、メタンのスルホン化によってもメタンスルホン酸を得ることができます。

2. メタンのスルホン化
メタンに対し、三酸化硫黄を反応させることでメタンスルホン酸に変換することができます。この反応では、高温や特殊な条件が必要であるため、一般的にはあまり利用されません。

類似の反応として、硫酸とメタンを高温下で反応させる方法も報告されています。この反応は、一般的にアルミナなどの適切な触媒の存在下で行われます。

CH4 + H2SO4 → CH3SO3H + H2O

その他、実験的な手法としては以下の合成法も知られています。

3. クロロメタンと硫酸の反応
もう1つの方法は、クロロメタンと濃硫酸を反応させる方法です。この反応は、温度と圧力をコントロールした条件下で行われ、メタンスルホン酸と塩化水素が生成されます。

CH3Cl + H2SO4 → CH3SO3H + HCl

メタクリル酸メチル

メタクリル酸メチルとは

メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate)は、不飽和脂肪酸エステルの一つです。エタノール及びアセトンに溶け、水にやや溶けにくい性質があります。一般名として、メチルメタクリレート、MMA、アクリルモノマーとも呼ばれます。

特有の臭気をもつ無色の引火性の高い液体及び蒸気です。そのため、作業環境で火花を発生させないことが重要で、特に静電気放電に対する予防措置(アースの設置など)が必要です。

長期間、繰り返し曝露される環境で吸入すると、アレルギー、喘息、呼吸困難を起こすおそれがあります。また神経系にも作用し、眠気、めまいのおそれがあります。

メタクリル酸メチルを原料としたアクリル樹脂は、非常に透明性の高い非晶質の合成樹脂です。そのため、ポリメタクリル酸メチル樹脂(略称PMMA)の透明固体材は、アクリルガラスとも呼ばれ、水族館の大型の水槽などにも使用されます。

メタクリル酸メチル樹脂

メタクリル酸メチルの使用用途

メタクリル酸メチルは、主に吹き付けアクリル板、押し型成形樹脂の製造に用いられています。

重合体、および共重合体はメタクリル樹脂と呼ばれ、塗料用樹脂の原料、樹脂改質剤、塗料、紙のコーティング剤、接着剤、繊維加工材、歯科補填物、外科用セメント、合成指爪、義肢装具などに使用されています。

また、メタクリル樹脂は透明性、耐候性、リサイクルが可能な環境対応性などの優れた特性があるため、近年はIT向けや自動車向けなどの用途が拡大しています。

最近では、3Dプリンターの成形材の1つとして使われています。装置も安価になり、硬くて精細な形成ができるようになりました。中でも医療分野では術前検討において形態の確認、術式検討に用いるなど、非常に有用です。ただし、かなり硬い素材ですので、成形後の切断はかなり難しい場合があります。

マレイン酸

マレイン酸とは

マレイン酸の構造

図1. マレイン酸の構造

マレイン酸は、2つのカルボキシル基を持つ鎖状不飽和ジカルボン酸の一種です。融点以上に熱する事で分子内の2つのカルボキシル基が脱水縮合し、マレイン酸無水物を与えます。反応性が高い化合物であり、有機合成の原料として良く用いられています。

マレイン酸の物理的化学的諸性質

1. 名称
和名:マレイン酸
英名:maleic acid
IUPAC名:(2Z)-but-2-enedioic acid

2. 分子式
C4H4O4

3. 分子量
116.1

4. 融点
133~134℃

5. 溶媒溶解性
水、エーテル、アルコールに可溶であり、ベンゼンに難溶。

幾何異性体としてのマレイン酸とフマル酸の違い

マレイン酸には幾何異性体の関係にあるペアが存在します。具体的には、エチレンジカルボン酸のシス体がマレイン酸、トランス体がフマル酸となります。

マレイン酸とフマル酸の構造

図2. マレイン酸とフマル酸の構造

両化合物の物性、化学的性質は大きく異なっており、具体的には以下の通りです。

1. 酸無水物の与えやすさの違い

シス体であるマレイン酸においては、分子内のカルボキシル基が近い位置関係にあるため、加熱により容易に脱水縮合し酸無水物を与えます。一方でトランス体であるフマル酸は、2つのカルボキシル基の位置関係が立体的に離れているため、加熱による分子内脱水縮合は起こりにくいです。

2. 水への溶解性および融点の違い

マレイン酸は水への溶解性が高いですが、フマル酸は水には難溶です。これは、トランス体であるフマル酸の場合は、カルボキシル基が分子間で水素結合を形成し、水和水としての水分子を排除する性質があるのに対し、シス体であるマレイン酸の場合は、2つのカルボキシル基が分子内で水素結合を形成し、分子間水素結合を形成しにくいためと考えられています。他にも、シス体であるマレイン酸の方がトランス体であるフマル酸よりも融点が低いという違いがありますが、この理由についても、分子内水素結合を作りやすいマレイン酸と、分子間水素結合を作りやすいフマル酸の立体配置の違いから説明できます。

マレイン酸の特徴と使用用途

マレイン酸は、食品添加物用途から工業用途に至るまで、幅広い分野の原料として使用されています。 製薬業界では、pH調整剤および緩衝剤の酸成分として使用されています。医薬品製造においては、塩基性化合物のカウンターイオン種として使用されています。工業用としては、オゾン分解によるグリオキシル酸の製造のための工業原料として、その他、合成樹脂(不飽和ポリエステル)、塗料、樹脂改質剤、塩ビ安定剤、界面活性剤などのような素材の原料として広く使用されています。

マレイン酸の合成方法

酸化パナジウム(V)触媒存在下でベンゼンを気相酸化する事で無水マレイン酸を調製し、これを加水分解する事でマレイン酸が得られます。

ポリエチレンイミン

ポリエチレンイミンとは

ポリエチレンイミンとは、エチレンイミンを重合した脂肪族の水溶性ポリマーです。

分子量は300〜70,000と製品ごとに異なります。完全な線状高分子でなく、1級、2級、3級アミンを含む分岐構造を有するポリマーです。

ポリエチレンイミンは、現存する素材中 (2007年) で最もカチオン密度が高く、反応性の高いポリマーです。溶液中ではポリカチオンとして存在し、高吸着性・高凝集性を持ちます。

ポリエチレンイミンの使用用途

ポリエチレンイミンは、親水性、生体適合性および熱安定性等の有利な特性を利用して、製紙、水処理、メッキ浴剤、シャンプー製造など幅広い分野で利用されています。製紙分野では、紙力増強剤として、水処理分野では、凝結剤、凝集剤、重金属キレート剤、クレイ処理等として有用です。

そのほか、酵素固定化剤、塩ビゾル凝集剤、エポキシ樹脂架橋剤、インク密着向上剤、メッキ用添加剤、消火器用泡保持剤も用途の1つです。

ポリエチレンイミンの性質

ポリエチレンイミンは、 分子式(-CH2CH2NH-) n で表わされます。分子量により、熱的性質、消防法法の分類などが異なる場合があります。使用時は、購入した製品のSDSの確認が必要です。

1. 物理的性質

平均分子量約1,800のポリエチレンイミンの場合、無色〜うすい黄色の透明な液体状で、アミン臭があります。pHは10〜12 (50g/L、25℃) です。

融点は20℃以下、引火点は264℃、分解温度は290℃です。分子量が高くなるにつれて、引火点も上昇する傾向があります。

2. 化学的性質

水に極めて溶けやすく、光により変質するおそれがあります。通常の取扱い条件下では安定ですが、高温、 直射日光、 熱、炎、火花、静電気、スパーク、湿気、強酸化剤と反応するため、接触を避ける必要があります。

危険有害な分解生成物は、一酸化炭素 (CO) 、二酸化炭素 (CO2) 、窒素酸化物 (NOx) です。

ポリエチレンイミンのその他情報

1. 機能性

ポリエチレンイミンのアミノ基は、水酸基と水素結合、カルボキシル基とイオン結合、カルボニル基と共有結合します。また、極性基 (アミノ基) と疎水基 (エチレン基) を構造に有することから、高密着性、吸着性があります。

水中下でポリカチオンとして存在し、あらゆるアニオン性物質を中和・吸着し、重金属イオンをキレート化する高カチオン性を持つことが特徴です。さらに、エチレンイミンは反応性高い1級・2級アミノ基を有することから、エポキシ、アルデヒド、イソシアネート化合物、酸性ガスと容易に反応します。

2. ポリエチレンイミンの安全性

皮膚刺激性および、強い眼刺激性があり、飲み込むと人体に有害です。水生生物への影響は確認されていませんが、内容物および容器は、承認さ れた廃棄物処理場に依頼し、廃棄する必要があります。

吸引した場合は、新鮮な空気のある場所に移動し、休息し、症状が続く場合は医師に連絡します。皮膚または眼に付着した場合は、直ちに大量の水で洗浄し、症状が続く場合は医師への連絡、手当が必要です。

3. ポリエチレンイミンの反応性

ポリエチレンイミンは、通常の1級、2級、3級の低分子アミンと同じ反応を起こします。アルデヒドやケトン、アルキルハライド、イソシアネートやイソチオシアネート、活性炭素二重結合、エポキシ化合物、シアナマイド、グアジニンや尿素、酸、脂肪酸、酸無水物、環状酸無水物やアシルハライドなどの試薬と反応します。

4. 取扱方法

作業者は適切な保護マスク、保護手袋、側板付き保護眼鏡、長袖作業衣の着用が必要です。作業時は飲食、喫煙を避け、作業後はよく手を洗います。

屋内作業場で使用する場合は、発生源の密閉化、または局所排気装置を設置します。また取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い・洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示し非常事態に備えます。

作業時は火気に注意し、高温物、スパーク、強酸化剤との接触を避けて取扱い、容器は遮光し、換気のよい 涼しい場所に密閉して保管が必要です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0116-1781JGHEJP.pdf
https://www.junsei.co.jp/upfile/topics/21/21-2.pdf

ポリビニルピロリドン

ポリビニルピロリドンとは

ポリビニルピロリドンとは、N-ビニル-2-ピロリドンが重合した非イオン性の水溶性高分子です。

別名として、Poly (N-vinylpyrrolidone)、PVP、ポビドンとも呼ばれます。ポリビニルピロリドンは、工業品から日用品、食品など多岐に渡って用いられています。

ポリビニルピロリドンの使用用途

ポリビニルピロリドンは、多くの合成高分子化合物と異なり水によく溶けるので、この性質を利用して様々な用途に用いられます。さらに、高吸湿性、成膜性、接着性、分散性などの特徴のほか、人体や環境への安全性の高さから医薬品や食品添加物へも使用されています。

1. 医薬品

日本薬局方第二部に収載され、消毒薬のポピドンヨードの原料、錠剤やカプセルを製造する際のバインダー、懸濁液やエマルションの安定化剤、軟膏やクリームの基剤などに用いられています。また、人口腎臓に用いられる中空糸の血液適合性を向上させるために、中空糸の素材にポリビニルピロリドンがブレンドされています。

2. 食品添加物

ビタミン、ミネラル製品の安定剤、バインダ、分散剤として使用されています。また、ポリビニルピロリドンのピロリドン部分を架橋したポリビニルポリピロリドン (PVPP) と名称の高分子があり、ビール、ワインなどの清澄剤、茶系飲料の渋味低減剤などに用いられています。ポロビニルピロリドンが水溶性に対して、PVPPは非水溶性です。

ポリビニルピロリドンの性質

N-ビニル-2-ピロリドン (C6H9NO) が直鎖状に重合した、吸湿性の非結晶性の高分子です。無臭またはわずかな特異臭があります。密度は1.2g/cm3、融点 (ガラス転移温度) は150~180℃、分解温度は約400℃です。

水、アルコールに可溶で、ピリジン、クロロホルムなど、ほとんどの極性溶媒に溶解します。また、他の高分子との相溶性も高い性質があります。反面、アセトンには溶けにくく、エステル、エーテル、炭化水素系の溶媒にはほとんど溶けません。

人体や環境への安全性が高いことから、幅広い用途で用いられています。また、非イオン性ポリマーであるため、電気伝導性が低く、絶縁性にも優れています。

ポリビニルピロリドンのその他情報

ポリビニルピロリドンの製造方法

ポリビニルピロリドンは、アセチレンとホルムアルデヒドを原料にして、以下の工程を経て生産されます。

1. γ-ブチロラクトンの合成
アセチレンとホルムアルデヒドを加圧下で反応させた後、接触還元することで1,4-ブタンジオールが得られます。これを銅触媒下で200℃に加熱すると分子内で脱水反応が起こり、γ-ブチロラクトンが得られます。

   C2H2 + HCHO → HOCH2CH2CH2CH2OH (1,4-ブタンジオール)  →  C4H6O2 (γ-ブチロラクトン)

2. N-ビニル-2-ピロリドンの合成
γ-ブチロラクトンをアンモニア処理して、2-ピロリドンとし、これに加圧アセチレンを作用させることで、N-ビニル-2-ピロリドンが得られます。

   C4H6O2 + NH3 → C4H7NO (2-ピロリドン)
   C4H7NO + C2H2→ C6H9NO

γ-ブチロラクトンからN-ビニル-2-ピロリドンを合成する方法は上記の他にもモノエタノールアミンと反応させて合成する方法もあります。こちらは、γ-ブチロラクトンとモノエタノールアミンからN-ヒドロキシエチルピロリドンを生成します。これを気相脱水させることで、N-ビニル-2-ピロリドンが得られます。

   C4H6O2 + HOCH2CH2NH2 → C6H11O3 (N-ヒドロキシエチルピロリドン)
   C6H11O3 → C6H9NO + H2O

3. N-ビニル-2-ピロリドンの重合
N-ビニル-2-ピロリドンを過酸化水素存在下で加熱して重合してビニルピロリドンが得られます。

参考文献
https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20061219te1&fileId=105

ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒドとは

ホルムアルデヒドの基本情報

図1. ホルムアルデヒドの基本情報

ホルムアルデヒドとは、最も単純な構造のアルデヒドです。

メタナールや酸化メチレンとも呼ばれます。大気環境では化石燃料や廃棄物等、有機物の不完全燃焼によって生成します。そのほか、光化学反応により大気中の炭化水素からも生成され、光化学オキシダントの成分の1つです。

ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質の一つでもあります。建材等に使用されている接着剤中のホルムアルデヒドから、粘膜刺激やアレルギーを引き起こす可能性があります。

ホルムアルデヒドの使用用途

ホルムアルデヒドは、普段の生活で幅広く使用されている化学物質です。例えば、家具・衣類などの消毒剤、防カビ剤、殺菌剤、殺虫剤や、繊維製品に対する防縮・防しわ加工、形態安定加工等に用いられます。

さらに、合成樹脂の製造原料、農薬、写真用薬品、医薬品等にも使用されています。また、ホルムアルデヒドの37%水溶液は「ホルマリン」と呼ばれ、プラスチック、合成ゴム、塗料等の原料のほか、標本の保存液として使用可能です。

ホルムアルデヒドの性質

ホルムアルデヒドは、無色の可燃性気体で、刺激臭があります。水に非常によく溶解します。融点は−92°Cで、沸点は−19.3°Cです。引火点は64°Cで、発火点は430°Cです。

ホルムアルデヒドの構造

ホルムアルデヒドの構造

図2. ホルムアルデヒドの構造

ホルムアルデヒドはアルデヒド基を有する有機化合物で、化学式はHCHOで表されます。モル質量は30.03で、密度は0.8153g/mLです。ホルムアルデヒドは容易に重合して、無水物のトリオキサン (CH2O)3 以外にも、水溶液からパラホルムアルデヒド (HO(CH2O)nH) が生成します。

トリオキサンはホルムアルデヒドの三量体であり、有機溶媒に分解せず溶解します。それに対してパラホルムアルデヒドは、ほとんどの溶剤に溶けません。

それ以外にも、ホルムアルデヒドの水溶液中には、メタンジオールが存在しています。メタンジオールの化学式はH2C(OH)2で、ホルムアルデヒド一水和物やメチレングリコールとも呼ばれます。例えば、5%のホルムアルデヒド水溶液中での、メタンジオールの割合は約80%です。

ホルムアルデヒドのその他情報

1. ホルムアルデヒドの合成法

ホルムアルデヒドの合成

図3. ホルムアルデヒドの合成

触媒を用いてメタノールを空気酸化すると、ホルムアルデヒドが生成します。ただし、ホルムアルデヒドの酸化が進むと、ギ酸が生じます。その一方で、ギ酸カルシウムの乾留でも、ホルムアルデヒドを得ることが可能です。

天然では、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼが触媒として働き、アミノ酸のセリンからグリシンが生成される際に、ホルムアルデヒドが生じます。メチロトローフ細菌によっても、メタノール脱水素酵素が触媒になり、メタノールからホルムアルデヒドが生成します。

2. ホルムアルデヒドの工業利用

ホルムアルデヒドは、複雑な化合物の前駆体として、一般的に利用されています。ホルムアルデヒドを用いて合成される生成物の具体例として、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタールなどが挙げられます。

1,4-ブタンジオールやジフェニルメタンジイソシアネートなども、ホルムアルデヒドを使って合成可能です。

3. 生体内や食品中のホルムアルデヒド

アミノ酸や生体異物の代謝によって、ホルムアルデヒドが生じます。そのため、ホルムアルデヒドに暴露されていない場合にも、血液中のホルムアルデヒドの濃度が2.6ppm程度だと報告されました。

一部の魚類や椎茸のような天然食材には、健康に影響がない程度のホルムアルデヒドが存在します。ペクチンを多く含んだ果実から作られた果実酒は、メタノールを含んでいるため、体内でメタノールがアルコール脱水素酵素により分解されて、ホルムアルデヒドを生じます。

ホウ酸

ホウ酸とは

ホウ酸とは、ホウ素のオキソ酸の総称で一般的にオルトホウ酸のことです。

ホウ酸自体は水中、土壌、植物など自然界のあらゆるところに存在している物質ですが、工業的にはルドイヒ石、コレマナイト、ウレキサイトなどの天然のホウ酸塩鉱物から精製されます。

外観は無色または白色の結晶で臭いはありません。水やエタノールにやや溶けやすく、ジエチルエーテルにはほとんど溶けません。不燃性で水溶液は弱酸性を示します。

ホウ酸の使用用途

1. ホウ酸の害虫駆除剤

昆虫はその体内にホウ酸が取り込まれると体外に排出できません。結果としてホウ酸の毒素が蓄積します。その特異性を利用して主にゴキブリなどの害虫駆除剤が作られています。

家庭でも駆除剤を作製することができ、「ホウ酸団子」と呼ばれています。小麦粉や玉ねぎなどの誘引剤とホウ酸を混ぜて団子状に成形し、害虫の発生箇所に設置します。害虫は脱水症状を起こし、駆除することができます。また、ホウ酸は建築分野でも建材の防腐、防アリ処理に使用されています。

2. ホウ素の肥料

植物育成に必要な微量元素としてホウ素がありますが、農業の分野ではホウ素肥料としてホウ酸やホウ砂が用いられています。

土壌中は中性付近のpHであり、無電荷のB(OH)3として存在しますが、植物内ではpHに応じて一部はB(OH)4として存在します。ホウ酸は多糖類などとエステル結合を形成し、細胞壁の構造を維持するなど、植物の成長に重要な役割を果たします。

3. その他

ホウ酸には殺菌作用があるため、その水溶液は眼の洗浄・消毒液として利用されています。また、中性子を吸収する性質があるため、原子炉施設内では中性子の量を調節する制御材として使用されています。

ホウ酸の性質

1. 基本性質

ホウ酸は、化学式H3BO3で表される無機化合物であり、ホウ素と水素と酸素から構成されています。分子量は61.83、比重は1.5で、融点は170.9 ℃です。

ホウ酸分子は、ホウ素原子を中心に3つの水酸基に結合し、平面三角形の構造です。大量に摂取すると健康に悪影響を与えることがあるため、注意が必要です。致死量は乳児で2~3 g、幼児で5~6 gとされています。

2. 反応

ホウ酸は、水に溶ける性質があり、0.1 mol/LでpH5.1です。ホウ酸は弱いルイス酸で、プロトンを供給するのはホウ酸と水からできる錯体のH2OB(OH)3です。

100~150 ℃で1分子の水を失ってメタホウ酸 (HBO2) となり、140~160 ℃でピロホウ酸 (H2B4O7) とガラス状になり、高温で無水ホウ酸 (B2O3) となります。無水ホウ酸にマグネシウムを加えて約1,000 ℃に加熱すると、褐色の無定型ホウ素が得られます。

ホウ酸が、硫酸の存在下でアルコールと反応すると、B(OR)3のホウ酸エステルが生成します。ホウ酸が生成する反応として、塩化ホウ素 (BCl3) と水の反応が挙げられます。

ホウ酸のその他情報

ホウ酸の製造方法

原料によってホウ酸の製造方法はやや異なります。

1. ホウ砂からの製造法
ホウ砂液に硫酸を加えて反応させ、ホウ酸と硫酸ナトリウムが生成します。反応液を冷却し、遠心分離、乾燥を経て製品をえます。この方法で製造したホウ酸は非常に品質が高く、品質要求の厳しい医薬品や化学工業向けに製造されます。

2. ホウ酸塩鉱物からの製造法
ホウ酸塩鉱物のスラリーに硫酸または塩酸を加え、ホウ酸塩を分解してホウ酸を生成します。ホウ酸塩鉱物として、コレマナイトやウレキサイトなどが挙げられます。

3. マグネシウム系ホウ酸塩鉱物からの製造方法
マグネシウム系ホウ酸塩鉱物を焙焼して結晶水を除去し、炭酸水素アンモニウムを添加してホウ酸アンモニウムを生成します。ろ過分離したのち、加熱分解してアンモニアを蒸発除去し、冷却してホウ酸の結晶を得ます。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/10043-35-3.html