ブロア

ブロアとは

ブロア

ブロアとは、空気を強制的に移動させるために使用される機械装置です。

一般的には、モーターやエンジンによって駆動され、回転する羽根やファンを備えています。送風や排気の目的で広く使用される機器です。

送風機はファン、ブロア、コンプレッサの3種類に大別されます。ファンは10kPa未満の差圧を生み出す機械であり、ブロアは10~100kPaの差圧を生み出す機械です。コンプレッサは、それ以上の差圧を生み出します。

ブロアは、産業用途において大量の空気を移動させるための強力な風力を生み出します。工場や生産ラインでの素材運搬やプロセス効率化に寄与します。また、有害ガスを送風する目的でも使用することが多いです。

ブロアの使用用途

ブロアはさまざまな使用用途で広く活用されています。以下は一般的な使用用途の一例です。

1. 冷暖房システム

建物や住宅の冷暖房システムにおいて、空気の循環や温度制御を補助します。空調ユニットやヒーターと組み合わせて使用され、効率的な空気の分配や温度均一化させることが可能です。

また、建物や施設内の換気システムにおいて使用されることも多いです。室内の空気を強制的に排出し、新鮮な外気を取り込むことで空気質の改善が可能です

2. 冶金プロセス

ブロアは冷却装置として冷たい空気を供給し、機械やプロセスの温度を制御する場合もあります。鋳造や溶接プロセスにおいて、ブロアは冷却材料を送り込んで冷却を行います。

3. 鉱業

鉱山では、ブロアが鉱山内の換気システムに重要な装置です。ブロアは新鮮な空気を鉱山内に供給し、鉱夫たちの安全な作業環境を確保します。

また、鉱石を炉に投入すると、有毒ガスや粉塵が発生します。これらを系外へ出さずに無害化するために、ブロアが必要です。ブロワで排気ガスを吸引して、排煙脱硫プラントなどへ導入します。

4. 自動車産業

自動車の塗装プロセスにおいて、乾燥を促進するために使用されることが多いです。ブロアは塗料の揮発成分を迅速に除去し、塗装面を乾燥させる役割を果たします。

ブロアの原理

ブロアはモーターやエンジンなどによって駆動され、回転する羽根車を通じて空気を移動させる原理で動作します。ブロアによる送風の基本原理は、ベルヌーイの法則です。

この法則は、流体の速度が増すと圧力が減少し、速度が低下すると圧力が増加することを示しています。ブロアの回転によって周囲の空気の速度が増加または減少し、それに伴って圧力の差が生じて空気が送風または排気されます。

空気の速度変化は、遠心力を利用して生み出すことが多いです。回転する羽根車によって空気が回転させられ、遠心力によって空気が外側に押し出されます。押し出される力によって、空気の送風や排気が行われます。

ブロアの種類

ブロアにはさまざまな種類が存在します。以下はブロアの種類一例です。

1. ルーツブロア

ハウジング内のローターと呼ばれる一対の羽根形状の部品を回転させることで、空気を送り出すブロアです。羽根の枚数は2~4枚で構成されており、羽根の枚数が多いほど1回転当たりの送風回数が増えて効率が上がります。

1866年にルーツ兄弟が現在の構成を考えたことから、その名称で呼ばれています。ローターの形状は大きく分けて「インボリュート型」「サイクロイド型」「エンベロープ型」の3種類です。

2. 遠心ブロア

遠心ブロアは回転する羽根によって空気を回転させ、遠心力を利用して送風するブロアです。羽根の形状や配置によって異なる送風特性を持つさまざまなタイプがあります。一般的な使用例は、冷却装置や排気システムなどです。

3. マルチステージブロワ

複数のステージを持つブロワです。各ステージには羽根車があり、圧力を段階的に増加させる仕組みを持っています。一般的に各ステージで空気の圧縮が行われ、次のステージに送られてさらに圧力が増加します。

したがって、高い圧力を生成することができるため、圧力が必要な用途に最適です。主な使用例は、高圧力の送風や空気供給が必要な産業プロセス、排気システムなどです。

参考文献
https://www.anlet.co.jp/catalog/pdf/anlet005.pdf
https://www.orionkikai.co.jp/technology/vacuum-pump/knowledge/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です