ポリエチレンイミン

ポリエチレンイミンとは

ポリエチレンイミンとは、エチレンイミンを重合した脂肪族の水溶性ポリマーです。

分子量は300〜70,000と製品ごとに異なります。完全な線状高分子でなく、1級、2級、3級アミンを含む分岐構造を有するポリマーです。

ポリエチレンイミンは、現存する素材中 (2007年) で最もカチオン密度が高く、反応性の高いポリマーです。溶液中ではポリカチオンとして存在し、高吸着性・高凝集性を持ちます。

ポリエチレンイミンの使用用途

ポリエチレンイミンは、親水性、生体適合性および熱安定性等の有利な特性を利用して、製紙、水処理、メッキ浴剤、シャンプー製造など幅広い分野で利用されています。製紙分野では、紙力増強剤として、水処理分野では、凝結剤、凝集剤、重金属キレート剤、クレイ処理等として有用です。

そのほか、酵素固定化剤、塩ビゾル凝集剤、エポキシ樹脂架橋剤、インク密着向上剤、メッキ用添加剤、消火器用泡保持剤も用途の1つです。

ポリエチレンイミンの性質

ポリエチレンイミンは、 分子式(-CH2CH2NH-) n で表わされます。分子量により、熱的性質、消防法法の分類などが異なる場合があります。使用時は、購入した製品のSDSの確認が必要です。

1. 物理的性質

平均分子量約1,800のポリエチレンイミンの場合、無色〜うすい黄色の透明な液体状で、アミン臭があります。pHは10〜12 (50g/L、25℃) です。

融点は20℃以下、引火点は264℃、分解温度は290℃です。分子量が高くなるにつれて、引火点も上昇する傾向があります。

2. 化学的性質

水に極めて溶けやすく、光により変質するおそれがあります。通常の取扱い条件下では安定ですが、高温、 直射日光、 熱、炎、火花、静電気、スパーク、湿気、強酸化剤と反応するため、接触を避ける必要があります。

危険有害な分解生成物は、一酸化炭素 (CO) 、二酸化炭素 (CO2) 、窒素酸化物 (NOx) です。

ポリエチレンイミンのその他情報

1. 機能性

ポリエチレンイミンのアミノ基は、水酸基と水素結合、カルボキシル基とイオン結合、カルボニル基と共有結合します。また、極性基 (アミノ基) と疎水基 (エチレン基) を構造に有することから、高密着性、吸着性があります。

水中下でポリカチオンとして存在し、あらゆるアニオン性物質を中和・吸着し、重金属イオンをキレート化する高カチオン性を持つことが特徴です。さらに、エチレンイミンは反応性高い1級・2級アミノ基を有することから、エポキシ、アルデヒド、イソシアネート化合物、酸性ガスと容易に反応します。

2. ポリエチレンイミンの安全性

皮膚刺激性および、強い眼刺激性があり、飲み込むと人体に有害です。水生生物への影響は確認されていませんが、内容物および容器は、承認さ れた廃棄物処理場に依頼し、廃棄する必要があります。

吸引した場合は、新鮮な空気のある場所に移動し、休息し、症状が続く場合は医師に連絡します。皮膚または眼に付着した場合は、直ちに大量の水で洗浄し、症状が続く場合は医師への連絡、手当が必要です。

3. ポリエチレンイミンの反応性

ポリエチレンイミンは、通常の1級、2級、3級の低分子アミンと同じ反応を起こします。アルデヒドやケトン、アルキルハライド、イソシアネートやイソチオシアネート、活性炭素二重結合、エポキシ化合物、シアナマイド、グアジニンや尿素、酸、脂肪酸、酸無水物、環状酸無水物やアシルハライドなどの試薬と反応します。

4. 取扱方法

作業者は適切な保護マスク、保護手袋、側板付き保護眼鏡、長袖作業衣の着用が必要です。作業時は飲食、喫煙を避け、作業後はよく手を洗います。

屋内作業場で使用する場合は、発生源の密閉化、または局所排気装置を設置します。また取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い・洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示し非常事態に備えます。

作業時は火気に注意し、高温物、スパーク、強酸化剤との接触を避けて取扱い、容器は遮光し、換気のよい 涼しい場所に密閉して保管が必要です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0116-1781JGHEJP.pdf
https://www.junsei.co.jp/upfile/topics/21/21-2.pdf

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