ハンドサンダー

ハンドサンダーとは

ハンドサンダー

ハンドサンダーは手動で操作されるサンダーの総称です。サンダーとは表面を磨いたり削ったりするために使用される工具の総称で素材の表面を研磨するために使用されます。
ハンドサンダーには平面研磨用のフラットサンダーや曲面研磨用のロータリーサンダーなどがあります。フラットサンダーは平面の研磨作業に適しています。一方、ロータリーサンダーは曲面の研磨作業に適しています。ハンドサンダーには、研磨紙を固定するためのクランプ式、フック&ループ式、接着剤式などの異なる取り付け方法があります。

ハンドサンダーの使用用途

1. 木材の表面処理

ハンドサンダーは木材の表面を滑らかにするために使用されます。研磨紙を取り付けたハンドサンダーを使用して、木材の表面に塗装する前に傷や凹凸を取り除いて表面を滑らかにできます。

2. 金属の表面処理

金属を磨いたり、金属から錆びを取り除いたりするためにハンドサンダーを使用できます。研磨紙を取り付けたハンドサンダーを使用して、金属の表面の傷や凹凸を取り除いたり、錆びを落としたりできます。

3. 塗装前の下地処理

塗装する前に、壁や天井の表面を滑らかにするためにハンドサンダーを使用できます。研磨紙を取り付けたハンドサンダーを使用して、塗装する前に傷や凹凸を取り除いたり、表面を滑らかにできます。

4. 修理作業

ハンドサンダーは修理作業にも使用されます。例えば壁や床などの表面に傷がついた場合に、研磨紙を取り付けたハンドサンダーを使用して傷を修正できます。

5. 車両整備

車両のパーツを研磨したり塗装する前に表面を滑らかにしたりするためにハンドサンダーを使用できます。またハンドサンダーは、自動車のボディ修理作業にも使用されます。

6. 金属製品の仕上げ作業

金属製品を仕上げるためにハンドサンダーが使用されることがあります。例えば金属製の家具や金属製の機械部品の表面に研磨紙を取り付けたハンドサンダーを使用して表面を滑らかに仕上げられます。

ハンドサンダーの原理

ハンドサンダーは「サンドペーパー」と「サンドペーパーを固定するための台座」「ハンドル」の三つの要素で構成された工具です。

ハンドサンダーには、手動式のフラットサンダーやロータリーサンダー、電動式のフラットサンダーやロータリーサンダーがありますが、共通している原理は、研削用紙によって素材の表面を磨く点です。

手動式のフラットサンダーは、手動で研削用紙を動かすことで表面を磨く研磨工具です。研削用紙は台に固定され、素材を磨く際には手で研削用紙を動かします。素材に合わせて適切な研削用紙の目数を選ぶことで、表面を均一に磨けるため、フラットサンダーは、素材の表面を平滑に仕上げるために使用されます。

手動式のロータリーサンダーは、研削用紙を円盤状のヘッドに固定し、回転させることで表面を磨く研磨工具です。素材によっては、ヘッドを変えることで磨きやすくすることができます。手動式のフラットサンダーと比べ、回転させることでより広い範囲の表面を磨くことができますが、細かい部分や狭い箇所の磨きには向いていません。ロータリーサンダーは、平滑な表面や曲面を仕上げるために使用されます。

ハンドルを持って手動でハンドサンダーを動かして、素材の表面を研削します。具体的には、サンドペーパーの表面に付着させられている研削粉末が、加工対象物の表面を削り取ることで表面の不均一な凹凸を研磨して、平滑な平面や曲面をを作り出します。この過程を繰り返すことで、素材の表面を平滑に研磨できます。

ハンドサンダーの特徴

長所

(機動性が高い)
ハンドサンダーは手動で操作するため、機動性が高く、狭いスペースや曲がりくねった部分など、他の工具では処理しにくい箇所でも作業が可能です。

(扱いやすい)
ハンドサンダーは軽量で取り回しが容易なため、長時間の作業でも疲れにくく、精度の高い作業が可能です。

(安価)
ハンドサンダーは比較的安価に購入できます。また電動式のサンダーに比べて維持費が安く、メンテナンスも簡単です。

(多目的に使用できる)
ハンドサンダーは、研磨や研削、荒削り、塗装剥離など、多目的に使用できます。使用する研削用紙の種類によって、異なる用途にも対応できます。

(精度の高い加工が可能)
ハンドサンダーは、手動で操作するため、細かい調整が可能です。

短所

(手首や肩などへの負担)
ハンドサンダーを使用する際、手首や肩などの関節に負担がかかることがあります。長時間の作業や重い材料を扱う場合は、疲労や負傷の原因となるため注意が必要です。

(仕上がりのムラ)
ハンドサンダーは、使用者の技量や作業方法によって仕上がりのムラが生じることがあります。特に平面的な部分については、サンドペーパーのすり減りや角度のズレによって仕上がりが不均一になることがあります。

(汚れの問題)
ハンドサンダーを使用すると、研削時に発生する粉塵やカスが周囲に散乱することがあります。

(切れ味の低下)
サンドペーパーは使用する回数や使用状況によって切れ味が低下することがあります。切れ味が低下すると、仕上がりが悪くなったり、作業に時間がかかるようになるため、定期的な研削用紙の交換が必要となります。

ハンドサンダーのその他情報

1. 電動式のハンドサンダー

手動式のハンドサンダーに加え、電動式のハンドサンダーもあります。電動式のハンドサンダーは、モーターを内蔵し、手動で操作する必要がないため、手首や肩などへの負担を軽減できることが利点です。また高速回転により、素材の表面をより効率的に研磨できます。

2. ダストバッグ

ハンドサンダーを使用すると、研削時に発生する粉塵やカスが周囲に散乱することがあります。そのため一部のハンドサンダーには、ダストバッグが付属しています。

3. 様々な研磨用具の種類

ハンドサンダーには、研磨紙以外にも、スチールウールや砥石、ブラシなどの様々な研磨用具を取り付けられます。これらの研磨用具を使用することで研磨面の質感や仕上げ方を変えられます。

 

逆浸透膜浄水器

逆浸透膜浄水器とは

逆浸透膜浄水器

逆浸透膜浄水器とは、水分子のみを通すことができる半透膜を使用した浄水器のことです。

別名RO (Reverse Osmosis) 浄水器も呼ばれています。半透膜は2ナノメートル以下という非常に微細な孔径が存在し、通常の浄水フィルター (中空糸膜・活性炭など) では除去できない物質 (ミネラル、細菌、ウイルス、トリハロメタン、塩素、環境汚染物質、重金属、放射性物質など)の除去も可能です。

逆浸透膜浄水器は、逆浸透現象を利用します。逆浸透現象は、水溶液 (原水) 側に圧力を加えて、半透膜を介して水分子を移動させることにより、純度100%に限りなく近い純水を作り出すことが可能です。作り出された純水は、ミネラル分 (カルシウム、マグネシウム、無機塩類など) を含んでいないため、いわゆる「超」軟水に該当します。

逆浸透膜浄水器の使用用途

逆浸透膜浄水器は、飲料水確保のための海水の淡水化が目的で開発されましたが、その後「宇宙空間において生活排水を飲料水に再利用する」「実験用、医療用水としての高純度純水」「災害時における飲料水確保」「硬水の軟水化」など、さまざまな目的で使用されています。

特に医療業界では、透析における水処理装置として逆浸透膜浄水器に用いられている技術が応用されており、必須の技術です。2011年東日本大震災後の福島第一原子力発電所事故により、東京都金町浄水場など首都圏の水道水から基準値以上の放射性物質が検出されています。

それがきっかけで、水道水から放射性物質を除去することができる逆浸透膜浄水器が注目されるようになりました。

逆浸透膜浄水器の原理

図1. 逆浸透膜浄水器の原理

逆浸透膜浄水器には、一定の大きさ以下の分子やイオンしか通さない半透膜を使用します。半透膜の材質として、再生セルロース、アセチルセルロース、ポリアクリロニトリル等が用いられています。浸透現象は、半透膜を隔てた片方に高濃度水溶液 (不純水) 、もう片方に低濃度水溶液 (純水) が存在する場合、水分子が半透膜を介して、低濃度水溶液 (純水) 側から高濃度水溶液側へ移動する現象です。

一方、逆浸透現象では、高濃度水溶液側に圧力を加えることによって、高濃度水溶液側の水分子が半透膜を介して低濃度水溶液 (純水) の方に移動するという現象で、逆浸透膜浄水器はこの原理を用いています。逆浸透膜浄水器では、一般的に原水となる不純物を含む水を100%純水にすることができず、生産できる純水の約2倍量の廃棄水が発生します。

また、海水のように不純物を多く含む水溶液 (原水) を処理する場合は、逆浸透現象を起こすROモジュールに直接原水を通すと、半透膜はすぐに目詰まりを起こしてしまうため、原水中の不純物濃度、濁度に応じた前処理が必要です。さらに、前処理によっても除去できない不純物 (イオンなど) が高濃度の場合、水溶液側にかける圧力を高くする必要があり、その際にポンプを使用して加圧しなければなりません。

逆浸透膜浄水器のその他情報

1. 家庭用逆浸透膜浄水器の水処理過程

図2. 家庭用逆浸透膜浄水器の水処理過程

家庭用逆浸透膜浄水器の場合、まず原水はセディメントフィルターに通します。セディメントフィルターの孔径は通常約1~5μmです。次に、処理水は活性炭 (カーボン) フィルターに通し、カルキ (塩素) 、臭いを取り除きます。

通常、逆浸透現象で用いる半透膜はカルキ (塩素) に弱く、カルキ (塩素) 除去が必要です。そして、逆浸透膜モジュールに処理水を通し、逆浸透現象によって純水を作製します。

2. 逆浸透膜浄水器のメリットとデメリット

逆浸透膜浄水器は、「極めて高純度の純水を作る出すことが可能である」というメリットの反面、「原水を100%純水に変えることができない (廃棄水が発生する) 」「加圧 (ポンプ) が必要である」「原水の状態によって、適切な前処理をする必要がある」などのデメリットも存在します。

また、逆浸透膜浄水器は原理上、複雑なシステム構造となるため、他の浄水器に比較し高価です。そのため、使用目的を鑑み、どの程度の純度の純水が必要なのかを考慮し、純水製造装置を選定する必要性があります。

参考文献
https://www.hydropure.co.jp/
https://waterstand.jp/waterlife/water_filter_server/waterlife00103.html
https://www.verusaqua.co.jp/
https://www.hama-josui.com/wate/

近赤外カメラ

近赤外カメラとは近赤外カメラ

近赤外カメラ (英: near infrared camera) とは、一般的なカメラでは映すことができない赤外線波長域の光を撮影できるカメラです。

近赤外線は、波長が700nmから2,500nm (0.7~2.5μm) の電磁波の1種です。人間の目で見ることができる可視光よりも波長が長いので、肉眼で見ることができません。

物体はその組成によって光の反射や吸収の仕方が異なっているため、この特性の違いを利用し、人間の目で見えない光を近赤外カメラによって可視化することが可能です。そのため、近赤外カメラは電子部品から農産物まで幅広い製品の検査で利用されます。

近赤外カメラの使用用途

近赤外カメラの使用用途は、人間の目で見ることができない近赤外線を写すことができるため、監視や検査、観察などです。被写体は様々で、医薬品や電子部品などから、農産物や食品など多岐にわたります。

具体的には、農作物の鮮度を判別したり、食品に異物が混入していないかを検査したり、医薬品の成分や肌の水分を分析したりする際に使用されます。また、塩・砂糖・調味料の区分が可能です。

果実のキズや木材の割れの検出、水と油の分別、ICカード内の回路読み取りなどの用途があります。今後も更なる使用領域の拡大が期待されます。

近赤外カメラの原理

近赤外カメラは、物質ごとの近赤外光の吸収量を画像として表示するものです。近赤外線は赤外線をさらに分別した中で、可視光線よりも波長が長く、電波よりも短い赤外線です。

近赤外線は太陽光中にもあるような日常に身近なので、人体や食物などに照射しても影響のない安全な光と言えます。色や熱には特徴を示しませんが、光の中で物体に一番吸収されやすい光です。

近赤外カメラの原理は、物質によって光の反射や吸収の度合いが異なることを利用する方法です。波長域の異なる光によって見え方が違うので、その違いのコントラストを強調させることで、異なる物質同士でも可視化することができます。

被写体に近赤外線が含まれた光を投射すると、異なる物質で光の反射や吸収の違いが特徴として画像に表れ、これを映すことで可視化しています。

近赤外カメラのその他情報

1. 近赤外カメラと遠赤外カメラの違い

赤外線は、さらに細かい波長域で3分類されます。

  • 0.7~2.5μm:近赤外線波長
  • 2.5~4μm:中赤外線波長
  • 4~1,000μm:遠赤外線波長

近赤外カメラと遠赤外カメラは、可視化出来る波長の範囲が異なります。また、カメラの検査対象となる被写体も近赤外カメラと遠赤外カメラとで異なっています。

近赤外カメラの対象は、食料品や医薬品、化粧品などの不良品検査に対し、遠赤外カメラは防犯セキュリティや車のドライビングアシスト用に、暗部での人や動くものが対象です。<近赤外カメラは、自ら熱を発するような物体の検知はできません。

そのほとんどが日中の太陽光下や照明器具による反射光を利用して観測を行います。近赤外カメラでのノイズ対策は比較的容易です。余計な反射を行う箇所を反射しない黒い布で覆えば改善できます。

遠赤外カメラは、熱を発するものをほとんど検知できるため、どんなに暗闇でも被写体と背景の間に温度差があれば、観測が可能です。ただし、日中は熱を発する物体が多くあるため、検査対象ではない物体は、すべてノイズとして観測されます。

2. 近赤外カメラの映像の見え方

近赤外線は電磁波の1種なので、人間の肉眼では見ることができない光です。しかし、可視光下で見分けがつかない被写体に対して、近赤外カメラで撮影すると、通常見分けができない被写体に対しても見分けることができるようになります。

例えば、食塩、砂糖、調味料は可視光下ではほとんど見分けがつきませんが、1.5μmの近赤外カメラで撮影すると、それぞれを見分けることが可能です。3種類の粉体の赤外光吸収度が、可視光下ではほぼ同じなのに対して、近赤外線下では異なることが理由として挙げられます。

塩は約1.1μmの吸収波長ですが、砂糖は約1.3μm、調味料は約1.5μmの赤外光吸収波長を有しています。そのため、1.5μmの近赤外カメラで撮影すれば3種類の粉体を見分けることが可能です。

参考文献
https://www.avaldata.co.jp/solution_imaging/near_infrared/near_infrared_camera.html
https://www.avaldata.co.jp/products/imaging/near-infrared-camera
https://www.asanumashoukai.co.jp/sanki/industry/photographic-equipment/ingaas
https://www.ko-pro.tech/200317marutto/

輪転機

輪転機とは

輪転機

輪転機とは、回転する円筒の間に印刷紙を通しながらインキを移して印刷する機械です。

回転する円筒に湾曲する印刷版を取り付け (版胴) 、版胴についたインキをブランケット胴と呼ばれる転写ローラーに一旦移します。巻取り紙と呼ばれる印刷紙をブランケット胴と圧胴と呼ばれる円筒との間に挟みながら巻き取ることにより、印刷を行います。オフセット印刷の印刷機の1つで、両面印刷や多色印刷を高速で処理することが可能です。新聞やチラシなど、多量に印刷するものを得意としています。なお、巻取り紙を使用する輪転機に対し、カットした紙を使用する印刷機は枚葉機と呼ばれています。

輪転機の使用用途

輪転機は、主にオフセット印刷で低コストかつ大量に印刷する際に使用されます。具体的な印刷物の例には下記が挙げられます。

  • 新聞
  • 折込チラシ
  • 雑誌
  • フリーペーパー
  • ビラ
  • ポスター

発行部数が多く、比較的薄手の紙に印刷されるものが中心です。輪転機は大量に同じ原稿を印刷する場合、コピー機、複合機に比べてコストが安くなるという特徴があります。不動産業界におけるポスティングチラシ、自治会の配布物や、学校・塾・予備校やPTAなど、教育関係における大量の印刷物に使用される場合もあります。

輪転機の原理

1. 印刷の基本的な仕組み

輪転機の基本的な仕組みは、巻取り紙と呼ばれる印刷紙をセットし、インクの乗ったブランケット胴と圧胴の間を巻取り紙を通過させて印刷を行うというものです。色は単色もしくは2色刷りが主流で、毎分100枚以上で高速かつ大量に印刷することが可能です。

  1. 製版したアルミ製の刷版が輪転機の版胴と呼ばれる部分にセットされます。
  2. 版に湿し水とインクをのせ、インクを一度ブランケット胴 (樹脂やゴム製の転写ローラー) に移します。
  3. ブランケット胴と圧胴と呼ばれる円筒を回転させ、これらの間を巻取り紙に通過させて印刷します。

輪転機はブランケット胴にのったインクを用紙に転写するため、紙と版が直接触れ合わない印刷方法です。このような印刷方法をオフセット印刷と言います。版が直接紙と触れないことから摩耗が少なく、大量印刷に向いている手法です。

2. 印刷の特性と印刷後の処理

輪転機による印刷は、両面多色印刷で行われるため高速印刷が可能です。インクの乾燥を早くするため、熱で急速に乾燥するインク (ヒートセットインキ) を使用し、印刷後はドライヤー部分を通過して乾燥します。このため、輪転機による印刷は紙が縮みやすいです。

高温になった用紙は冷却されたローラーに巻き取られることで冷却された後、規定のサイズへの用紙の折り、裁断が行われます。

輪転機は非常に大型の設備です。大きいものでは全長40メートルにもなります。セットできる巻取り紙のサイズは輪転機によって異なります。

輪転機の種類

輪転機の種類には、新聞用輪転機や、グラビア輪転機などがあります。また、圧胴の構造により、B-B型・共通圧胴型・圧胴型などの分類があります。

新聞用輪転機は、文字通り新聞の印刷に使用される輪転機です。グラビア印刷とは、シリンダーと呼ばれる円柱型の金属の凹み (セル) にインキを入れ、余分なインキを落として被印刷体に印刷する印刷方式です。セルの深さで濃度を調整するため、階調を持つ画像 (写真など) の再現性が高いことが特徴として挙げられます。機器によっては、耐油剤や撥水剤を塗布する機能性印刷も可能です。

輪転機のその他情報

輪転機を使用した印刷の工程

輪転機を使用した印刷工程全体は、大きく次の3つのステップに分けることができます。

  1. プリプレス工程
    印刷する原稿の構成、デザイン、編集から製版を行う工程です。
  2. プレス工程
    プリプレス工程で作成した版を用いて印刷を行う工程です。巻き取り紙のセット、版の取り付け、インクの調整などの準備を行った後に、印刷を開始します。刷り初めは、印刷ずれや濃度など異常がないか確認しながらゆっくり印刷を回しますが、その後は、回転数をあげて高速に印刷を行います。
  3. ポストプレス工程
    印刷した紙の後加工を行う工程です。最終的な印刷物のサイズに合わせて断裁を行います。用途に応じて、2つ折り、4つ折りなどの折り加工やラミネートや箔押しなどの処理を施す場合もあります。

参考文献
https://www.shinkohsha.co.jp/blog/rinten_maiyou/
https://www.ohw.jp/html/page245.html
http://www.grand-pt.co.jp/index.php?page=Type-Print

ラチェットドライバー

ラチェットドライバーとは

ラチェットドライバー

ラチェットドライバーとは、ラチェット機構を備えたドライバーのことです。

ドライバーは、手で少しずつネジを回して締め付けや取り外しを行います。この際、通常のドライバーは、グリップを少しずつ持ちかえなくてはいけません。

しかし、ラチェットドライバーは、ハンドルの持ちかえが不要で、反復運動のみでネジの締め付けや取り外しが可能です。

ラチェットドライバーの使用用途

ラチェットドライバーは、ネジの締め付けや取り外しに使用します。製品製造の現場からDIYまで幅広い用途で使われていますが、特に作業効率を上げたい場合に用いられることが多いです。

機器類を組み立てる際にはネジを締めるスペースがなくなるケースがあり、このような場合には特殊な形状のラチェットドライバーが使用されます。

ラチェットドライバーの原理

ラチェット機構は一方向のみに回転するというシステムで、逆方向に回転すると空回りします。このラチェットの仕組みをドライバーに応用したものが、ラチェットドライバーです。

ラチェットドライバーは便利な反面、扱いが少し難しいです。ネジを締め付ける際には、ラチェットの回転とともに、ネジも動いてしまい締まらないことがあります。

このような失敗を避ける対策として、もう一方の手でネジを押さえて固定しながら、ラチェットドライバーを動かす方法が挙げられます。ラチェットドライバーを上手く扱うためには、ある程度の経験が必要です。

ラチェットドライバーの種類

ラチェットドライバーは、形状によって以下の6種類にわけられます。

  • 一般的なドライバータイプ
  • ボールグリップタイプ
  • T型ハンドルタイプ
  • スタビータイプ
  • 板ラチェットタイプ
  • フレキシブルタイプ

作業環境に応じて、使い勝手の良い製品を選ぶことが重要です。

1. 一般的なドライバータイプ

一般的なドライバータイプは、グリップが長細いタイプのラチェットドライバーです。グリップ部にビットを収納できる製品が多いです。ドライバー先端にプラスやマイナス、六角、トルクスなどのビットを取り付けて使用します。

2. ボールグリップタイプ

ボールグリップタイプのラチェットドライバーは、グリップが握りやすいボール状になっています。使い勝手が良く、より作業効率を上げられます。

一般的なドライバータイプのような先端に取り付ける短いビットではなく、グリップ部に挿入する差し替え式の長いビットを使う製品が多いです。また、ビットを取り付けるタイプのほかに、プラスやマイナスなどの種類と大きさが固定されている製品もあります。

作業対象のネジが決まっているならば、固定タイプのほうが安定した作業ができ、ビットを紛失するおそれもありません。

3. T型ハンドルタイプ

グリップが、T型のハンドルタイプになっているラチェットドライバーもあります。ハンドル上部の面積が大きいため、上から手のひら全体で力を加えて回せます。正しく使用すれば強いトルクで締めても、ネジ山をなめにくいのが特徴です。ハンドル部にビットを収納できる製品もあります。

4. スタビータイプ

スタビータイプは、グリップが短いラチェットドライバーです。コンパクトすぎて、ほかのタイプに比べると握りづらいですが、狭いスペースでのネジ締めに活躍します。

5. 板ラチェットタイプ

板ラチェットタイプは、薄型のラチェットドライバーです。オフセットラチェットドライバーとも呼ばれます。ヘッドが小さいため、狭いところや奥まったところのネジにも対応できます。上から力を加えにくく、使用する際はネジ山をなめないように注意が必要です。

6. フレキシブルタイプ

フレキシブルタイプは、柔軟性をもった長い管のような先端部をもつラチェットドライバーです。スタビータイプや板ラチェットタイプでも届かないような、非常に奥まったところのネジにアクセスできます。

また、ビットの先端がマグネットになっているものを使うと、ネジがビットにくっついて落下防止となるため便利で安全です。

参考文献
https://sakidori.co/article/500149

輝度計

輝度計とは

輝度計とは、人が感じる明るさの単位である輝度を測定するための計測装置です。

光源や光源から反射した光が出ている物体などの輝度を測定する装置で、照明器具やディスプレイの開発や検査に主に使用されます。測定には、フォトダイオードと呼ばれる光の強さに応じて電気信号を発信する素子を用います。

色別に測定することが可能な輝度計があり、光の三原色をそれぞれ分光し、それらを個別で測定することでそれぞれの色の輝度を測定します。

輝度計の使用用途

輝度計は光源の出力の大きさの測定や、ディスプレイの開発や検査、輝度を用いて非接触で測定を行う装置などで利用されます。人が感じる明るさの照明などにおいて、輝度を定量的に評価することで、安定的な測定の基準を設定することが可能です。

輝度計の選定の際には、測定精度、色彩などの出力に対応しているかどうか、付属のレンズのピントが合わせられるかなどを考慮する必要があります。

輝度計の原理

1. 光の検出

輝度計は、レンズ、結像面、絞り、補正フィルタ、検出素子で構成されています。測定時は、測定対象の光がレンズを通して輝度計の内部の結像面に描写されます。その結像から測定部の光のみを絞りによって取り出します。

その光を補正フィルタによって、実際に人が感じる明るさの範囲に補正し、フォトダイオードが内蔵されている検出素子を用いることで輝度の測定が可能です。絞りと補正フィルタの間に回折格子を設置し、絞りから出た光に対して、光の三原色ごとに光を分光します。その分光の光を検出素子でそれぞれ測定することで、検出が可能です。

2. ピント調整

測定には対物レンズを使用しています。その焦点距離が不適切で測定対象の光源に対してピントがずれている場合、センサによって測定する範囲が広くなり、光源の輝度が正しく測定できない恐れがあります。

そのため、輝度計の使用時には、一度設定したピントの位置をずらさない様に、測定対象の光源と輝度計の距離を一定に保つほか、ピント調整装置を付属で取り入れることが重要です。 

輝度計のその他情報

1. 目盛校正

輝度計の校正には輝度むらが無く、余弦法則に従う配光を持つ拡散反射板もしくは拡散透過板を使用します。光源に使用するのは分布温度2856 Kの光度標準電球が一般的です。

拡散面上の照度をE、拡散面の反射率をρ、反射の配光が余弦法則に従う場合の反射面の輝度L (cd/m2) は次の式で表されます。

   L = ρE / π

どの方向に輝度計を設置しても、反射面内に測定視野角を収めることができれば校正できます。標準電球の光度I (cd) と電球と反射面との距離S (m) から算出できるEとρで計算されたLから輝度計の出力を校正可能です。

反射率の測定も容易ではないため、良好に作成した反射面を持ちて計算した輝度は、およそ±3〜5%程度の正確さと考えるのが妥当と言えます。

2. 測定前に確認すること

輝度を測定する前には次の事項の確認が必要です。まず、輝度計が正しく校正されているか、また輝度計が目的に応じ測定する視角が十分適合しているかも点検します。

次に必要なのは、照明施設の電源が規定電圧に調整されていることや照明器具の設置、配線が適正であることの確認です。測定視野、測定器の位置と測定点の関係を透視図を描いて調査します。

3. 測定時の注意点

輝度測定時は次の事項への注意が必要です。光源は測定開始前に少なくとも電球で5分間、放電灯で30分間の点灯が必要です。また、電源電圧はなるべく光源近くで測定を実施します。

輝度系は安定に必要な時間の露光 (約5分間) が存在するため、測定前に十分な露光が必要です。感度切り替えの輝度計では、0〜1/4範囲の目盛読み取りは可能な限り実施しないよう注意します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1980/67/1/67_1_15/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1917/53/4/53_4_160/_pdf
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol07.html

負荷開閉器

負荷開閉器とは

負荷開閉器とは、負荷電流が流れている電気回路を開閉する装置です。

一般的に、高圧交流負荷電流を開閉する製品を指しています。さらに、その中でもLBS (Load Break Switch) を指す場合が多いです。高圧の電線路で回路の開閉を行う装置には断路器遮断器、負荷開閉器があります。

断路器は負荷電流を開閉できない装置を指し、保守作業時の安全管理などのために使用します。遮断器は負荷電流のみではなく短絡時の事故電流を遮断できる装置を指し、受電設備の主幹や配電などに幅広く使用されます。

負荷開閉器は負荷電流を開閉できますが、短絡事故電流を遮断できません。一般的には限流ヒューズなどと併用して事故電流から、上位回路を保護します。

負荷開閉器の使用用途

負荷開閉器は、高圧送配電開路において幅広く使用される製品です。以下は負荷開閉器の使用箇所一例です。

  1. 高圧受電している商業施設の引込線
  2. 高圧から低圧へ降圧する変圧器の上流側
  3. 高圧の進相コンデンサ上流側
  4. 高圧モーターの上流側

1は電柱上などに設置されることが多く、気中負荷開閉器などが使用されます2や3はキュービクル内部などに設置されることが多く、LBSなどが使用されます。4は一般的に工場やインフラ設備などに設置され、真空電磁開閉器などが使用されます。

負荷開閉器の原理

負荷開閉器の代表例であるLBSは主接点、操作機構、限流ヒューズなどで構成されます。

1. 主接点

主接点は電流の通電・遮断させるための金属部品です。一般的には、接触部分には銀合金などが使用されます。LBSの主接点はブレードとブレード受けで構成される場合が多く、ブレードを受けに差し込むことで通電させます。

また、高圧回路の負荷電流を遮断した場合はアーク放電と呼ばれる現象が発生します。これは細かな気中の金属片などを介して、空気絶縁を破壊しながら放電する現象です。このアークが長く発生すると発熱で周辺装置を故障させるため、LBSのブレード受けにはアークシュートと呼ばれる消弧部品を取り付ける場合も多いです。

2. 操作機構

操作機構は開閉操作のための構造部品です。最も簡単な構造は操作ハンドルがブレードに付属して付いているもので、絶縁性材料で作られた操作棒で開閉させます。インターロックなどを設けたい場合は電動式のLBSも販売されています。

3. 限流ヒューズ

限流ヒューズは、下流配線が短絡した際に回路を遮断する目的で設置される部品です。ヒューズ内部にはヒューズエレメントと珪砂が収められています。短絡時にはヒューズエレメントが断線し、珪砂がアークを消弧することで保護能力を果たします。

厳密言うと限流ヒューズは事故電流を遮断できるため、負荷開閉器の一部ではありませんが、ほとんどの場合は共に設置されます。

負荷開閉器の種類

負荷開閉器はLBSを指す場合が多いですが、気中負荷開閉器、真空負荷開閉器などの種類があります。

1. 気中負荷開閉器

気中負荷開閉器は、高圧回路を負荷開閉するためのスイッチです。PAS (Pole Air Switch) とも呼ばれます。送配電事業者と需要家の責任分界点に設置されることが多いです。

PAS本体は過負荷や地絡の保護機能を持たないため、SOG (Storage Over Current Ground) と共に設置することも多いです。

2. 真空負荷開閉器

真空負荷開閉器は、接点周辺を真空にしてアークを消弧する負荷開閉器です。限流ヒューズを付属することが多く、高圧コンビネーションユニットやVCS (Vacuum Circuit Switch) とも呼ばれます。

原理は真空遮断器と同様で、電磁コイルなどで駆動する製品が多いです。頻繁に負荷電流を開閉しても、原理上アークがほとんど発生しない上にヒューズの溶断速度が遮断器よりも早いため、高圧駆動モーターの運転停止制御などに適しています。

参考文献
https://denki-study.com/

負荷装置

負荷装置とは

負荷装置とは、電気回路やシステムの性能・動作をテストするために使用される装置です。

電気的な負荷を掛けて、システムやデバイスの応答や安定性を評価します。負荷試験装置とも呼ばれます。電気回路やシステムの性能を評価するための有用なツールです。

電流や電圧の変動や応答時間など、さまざまな条件下での動作をテストすることができます。これにより、製品の品質や信頼性を確認し、改善点を特定することが可能です。

また、法定試験など、標準化されたテスト手法に使用されます。特定の電力要件や信号条件を満たすことが求められる場合、負荷装置を使用してこれらの条件を再現することが可能です。

負荷装置の使用用途

負荷装置は主に電気機器に対して使用される装置です。以下は負荷装置の使用用途一例です。

1. 電池・電子デバイス

モバイルデバイスのバッテリー寿命や充電効率を評価するために使用します。負荷装置を使用して、定格電流や充電時間の条件を再現することが多いです。

また、太陽光パネルやインバーターの性能評価にも使用されます。負荷装置を使用して太陽光の電力を再現し、電力出力や安定性を評価します。

2. 発電機

非常用発電機は、停電や緊急時に電力を供給するための重要な装置です。定格負荷テストでは、負荷装置を接続して発電機に定格電力を供給します。これにより、発電機の能力や安定性を確認し、定格負荷下での動作を評価します。

また、発電機が急激な負荷変動に対してどれだけ迅速に応答するかをテストするケースも多いです。負荷装置を制御して負荷を急激に変化させ、発電機の応答時間や安定性を評価します。

3. ヒートシンク

ヒートシンクのテストにも使用されます。負荷装置でコンピュータのCPUに負荷をかけ、熱を発生させます。これにより、ヒートシンクの冷却能力やCPU温度の評価を行うことが可能です。

負荷装置の原理

負荷装置は、電力を消費することで負荷を提供します。電気エネルギーは負荷装置内の素子や構成要素によって変換され、熱エネルギーや光エネルギーに変わります。電力の消費は、負荷装置が所定の負荷を提供するための基本的な原理です。

負荷装置内部では、電流や電圧の変動を制御することが必要です。制御手段には、抵抗素子やインダクタンス素子、スイッチングデバイスなどが使用されます。これにより、外部からの信号や制御に応じて電流や電圧を調整し、特定の負荷条件を提供します。負荷装置は、特定の負荷条件を再現するために設計された装置です。

定格状態や負荷変動など、目的に応じた負荷条件があります。負荷装置はこれらの条件を制御し、電気回路やシステムが実際の応用状況でどのように動作するかを評価することができます。

負荷装置の種類

負荷装置にはさまざまな種類が存在します。以下は代表的な負荷装置の種類です。

1. 抵抗負荷装置

抵抗素子を使用して電力を消費する負荷装置です。電気回路やシステムに対して定格電流を提供するために使用されます。抵抗値に応じて電圧降下が生じ、電流の制御と安定化を行います。

2. 電子負荷装置

電気エネルギーを内部の電子デバイスを通じて熱エネルギーに変換する負荷装置です。一般的な手法としては、抵抗素子やスイッチングデバイスを使用します。これらの素子は電力を消費し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する役割を果たします。

高電力アプリケーションで使用され、電力供給システムの評価やテストに適しています。電力供給の安定性や応答時間の評価に使用されます。

電子負荷装置は高電力を消費するため、熱の発生が問題となります。したがって、効果的な冷却システムが必要です。一般的に、冷却ファンやヒートシンクなどの冷却装置を組み合わせて、熱を効率的に放熱するように設計されています。

3. 水負荷装置

水を利用して電力負荷を再現する装置です。水をモーターによって循環させ、負荷としての抵抗を発生させます。モーターによって駆動される水ポンプが水を循環させ、負荷装置に接続された発電機や電力機器に対して電力負荷をかけます。

実際の運転時の負荷状況を模擬し、機器の性能や信頼性を評価することが可能です。

参考文献
https://www.keisoku.co.jp/pw/support/oyakudachi/dc-load/dcl-01/
https://www.matsusada.co.jp/column/words-eload.html

エアーソー

エアーソーとは

エアーソーとは、空気を動力源として使用する切断工具です。

空気圧を利用して鋸刃を振動させ、さまざまな素材を切断するために使用されます。工業用途や金属加工などの分野で使用されることが多いです。エアーコンプレッサーなどの空気供給装置に接続され、圧縮空気を利用して動作します。

鋸刃が高速で振動することで、素材を効果的に切断することが可能です。一般的に小型で操作性が高く、精密な切断作業に向いています。エアーソーは高速で鋸刃を振動させるため、素材を迅速に切断できる点が特徴です。

これにより、作業効率が向上します。また、比較的シンプルな構造を持ち、少ない部品で構成されているため、耐久性が高い傾向があります。

エアーソーの使用用途

エアーソーはその高速で効率的な切断能力と精密性から、さまざまな産業および作業用途で使用されています。以下はエアーソーの一般的な使用用途です。

1. 金属加工

エアーソーは、金属製品の切断に広く使用されます。鉄やアルミニウムなどの金属シートや配管を切断するのに役立ちます。また、溶接作業の前に金属の形状を整えたり、不要な部分を切り取ったりする際にもエアーソーを使用することが可能です。

2. 建設現場

建設現場では、鉄筋を必要な長さに切断するためにエアーソーが使用される場合もあります。建設工事では木材や金属などの建材を切断する必要があり、エアーソーは多くの種類の建材を切断することができます。

3. 自動車

自動車修理において、エアーソーは排気パイプなどの切断に使用されます。古いパーツの取り外しや新しいパーツを取り付けする際に有利です。また、配管や樹脂、板金などの部品を手軽に切断したい際にもエアーソーが便利です。

4. 林業・木工

エアーソーは林業および木工業界でも使用されることがあります。特に大型の木材パネルや丸太の切断に便利です。木材切断において高速で効率的な切断を実現します。

エアーソーの原理

エアーソーの原理は、圧縮空気を利用して鋸刃を振動させ、切断作業を行う仕組みです。コンプレッサなどの圧縮空気供給装置から高圧の圧縮空気を供給されて動作します。

エアーソーには、圧縮空気を動力源とするエアーモーターが内蔵されています。エアーモーターは、供給された圧縮空気を受けて動力を生成することが可能です。鋸刃はエアーモーターに接続された振動機構に取り付けられ、高速で前後に振動することで切削が行われます。

切断対象の素材にエアーソーの鋸刃を接触させ、振動によって素材を切断します。鋸刃は素材を削り取るように振動し、切断面を形成することが可能です。刃の動作速度は空気圧によって変化しますが、調整つまみなどによってエアーの流入量を調節し、動作速度を変化させることが可能な製品も多いです。

また、切断できる材質はのこぎり刃によって異なります。木材用の刃でステンレスなどの硬い素材を切断すると、刃が劣化するため注意が必要です。

エアーソーの選び方

エアーソーを選ぶ際に考慮すべき要素が存在します。以下はエアーソーの選定要素です。

1. 切断能力

エアーソーの切断能力は、特定の素材をどれだけ深く切断できるかを示す指標です。作業に応じて必要な切断能力を確認し、エアーソーの仕様に注意し選定します。また、切断したい素材によってエアーソーを選ぶことも必要です。

2. 使用空気圧

エアーソーは最小必要空気圧が指定されています。エアーコンプレッサーが必要な圧力を供給できることを確保することが重要です。使用空気圧が不足すると、エアーソーの性能が低下します。

また、使用空気圧を大きく超えた圧力を印加した場合、エアーソーが破損する恐れがあります。エアーソーの最大圧力も確認することが必要です。一般的にはMPaなどの単位で表されます。

3. ストローク数

エアーソーのストローク数は、鋸刃が1分間に何回振動するかを示す指標です。高いストローク数は素材を迅速に切断しますが、低いストローク数のエアーソーは精密な作業に向いています。作業要件に合わせて選択します。

参考文献
https://electrictoolboy.com/media/4925/

表面温度センサー

表面温度センサーとは表面温度センサー

表面温度センサーとは、被測定物の表面温度を測定するセンサーです。

被測定物に接触して測定する接触式と非接触で測定する非接触式があります。様々な分野で利用されているセンサーです。

表面温度センサーの使用用途

表面温度センサーの使用用途は、接触式と非接触式で異なります。

1. 接触式表面温度センサー

接触式の表面温度センサーの代表格である熱電対は、熱電対を温度測定する対象物に接触させるもので、主に研究や試験、設備や機械、生産ラインなどの組込みセンサーなどとして使用されています。もう一つの接触式の表面温度センサーの代表的なものはサーミスタです。これは冷蔵庫やエアコンなどの電化製品にも多用されており、最も量産で使用されている表面温度センサーと言えます。

2. 非接触式表面温度センサー

非接触式の表面温度センサーの代表である赤外線の量を検知するセンサーによる温度測定に関しては、対象物に接触しなくても測定できるので、体温を測定する際など、多くの場面で使用されています。

表面温度センサーの原理

接触式の表面温度センサーとして熱電対とサーミスタを用いたもの、非接触式の表面温度センサーとして赤外線検知センサーを用いたものの原理を解説します。

1. 熱電対を用いた表面温度センサー

熱電対は2種類の金属導体で作られた温度センサーです。2種類の金属導体の両端を接続して閉回路を作った上で、その両端の接点に異なる温度を与えると、異なる金属の間に電圧が生じる現象を利用しています。すなわち、熱電対を用いた温度センサーの原理は、この発生した電圧を温度に換算して温度を検出することです。この熱電対を用いた方式のメリットは、応答が良く、安価で広範囲の温度が測定可能な点です。

2. サーミスタを用いた表面温度センサー

サーミスタを用いた表面温度センサーは、サーミスタと言う素子の特性を生かして測定しています。サーミスタは、温度により抵抗値が変化する特性を持ちます。そこで、その抵抗値を測定して温度に換算することにより、温度を測定します。

3. 赤外線検知センサーを用いた表面温度センサー

非接触方式の赤外線検知センサーによる表面温度センサーでは、被測定物が放射する赤外線量をセンサーで検知して、温度に換算しています。人の体温などを測定する際に多く使用されており、接触しなくても温度が測定可能であるため、非常に便利です。

表面温度センサーのその他情報

1. 表面温度センサーの熱電対の寿命

接触式の表面温度センサーによく使用される熱電対には寿命があり、知らずに使用し続けていると、正確な表面温度を読み取れない現象が生じます。熱電対の寿命は、使用する温度や雰囲気で変化し、金属の種類によっても異なります。

一般的な例であれば、酸化雰囲気中で常温以下の場合、腐食や錆に弱い貴金属は約2,000時間、強い卑金属であれば約10,000時間です。また、各金属の上限温度で使用した場合には、約50時間から250時間と非常に短くなります。

電化製品や工業製品などの表面温度センサーとして、熱電対を使用した表面温度センサーを使用している場合には特に注意が必要です。例えば、炉や窯で熱電対を用いた表面温度センサーを使用しているケースが挙げられます。熱電対が劣化して、温度が低いと間違えて感知すると、炉や窯の温度を上げるべくガスなどを燃焼し、無駄なコストが生じます。

また、誤って高温となった環境下では、熱電対の精度は低くなります。このため、表面温度センサーの熱電対は、定期的なメンテナンス、交換が必要です。

2. 非接触式表面温度センサーの種類

非接触式の表面温度センサーには、以下の2種類があります。

  • 非接触式体温計:人の体温などを測定する。
  • 非接触式温度計:高温で近寄ることが危険な物体や、移動、回転などの動きのある物体を測定する。

非接触式表面温度センサーは、被測定物から放射される赤外線の強度で温度を測定するため、これらの用途に展開可能です。応答が非常に早い上、瞬時に温度が計測できることもあり、工業用途で重宝されています。

また、非接触式体温計と非接触式温度計には±1℃程度の感度の差があり、非接触式温度計の感度は比較的低いです。このため、人の体温は非接触式体温計で測定すべきで、非接触式体温計には、人の骨格の違いや湿度などの誤差を補正する補正機能がついています。

なお、これら非接触式表面温度センサーにも弱点があり、金属などの赤外線を正確に放射しない物質に対しては、正確な温度を測定ができません。また、湿度が高い使用環境においては正確な測定ができない点もデメリットとして挙げられます。これは、湿度が高い環境下では、被測定物が放射する赤外線が水蒸気に吸収され、非接触式表面温度センサーのレンズが赤外線を正確に受光できないためです。

この場合、実際の温度よりも低く計測するケースがあります。レンズで受光していることから、レンズが汚れていても同様の現象が起こります。ただし、非接触式体温計に関しては、先程も述べたように補正機能が設けられています。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/thermometry/thermocouple.jsp
https://ednjapan.com/edn/articles/1902/13/news011.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/thermometry/thermocouple.jsp
https://www.japansensor.co.jp/faq/995/index.html
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/blog/labo/?doing_wp_cron=1612597635.1874310970306396484375