モルタル接着増強剤

モルタル接着増強剤とは

モルタル接着増強剤とは、接着する施工面とモルタルとの接着力を増強させる塗布剤のことです。

急結剤と一緒に用いることもでき、別名で接着プライマーとも呼ばれています。

モルタル接着増強剤の接着強度は使用量と比例しないため、適切な用量での使用が大切です。表面に塗布して乾燥させた後にセメントやモルタルを接着すると塗膜と強力に接着するため、強度の高い補修を行えます。

モルタル接着増強剤の使用用途

モルタル接着増強剤は、破損したブロックやコンクリートなどを補修する際に、前処理用として施工面との接着力を増強する目的で使用されます。補修箇所に対して接着する前に表面の汚れを落とした後に、モルタル接着強化剤を刷毛やローラーなどで全体に塗布して、完全に乾燥させます。

下地の塗布だけでなく、セメントなどに混ぜて使用すると、接着力を増強可能です。いずれの場合にも、モルタル接着増強剤の原液を適切な濃度に希釈して使用します。

モルタル接着増強剤の原理

主なモルタル接着増強剤は、特殊アクリル系樹脂が原料です。古くなったコンクリート施工面に直接刷毛などで塗布すると、もろい層の内部まで液が浸透して強力に接着します。

新しくきめ細かい表面を作ると、接着力を向上可能です。吸水性の高い施工面で塗布すると、塗膜を形成して施工面の吸水を抑えられます。吸水性が高い施工面には何層か重ねて塗布すると、高い効果が得られます。

モルタル接着増強剤の種類

一般的にモルタルの接着増強剤には、エチレン酢酸ビニルやアクリル系の樹脂があります。

エチレン酢酸ビニルはエチレン・ビニル・アセテート (英: Ethylene-vinyl acetate) とも呼ばれ、EVAと略されます。酢酸ビニルには接着力があり、木工ボンドにも使用される原料です。主原料にエチレンを混ぜており、ポリエチレンは柔軟性、耐水性、耐アルカリ性などに優れています。接着増強剤として優れ、左官モルタル工事にもよく利用されています。

アクリル系の樹脂はメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレンなどが主成分です。合成樹脂エマルジョンの中でも、透明性や耐候性が非常に高いです。一般的な塗料でも、しっかり被膜を形成でき、ピンホールの抑制に優れています。セメントや石膏などのセルフレベリング材のプライマーやシーラーにも使用可能です。

モルタル接着増強剤の選び方

モルタルの配合の際に多種多様な素材が配合され、その一つが接着増強剤です。モルタルと下地の接着力が強くなる塗布材で、ローラーやハケによって直接施工面へ塗布すると、容易に効果を発揮します。下地に特殊アクリル系樹脂で接着して、表面に小さな凸凹が形成されるため、モルタルによって接着可能です。モルタルを塗る場所に接着増強剤を塗るために、事前に施工箇所の汚れをブラシで落とす必要があります。

モルタル混和剤はモルタルを塗る際に、コテの滑りを良くして、滑らかな仕上げが可能です。モルタルを作るときに混ぜるとひび割れを減らせて、厚めに塗った場合も割れにくいです。

色粉をモルタルに混ぜると、美しい色を容易に作れます。一般的にはセメント量に対して1%でも十分な色が出るため、配合量には注意が必要です。配合量を8%にすると、色粉の色に仕上がります。

モルタル接着増強剤の構造

モルタルは、細骨材、セメント、水の3つが原料です。細骨材に用いる砂は直径が5mm以下の小さい粒であり、原料3つを混ぜる際にコテ仕上げが滑らかになります。セメントは粘土や石灰石を焼いて粉砕して作る材料であり、灰白色の粉状の材料です。水を加えると固まるため、工事現場のあらゆる場所で活用されています。

配合割合は細骨材 : セメント : 水が、重量比で6 : 2 : 1にします。少量のモルタルを使用する際には軽量カップで計測し、同じ割合で配合可能です。配合通りにモルタルを練り混ぜると、砂と同じ量のモルタルが得られます。

参考文献
https://www.kateikagaku.co.jp/products/items_page/p_4905488000329.html
https://www.c-able.ne.jp/~pooh-k8o/mpuraima-.html
https://machiken-pro.jp/shop/pages/column029.aspx

プリセットカウンタ

プリセットカウンタとは

プリセットカウンタ (英: Preset Counter) とは、特定の数値をカウントして、設定した数値に達すると制御出力を発信するカウンタです。

機械や装置の動作を制御するために使用されます。プリセットカウンタは機械や装置の自動化において重要な役割を果たします。事前に設定された数値に達したときに自動的に次のアクションを実行するため、作業者の介入が不要です。

これにより、生産ラインやプロセスがスムーズに進行して生産性が向上します。また、非常に正確なに数値をカウントする機器です。人間のエラーやミスを排除し、常に正確な数値を追跡します。また、プリセットされた条件や数値に基づいて一貫した制御を提供するため、作業の品質や一貫性も向上します。

プリセットカウンタは、産業機械の効率化や生産性向上に貢献する重要な要素の1つです。したがって、産業機械やプロセスの制御において広く使用されます。

プリセットカウンタの使用用途

プリセットカウンタは、さまざまな産業機械やプロセスで使用されます。以下は代表的な使用用途一例です。

1. 自動車産業

車の製造ラインでは、プリセットカウンタが各工程で使用されることが多いです。ボディの溶接工程では、特定の数の溶接ポイントが完了すると次の工程である塗装工程に進むように制御されます。

また、組み立て工場ではプリセットカウンタが部品の供給管理に使用されます。特定の部品の在庫が一定数以下になるとカウンタが増加し、自動的に部品の発注されます。

2. 食品加工産業

食品加工工場では、プリセットカウンタが品質管理に使用されることも多いです。製品の重量やサイズを測定し、特定の基準に合致する製品の数をカウントします。一定数に達した時点で品質確認のためのサンプリングや検査が実行されます。

また、パッケージラインでも広く使用される機器です。ライン上の製品数をカウントし、特定の数に達したら自動的にパッケージングやラベリングを行うように制御されます。

3. 電子機器製造

電子機器の製造ラインでは、プリセットカウンタが検査ステップに使用される場合も多いです。各製品が通過する際にカウンタが増加し、一定数の製品が検査されると、自動的に品質チェックや不良品排除のアクションがトリガーされます。

プリセットカウンタの原理

プリセットカウンタは、デジタル回路やマイクロプロセッサなどの電子デバイスを使用して再現されます。一般的なプリセットカウンタの基本原理は初期値、カウント、リセットなどです。

プリセットカウンタは最初に、特定の初期値で初期化されます。初期値は特定の数値に到達するまでのカウント回数を示すことが多いです。その後、パルスなどの入力信号を検知してカウントアップします。

入力信号が検知されるたびにカウントを増加させ、現在のカウント値と事前に設定された目標値を比較します。カウンタが事前に設定された目標値に到達していない場合は、カウントが続行されます。目標値に到達した場合に、特定の制御命令が発信されるのが一般的です。

カウンタが目標値に到達した後、必要に応じてリセットされることがあります。リセットによって再度初期化され、新たなカウントサイクルが開始されます。

プリセットカウンタの選び方

プリセットカウンタの選ぶ際は、以下の要素を考慮することが必要です。

1. 段数

プリセットカウンタが動作する段数を考慮します。段数とはカウントに対して設定する目標値の数であり、用途に応じて選定します。一般的に、プリセットカウンタは1段または2段程度の製品が多いです。

2. 電圧

プリセットカウンタに使用する電圧を選定します。AC電源の場合はAC100V~240V程度のフリー電源が多いです。DC電源の場合はDC12~48V程度の制御用低電圧対応製品がほとんどです。

3. 出力方式

プリセットカウンタの場合、ほとんどはデジタル出力です。デジタル出力には接点出力とトランジスタ出力が存在します。用途に応じて2つの出力方式を使い分けます。

大電流用途の場合や、設置場所が高温の場合は接点出力が有利です。出力回数が多い場合はトランジスタ出力を選定します。

4. 端子構造

プリセットカウンタの配線端子を選定します。ピン方式と端子台方式から選定する場合が一般的です。ピン方式の場合は8ピンや11ピンなどの種類があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicetr1965/14/6/14_6_713/_pdf/-char/en

ブロア

ブロアとは

ブロア

ブロアとは、空気を強制的に移動させるために使用される機械装置です。

一般的には、モーターやエンジンによって駆動され、回転する羽根やファンを備えています。送風や排気の目的で広く使用される機器です。

送風機はファン、ブロア、コンプレッサの3種類に大別されます。ファンは10kPa未満の差圧を生み出す機械であり、ブロアは10~100kPaの差圧を生み出す機械です。コンプレッサは、それ以上の差圧を生み出します。

ブロアは、産業用途において大量の空気を移動させるための強力な風力を生み出します。工場や生産ラインでの素材運搬やプロセス効率化に寄与します。また、有害ガスを送風する目的でも使用することが多いです。

ブロアの使用用途

ブロアはさまざまな使用用途で広く活用されています。以下は一般的な使用用途の一例です。

1. 冷暖房システム

建物や住宅の冷暖房システムにおいて、空気の循環や温度制御を補助します。空調ユニットやヒーターと組み合わせて使用され、効率的な空気の分配や温度均一化させることが可能です。

また、建物や施設内の換気システムにおいて使用されることも多いです。室内の空気を強制的に排出し、新鮮な外気を取り込むことで空気質の改善が可能です

2. 冶金プロセス

ブロアは冷却装置として冷たい空気を供給し、機械やプロセスの温度を制御する場合もあります。鋳造や溶接プロセスにおいて、ブロアは冷却材料を送り込んで冷却を行います。

3. 鉱業

鉱山では、ブロアが鉱山内の換気システムに重要な装置です。ブロアは新鮮な空気を鉱山内に供給し、鉱夫たちの安全な作業環境を確保します。

また、鉱石を炉に投入すると、有毒ガスや粉塵が発生します。これらを系外へ出さずに無害化するために、ブロアが必要です。ブロワで排気ガスを吸引して、排煙脱硫プラントなどへ導入します。

4. 自動車産業

自動車の塗装プロセスにおいて、乾燥を促進するために使用されることが多いです。ブロアは塗料の揮発成分を迅速に除去し、塗装面を乾燥させる役割を果たします。

ブロアの原理

ブロアはモーターやエンジンなどによって駆動され、回転する羽根車を通じて空気を移動させる原理で動作します。ブロアによる送風の基本原理は、ベルヌーイの法則です。

この法則は、流体の速度が増すと圧力が減少し、速度が低下すると圧力が増加することを示しています。ブロアの回転によって周囲の空気の速度が増加または減少し、それに伴って圧力の差が生じて空気が送風または排気されます。

空気の速度変化は、遠心力を利用して生み出すことが多いです。回転する羽根車によって空気が回転させられ、遠心力によって空気が外側に押し出されます。押し出される力によって、空気の送風や排気が行われます。

ブロアの種類

ブロアにはさまざまな種類が存在します。以下はブロアの種類一例です。

1. ルーツブロア

ハウジング内のローターと呼ばれる一対の羽根形状の部品を回転させることで、空気を送り出すブロアです。羽根の枚数は2~4枚で構成されており、羽根の枚数が多いほど1回転当たりの送風回数が増えて効率が上がります。

1866年にルーツ兄弟が現在の構成を考えたことから、その名称で呼ばれています。ローターの形状は大きく分けて「インボリュート型」「サイクロイド型」「エンベロープ型」の3種類です。

2. 遠心ブロア

遠心ブロアは回転する羽根によって空気を回転させ、遠心力を利用して送風するブロアです。羽根の形状や配置によって異なる送風特性を持つさまざまなタイプがあります。一般的な使用例は、冷却装置や排気システムなどです。

3. マルチステージブロワ

複数のステージを持つブロワです。各ステージには羽根車があり、圧力を段階的に増加させる仕組みを持っています。一般的に各ステージで空気の圧縮が行われ、次のステージに送られてさらに圧力が増加します。

したがって、高い圧力を生成することができるため、圧力が必要な用途に最適です。主な使用例は、高圧力の送風や空気供給が必要な産業プロセス、排気システムなどです。

参考文献
https://www.anlet.co.jp/catalog/pdf/anlet005.pdf
https://www.orionkikai.co.jp/technology/vacuum-pump/knowledge/

ファインバブル発生装置

ファインバブル発生装置とは

ファインバブル発生装置とは、直径が100μm (0.1mm) より小さな泡であるファインバブルを発生させる装置です。

ファインバブルとは、100μm以下の大きさの気泡全てを指します。その中でも、1~100μmの気泡をマイクロバブル、1μm以下の気泡をウルトラファインバブル(旧:ナノバブル)として区分しています。

ファインバブル発生装置の使用用途

ファインバブル発生装置は、ファインバブルが使用される産業や分野で使用されています。ファインバブルの大きな特徴は、液中に長時間残存できることです。このことから、浄化作用や洗浄作用などの様々な効果をもち、用途は多岐にわたります。

主な使用例を解説します。

1. 環境分野

ファインバブルの浄化作用を利用して、河川や湖沼の浄化や下水などの排水処理などに使用されています。

2. 農水産業分野

ファインバブルには、直径が非常に小さく生物の細胞内に入り込みやすい特性があり、効率よく栄養を届ける事が可能です。具体的には、農畜水産物の成長促進や収量増加に利用されています。

3. 食品分野

食品の鮮度保持や酸化防止に利用されています

4. 洗浄分野

ファインバブルが微生物の繁殖を抑える効果を利用して、配管やタンクなどの機器の中で細菌が繁殖を防止しています。具体的には、トイレ洗浄や洗濯機などに利用されています。

5. 工業分野

ファインバブルには帯電性があり、強い吸着作用を持つことも特徴です。このため、金属スラッジの分離や回収を効率よく行うことも可能で、生産ライン洗浄などにも使用されています。また、精密剥離やシリコンウエハー薄膜分離にも利用されています。

ファインバブル発生装置は、生活上の使用用途から産業上の使用用途、このほかにも美容関係や医療関係にも幅広く使用することが可能です。

ファインバブル発生装置の原理

ファインバブル発生装置の原理は、「液のせん断による気泡の破砕」や「液中溶存ガスの析出」および「蒸気泡の急凝縮」により微小な気泡を生じさせることです。なお、これらのどの手法を用いても、直径1~100μmのマイクロバブルと直径1μm以下のウルトラファインバブルの両者を含んでいる可能性があります。必要に応じて、分別することがあり、そのような装置もあります。

ファインバブル発生装置の種類

ファインバブル発生装置の気泡の生成方法は、「液のせん断による気泡の破砕」や「液中溶存ガスの析出」および「蒸気泡の急凝縮」の3つです。以下に、それぞれの方法に属する具体的な手法について挙げます。

1. 液のせん断による気泡の破砕

この方法では、液体とガスを混合した後、撹拌し、液体中のガスよりなるバブルを水流によってせん断 (引きちぎる或いは切断する) しています。具体的には以下の様な方法があります。

  • 旋回流液式
    高速液旋回流による気泡の粉砕
  • エゼクター式・ベンチュリー式
    気液流路内の急激な圧力変化による気泡の粉砕
  • 微細孔式
    微細なガス分散孔による気泡の微小化
  • スタティックミキサー式
    気液流路内の障害物による気泡のせん断

2. 液中溶存ガスの析出

この方法は、液体とガスを過飽和で混合した後、圧力を掛ける若しくは加温することで、過飽和分をファインバブルとして析出させる方法です。具体的には以下の様な方法があります。

  • 加圧溶解析出式
    加圧下の飽和溶液の急減圧による気泡の析出
  • 加温析出式
    常温の飽和溶液の急加温による気泡の析出

3. 蒸気泡の急凝縮

この方法では、液体とガスの混合物を蒸気とし、これを急冷してガスよりなる気泡を生成しています。具体的には、蒸気の直接接触凝縮による混合ガス気泡を微細化する蒸気直接接触凝縮式があります。

ファインバブル発生装置のその他情報

セラミックスの多孔質によるファインバブル生成

ファインバブル発生装置においては、ガスの物理的変化を利用したものが多く使用されていますが、セラミックスの多孔質による生成もおこなわれています。この方法は、孔径が微細かつ均一であるセラミックス膜を通して気体を噴射し、液中に分散させてファインバブルを生成することが特徴です。

このため、ファインバブルを発生させる際に、ガスおよび液体に強い力を加える必要がありません。また、液体として水状から粘性のある液体まで幅広い流体で使用できる点や、使用するセラミックスの本数や長さを調節することでファインバブルの発生量を調節することができる点もメリットとなります。

参考文献
https://www.tanakakinzoku.com/ultrafinebubble/
https://www.noritake.co.jp/products/eeg/majors/detail/31/
https://www.shi-ftec.co.jp/products/finego

ファイバースコープ

ファイバースコープとは

ファイバースコープ

ファイバースコープとは、工業用内視鏡や医用内視鏡とも呼ばれ、細いガラス繊維を数多く束ね、カメラを取り付けたものです。

自在に曲げて変形することができるスコープの先端に、非常に小さなデジタルカメラが付いた構造をしています。一般的な管内検査カメラと比較して、カメラの径が非常に細いにもかかわらず、画質の精度が高いことと、先端部分を自在に可動させることができることが特徴です。ファイバーが曲がっても、光が内部で反射しながら進むため、像の伝達を正確に行えます。

ファイバースコープは光源と一体となっておりはっきりと見えるため、目視ではできない狭い部分や内部の詳細を観察することが可能です。その分、内視鏡の中では高額になります。サイズは一般に、φ2.4mm~φ8.5mm、ケーブル長は3m~30mm程度です。

図1.ファイバーのサイズ

ファイバースコープの使用用途

図2. ファイバースコープの使用用途

ファイバースコープは、直接目視で確認することができない狭く入り組んだ構造物の内部や管内などに対して、検査や観察するために使用されています。主な用途は、自動車の内部検査、インフラ整備・メンテナンス、製造業品質管理、災害救助用スコープなどです。特に、配管やダクトの内部や、建築物の構造上目の届かない場所に用いられています。

その他、医療機器としても使用されています。例えば、腸内や胃の検査などをするための内視鏡などです。体内の深くにある臓器の場合は、直接目で見ることができず、カメラやチューブの外径が大きいと臓器の壁などにぶつかって細胞を損傷してしまうリスクがあります。一方で、ファイバースコープのカメラは先端部分も自在に可動できるため、安心して使用できます。

ファイバースコープの原理

図3. ファイバースコープの構造

ファイバースコープの光ファイバー本体は、中心にコアと呼ばれる部分、またその周りにはグラッドと呼ばれる個所がありそれらをプラスティックプライマリコートという被膜で覆って構成されています。また、光ファイバーは軟性で自在に折り曲げて動かせる性質であるため、使用用途に応じた動きをすることができます。

ファイバースコープは、接眼レンズと先端部分の対物レンズを数千から数万という単位の光ファイバーが集束した部分でつないだ構造をしており、この光ファイバーの束でできた画像伝送用のイメージガイドを通じて、直接的に目視で観察することが可能です。

レンズについては、ファイバースコープを用いて被写体を見るとき対物レンズの端面に被写体の結像が映し出されることになりますが、その像を接眼レンズで拡大することによって像をはっきり見ることができる構造になっています。

ファイバースコープのその他情報

1. ファイバースコープのメリット

ファイバースコープは、細い管により先端の画像を確認できる装置です。柔軟性に富んでいるため、極小サイズのカメラと自在に曲げられる先端部を動かし、体内の腸や胃の内部検査などをするための医療用内視鏡としても使用されています。

体内深くの臓器の場合は、カメラやチューブの極小サイズで先端部分も自在に可動できるので、内臓の壁などに当たってしまう恐れも少なく、細胞を損傷してしまう可能性も低いため安心して使用できる点が大きなメリットです。

2. ファイバースコープのデメリット

細いファイバーを束ねたハニカム構造のため、境界線の影が若干映ってしまうことがある点がデメリットとして挙げられます。また、ファイバーを通して映像を見るため、長くなるほど暗くなります。負荷をかけすぎると折れてしまうこともデメリットの一つです。ファイバーを長くしようとすると、その分費用がかさみます。

参考文献
https://www.olympus-ims.com/ja/knowledge/remote-visual/industrial-fiberscopes/
https://www.olympus.co.jp/technology/museum/endo/fiber.html?page=technology_museum
https://www.shodensha-inc.co.jp/solution/fiber-scope/

パワーコントローラー

パワーコントローラーとは

パワーコントローラーとは、電子回路を用いて電流や電圧を制御することにより電力を調節する装置です。

交流電源の電力制御ができるもの、蓄電池などの直流電源の電力制御ができるものなど様々な種類があります。

パワーコントローラーの使用用途

電力量を制御することで、異常電流、加熱などの機器のオーバーワークを防ぐ目的で使用されます。具体的には、はんだごてを使用しはんだ付けをする際、こての過剰な加熱を防ぐ目的で利用されます。

電力量を任意の大きさに調整することも可能で、電灯の明るさ調節、換気扇や扇風機などの風量調節、モーター類の回転数の調整など、様々な用途で使用されています。ただし、蛍光灯など制御対象機器の性質によっては、パワーコントローラーを利用しても期待通りの効果が得られない場合もあります。

パワーコントローラーの原理

トライアック素子によってオンとオフを切り替え、交流電流を部分的に削るトライアック制御の原理を利用しています。電源と電力を調整したい機器の間にパワーコントローラーを接続します。その後、パワーコントローラーのつまみ部分を操作し出力調整を行います。

参考文献
https://www.monotaro.com/p/3494/5592/
https://www.monotaro.com/g/00323685/
https://www.monotaro.com/p/3512/1545/
https://www.sophia-it.com/content/
http://den.la/products/kiso/catalog/DKA-11.pdf

バキュームガン

バキュームガンとはバキュームガン

バキュームガンとは、負圧を掛けて対象物を吸い込む機械です。

圧縮空気などを利用して作業時に発生した屑などのダストを吸引します。圧縮空気などの動力源を利用することで、強力な吸引を行うことが可能です。片手で持って作業できることから利便性にも優れています。

高圧エアホースやエアコンプレッサなどと接続して使用する製品が多いです。ノズルの形状にはブラシ付きノズルや隙間ノズルなどの種類があります。環境や用途によってノズルを変更することによって、効率よく作業することが可能です。

また、バキュームガンとブロワーガンが一体になった、ブロワーバキュームガンとして製品化されている製品も販売されています。この製品はノズルの向きを入れ替えることによって吹き飛ばしを行うことが可能です。

バキュームガンの使用用途

圧縮空気によって強力な吸い込みをすることができるため、様々な分野での清掃作業などに用いられています。周囲の空気ごと吸引するため、切粉や粉塵などの細かいゴミを清掃するのに適しています。以下はその一例です。

1. 家庭・オフィス

家庭やオフィスでの掃除にバキュームガンが広く利用されます。畳やカーペットまたは硬い床などのゴミやホコリを吸い取ることが可能です。付属品やノズルが付属している場合があり、使用することで隅々まで掃除することができます。

2. 自動車整備

自動車の内装やシート、カーペットなどを清掃する際にもバキュームガンが役に立ちます。車内に溜まったホコリやゴミ、ペットの毛などを効率的に吸い取ることが可能です。また、車のエンジンルームやホイール周りなど、車外部品を清掃する場合にも利用されます。

3. 製造業

工業用のバキュームガンは工場や製造現場で広く使用されます。大容量のごみを効率的に吸い取ることができるため、製造プロセスや清掃作業の一部として使用されます。特に金属切削加工や木工加工などの場面で、生産ラインの清掃に必要不可欠です。

4. 建設業

建設現場や改修工事現場では、バキュームガンが建設材料や建設中に発生する塵やごみを取り除くのに広く利用されます。これにより、安全性が向上し、作業環境を清潔に保つことが可能です。特に屋内や狭いスペースでの清掃には、コンパクトで高性能なバキュームガンが重宝されます。

バキュームガンの原理

バキュームガンは空気を吸い込んで物質を吸い込む装置です。ホコリやゴミなどの物質が大気圧よりも低い圧力領域に引き込まれることで、吸引力が生じる仕組みです。吸引口やダストバック、トリガー機構によって構成されます。

バキュームガンの先端には物質を吸い込むための吸引口があります。ノズルやブラシなどのアタッチメントを付属している場合も多いです。これらによって、様々な対象物表面を清掃することが可能です。

また、吸い込まれたゴミやホコリはダストバッグなどの容器に収集されます。これらの容器は取り外し可能で、清掃時に簡単に取り外して中身を捨てることが可能です。吸い込んだ空気中の微小な粒子を捕捉するためのフィルターが装備されている場合もあります。

トリガー機構はバキュームガンの操作を制御するための機構であり、使用者が吸引を開始または停止するのに使用されます。手に取りやすい位置に配置され、ユーザーが操作しやすいように設計されています。バキュームガンの操作性と利便性を向上させる重要な要素です。

バキュームガンの選び方

バキュームガンを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 動力源

バキュームガンの動力源は電気や圧縮空気が使用されます。電気式のバキュームガンはコンセントに接続したり、バッテリーに接続したりして動作します。圧縮空気を使用する製品はコンプレッサーなどと接続して動作し、耐久性が高い上に爆発性がない点が特徴です。

2. 吸引圧力

バキュームガンの吸引力は掃除の効率に直接影響します。吸引圧力が強ければ、より効果的にホコリやゴミを除去することが可能です。吸引圧力は一般にパスカル (Pa) やキロパスカル (kPa) などの単位で表されます。

3. ノズル形状

バキュームガンには様々な形状とサイズのノズルがあります。広い面積をカバーするノズルや、狭いスペースに適した細長いノズルなどがあります。使用する対象表面や環境に応じて、適切なノズルを選択することが重要です。

4. その他

その他の要素には容量や重量、保証などがあります。容量は一度に吸い込めるゴミやホコリの量を示す指標であり、重量は使用時の快適性に影響を与える可能性があります。また、製品の保証期間やアフターサービスも考慮すべき重要な要素です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223013886261/
http://www.fujiwarasangyo.co.jp/service/mov_new/04electric_17_browe-vacuumgun.html
https://www.osawa-company.co.jp/ja/support/w101-info.html

ハンディスコープ

ハンディスコープとはハンディスコープ

ハンディスコープとは、手で持つことができるマイクロスコープのことです。

ハンディー型マイクロスコープとも呼ばれます。パソコンやモニターなどの画面に拡大した対象物を映し出せ、通常の顕微鏡のようにレンズを覗かなくても観察ができます。

スコープ部分が持てるため、ステージに乗せて観察できない対象物に対してレンズを直接近づけて観察することが可能です。さらに狭い場所の観察をする場合は、マイクロハンディースコープという内視鏡型の製品を使います。

ハンディスコープの使用用途

ハンディスコープの使用用途は多様です。片手で簡単に角度を変えて簡単に観察できるので、幅広い分野で使われています。

配管やタンクの中のヒビや、金属フィルターの汚れや目詰まりの検査、手の届かない空間や機械、配管、ダクト内部の検査なども簡単におこなえます。軽量かつ片手でも操作が可能なので、どこでも誰でも手軽に作業ができます。

ハンディスコープの原理

ハンディスコープは一般的なマイクロスコープと比べ、ケーブル部分が長くなっています。顕微鏡は英語ではマイクロスコープと呼び、顕微鏡とマイクロスコープは同じものです。しかし、日本では接眼レンズと対物レンズの2枚のレンズがついたタイプを光学顕微鏡、レンズが1枚の場合をマイクロスコープと呼んでいます。

光学顕微鏡の倍率は、接眼レンズと対物レンズの倍率の積で決められます。一方、ハンディスコープの倍率は、対物レンズの倍率とデジタルカメラの倍率とモニターの倍率の積で決定されます。

ハンディスコープは光学顕微鏡のように両方の目で見ることができない構造のため、立体がわかりにくいという面もあります。

ハンディスコープの構造

ハンディスコープは、主に光学レンズとカメラ、そして光源ランプとケーブルでできています。これに専用の情報処理装置やパソコン、モニターなどにつなぐケーブルが接続しています。

また、自動で焦点を合わすオートフォーカス (自動ピント調整機能) や光量の調整ができるタイプもあります。

ハンディスコープの選び方

ハンディスコープは、観察対象や使用頻度、求められる画質によって条件が変わります。

1. 倍率

ハンディスコープのレンズの倍率は、目的に合わせて選ぶ必要があります。観察できる倍率には幅がありますが、倍率が高くなるほど視野と焦点範囲が狭くなるため、対象物を見つけにくくなります。

特に100倍以上になると人間のハンドリングで焦点を合わせるのは困難なため、ここで必要となるのが深度合成技術です。深度合成技術とは、複数の深さでピントが合った画像をひとつの画像に合成する機能です。高倍率で使用する際は、深度合成機能が搭載されているハンディスコープを選択する必要があります。

2. フォーカス機能

ハンディスコープは手で持って使用するため、どうしても手ぶれが発生します。特にに倍率が高くなる場合は小さな手ぶれでも大きくピントがずれてしまいます。作業中に毎回焦点を合わすのは煩雑で負担になるため、倍率が高い状態や長時間の使用になる場合は自動フォーカス機能がついた製品が推奨されます。

3. 解像度

ハンディスコープにはカメラが搭載されているため、カメラの画素数も画質に影響します。画素数とデータが大きいほど細かいところまで確認できる画像になりますが、保存容量が大きくなるため注意が必要です。

参考文献
https://www.asahikogakuki.com/blog/
http://www.e-lets.co.jp/detail.php?n=7

コンタクトグリース

コンタクトグリースとは

コンタクトグリースとは、スライド接点を硫化・酸化から保護する接点グリースです。

熱分解に強く、耐酸性ガス性・耐薬品性に優れており、長持続性を持っています。化学的に安定した合成油によりできています。耐寒性に優れており、-40℃以下の環境であっても流動性を保持できます。

接点の摩耗を抑え、耐久性に貢献しています。電子部品に使用しても電気的特性に対して影響はありません。液だれを起こすことなく、グリース本来の機能である潤滑効果を保ちます。

コンタクトグリースの使用用途

自動車や電気機器の摺動部位に存在する電気接点を硫化・酸化から保護するために使用されています。

電源を切り替える部位に使用されています。接点の摩耗を抑え、接続時のスパークを抑制することで耐久性を上げます。また、接点が空気に触れることがなくなるため、酸化被膜が生成されることなく、接触不良の可能性を低減します。スライドでスイッチを切り替えるタイプであっても接点同士が導通することはないため、ショートする可能性を無くします。

コンタクトグリースの原理

接点保護効果が優れているため生成される強力な被膜は接点部の磨耗を抑制して、腐食ガス・酸化から接点を保護します。

化学的に安定した不活性な合成油を使用しているため、鉱油・合成油を使用したものよりも優れた酸化安定性を持っています。また、半流動性のグリース状であるため、オイル状のものと比べて長期間の防錆・潤滑効果を維持します。

シリコーンオイルを使用しているため、鉱油・合成油を使用したものと比べて温度変化による粘度への影響が小さいです。特に耐熱性に優れているため、高温下での使用に向いています。

使用されているシリコーンオイルは流動点-40℃以下であるため、低温下でも潤滑性を維持できる低温流動性に優れています。また、使用しているシリコーンオイルは化学的に安定した不活性なものであるため、素材への影響が少なく、特に樹脂への影響はありません。しかし、一部のゴムやプラスチックなどには素材の経時変化・性質によっては変質・破損の可能性があります。

参考文献
https://www.monotaro.com/p/3759/3062/

コルゲートチューブ

コルゲートチューブとは

コルゲートチューブ

コルゲートチューブとは、電線の保護や配線を整理する目的で使用されるチューブです。

電線を入れやすいようにスリットが入っていて簡単に出し入れできるものと、スリットがなく気密性を確保できるものがあり、場合によって使い分けられます。

コルゲートチューブとは英語で書くとcorrugate (波形の) tube (筒) となり、その名前通り波打った筒状の製品が多く、柔軟性があるため電線の配線に合わせて追従しやすい電線保護部材となっています。丈夫で圧力がかかってもつぶれにくい特徴があり、材質によって屋内用と屋外用で使い分けます。

色は一般的にほとんどが黒ですが、車用では高圧電線を保護していることが一目で見分けられるようにするために目立つオレンジが使われます。また、医療用では白色透明の製品があります。

コルゲートチューブの使用用途

コルゲートチューブは電線の摩耗や損傷を防ぐ目的で使用されます。

電線の被覆だけでは飛び石や日光など外部からの刺激に対応することができず、電線の被覆に傷がつき内部の導体 (芯腺) が露出してしまう場合があります。その部分から漏電が発生し火災につながる恐れがあります。

コルゲートチューブの屋外での使用例として、排水設備があります。ノンスリットタイプのコルゲートチューブは、加工が簡単で、フレキシブル性があり、かつ気密性がある為、ゴルフカートなどの雨樋に使用されたり、家庭用エアコンの室外ユニットのドレン配管に使用されたりもします。

比較的丈夫で柔軟性のある樹脂が使用されているので、強い衝撃や摩耗、熱などから配線を守ることができます。実際に使用されている場面は非常に幅広く、工場や工事現場、自動車、オフィス、パソコン、OA機器の配線の保護や整理に利用されています。

また、難燃性や耐熱性が優れているコルゲートチューブなど、様々な用途に応じた種類があります。長さはカッターなどで簡単に調節することができます。

コルゲートチューブの特徴

コルゲートチューブは、内部に電線が容易に入るようスリットが入っているものと入っていないものの2種類があります。

1. スリット入りのコルゲートチューブ

スリット入りのコルゲートチューブは、メリットとして取り付けの作業性が良いことが挙げられます。電線端末の圧着処理前に先通しする必要が無く、コルゲートチューブの取り付けを後工程に回せる為、電線端末処理を行う前工程のタクトタイムを減らすことが出来ます。

デメリットは別途電線はみ出し対策が必要な点です。後工程でPVCテープによる割れ止めや荒巻もしくはハーフラップ処理が必要となります。ハーフラップ処理はコストや作業時間が多く掛かるため、問題なければスリットなしに設計変更することが推奨されます。

スリットがあるものは、内部に電線を入れることが容易ですが、そのままにしておくと曲げた際にスリットから電線がはみ出してしまうことがあり、電線がスリットに挟まると断線してしまう可能性があります。

それを防ぐため、スリットがあるコルゲートチューブにはチューブ全体を覆うようにビニールテープで割れ止めをする等スリットが配線時に開かないよう対策する必要があります。

2. スリットなしのコルゲートチューブ

スリットなしのコルゲートチューブのメリットは、別途電線はみ出し対策が不要な点です。スリット入りのデメリットで述べた作業が不要となりますが、電線へ固定する為の部止め処理は必要となります。

デメリットは電線への取り付け作業性が悪く工程の制約があることです。電線端子圧着前に先通しする必要があるため、先通しした後の工程の作業性に影響します。

スリットなしの場合、電線へ端子を圧着する前の状態でコルゲートチューブを先通しする制約がありますが、スリットがないためビニールテープ等でスリットから電線がはみ出す対策を行う必要がありません。その分部材費と加工時間を低減することが可能です。閉断面なためスリット入りに比べて内部へのごみや水の侵入がしにくいメリットもあります。

スリットの有無はどちらも一長一短があるため用途や場合に応じて選択する必要があります。チューブの内径は多様な種類があり、コルゲートチューブに入れる電線の本数等を考慮して選択します。

コルゲートチューブのその他情報

コルゲートチューブの材質

コルゲートチューブで使用されている材質には、大きく分けてポリプロピレンポリエチレンナイロンが多く使用されており、それぞれ値段や特徴が異なるため用途に合わせて最適なものを選べるようになっています。

  1. ポリプロピレン
    耐熱性はそれほど強くなく、-50℃〜95℃℃程度まで使用できます。耐候性が優れているため屋外でも使用されています。難燃性で、自己消火性のある素材です。
  2. ポリエチレン
    耐熱性は-40℃~50℃程度です。耐候性が優れているので、屋外でも使用されています。白色透明タイプは中が透けて見えるので、医療用途などに適しています。
  3. ナイロン (ポリアミド)
    耐熱性は-50℃〜125℃程度です。耐熱性が優れている製品が多いです。難燃性で、自己消火性のある素材です。

国によってはネズミが機材の内部へ侵入し柔らかいケーブルをかじることで断線が発生する場合がありますが、ネズミが嫌う忌避剤が基材に含まれていて、ネズミの被害を防止する対策がとられているコルゲートチューブもあります。

参考文献

https://www.nisseieco.co.jp/products/corrugate
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/4378/