表面張力計

表面張力計とは

表面張力計

表面張力計とは、液体や固体が表面をできるだけ小さくしようとして発生する張力 (表面張力) を測定するための装置です。

例えば、コップに液体が入っている状態を想定してみます。コップの中にある液体は周辺分子との分子間力によって互いに引き合いながら打ち消しあうため安定な状態ですが、コップと空気の表面にある液体は空気側から引っ張られる分子間力が小さいため、すこし丸く膨らんだ形状になります。

これが表面張力であり、表面張力が大きい液体ほど大きく膨らみます。この力は比較的大きく、洗剤の洗浄力やインクジェットなどで重要な物性になります。

Fig1 表面張力について

図1. 表面張力について

表面張力計の使用用途

表面張力計は、洗剤や食品、はんだなどの品質管理や研究開発の場面で使用されます。インクジェットや塗液、はんだの濡れの調査、被覆やマイクロ流体工学の分野などで重要視されています。

表面張力を測定し、適切にコントロールすることで、製造過程や使用時の泡の発生や撹拌のしやすさの調整、コーティング欠陥の有無などが変化します。表面張力計の選定の際には、評価の精度や計測時間、対応している液体の種類、測定範囲などを考慮することが大切です。

表面張力計の原理

Fig2 表面張力計の種類

図2. 表面張力計の種類

表面張力の測定方法は多く開発されており、液滴から計算する「懸滴法」、プレートを表面が引っ張る力を測定する「プレート法」、液体表面にリングを接触させ、そのリングを引っ張る力を測定する「リング法」、毛細管を上昇する液体の高さを測定する「毛細管法」などがあります。

1. プレート法 (ウィルヘルミー法、懸垂法) 

測定時は、プレートを測定対象の液体と接触している状態から持ち上げます。その時の持ち上げることに必要な力を測定し、別途測定するプレートと液体との接触角、プレートの寸法から、表面張力を測定します。接触角がわからない場合においても、完全にプレートを濡らすことができればθは0になるので測定できます。

プレートを静止してく測定することでもできるため、動的表面張力・静的表面張力の両方を測定可能です。一方、プレートをある程度濡らさなければならないため、通常は30mL以上の液体を用意しなくてはなりません。

2. リング法

測定時はプレート法と同じように、リング状の測定器具を測定対象の液体と接触している状態から持ち上げ、持ち上げるのに必要な力を測定します。プレート法とは異なり、力は随時モニタリングし、リングと液体が離れたときの力を用いて表面張力を測定します。

界面活性剤溶液のような表面張力が経時的に変化する溶液の測定はできません。 また、リング法ではラメラ長も測定することができます。ラメラとは、泡沫内にある薄い泡膜のことです。ラメラ長が長いと伸びても泡が消えないということになり、泡が安定して残りやすくなります。

3. 懸滴法

測定対象の液体を液滴として固定し、その液滴の形状を方程式などを用いて分析することで表面張力を測定する方法です。画像処理などによって測定するため、測定するカメラの性能や使用するアルゴリズムの影響により精度が異なります。

プレート法で測定しにくい粘度が高い液体、溶融ポリマーや油と水など液体と液体間の界面張力測定などに向いています。

4. 毛細管法

毛細管を上昇する液体の高さ、液体の密度を測定することにより表面張力を計算します。毛細管現象を利用しています。

5. 最大泡圧法

サンプル液体中に、挿した細管に気体を流し気泡を発生させます。気泡を発生させるときにかかる最大圧力 (最大泡圧) を計測し、表面張力を算出します。

また、先端で新しい気泡が生成した時から最大泡圧となるまでの時間をバブルライフタイムと呼び、この間に界面活性剤が吸着すると圧力が低下するため、様々なバブルライフタイムで試験することで動的表面張力が測定が可能です。

表面張力計の選び方

Fig3 表面張力計の種類

図3. 表面張力計の比較

それぞれの表面張力計には、必要な液量や得意な液・苦手な液が存在しています。測定したい液の物性や確保できる量を確認して適切な表面張力計を選定してください。

表面張力計のその他情報

静的表面張力と動的表面張力

表面張力には、静的表面張力と動的表面張力があります。一般的に動的表面張力のほうが大きく、時間がたつにつれて値が下がっていきます。これは親水基と疎水基をもつ界面活性剤が時間がたつにつれて気液界面に集まり、表面に吸着されるためです。

水の表面が疎水基が集まるので、表面張力の値が水の高い値から疎水性の油に近い値になります。十分に時間が経ち、一定の表面長力になったときの濃度を臨界ミセル濃度と呼び、動的表面張力が測定できる測定器はこの臨界ミセル濃度を決定することもできます。

参考文献
https://www.face-kyowa.co.jp/science/theory/what_surface_tention.html
https://www.contact-angle.jp/contact-angle/surface-tension/measurement-principle/

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