生ごみ処理装置

生ごみ処理装置とは

生ごみ処理装置とは、事業所や家庭から発生した生ごみの減量や消臭等を目的として使用される機械の総称です。

生ごみは一般ごみの総重量の約3割を占めているため、水分等を飛ばして重量や容積を減らせば搬出や回収の手間を減らせます。

現在生ごみ処理装置の方式はヒーター等で水分を蒸発させる加熱式や基材と生ごみを混ぜ合わせてバクテリアの作用で分解するバイオ式の2種類が主流です。他に加熱式の派生で生ごみを高温で処理して炭へと変換する炭化式も一部で利用されています。

生ごみ処理装置の使用用途

生ごみ処理装置は食品工場や飲食店等の事業用生ごみや家庭用生ごみの減量や再利用を目的として幅広く用いられています。

生ごみ処理装置を用いて減量したごみは廃棄するだけではなく再利用が可能であり、飼料や肥料の原料として使用可能です。再利用を目的とした場合にはバイオ式の装置を用いた生成物の方がより適しています。

家庭用の生ごみ処理装置は生ごみ回収の負担軽減になるため、一部の自治体で補助金交付の対象となっています。

生ごみ処理装置の原理

生ごみ処理装置の種類には、加熱式、バイオ式、粉砕式、乾燥式、炭化式、ハイブリッド式があり、生ごみ処理の原理が違います。

1. 加熱式

処理槽内に生ごみを投入して攪拌し、ヒーター等を用いて加熱すると生ごみの水分を蒸発させて体積を減らせます。装置から発生する排気は脱臭装置によって消臭されます。

2. バイオ式

生ごみを基材とともに投入し、酸素存在下で攪拌や加熱によってバイオ菌が生ごみを発酵させて体積を減らします。コンポスト式とも呼ばれ、処理時間は4~20時間ほどです。有機物、二酸化炭素、水に分解され、残った有機物は肥料に活用されます。処理時には腐葉土のような匂いがするため、排気には脱臭装置が用いられます。

従来は堆肥としての利用が一般的でした。近年では堆肥となる中間生成物を最終的に水と二酸化炭素まで分解する消滅型と呼ばれる製品も開発されています。

3. 粉砕式

ディスポーザーとも呼ばれ、直接キッチンの排水口に取り付けて水とともに生ごみを流し入れると処理できます。

シンクの下で匂いが漏れないように処理でき、蓋を開閉する必要もありません。硬い貝殻や骨を処理できる製品もあります。

4. 乾燥式

熱風を送って生ゴミを乾燥させます。

5. 炭化式

生ゴミを蒸し焼きにして炭化させます。

6. ハイブリッド式

バイオ式と乾燥式の特徴を併せ持っています。生ごみと専用の処理剤を混合して温風を当てて素早く堆肥化させます。

生ごみ処理装置の選び方

生ごみ処理装置には複数の種類があるためメリットやデメリットを考慮して選ぶ必要があります。

1. 加熱式

生ごみと一緒に混ぜ合わせる基材は必要ありませんが、ヒーターの稼働のコストが高いです。

2. バイオ式

木材チップやおがくず等の基材の投入が必ず必要です。加熱式と比較して低温で反応でき、生成物を堆肥として利用可能です。

3. 粉砕式

生ごみの分別や処理機の手入れが面倒な場合に適しています。しかし設置に工事が必要で、処理音が大きいです。粉砕式の利用を禁止している自治体もあり、賃貸物件では導入できない場合も多いです。

4. 乾燥式

生ゴミに含まれる水分を蒸発させて減容し、数時間で乾燥が完了するためそのままゴミとして捨てられます。生成物は堆肥に利用可能ですが、減容率が低いため生成物の廃棄負担が伴います。温風を当て続ける必要があり、消費電力や燃料費が高いです。

5. 炭化式

高温で生ゴミを炭化させるため乾燥式より減容率は高いです。生成物は土壌改良材や燃料に使用可能です。ヒーターの稼働の消費電力や燃料費が高く、加熱式よりも高温が必要です。現状では焼却炉と見なされる場合が多く、ダイオキシンなどの法的規制をクリアする必要があります。

6. ハイブリッド式

乾燥式よりも消費電力が少ないです。処理剤を投入する必要があります。

参考文献
https://www.env.go.jp/hourei/11/000060.html
https://www.city.machida.tokyo.jp/kurashi/kankyo/gomi/event/namagomi/hojyoseido/namagomishorikitoha.html
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/gomi/about.html#gomi1

製函機

製函機とは

製函機

製函機とは折り畳まれた段ボール箱を立体的に組み立て、底面をテープやホットメルトで貼ることによって作業の省力化を図る機械です。

一方、内容物を詰め終わった後に上面テープ貼りを行う機械は封函機と呼ばれ、両者の機能を合わせ持った製品も存在します。

現在主流である全自動製函機をラインに組み込むことにより、製函工程でライン従事者に必要とされる作業は段ボールシートの供給のみとなるため、大幅な省力化を図ることが可能です。

製函機の使用用途

製函機は製造業、農林水産業、通信販売業等、幅広い業種の工場や倉庫で段ボール箱の組み立ての為に利用されています。

最も標準的なものはA式段ボール箱(いわゆるミカン箱)の組み立て及びテープ張り作業を目的としたものですが、接着にホットメルトを使用するもの、また、ワンタッチ箱やトレーの組み立てを目的とした製品も存在します。

半自動製函機は段ボール箱の折り作業のみを行い、テープ貼りは手作業で行うのに対し、全自動製函機は箱折り作業とテープ貼りの両方を自動で行います。

製函機の原理

最も一般的A式段ボールの組み立て及び底貼りを行う自動製函機では、マガジン部分に積み込まれた段ボールシートが1枚ずつ装置内に取り込まれ、底フラップが折り込まれた後にテープ貼りされた後、装置外へと排出されます。動力には電気と空気圧が併用されています。

異なる形式の段ボールの組み立てには異なる装置が必要ですが、同形式の段ボールであればハンドル等を操作することにより、サイズの調整が可能です。

組立中に起こりうるトラブルとして装置内への段ボールの搬送ミスやテープ残量不足、ケース開き不良等が想定されますが、それらを未然に防止あるいは発生時に対処するため、各種のセンサーによる検知、警報、予報装置が備え付けられています。

一方、半自動製函機では全自動製函機からテープ貼り機構等が省略されるため、製函に手作業の工程が必要となります。しかし、全自動製函機と比較して小型で装置の構造が簡単であり導入コストが安い、電気もしくは空気圧いずれか一方でも動作可能といったメリットがあるため、費用対効果を考慮してこちらが用いられることがあります。

参考文献
https://www.sekisui-pack.com/search/category/machine/caset/index.html
https://tape-omakase-navi.com/column/post-639/
http://www.strapack.co.jp/wp-content/uploads/2020/05/AF-5N.pdf
https://www.daiwa-eng.com/seikan/

接続ケーブル

接続ケーブルとは

接続ケーブル

接続ケーブルとは、種類の違う機器同士を接続するためのケーブルのことを指します。

古く使用される接続ケーブルで代表的なものは、ファミコンとテレビを接続するケーブル等です。正式には、RCA接続ケーブルという名称です。ファミコンから信号を送信することで、テレビで動画と音声を再生するものです。

コンポとスピーカーの接続や、レコーダーとテレビの接続など、接続ケーブルの種類と用途を挙げれば、枚挙に暇がないほど使用されています。

接続ケーブルの使用用途

接続ケーブルの使用用途は、映像、音響、産業用まで幅広く使用されています。

一般家庭にあり、代表的な接続ケーブルとしては、映像関係のケーブルです。近年最も使用される映像ケーブルはHDMIケーブルです。音声用としては、同軸ケーブル等が古くから使用されます。

現在、インターネットの接続には、LANケーブルと呼ばれるシリアル信号伝送ケーブルが使用されます。LANケーブルも接続ケーブルの一種です。コンピュータに使用されるケーブルとして、USBケーブル等の接続ケーブルも広く用いられます。

接続ケーブルの原理

接続ケーブルは、その型式や信号種類によって送信するデータや原理が異なりますが、アナログ信号とデジタル信号に分けられます。

アナログ信号の代表例としては、イヤホンやスピーカー、アンプと接続する音声系接続ケーブルです。音声信号の接続ケーブルの仕組みとしては、まずマイク内部のダイヤフラムが振動します。ダイヤフラムの振動は磁場の影響下にあるコイルに伝えられ、コイルが振動することで電気信号へと変換されます。変換された電気信号は、アンプと呼ばれる信号増幅装置によって処理されたのちに、スピーカー等に伝えられます。スピーカー等はマイクと同じ構造をしており、ダイヤフラムを振動させることで音声へと変換します。アナログ信号処理は、物理量を連続的に取り出し、電気信号へと変化した後に増幅する装置がほとんどです。

デジタル信号の代表的なケーブルは、USBケーブルやLAN等の接続ケーブルです。デジタル信号は、ON又はOFFの2信号を、定められたサンプリングレートを基に繰り返すことで信号を送信する仕組みとなっています。ノイズに強く、サンプリングレートを変化させることで伝送データ量を増やすことが出来ます。

参考文献
島村楽器 意外と知らないマイクの基本知識 https://www.shimamura.co.jp/shop/nagoya/pa-rec/20201020/8263

絶縁電線

絶縁電線とは

絶縁電線

絶縁電線とは、絶縁処理を施された電線のことを指します。

電力会社から供給される電力は、特別高圧と呼ばれる超高電圧によって各所へ送電されています。特別高圧の電線路は数十m程度の高さにある鉄塔上であり、人が接触する危険性がないことから剥き出しの電線路です。従って、人が鉄塔に触れた状態で接触すると感電する危険性があります。

それに対して、一般家庭や商業施設には高圧電圧や低圧電圧で送電します。これらは、人が誤って接触する危険性もあるため、絶縁材で保護がされています。これを、絶縁電線と呼びます。

絶縁電線の使用用途

電線は、絶縁電線の方が多く使用されていると言っても過言ではありません。

身近な例としては、電柱上配線です。街路と一緒に立てられた電柱上で、黒い配線が架空敷設されている様子を見ることが出来ます。架橋ポリエチレンやゴムで絶縁されているため、黒色に見えています。また、一般家庭の壁面内に敷設された配線も、絶縁電線が一般的に使用されます。

また、家電製品を分解した際に、内部にビニールで被覆された電線を見ることがあります。これは、ビニル電線と呼ばれる絶縁電線の一種です。ドライヤ等に使用されるコンセントのコードも絶縁電線です。

絶縁電線は、一般家庭でも見ないことの方が少ない電線です。

絶縁電線の原理

絶縁電線は、一般的にシールド付き電線とシールド無しの電線に分けられます。

まず、シールド無しの電線は、中心に細長いが電路としての役割を果たします。VVFケーブル等と呼ばれる絶縁電線は銅線が1本で構成されており、VCTF等と呼ばれるケーブルは細い銅線が何本も撚られて構成されます。単線、撚線問わず、ケーブルの規格は内部銅線の太さによって呼称されます。一般に太いほど大きな電流を流すことができます。銅線の太さは、使用する末端機器の必要電力によって決定します。参考として、家庭用100Vコンセントなどは15A程度であり、断面積1.6mm2のVVFケーブル等が使用されます。

内部の電路に人が接触しないように、表面を絶縁被覆が施されます。絶縁被覆は、一般的にゴムか架橋ポリエチレン、塩化ビニルが使用されます。家庭用等としては塩化ビニルのみの使用が一般的です。産業用としては、架橋ポリエチレンと塩化ビニルを両方使って二重に絶縁処理を施します。

また、シールド付き電線は、塩化ビニル等の上からアルミや銅で遮蔽を施して誘導電圧を対策した電線です。一般に、誘導電圧で人体へ感電を引き起こす危険性がある高圧電圧で使用されます。誘導による誤差を無くすために、弱電電線でも使用される場合もあります。

組電池

組電池とは

組電池

組電池(英語: Battery)とは、セルと呼ばれる単電池を複数接続して一つのパックにしたものです。

ニカド電池ニッケル水素電池リチウムイオン電池などの組電池があり、接続する個数や接続の仕方によって、さまざまな電圧や容量の組電池を作ることができます。

また、用途に合わせてサイズ、形状、端子位置などを自由にカスタマイズすることができます。通常は、熱収縮チューブでパックにしますが、金属ケースや樹脂でパックしたものもあります。

組電池の使用用途

組電池はさまざまな用途に合わせて、形状、電圧、容量を自由に設計することができます。また、組電池の元になるセルとして、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などがあり、それぞれ特性が異なるため、用途に応じて選択することができます。

ニカド電池は昔からさまざまな機器に使われていますが、最近はより高容量で自己放電が小さいニッケル水素電池が主流になっています。また、リチウムイオン電池は、発熱や発火など安全性に課題がありますが、軽量で大容量であるため、携帯機器を中心に使われています。

組電池の原理

組電池には、セルをどう並べるかによってさまざまな形状があります。主なものに、円筒状のセルを横に並べたS配列、S配列を複数列並べたW配列、縦に並べたL配列、L配列を複数列並べたE配列があります。また、並べたセルを直列に接続することで出力電圧を高くしたり、並列に接続することで容量を増やすことができます。さらに直列と並列を組み合わせることで、所望の電圧と容量の組電池を作ることができます。

組電池の容量は、mAhやAhという単位で表します。例えば、1 Ahは、1 Aの電流を1時間流すことができる容量です。この容量に対して、実際に充電されている割合を示す指標が充電率(SOC)です。例えば、ニッケル水素電池は充電率25%~75%、リチウムイオン電池は充電率10%~90%の範囲で使用することで、電池のサイクル寿命を伸ばすことができると言われています。また、容量に対して放電した割合を示す放電深度(DOD)という指標があり、通常は浅い放電深度での使用を繰り返すことで寿命が長くなると言われています。

組電池は充放電を制御するコントローラが一緒になっていることがほとんどです。個々のセルの特性のばらつきによって充放電の状態にムラが生じないように、セルごとに充放電を制御したり、安全に急速充電を行うための制御を行っています。

参考文献
https://kenkou888.com/category18/
https://batterybank.jp/basic/

天井クレーン

天井クレーンとは

走行クレーン

天井クレーンとはm倉庫などの建屋天井に設置される荷揚・荷卸用クレーンです。

クレーンが走行できるように梁やレールを敷いた構造物をランウェイと呼びます。このランウェイを走行しつつ、吊荷を運搬する装置が天井クレーンです。通常、天井クレーンのランウェイは建屋の両側壁に沿って設けられます。

天井クレーンは走行・横行・巻上の3動作が可能な装置が一般的です。これによってクレーンフックを3次元的に動かすことが可能となり、建屋内のあらゆる場所の吊荷を移動させることができます。

天井クレーンの使用用途

天井クレーンは産業・商業用としてあらゆる場所で使用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 自動倉庫や大型倉庫の荷揚・荷下ろし用
  • タービンや発電機などの大型機器メンテナンス用
  • 電着メッキ工場における製品積卸用
  • 金属精製工場における中間生成物積卸用

天井クレーンの原理

天井クレーンは給電装置、ガーダ、サドル、トロリー、動力装置、ワイヤー・フックブロックなどから構成されます。

1. 給電装置

天井クレーンの動力源は、電気を用いる場合がほとんどです。移動する天井クレーンに電気を供給する給電装置は、主にカーテンケーブルかパンタグラフを用います。カーテンケーブルとはカーテンのように垂れ下がったケーブルです。

中継地点は滑車で支えられており、クレーンの走行に応じて滑車が走行して伸び縮みを吸収します。走行距離が短くかつ吊り上げ荷重が小さい、小規模なクレーンで使用されます。

パンタグラフは摺り石とばねから構成され、電圧を印可された導体と摺り石が接触することで電力を供給します。高速移動する天井クレーンや大型クレーンに適用します。

2. ガーダ

ガーダはクレーン全体を支持する構造物です。吊荷の荷重がかかるため、最大荷重に十分耐える強度が必要です。強度は担保しなければなりませんが重量は軽い方が良いため、長さと荷重に合わせて最適な形状・構造に設計されます。

簡単な構造の天井クレーンではI字型鋼が使用され、吊り上げ荷重が重くなるにしたがってアングルやトラス構造で補強されます。

3. サドル

サドルはランウェイ上を走行するための車輪が取り付けられた駆動部分です。ガーダを支えられる強度の車輪が選定されます。

ランウェイの構造に合わせてI型鋼にぶら下がる形状や、レールを走行する形状のサドルが製作されます。終端で壁面などと接触する危険がある場合は緩衝材などを取り付けて使用します。

4. トロリー

トロリーは、フックブロックやワイヤと共にガーダ上を横行する台車です。天井クレーンの種類に応じて構造が異なり、トロリーに運転席が付属する天井クレーンも存在します。

5. 動力装置

動力装置はクレーンが動作するための動力装置です。多くの天井クレーンではモータと減速機で構成されます。モータには可変速に対応するために巻線型モータなどが採用されます。近年ではインバータとかご型誘導モーターの組み合わせが使用される場合が一般的です。

動力装置に必要な動力は巻上用、走行用、横行用の順で大きくなります。巻上用動力装置が鋼鉄製ワイヤーやフックブロックを巻き上げることで吊荷を持ち上げます。また、巻上用動力装置には吊荷が自重で落下しないためにブレーキが付属します。小型の天井クレーンは横行・走行用駆動装置に人力チェーンブロックが使用される場合もあります。

天井クレーンの種類

天井クレーンは、構造によっていくつかの種類に分けられます。

1. ホイスト式天井クレーン

巻上装置にホイストを使用した天井クレーンです。既製品のホイストを使用することが可能なため安価に設置可能です。比較的小型の天井クレーンとして採用されます。

2. クラブトロリ式天井クレーン

巻上装置と横行装置を有するクラブトロリを使用した天井クレーンです。ホイスト式よりも大型のクレーンで採用されます。堅牢でメンテナンス性に優れている点が特徴です。ただし、設置スペースや必要能力に合わせて個別に設計するためホイスト式よりも高価です。

3. ロープトロリ式天井クレーン

横行装置や巻上装置を持たない台車をロープで駆動させる天井クレーンです。トロリ自体が簡単な作りとなるため、クレーン全体を軽量化可能です。ただし、ロープの摩耗による経年劣化が早い欠点があります。

参考文献
KITO クレーン https://www.kito.co.jp/products/cr/

帳票管理システム

帳票管理システムとは

帳票管理システムとは、法律で定められた期間、企業などが保有する帳票を効率的に管理するためのソフトウェアのことです。

近年では、テレワーク推進に伴う電子データの取り扱いが増え、帳票の電子データ管理に対する関心が高まりつつあります。必要なときにすぐ過去の帳票データを検索し、取得、出力や配信できる利便性の高いソフトウェアが求められています。

帳票管理システムでは、これまで紙媒体で保存していた帳票を一括して電子データとして保管することが可能です。帳票の設計や運用をシステム化して行うため、業務効率の大幅な改善が期待されます。システムの種類によってはワークフロー機能を持つため、業務プロセスの一部を変えることもできます。

帳票管理システムの使用用途

帳票管理システムは、業務の効率化や信頼性の向上、保管・検索の容易さなどを求める場合に利用されます。帳票データをクラウド上での保管が可能となり、利便性などの機能向上にも大きく貢献します。

経営活動を行う際は、取引や会計記録を残すために、帳票の作成が必要です。法律により一定期間、帳票を保管することが求められています。時として帳票を提示する可能性もあるため、きちんと管理しなければなりません。しかし、管理には労力がかかるため、帳票管理システムを利用し、効率的に行っています。

帳票管理システムの実用例として、金融商品取引法の対応が挙げられます。経営者は公認会計士又は監査法人の監査証明をつけた内部統制報告書を、内閣総理大臣に提出する義務が課される法律です。

内部統制報告書とは、企業が組織全体の業務を有効的・効率的に整備すること (内部統制) の状況をまとめた書類を指します。この内部統制報告書の作成に必要な監査証明を発行する際に、帳票管理が必要となるため、帳票管理システムを活用します。

帳票管理システムの原理

帳票とは、企業や個人事業主が経営を行う際の帳簿や伝票といった書類の総称のことです。経営活動を行う中で生じた取引や会計記録を残すために作成されます。仕訳帳や売上票などの「帳簿」と支払伝票や収納伝票などの「伝票」の2種類に分類されます。

帳票の一部は会社法では10年、法人税法では7年間、帳票を保管する必要があります。適切に管理できず、税務調査の際に提示出来ない場合にはペナルティを受ける恐れがあるため、帳票の管理方法は重要です。

帳票の管理は原則的に紙で行う必要がありますが、税務署に事前に申請書を提出して承認を受けることで、電子データとして保管することも可能です。帳票の設計から運用まで一元して管理するシステムは、運用負荷の低減や証跡管理、セキュリティ対策なども対応します。

帳票管理システムのその他情報

帳票管理システムの機能

帳票管理システムには、電子データ帳票の保管・検索・分類・出力・配信など様々な機能があります。電子データはExcelやWord、PDFといったフォーマットを取り扱ったり、出力時にはcsvでの出力を行ったりすることも可能です。そのため、他のデータ管理システムとも連携することで、電子データの自動保管ができるようになります。

帳票管理システムの配信機能では、メールやFAXでの送受信、システム独自クラウドを活用したウェブ上での配信もすることが可能です。取り扱いデータには機密情報も含まれるため、暗号化をして配信することが原則となっています。

暗号化とは、当事者同士以外の第三者が不正にデータを見ることを防ぐための加工のことです。一般的には保管した電子データに対してパスワードでロックをかけ、パスワードを個別に連絡することで複合 (ロックを解除) します。

参考文献
https://www.keyman.or.jp/coresys/formsys/
https://www.rakurakumeisai.jp/column/others/161201.php
https://www.grandit.jp/erp/glossary/form_management.html

サーマルプリンター

サーマルプリンターとは

サーマルプリンター

サーマルプリンターとは、熱を加えることで感熱紙や普通紙・ラベルに印字するプリンターのことです。サーマルプリンターには、印字方式により、ダイレクトサーマルプリンターと熱転写プリンターの2種類があります。

ダイレクトサーマルプリンターは、熱によって発色する専用の感熱紙に印刷し、熱転写プリンターは、熱によってインクが溶融或は昇華する熱転写インクリボンを使用して普通紙やラベルに印刷します。

従来は白黒のみのプリンターでしたが、近年のサーマルプリンターはカラー印刷ができる機種が増えています。インクジェットプリンターと競合していると言えます。

サーマルプリンターの使用用途

サーマルプリントヘッドはコンパクトで信頼性が高く、安価です。インクジェットプリントヘッドと比べてノズルにインクが詰まる心配もないので、サーマルプリンターは家庭用・業務用として広く使われています。

サーマルプリンターの中でもダイレクトプリンターは、トナーやインクリボンを必要としないメリットがあります。さらに、プリンターの部品点数が少ないことによる信頼性・廉価性・コンパクト性の利点が大きく、バーコードや値段などを印刷して商品に貼り付ける携帯型のラベルプリンターなどに使われます。

また、レジのレシートプリンター、写真をその場で印刷できるモバイルプリンターや玩具プリンターなど幅広く使われています。サーマルプリンターの内、もう1つの熱転写プリンターは、安価でコンパクトなことと、普通紙への印刷ができることから、家庭用のFAXのプリンターに使用されています。

また、インクにじみが少なく、耐水性や耐候性の利点を生かして、バーコードや消費期限などを印刷するラベルプリンターに使われます。染料インクを使う熱転写プリンターは、表現力の高さを生かして、フォトプリンターに多用されています。

サーマルプリンターの原理

サーマルプリンターは、サーマルプリントヘッドと呼ばれる印字ブロックに組み込まれた発熱素子を加熱することで印字を行います。印字方法により、ダイレクトサーマルプリンターと熱転写プリンターの2種類に分けられます。

1. ダイレクトサーマルプリンター

ダイレクトサーマルプリンターは、熱によって化学反応で発色する感熱紙を使用して、サーマルプリントヘッドの熱により直接感熱紙に印字する方式です。ランニングコストが安く、プリンターが小型にできる特徴があります。反面感熱紙は、熱や薬品により変色しやすいので、長期間使用するラベルには不向きです。

2. 熱転写プリンター

熱転写プリンターは、熱転写インクリボンを使用して、サーマルプリントヘッドの熱でインクリボンのインクを紙に転写することにより印字する方式です。ラベルの基材選定により、熱、薬品などに強いものが作れる特色があり、耐環境性を要求される場合はコスト高の問題はあっても、熱転写プリンターが使われます。プリンターの大きさが大きくなるデメリットがあります。

サーマルプリンターのその他情報

サーマルプリンター用の感熱紙とインクリボン

ダイレクトサーマルプリンターに使用する感熱紙は、基材となる紙やフィルムに、有色と無色を切り替えられる色素であるロイコ染料と顕色剤を主成分とする層が塗布されたものです。サーマルプリントヘッドの熱によって、感熱層に含まれる顕色剤が溶融してロイコ染料に作用し、ロイコ染料が発色します。この発色をプリンターで制御し、文字やバーコードを印字します。

熱転写プリンター用のインクリボンは2種類の方式があり、溶融型熱転写方式と昇華型熱転写方式です。溶融型に使用するインクリボンには、熱により溶融するインクが塗布されています。サーマルプリントヘッドの熱によりインクが溶けて紙に転写され、冷えると固化して定着します。

昇華型のインクリボンは、熱により昇華するインクを塗布したもので、サーマルプリントヘッドの熱によりインクが気化して紙に転写されます。加える熱を変化させてインクの濃度を連続的にコントロールできるので、滑らかな階調表現ができます。フォトプリンターに向いています。

電磁ブレーキ

電磁ブレーキとは

電磁ブレーキ

電磁ブレーキとは、電磁石の力でブレーキ掛ける装置のことです。

電磁ブレーキは、電源喪失時にブレーキが掛かるようになっているものが一般的です。従って、咄嗟の際にブレーキを掛けなければならない場合に使用されます。一般家庭ではあまり見ることはなく、産業用途で使用される装置です。

電磁石を用いるため、動力として電気を使用します。動力源は揃えた方がコストパフォーマンスが高くなるため、同じ電気で駆動するモーターの停止用として使用されることがほとんどです。

電磁ブレーキの使用用途

電磁ブレーキは、自動車で使用されることはほぼありません。基本的には減速機付モーターで使用されます。

代表例としては、クレーンの巻上装置等です。電源喪失時にブレーキが掛からなければ、吊っていた荷が落下してしまい、大変危険です。従って、クレーンの巻上装置には電磁ブレーキが使用され、緊急時の吊荷が停止するようにします。

また、ベルトコンベア等でも電磁ブレーキが使用されることがあります。停止した際に、惰性でワークが流れてしまわないために使用されます。

電磁ブレーキの原理

電磁ブレーキは、主に電磁石部分、ロータ部分、ブレーキ部分の3つの部品に分けられます。

電磁石部分は、電磁ブレーキの動作を司る電気回路を担ってます。鉄心にコイルを巻いた部品は、コイルに電気を流すことで、鉄心が磁石のように磁場を発生させます。これを、電磁石と言います。電磁ブレーキの電磁石は、磁力によってローターを引き寄せ、ブレーキの動静を制御しています。

ローター部分は、回転軸の動きと同じように動く部品です。ブレーキを掛けていないときは回転軸と同じように回転しており、ブレーキを掛けるとばねの力でブレーキと接触します。ブレーキとローターの摩擦によって回転体が急激に静止することでブレーキを掛けます。

ブレーキ部分は、ローターを静止させる当たり面を指します。ブレーキシューやアーマチェアと呼ばれます。連続して静止させたり、ロータを擦りながら回転させると摩擦によって熱を持ち、ブレーキ部分焼損などの故障が起こります。そのため、ロータとの距離の調整や当たり具合を調整することが肝要となります。

参考文献
電磁クラッチ・電磁ブレーキとは https://www.mikipulley.co.jp/JP/Products/ElectoromagneticClutchesAndBrakes/about.html

電波吸収体

電波吸収体とは

電波吸収体

電波吸収体 (英語: Radar absorbent material (RAM) )とは、入射した電波を吸収し、反射を抑えることができる物質のことです。電波吸収材料ともいいます。入射した電波のエネルギーを熱エネルギーに変換して消費させます。

電波吸収体は、材料や形状によって電波を吸収する原理が異なり、いくつかの種類があります。種類によって吸収できる周波数帯域が異なるので、用途に合わせて電波吸収体を選んだり、適切な設計を行う必要があります。

電波吸収体の使用用途

電波吸収体の主な用途として、通信機器や家電製品など電子機器のノイズ対策、ETCやレーダーなどの反射防止、電波暗室などの評価施設、などが挙げられます。それぞれの用途に合った特徴を持つ電波吸収体が使用されます。

例えば、電子機器向けでは、その電子機器が発する特定の周波数に対してシールドすることができ、また電子機器に組み込めるようなシート状のものが用いられます。一方で、電波暗室など評価施設用では、広い周波数帯に吸収特性を持つピラミッド型の立体形状をした電波吸収体が用いられます。

電波吸収体の原理

電波吸収体には電波を吸収する原理によっていくつかの種類があり、主なものとして、抵抗性、誘導性、磁性の3つがあります。

抵抗性タイプは、導体に電波を入射することで発生する誘導電流を導体自身の抵抗によって消費させ、熱エネルギーに変換して電波のエネルギーを吸収させます。

誘電性タイプは、発泡ポリエチレンやゴムなどの誘電体にカーボン粒子などを混ぜることで、カーボン粒子自体の抵抗成分とカーボン粒子間の容量成分を利用します。入射する電波が低周波の場合はほとんど電流が発生しませんが、高周波になるにつれて容量成分のインピーダンスが低下し電流が流れます。それを抵抗で消費させることで熱エネルギーに変換し電波のエネルギーを吸収させます。

誘電性タイプはその形状によってピラミッド型やシート状などがあります。ピラミッド型は混ぜ込む材料だけでなくその形状によっても吸収する周波数帯が決まるため、広い周波数範囲を吸収させるように設計することができます。

磁性タイプは、フェライトなどの磁性材料をタイル状に成形したもので、磁気損失によって電波のエネルギーを吸収させます。誘電性タイプに比べて低周波帯で吸収特性を持たせることができます。そのため、誘電性タイプと磁性タイプを組み合わせることで広い周波数帯を持たせた電波吸収体もあります。

他には、入射波に対し180度の位相差を持たせて反射波を打ち消すようなものもあります。

参考文献
https://www.jse-emc.co.jp/products/absorber/
https://www.tdk.com/ja/tech-mag/ferrite02/011
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mukimate2000/11/312/11_312_314/_pdf