ファインバブル発生装置とは
ファインバブル発生装置とは、直径が100μm (0.1mm) より小さな泡であるファインバブルを発生させる装置です。
ファインバブルとは、100μm以下の大きさの気泡全てを指します。その中でも、1~100μmの気泡をマイクロバブル、1μm以下の気泡をウルトラファインバブル(旧:ナノバブル)として区分しています。
ファインバブル発生装置の使用用途
ファインバブル発生装置は、ファインバブルが使用される産業や分野で使用されています。ファインバブルの大きな特徴は、液中に長時間残存できることです。このことから、浄化作用や洗浄作用などの様々な効果をもち、用途は多岐にわたります。
主な使用例を解説します。
1. 環境分野
ファインバブルの浄化作用を利用して、河川や湖沼の浄化や下水などの排水処理などに使用されています。
2. 農水産業分野
ファインバブルには、直径が非常に小さく生物の細胞内に入り込みやすい特性があり、効率よく栄養を届ける事が可能です。具体的には、農畜水産物の成長促進や収量増加に利用されています。
3. 食品分野
食品の鮮度保持や酸化防止に利用されています
4. 洗浄分野
ファインバブルが微生物の繁殖を抑える効果を利用して、配管やタンクなどの機器の中で細菌が繁殖を防止しています。具体的には、トイレ洗浄や洗濯機などに利用されています。
5. 工業分野
ファインバブルには帯電性があり、強い吸着作用を持つことも特徴です。このため、金属スラッジの分離や回収を効率よく行うことも可能で、生産ライン洗浄などにも使用されています。また、精密剥離やシリコンウエハー薄膜分離にも利用されています。
ファインバブル発生装置は、生活上の使用用途から産業上の使用用途、このほかにも美容関係や医療関係にも幅広く使用することが可能です。
ファインバブル発生装置の原理
ファインバブル発生装置の原理は、「液のせん断による気泡の破砕」や「液中溶存ガスの析出」および「蒸気泡の急凝縮」により微小な気泡を生じさせることです。なお、これらのどの手法を用いても、直径1~100μmのマイクロバブルと直径1μm以下のウルトラファインバブルの両者を含んでいる可能性があります。必要に応じて、分別することがあり、そのような装置もあります。
ファインバブル発生装置の種類
ファインバブル発生装置の気泡の生成方法は、「液のせん断による気泡の破砕」や「液中溶存ガスの析出」および「蒸気泡の急凝縮」の3つです。以下に、それぞれの方法に属する具体的な手法について挙げます。
1. 液のせん断による気泡の破砕
この方法では、液体とガスを混合した後、撹拌し、液体中のガスよりなるバブルを水流によってせん断 (引きちぎる或いは切断する) しています。具体的には以下の様な方法があります。
- 旋回流液式
高速液旋回流による気泡の粉砕 - エゼクター式・ベンチュリー式
気液流路内の急激な圧力変化による気泡の粉砕 - 微細孔式
微細なガス分散孔による気泡の微小化 - スタティックミキサー式
気液流路内の障害物による気泡のせん断
2. 液中溶存ガスの析出
この方法は、液体とガスを過飽和で混合した後、圧力を掛ける若しくは加温することで、過飽和分をファインバブルとして析出させる方法です。具体的には以下の様な方法があります。
- 加圧溶解析出式
加圧下の飽和溶液の急減圧による気泡の析出 - 加温析出式
常温の飽和溶液の急加温による気泡の析出
3. 蒸気泡の急凝縮
この方法では、液体とガスの混合物を蒸気とし、これを急冷してガスよりなる気泡を生成しています。具体的には、蒸気の直接接触凝縮による混合ガス気泡を微細化する蒸気直接接触凝縮式があります。
ファインバブル発生装置のその他情報
セラミックスの多孔質によるファインバブル生成
ファインバブル発生装置においては、ガスの物理的変化を利用したものが多く使用されていますが、セラミックスの多孔質による生成もおこなわれています。この方法は、孔径が微細かつ均一であるセラミックス膜を通して気体を噴射し、液中に分散させてファインバブルを生成することが特徴です。
このため、ファインバブルを発生させる際に、ガスおよび液体に強い力を加える必要がありません。また、液体として水状から粘性のある液体まで幅広い流体で使用できる点や、使用するセラミックスの本数や長さを調節することでファインバブルの発生量を調節することができる点もメリットとなります。
参考文献
https://www.tanakakinzoku.com/ultrafinebubble/
https://www.noritake.co.jp/products/eeg/majors/detail/31/
https://www.shi-ftec.co.jp/products/finego