フォーミング加工とは
フォーミング加工とは、複数の成形加工を1台で連続して行うことが可能な、フォーミングマシンを用いた加工方法です。
具体的には、鍛造、曲げ、せん断、絞りなどの塑性変形を利用した成形加工を指します。複数の工程を必要とする複雑な形状をもつ製品も、1台のフォーミングマシンだけで成形可能であるため、大量生産にも適した加工です。
フォーミング加工の使用用途
フォーミング加工は、さまざまな分野の金属製品の製造に用いられています。板材、帯板材からは、ピン、クリップ、板ばね、止め輪、バンドといった部品が製造されています。線材を原材料とした加工では、各種コイル部品やコイルばね部品、電子部品のリード線などの生産に用いられてます。
フォーミング加工の原理
フォーミング加工では1台の加工機械の中で、複数の成形加工が、まとめてできる構造になっています。また、原材料が板材の場合と、線材の場合で機械の構成が大きく分かれます。
1. マルチフォーミング加工
マルチフォーミング加工は、マルチフォーミングマシンを使った加工法です。板材、帯板材を原材料として、プレス加工、絞り加工や曲げ加工を、自動的にかつ連続的に行えます。
マルチフォーミングマシンは、大きく3つの部位で構成されています。材料を送るフィード装置、プレス加工のためのスタンピング装置、様々な曲げパンチで曲げ加工や絞り加工を行うフォーミング装置です。
2. ワイヤーフォーミング加工
ワイヤーフォーミング加工に用いられるワイヤーフォーミングマシンは、マルチフォーミングマシンからフィード装置とスタンピング装置が省かれた加工機械です。原材料がワイヤーなので、材料の搬送やプレス加工はありません。
線材はワイヤーフォーミングマシンの中心部で保持され、円周上に配置されている複数の成形ツールによって、曲げ加工が行われます。すべての工程が終了すると、コイル材より切りはなして一つの製品となります。
3. ロールフォーミング加工
ロールフォーミング加工は、連続して配置されている複数組のコマが並んだローラーの間に、金属素板を通すことにより素板を変形させ、目的の形状に加工するものです。コイル材から搬送された金属素板が切断機によって所定の大きさに切り出され、その後ロールフォーミング装置によって成形されます。これらのプロセスは自動化されており、連続的に生産することが可能です。
また、配置するローラを変更することにより、閉断面の形状など様々な形状の加工にも対応できます。さらに、徐々に塑性加工を行うため、高張力鋼板などのハイテンション材の加工を行いやすく、製品の軽量化を実現にも貢献します。
4. リードフォーミング加工
フォーミング加工の一つとして、電子部品のリード線を製造するリードフォーミング加工が知られています。電子部品は基板との接続を図るためにリード部分を基盤に合わせた形状に加工する必要があり、このような場合にリードフォーミング加工が施されます。
電子部品は小さくその取扱いが難しいため、リードフォーミング加工を行う専用の治具装置が各種展開されています。
フォーミング加工のその他情報
フォーミング加工のメリット
フォーミング加工のメリットは、複雑な形状の製品でも成形可能であること、大量生産に向いているため工数やコスト低減が見込めることです。フォーミング加工をせずに同様の成形を行う場合、複数の工程を経て一つの部品として仕上げる必要がありました。そのため、加工時間や金型の種類が多くなり、新しい製品の立ち上げにかかる費用も多くなります。
プレス加工で生産性を上げる手法として順送プレスという、多工程を一つのダイセットの中で順送りに成形する方法もあります。こちらは単発プレスと比較して生産性は大きく向上しますが、加工できる形状に限りがあります。一方で、フォーミングマシンは、1台の機械にプレス部と曲げ部の両方の機能を備えており、曲げの複雑な形状も、連続で加工していくことが可能です。
参考文献
https://www.apolotec.net/forming/
https://www.macro-forming.co.jp/forming/
https://www.semicon.sanken-ele.co.jp/support/reliability/4-7.html