メタクリル酸メチルとは
メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate)は、不飽和脂肪酸エステルの一つです。エタノール及びアセトンに溶け、水にやや溶けにくい性質があります。一般名として、メチルメタクリレート、MMA、アクリルモノマーとも呼ばれます。
特有の臭気をもつ無色の引火性の高い液体及び蒸気です。そのため、作業環境で火花を発生させないことが重要で、特に静電気放電に対する予防措置(アースの設置など)が必要です。
長期間、繰り返し曝露される環境で吸入すると、アレルギー、喘息、呼吸困難を起こすおそれがあります。また神経系にも作用し、眠気、めまいのおそれがあります。
メタクリル酸メチルを原料としたアクリル樹脂は、非常に透明性の高い非晶質の合成樹脂です。そのため、ポリメタクリル酸メチル樹脂(略称PMMA)の透明固体材は、アクリルガラスとも呼ばれ、水族館の大型の水槽などにも使用されます。
メタクリル酸メチルの使用用途
メタクリル酸メチルは、主に吹き付けアクリル板、押し型成形樹脂の製造に用いられています。
重合体、および共重合体はメタクリル樹脂と呼ばれ、塗料用樹脂の原料、樹脂改質剤、塗料、紙のコーティング剤、接着剤、繊維加工材、歯科補填物、外科用セメント、合成指爪、義肢装具などに使用されています。
また、メタクリル樹脂は透明性、耐候性、リサイクルが可能な環境対応性などの優れた特性があるため、近年はIT向けや自動車向けなどの用途が拡大しています。
最近では、3Dプリンターの成形材の1つとして使われています。装置も安価になり、硬くて精細な形成ができるようになりました。中でも医療分野では術前検討において形態の確認、術式検討に用いるなど、非常に有用です。ただし、かなり硬い素材ですので、成形後の切断はかなり難しい場合があります。