監修: 株式会社アントンパール・ジャパン
レオメーターとは
レオロジーとは、物質の流動と変形に関する学問です。レオメトリーとは、物質のレオロジー特性を評価する方法であり、レオメーターとは、その評価装置です。
レオメーターにセットしたサンプルに、回転、あるいは振動運動を与え、そのときに生じる応力を測定することで、さまざまな特性を定量化することができます。
サンプルの種類に応じ、サンプルセット部の治具を交換することで、液体から固体まで、様々なサンプルを測定することができます。
レオメーターの使用用途
以下に、使用例の一部を列挙します。
- 食品食感や化粧品の使用感等、感触の定量化
- 塗料等の分散性、沈降性評価や塗工性評価、
- 高分子の溶融挙動や成型加工性の評価
- 熱硬化接着剤やUV硬化樹脂の硬化挙動の評価
- 製造過程における流動性評価
- 温度に依存する物性変化
このように、レオメーターは多岐にわたる分野で使用されています。測定によって得られた粘度や粘弾性特性を研究開発の指標として用いられるだけでなく、品質管理にも用いられています。
また、高分子化学などの基礎研究分野においては、レオメーターを用いて得られた測定結果から分子構造を元に考察することで、高機能性材料の探索、安全性や効果の高い材料や製品の開発に繋がる研究もすすめられています。
レオメーターの原理
レオメーターとは、物質の粘度や粘弾性特性を測定する装置です。
サンプルセット部の治具には、様々なサイズ、形状のものがあります。ここではコーンプレートという治具を紹介いたします。コーンプレートは、円錐と円板の組合せであり、下図のように、上下プレート間にサンプルを挟む形でセットします。上側の治具を回転、あるいは振動させ、サンプルの粘弾性特性を測定します。また多くの場合、サンプルの温度も制御することができます。
粘度は、上側の治具をある一定の速度で回転させた際の回転抵抗(トルク)から算出します。
粘弾性特性は、上側の治具を右回転→左回転→右回転→…と振動させた際に発生する応力から求めることができます。治具は正弦波状に振動変形させると、サンプルからの応答として正弦波状の応力=応力波が得られます。この応力波の位相が、液体と固体で異なることを利用します。サンプルを振動変形させた際の正弦波と応力波の位相差から、どの程度液体的か?どの程度固体的か?を評価し、応力波の振幅の大きさから固さを定量化することができます。
コーンプレートは、上下プレート間にセットできる、流動性のあるサンプルが測定対象となりますが、クランプ型の治具を用いることで、短冊状に成型した固体的なサンプルを測定することができます。この他にも、サンプルに応じた様々な種類の治具があるため、固体から液体まで、幅広いサンプルを測定対象となります。この他にも、緩和弾性率やクリープコンプライアンス、降伏応力等も測定可能です。
レオメーターの応用測定
レオメーターには様々なオプションがあります。これを用いると、上記のように粘度や粘弾性特性を評価する際に、①湿度やUV照射など、サンプルの環境を制御、②ラマン分光や小角光散乱、顕微鏡、インピーダンス測定器などを組み合わせ、粘度や粘弾性特性との同時測定、③レオメーターの機能を応用した粉体の流動性や表面の摩擦抵抗を測定することもできます。
特に②の同時測定オプションでは、サンプルの温度変化や変形速度の変化に伴う物性の変化と同時に、インピーダンスやラマンスペクトルなどの変化も測定できるため、粘度や粘弾性特性等のマクロ物性だけでなく、サンプルの内部情報も同時に取得することができます。
本記事は高精度のラボ装置及びプロセス測定システムを製造・販売する株式会社アントンパール・ジャパン様に監修を頂きました。
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