電波吸収体

電波吸収体とは

電波吸収体

電波吸収体 (英語: Radar absorbent material (RAM) )とは、入射した電波を吸収し、反射を抑えることができる物質のことです。電波吸収材料ともいいます。入射した電波のエネルギーを熱エネルギーに変換して消費させます。

電波吸収体は、材料や形状によって電波を吸収する原理が異なり、いくつかの種類があります。種類によって吸収できる周波数帯域が異なるので、用途に合わせて電波吸収体を選んだり、適切な設計を行う必要があります。

電波吸収体の使用用途

電波吸収体の主な用途として、通信機器や家電製品など電子機器のノイズ対策、ETCやレーダーなどの反射防止、電波暗室などの評価施設、などが挙げられます。それぞれの用途に合った特徴を持つ電波吸収体が使用されます。

例えば、電子機器向けでは、その電子機器が発する特定の周波数に対してシールドすることができ、また電子機器に組み込めるようなシート状のものが用いられます。一方で、電波暗室など評価施設用では、広い周波数帯に吸収特性を持つピラミッド型の立体形状をした電波吸収体が用いられます。

電波吸収体の原理

電波吸収体には電波を吸収する原理によっていくつかの種類があり、主なものとして、抵抗性、誘導性、磁性の3つがあります。

抵抗性タイプは、導体に電波を入射することで発生する誘導電流を導体自身の抵抗によって消費させ、熱エネルギーに変換して電波のエネルギーを吸収させます。

誘電性タイプは、発泡ポリエチレンやゴムなどの誘電体にカーボン粒子などを混ぜることで、カーボン粒子自体の抵抗成分とカーボン粒子間の容量成分を利用します。入射する電波が低周波の場合はほとんど電流が発生しませんが、高周波になるにつれて容量成分のインピーダンスが低下し電流が流れます。それを抵抗で消費させることで熱エネルギーに変換し電波のエネルギーを吸収させます。

誘電性タイプはその形状によってピラミッド型やシート状などがあります。ピラミッド型は混ぜ込む材料だけでなくその形状によっても吸収する周波数帯が決まるため、広い周波数範囲を吸収させるように設計することができます。

磁性タイプは、フェライトなどの磁性材料をタイル状に成形したもので、磁気損失によって電波のエネルギーを吸収させます。誘電性タイプに比べて低周波帯で吸収特性を持たせることができます。そのため、誘電性タイプと磁性タイプを組み合わせることで広い周波数帯を持たせた電波吸収体もあります。

他には、入射波に対し180度の位相差を持たせて反射波を打ち消すようなものもあります。

参考文献
https://www.jse-emc.co.jp/products/absorber/
https://www.tdk.com/ja/tech-mag/ferrite02/011
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mukimate2000/11/312/11_312_314/_pdf

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