マルチクランプとは
マルチクランプは支柱や配管、作業現場の足場などを組む際に使う固定具です。表面が滑らかな円筒形の部品(送液パイプ、金属製の足場パイプ、支柱など)どうしを交差させ、交点をマルチクランプで固定することで強固に組み立てられます。
マルチクランプの選定での注意点
1. 固定するパイプの本数と、交差させる角度
2本のパイプを直交させるのが一般的ですが、3本以上を並行に束ねたり、角度を任意で調整したりできるマルチクランプもあります。
2. 固定するパイプの外径
マルチクランプのパイプを通す環(クリップバンド)の内径が、固定するパイプの外径と同じかやや太くなるように選びます。
マルチクランプの使用用途
マルチクランプは円筒形のパイプどうしを交差させて交点を固定するのに使われ、以下のような場面で多用されます。
- 建設作業現場の足場パイプの構築。
- 農地で作物の蔓を這わせるための棚の作製。特にブドウ栽培棚の構築に使われます。
- 簡易的な小屋を建てる際の、パイプ骨組みの固定。
表面が滑らかな金属製のパイプは、穴を空けてボルトで固定するのが困難です。そこで、マルチクランプで交点を固定することで、より簡単に強固な固定が可能になります。パイプに穴を開けたり釘を打ったりする必要がないので、解体も比較的容易でパイプの再利用もできます。
マルチクランプの原理
マルチクランプの基本的な構造は、クリンプバンド(パイプを通す環の部分)と締めネジから成ります。クリンプバンドは円形にカーブしており、円筒形のパイプを挟むのに適しています。使用時は締めネジを緩めてクリンプバンドにパイプを通し、養生テープで仮留めします。マルチクランプの位置や角度を微調整してから、締めネジを締めて固定します。
マルチクランプの選定では以下の点に留意してください。
- 交差させるパイプの本数と角度:一般的なマルチクランプは2つのクリンプバンドどうしが直交しており、2本のパイプを直角に固定できます。製品によっては、3本以上のパイプを並行に束ねられるものや、クリンプバンドの角度を任意で調整できるものもあります。ただしクリンプバンドの角度が調整できるものは、繰り返し使ううちに可動部が劣化し強度が下がる危険性があります。足場のように安全性が求められる構造物を組み立てる際は、クリンプバンドが動かないマルチクランプが推奨されます。
- パイプとクリンプバンドの径:パイプに対してクリンプバンドの径が大きすぎると、隙間ができてマルチクランプが動いてしまう場合があります。固定するパイプの外径を確認し、同程度かやや太いマルチクランプを選定してください。