ダイヤモンドソー

ダイヤモンドソーとは

ダイヤモンドソー

ダイヤモンドソーとは、刃にダイヤモンドの砥粒が固着されている工具です。

衝撃や粉塵が少なく、複雑な形状や小型のもの、強度が低い脆い素材も切断できるため、幅広い用途に活躍しています。研究開発の現場では、高い精度と繊細な切断力を活かし、小型サンプルの切り出しに用いられています。また、大規模工事では、構造物の解体にも活用されています。

ソーの形状は、ワイヤー型やホイール型などさまざまです。用途に応じて使い分けられ、ワイヤーダイヤモンドソーは、狭い場所での切断や複雑な形状への対応に適しており、ホイールダイヤモンドソーは、一般的な切断作業に適しています。

ダイヤモンドソーの使用用途

ダイヤモンドソーは、その優れた切断力と精度から幅広い使用用途があり、セラミックス、ガラス、陶器、タイル、鉄筋コンクリートなど、硬質の材料を切断する際に活躍しています。研究開発から生産、解体まで、さまざまな分野で利用可能で、卓上型から大型サイズまでさまざまな種類が存在します。

切断対象物の大きさに合わせて、適切なダイヤモンドソーを選ぶことが大切です。ホイールを回転させることで、硬い対象物でも安全に滑らかな切断面の実現が可能です。

また、ワイヤーダイヤモンドソーは、固定した対象物にワイヤーを下ろして切断できるため、対象物に負荷をかけずに切断できます。脆い材質や硬度が異なる対象物も破損することなく切断可能です。

ダイヤモンドソーの原理

ダイヤモンドソーは、切断能力と精度の高さが特徴です。切断する刃の表面部分にダイヤモンドの砥粒が用いられており、硬質の対象物を加工する力を生み出しています。ダイヤモンドは非常に高い硬度を持っているため、その特性を活かした切断作業が可能です。

また、ダイヤモンドの砥粒の大きさや密度が異なることで、ワイヤーやホイールの性質も変化します。ワイヤー型では、往復運動を行いながら切断が可能です。一方、ホイール型では、回転運動を利用して切断が可能です。どちらも対象物に接触させることで、切断作業が可能な点で共通しています。

さらに、切断負荷を調節することで、切断速度のコントロールが可能です。そのため、さまざまな硬質の対象物に対して適切な負荷と速度で切断を行え、破損や不具合を防げます。

ダイヤモンドソーは、高い硬度のダイヤモンド砥粒と適切な切断負荷・速度の調節が重要であり、それぞれの要素が組み合わさることで、優れた切断能力と精度を実現しています。

ダイヤモンドソーの種類

ダイヤモンドソーには、主に「ワイヤーダイヤモンドソー」「ホイールダイヤモンドソー」「セグメントダイヤモンドソー」の3種類があります。

1. ワイヤーダイヤモンドソー

ワイヤーダイヤモンドソーは、切断部分にダイヤモンド砥粒が付着したワイヤーを使用しています。往復運動を利用して切断を行うため、狭い場所や複雑な形状の対象物に対しても効果的です。

また、対象物に負荷をかけずに切断可能で、脆い材質や硬度が異なる対象物にも使用できます。

2. ホイールダイヤモンドソー

ホイールダイヤモンドソーは、切断部分にダイヤモンド砥粒が付着した円形のホイールを使用しています。回転運動を利用して切断を行うため、一般的な切断作業に適しています。また、滑らかな切断面を作ることが可能です。

3. セグメントダイヤモンドソー

セグメントダイヤモンドソーは、切断部分にダイヤモンド砥粒が付着したセグメント状の刃を持っています。そのため、切断時の熱を効果的に放散させることが可能で、長時間の連続使用や高速切断に適しています。

また、セグメントの形状によって対象物の摩擦抵抗が低減され、効率的な切断作業が実現できます。

参考文献
http://www.musashino-denshi.co.jp/wire/
https://orist.jp/content/files/technicalsheet/20-06.pdf
https://www.newmetals.co.jp/cat04/cat0402/list.html

ダイヤモンドスラリー

ダイヤモンドスラリーとは

ダイヤモンドスラリーとは、サイズの小さいダイヤモンド粒子を配合したスラリーです。

一般的にスラリーとは、粘性を有する流動体を指します液体と鉱物の粒子などの混合物で、流動性のある泥水のような外観をしています。液体中に粒子が分散した状態です。

ダイヤモンド粒子の大きさは、マイクロメーター (μm) のオーダーでかなり小さいサイズです。ダイヤモンドスラリーはダイヤモンド粒子の硬さを利用して、主に研磨剤の用途で使用されます。

主な成分は、ダイヤモンド粒子および粒子を分散させる液体です。ダイヤモンドスラリーは配合されているダイヤモンド粒子の種類によっていくつかの種類に分類されます。ダイヤモンドスラリーが配合される液体にも、水溶性または油性などの性質の違いがあります

ダイヤモンドスラリーの使用用途

ダイヤモンドスラリーは精密な研磨加工を行うための研磨装置の動作中に使用されます。研磨される被加工物と研磨材との間にダイヤモンドスラリーが投入されます

単結晶ダイヤモンドは、特定の方向に対して割れやすい劈開性 (へきかいせい) という性質ですが、比較的低いコストで人工的に製造できるという利点もあります。そのため、単結晶ダイヤモンドスラリーは極端に硬質でない加工物を研磨するため利用されます。

一方で、多結晶ダイヤモンドは劈開性があまりなく、非常に良好な耐摩耗性有します。そのため、多結晶ダイヤモンドスラリーは被加工物が超硬質材料の場合でもあまり傷をつけずに研磨加工をすることが可能ですレンズ、ハードディスク、セラミックス、宝石、超合金といったかなり硬質な材料の研磨に利用されます。

ダイヤモンドスラリーの原理

研磨加工にダイヤモンドスラリーを使用する微小なダイヤモンド粒子対象物の表面に強く接触し研磨されます。

ダイヤモンドスラリーの研磨性は、ダイヤモンド粒子の種類だけで決まるわけではなく、スラリー中の液体の性質、ダイヤモンド粒子以外の粒子の性質、スラリーの粘度などによって決まります。

液体は、洗浄性が高い水溶性液体や腐食耐性などを有する油性液体などがあり、それぞれの用途に適した液体が選択されます

ダイヤモンドスラリーの種類

ダイヤモンドスラリーには下記のような種類が存在します。効果的に利用するため、用途に合ったものを選択することが重要です。

1. 単結晶ダイヤモンドスラリー

単結晶ダイヤモンドスラリーは、単結晶ダイヤモンドの微粒子を含みます。単結晶ダイヤモンドの各微粒子は1つの結晶の塊でできているため、結晶の向きに沿って割れる傾向があります。強い力が加わるとややもろいですが、割れた先端部分が鋭利になりやすいため、高い研磨力を発揮できます。

単結晶ダイヤモンドは人工的に製造することで比較的安い価格で入手できます。工業用途では天然の単結晶ダイヤモンドよりも頻繁に使用されます。

2. 多結晶ダイヤモンドスラリー

多結晶ダイヤモンドスラリーは、多結晶ダイヤモンドの微粒子を含みます多結晶ダイヤモンドは小さな結晶の塊を集合させて成形されます。多数の結晶がそれぞれさまざまな方向を向いているため、あらゆる方向から力を受けても割れにくく剥がれにくいという特徴があります。

多結晶ダイヤモンドは、高温高圧環境下で黒鉛 (グラファイト) を焼成することで製造されます。

3. その他のダイヤモンドスラリー

上記の種類の他に、ナノダイヤモンドスラリー、RCDダイヤモンドスラリーなどがあります。ナノダイヤモンドスラリーは、ダイヤモンドの微粒子がさらに小さいため分散安定性がより良好です。RCDダイヤモンドスラリーは、単結晶ダイヤモンドを特殊加工した多結晶ダイヤモンドに近い性質の微粒子が配合されています

参考文献
http://www.yamato-sanko.co.jp/knowledge/slurry/
https://www.kemet.jp/diamond_slurry.html
http://www.summit-smdp.com/service/polishingslurry/diamond-slurry/
http://www.musashino-denshi.co.jp/abrasives/diamond_slurries/

図面管理システム

図面管理システムとは

図面管理システムとは、製品の設計や建築の設計に使用される図面データを管理するためのシステムのことです。

図面データは、CADソフトウェアを使用して作成された2Dまたは3Dの図面ファイルのことを指します。これらの図面ファイルには、製品の部品図や建物の平面図などが含まれています。図面管理システムの使用により、これらの複雑な図面ファイルを効率的に管理可能です。

図面のバージョン管理を行い、最新版と過去の版を区別して保存します。また、図面ファイルにメタデータを追加し、検索しやすいように分類することもできます。

一括管理、かつ案件ごとなどの分類できるもの、クラウドと連携する機能で共有などが容易なものなど、多様な機能をもつものが増えています。また利用可能な端末も増え、スマートフォンで利用できるアプリも出てきています。

複数の設計者が同じ図面にアクセス可能で、複数人での設計が容易です。CADデータの品質管理などを行う上で、図面管理システムは重要な役割を果たし、人手不足やコスト削減のために、作業の簡素化をする上でも導入のメリットがあります。

図面管理システムの使用用途

図面管理システムは、製造業や建設業を中心に幅広く使用されています。

1. 建築・設計業界

建設業では、建物の設計・施工時に建物の平面図や立面図などの管理に欠かせません。設計変更が発生した場合、関連する図面が一元的に管理されているため、影響を与える図面を素早く抽出できます。また、施工時には現場で必要な図面情報を素早く参照できます。

2. 製造業

製造業では、製品設計図が重要な役割を果たします。図面管理システムを用いることで、製品設計図の改訂履歴を追跡し、そのバージョン管理を一元化が可能になります。

また、関連する3Dデータや作業手順書など紐づいているさまざまな情報を一元的に管理可能です。これにより、製造過程での混乱やミスを大幅に削減できます。

3. エンジニアリング業界

エンジニアリング業界でも、図面管理システムはプロジェクト管理を効率化します。特に大規模なプロジェクトでは、多数の設計図が関わり、それらの管理が難しくなります。図面管理システムの導入で、

設計図の一元管理やリアルタイムでの共有が可能となり、プロジェクトの進行をスムーズに進めることができます。

図面管理システムの原理

図面管理システムは、基本的にデータベースシステムとファイルサーバーにより構成されています。図面ファイルはファイルサーバーに保存され、データベースには図面のメタデータや管理情報が保管されます。

メタデータ管理、ファイル管理、セキュリティ管理などを行うことで、長期にわたり蓄積される大量の図面データを体系的に管理・運用が実現します。

1. システム利用者

システム利用者は、クライアントPCから図面管理システムにアクセスします。アクセスした利用者に応じた権限で図面ファイルの検索や参照、ダウンロード、アップロードができます。

新規図面ファイルをアップロードすると、図面管理システムは自動的に図面ファイルに付随する情報を抽出しメタデータとしてデータベースに登録します。

2. メタデータ

検索機能を使用すると、メタデータに基づいて必要な図面ファイルを効率的に検索できます。バージョン管理機能により図面の修正履歴を追跡し、過去のバージョンと最新版を管理可能です。ログ機能では、図面にアクセスしたユーザの操作履歴を管理しています。

また、企業内の各部署やプロジェクト、利用者の権限に応じてアクセスを制限できます。基幹業務システムと連携して、図面情報と発注や生産管理、資産管理などのシステムをつなげることも可能です。

図面管理システムのその他情報

1. 図面管理システムの課題

従来のファイルサーバーだけの図面管理では、以下のような課題がありました。

  • 既に存在する図面を再度作成してしまい、二度手間になってしまう。
  • どこの発注先に向けた図面なのか分からなくなってしまい、誤った図面を送付してしまう。
  • 最新の図面が分からなくなってしまい、誤った図面を送付してしまう。
  • 一般的なフォルダでの管理では、必要な図面データがどこにあるのか把握しきれず、検索に時間がかかってしまう。
  • 設計部門、生産部門などで部門ごとに持っている図面情報が共有できておらず、情報共有に時間がかかる。

2. 図面管理システムによる解決

上記に対し、図面管理システムの導入で以下のようなメリットを得ることができます。

情報の紐付けが可能
図面を製品の部品表などとともに管理し、各部品に対して図面や発注先情報などを紐づけることで体系的に管理ができます。これにより、同じ図面の繰り返し作成を防止できるとともに、発注先に誤った図面を渡してしまうミスもなくなります。

キーワードやカテゴリでの検索が可能
部品名や作成年月日など、キーワードやカテゴリでの検索が可能です。また、キーワードが不明な場合でも、製品カテゴリから遡って検索できるので、効率よく検索を行うことができます。

効率的に情報共有が可能で手戻りや手間を省略できる
設計部門と生産部門などの部門による壁を越え、各部門を横断して図面の共有ができるので、非常に効率よく情報共有が可能です。発注先に閲覧のみの権限を与えるなども設定も可能なため、加工メーカーとのやり取りもスムーズに行うことができます。

ペーパーレス化
以前は大量の紙をファイルに整理する必要がありましたが、最近はクラウド経由でスマートフォンで操作したり、現場のPCやタブレットで開けるため、ペーパーレス化が進んでいます。また紙の場合は欲しい情報を探すのに手間取ることも多かったのですが、アプリを使うことで検索が容易に行え、欲しい情報に即アクセスできるようになりました。

参考文献
https://www.photron.co.jp/lp/case1_drawing-management.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=01_s_01_zumen
https://it-trend.jp/design_drawings_management/article/explain

タイミングプーリ

タイミングプーリとは

タイミングプーリ

タイミングプーリとは、内燃機関や自動車のエンジンなど、複数の部品を正確に同期させるために使用される機械要素です。

ベルトで動力を伝達するために使用されるプーリーの一種です。基本的にタイミングベルトとタイミングプーリはセットで使用します。

具体的にはエンジン内のカムシャフトとクランクシャフトを正確に同期させ、バルブの開閉タイミングを制御するために使用されます。タイミングプーリはカムシャフトとクランクシャフトを繋ぐタイミングベルトを駆動するための歯車状の部品であり、正確な角度で回転します。

エンジンの性能や燃費に大きく影響を与えるため、高品質な材料で製造され、正確な設計が必要です。また、タイミングベルトの交換時には、タイミングプーリも同時に交換されることが一般的です。

タイミングプーリの使用用途

タイミングプーリの身近な使用用途は自動車のエンジンです。エンジンにはシリンダ内に混合気を吸入するための吸気バルブと燃焼後の排気ガスを排出するための排気バルブが存在します。そのバルブの開閉はカムシャフトによって行われますが、カムシャフトを駆動させるためにタイミングプーリが使用されます。

吸気バルブ、排気バルブは高速で上下運動を繰り返すピストンのタイミングに合わせてバルブの開閉を行う必要があります。そのタイミングが狂えばエンジンは不調、もしくは故障の原因となります。

エンジンが動力を生み出す為には、ピストン運動、バルブ開閉、点火タイミングを合わせる事が非常に重要です。その役割を担っているのがタイミングベルトとタイミングプーリです。

自動車以外の機械であっても、内部を構成する部品のタイミングを合わせる必要がある場合に使用されることがあります。、印刷機械やテキスタイル機械など、工業製品の生産ラインにおいても使用されます。

タイミングプーリの原理

タイミングプーリは噛み合い伝達です。歯車のように歯数が設定されており、歯数設定でタイミングを合わせる事ができます。駆動側のタイミングプーリの歯数が20、伝達側の歯数が40であれば駆動側が2回転する事で伝達側が1回転することになります。

歯数の設定を間違えば、回転するたびにタイミングにずれが生じ、機械・装置が破損する原因となります。その他、プーリーの歯形やピッチをタイミングベルトと合わせて使用します。

タイミングプーリは非常に種類が豊富で、シャフトへの取り付けも様々なタイプが用意されています。キー溝、軸穴、ねじ穴付き圧着タイプ、キーレスタイプ (締結具一体化型) などがあり、取り付け場所を選びません。

タイミングプーリの種類

タイミングプーリには様々な種類があり、歯の形状、寸法規格で分類されます。

1. インチ系

インチ系では、台形型のMXL、XL、L、Hがあります。一般的な伝動と軽負荷搬送に使用されます。

2. ミリメートル系

ミリメートル系では、台形型のT、AT、高トルク伝達用のS型、R型、高精度位置決め用のH型があります。S型、R型はバックラッシも小さいため、位置決めにも多く使用されます。特に精度要求が高い場面にはH型が使用されます。台形型は搬送に使用されることが多いタイプで、ATはTの1.3倍の許容張力を持ち、高負荷搬送が可能です。

タイミングプーリの選び方

種類や規格が非常に豊富なため、タイミングプーリを選定する際は注意が必要です。タイミングプーリは使用する条件を元に、負荷、安全率などを計算して選定します。

1. 使用条件の確認

まずは、使用条件を明確にします。原動機の定格動力から伝動動力を決定し、使用される条件から補正係数を求めます。補正係数の求め方は各メーカー資料に記載されています。

例としては、繰り返し荷重があるか、振動があるか、1日の使用時間などから求めます。伝動動力に補正係数を乗じたものを設計動力と言い、選定で使用する伝動動力となります。

2. 歯形・ベルト幅の決定

次に簡易選定表を使用して、プーリ回転速度、設計動力からベルト種類 (歯形) を選定します。簡易選定表は各メーカーの選定資料に記載されています。

歯形が決定したら、基準伝動容量表を使用して、プーリ回転速度から基準伝動容量を求めます。設計動力、基準伝動容量、基準ベルト幅、かみ合い係数から必要ベルト幅を求めます。

3. 取付方法・ベルト長

取付条件に対して、フランジを付けるかや軸間距離はいくつにするかなどを選定します。ベルトテンション機構はどのようにするかなども設計し、取付寸法とベルト長さを決定していきます。

4. 材質

プーリ材質もアルミや鉄などがあり、用途に合わせて選定する必要があります。強度が必要な場合は鉄やステンレスが使用されます。低慣性モーメントが必要な精密位置決めなどはアルミが多く使用されます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/archive/pdf/fa/2010/catalog10-18.pdf
https://jp.misumi-ec.com/special/timing_pulley/about/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td03/a0095.html

ストレッチ包装機

ストレッチ包装機とはストレッチ包装機

ストレッチ包装機とは、パレットに積載された製品や荷物を固定化・保護するための専用装置です。

主にストレッチフィルムという伸縮性のあるフィルムを使用し、パレットごと回転させながら製品をぐるぐると巻き上げる形でラッピングします。これにより、製品は雨や汚れ、害虫からの影響を受けにくくなるだけでなく、輸送中の安定性も大きく向上することが可能です。

多様な種類のストレッチ包装機が存在し、使用する製品の大きさや形状、作業の頻度や環境に応じて最適なものを選定することが求められます。

ストレッチ包装機の使用用途

ストレッチ包装機は、荷物や製品の保護を目的に使用されています。特に、外部の雨水や害虫、汚れから製品を確実に守ることが可能です。

ストレッチフィルムの巻き付け強度の変更機能により、強めに巻き付けることで、荷崩れの防止とともに製品の安全性が向上します。さらに、荷抜き防止や製品のブランドアピールの強化が可能です。

大量の製品を扱う工場や倉庫では、効率的な梱包が求められます。そこで、パレット積みの製品梱包には、ストレッチ包装機の導入による人力の削減と作業の効率化が実現が可能です。その際、作業環境や梱包する製品の特性を考慮し、適切な機種選定が不可欠となります。

ストレッチ包装機の原理

ストレッチ包装機は、製品や荷物の安全と効率的な輸送を保証するための技術です。主要な原理としては、ストレッチフィルムを伸縮させて製品や荷物を包み込むことで、それを固定化します。

この伸縮性が製品をしっかりと保護し、同時に緩衝材としての役割も果たします。機械の動作としては、荷物をパレットごと回転させながらフィルムを巻き付けることで、均等にラッピングが行われるのが特徴です。

また、フィルムのテンション調整機能により、荷物のサイズや形状に応じて最適な巻き付けを行います。この一貫した動作原理により、製品や荷物は外部のダメージから確実に保護されます。

ストレッチ包装機の種類

ストレッチ包装機は、製品や荷物の梱包作業を支援するための装置として、多くの工場や施設で使用されています。これらの装置は、効率的な運用と保護を兼ね備え、輸送の安全性や労働時間の削減が可能です。

主なタイプは2つ存在し、それぞれの作業環境やニーズ、取り扱う製品の特性に合わせて、最適なものを選択することが求められます。それぞれのタイプは、環境や梱包する製品の量、投資予算などの要因に基づき選定されることが多いです。適切なタイプの選択により、梱包作業の効率化が期待できます。

1. 半自動ストレッチ包装機

ストレッチ包装機の中で、半自動タイプは効率性と柔軟性を兼ね備えたシステムとして多くの施設で導入されています。まず、荷物をフォークリフトなどで直接ターンテーブル上に配置する必要があります。一度荷物がセットされたら、使用者はストレッチフィルムの端を荷物やパレットに固定します。

ストレッチ包装機はプログラムに従うため、自動的にフィルムを上下に移動させ、製品を効果的に包装することが可能です。また、パレットの大きさや形状、製品の種類によって設定を変更することも容易です。

半自動ストレッチ包装機の利点として、初期投資が全自動タイプに比べて低い点が挙げられます。また、中小規模の事業所や異なる製品を頻繁に取り扱う場所での利用に適しています。

2. 全自動ストレッチ包装機

全自動ストレッチ包装機は高い効率性を誇り、大量の製品の包装作業に最適です。全自動のシステムは、物流のフローを中断することなく、製品を連続して包装できる能力があります。

製品はコンベアシステムを使用し、自動的にストレッチ包装機へと運ばれます。製品が機械の所定の位置に到達するとアームが動き出し、フィルムを製品に固定した後、ターンテーブルが回転し、フィルムが均等に製品を包み込む仕組みです。

全自動タイプは、人手を最小限に抑えることで、作業時間の短縮や労働力の削減が可能となるのが利点です。大規模な製造業や倉庫、物流センターなど、大量の商品を迅速に処理する必要がある場所には特に適しています。

ポリウレア

ポリウレアとは

ポリウレアは主鎖にウレア(尿素)構造を有する樹脂で、イソシアネートとポリアミンを重合させることで得られます。

ポリウレアは主にライニング材として使われており、イソシアネートとポリアミンをスプレー内で混合、吐出して塗膜後に素早く化学反応を起こすことで対象物をコーティングします。

ポリウレアは耐薬品性、防水性、耐摩耗性に優れており、化学プラントや薬品タンクなどのライニングに適しています。

ポリウレアに類似した構造を持つ樹脂としてポリウレタンが挙げられます。両者は主鎖の構造が異なりポリウレアのC-N結合に対してポリウレタンのC-O結合は加水分解しやすいため、ポリウレタンのほうが劣化しやすい傾向があります。

一方でポリウレアの主鎖よりポリウレタンの主鎖は回転しやすいため、ポリウレタンはポリウレアよりも柔軟性を有します。

ポリウレアの使用用途

ポリウレアとは主鎖にウレア(尿素)構造を有する樹脂で、芳香族系、脂肪族系のアミンとイソシアネートを重合させることで得られます。

主な施工法はスプレー塗布で、前述の2成分を混合したスプレーを塗布し、対象物上で化学反応を進行させることでコーティングを行います。

ポリウレアの主な用途はライニング材です。防水性、耐薬品性、耐摩耗性など様々な物性が優れているという点から、ポリウレアは薬品タンクや化学プラント設備、防液堤、ピットや水路などの表面保護に使われています。その他、質感の良さや耐久性向上などの目的から車へのポリウレアコーティングも行われています。

ポリウレアのその他情報

1. ポリウレアの生成反応

ポリウレアはイソシアネートとアミンの重合体です。原料モノマーの構造を変えることで物性を変えたポリウレア樹脂を得ることができます。

代表的なイソシアネートとしては4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が挙げられ、アミンとしてはポリエーテルアミンなどが挙げられます。

ポリウレアの生成反応

図1. ポリウレアの生成反応

スプレー塗布ではスプレーからイソシアネートとアミンが混合された状態で圧縮加熱されて噴射され、加熱された混合物が対象物に付着した直後に反応、すぐにポリウレアが生成されてコーティングされます。また、スプレーにはトルエン酢酸エチルなどの揮発性有機溶媒(VOC)が含まれていないため、環境負荷が少ないというメリットもあります。

2. ポリウレアとポリウレタン

ポリウレアと似た樹脂としてポリウレタンがあります。ポリウレタンはイソシアネートとポリオールの反応で得られるウレタン結合を有します。ウレタン樹脂は配合や成形条件を変えることで親水性、耐薬品性などの物性を変えることができるため、繊維、塗料、接着剤、合成皮革など様々な業界で用いられています。

ただし、ポリウレタンはC-O部位で加水分解を起こしやすいため劣化しやすく、光や熱による酸化反応でも劣化します。

ちなみにポリウレアのC-N結合は加水分解を起こさないため、ポリウレタンに比べるとポリウレアは劣化しにくいです。また、ポリウレタンはポリウレアに比べて分子構造的に主鎖が回転しやすいため、ポリウレアは剛直で物質の遮断性に優れ、ポリウレタンは柔軟性が高い、という傾向があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/networkpolymer1996/21/Supplement/21_229/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/66/4/66_4_253/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/74/7/74_7_696/_pdf https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/72/2/72_2_102/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/40/6/40_6-4/_pdf

スクリューポンプ

スクリューポンプとは

スクリューポンプ

スクリューポンプとは、容積式回転ポンプの1種であり、1~3つのスクリューとケーシングから構成されるポンプです。

ケーシング内の液 (流動体) は、スクリューの回転に合わせてスラスト方向に押し出されます。水などの液体から、食品、オイル、溶解した樹脂など、高粘度・固形物含有液の輸送にも適しています。

スクリューポンプは搬送物が回転しながら輸送されるため、撹拌や混錬を与えずに移送できます。また、スクリュー形状を一部変更することによって、ある程度の混合・混錬も可能なポンプです。

スクリューポンプの使用用途

スクリューポンプの身近な使用用途では、農業用水の引き上げなどがあります。水田などに用水を送るために、用水路から水田よりも高い位置に水を引き上げておく必要があるからです。

工業用途としては液体の搬送というよりは、高粘度液体、個体含有液体の輸送に多く使われます。また、スクリューポンプは回転物が接触しない構造であるため、摩耗・衝撃による金属破片の発生及び混入する可能性は少ないポンプです。食品やフィルム用樹脂など、異物の混入を嫌う材料の搬送・混合に使用されることもあります。

スクリューポンプの原理

スクリューポンプはネジの原理を利用しており、回転運動を直進運動に変換することによって搬送物を移動させます。軸方向に螺旋状のネジが切られたスクリューがケーシング内で回転することで、空間容積がスラスト方向に移動し、吸い込み及び吐出が連続的に行われます。

締結用のねじを締め込むと、ねじ本体が壁面に深く入り込んでいきますが、スクリューポンプはねじ=スクリューが回転することによって、ケーシング内の流動体を移動させることが可能です。スクリューポンプには1~3本のスクリューが1つのケーシング内に収められているものがあります。

1軸スクリューポンプは、他のポンプで扱うことが困難な高粘度の流体に使用されるポンプです。製品によっては、ステータ内面にも螺旋状のめねじが切られていることがあります。これはスクリューが回転しても、スクリューとステータ間の空間容積を一定のまま吸い込み・吐出を繰り返すことが可能です。

材料の搬送と共に混合・混錬を行う目的のスクリューの形状は、きれいな螺旋状ではなく中間部に混合・混錬用の部品が取り付けられている事があります。

スクリューポンプの構造

スクリューポンプは、モーターの回転軸に螺旋形状の羽根を持ったスクリューと、スクリューを覆う円筒状のハウジングで構成されています。ハウジングのモーター取り付け部の側面に搬送物を導くための導入口があり、スクリューの回転によって搬送物はモーター取り付け側と反対の吐出口に向かって押し出されていきます。

スクリューポンプの特徴

スクリューポンプには、以下のような特徴があります。

1. 液を撹拌せずに移送できる

スクリューポンプは搬送物を前方へと押し出しながら移送するため、搬送物にせん断がかかりません。撹拌されることによって性質が変化する液体の搬送に適したポンプです。また、スクリュー形状を意図的に変化させることによって、撹拌や混合の機能を与えることも可能です。

2. 金属破片の混入リスクが低い

スクリューポンプでは搬送物が触れる部分において、ポンプの部品同士は接触しません。つまり、ポンプの稼働によって部品の摩耗や破損のリスクが極めて低く、故障によって搬送物内に金属破片などが混入するリスクは極めて低くなります。

3. サニタリー性が高い

食品や医療品の製造業界におけるサニタリー性は、異物の混入がなく衛生的な状態が維持しやすいことを指します。先の説明のとおりスクリューポンプでは、ポンプ部品の混入リスクが少ない構造です。

さらに、ケーシングを取り外せば液体と触れるスクリューを完全に露出できるので、洗浄作業が簡単な点もメリットの1つです。

参考文献
https://engineer-education.com/pump-20_positive-displacement-pump/#i-11
https://www.fukko.com/products/screw/

ペリスタポンプ

ペリスタリックポンプとは

ペリスタポンプ

ペリスタリックポンプとは、軟質性のチューブを通して溶液を送液することができる装置です。装置には複数のローラーがあり、ローラーがチューブを押しつぶしながら回転することで送液します。ローラーは絶えず回転しているので、連続して送液することができます。また、回転数を制御すると、流量を変化させることも可能です。

チューブは軟質性のものであれば使用することができます。薬品の送液に使用されることが多いので、耐薬品性のあるシリコンチューブなどが用いられます。

ペリスタリックポンプの使用用途

ペリスタリックポンプを使用すると、連続的にかつ定量的に溶液を送液することができます。流量を調整して大量に溶液を送液したい場合などに適しています。具体的な使用例としては、クロマトグラフィや人工透析が挙げられます。

様々な溶液を送液することができるので、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)や誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)などの溶液を測定対象とした分光分析装置にも搭載されています。比較的、粘性のある溶液も送液することもできます。

ペリスタリックポンプの原理

ペリスタリックポンプとは、チューブ内の溶液を送液することができる装置です。ポンプのローラが回転してチューブを押しつぶすと、チューブ内に真空部分が発生するので、チューブ末端からチューブ内に溶液が引き込まれます。ローラーは常に回転しているので、チューブ内に連続的に真空部分が発生し、液体を送液することができます。

使用可能なチューブには様々な材質、孔径のものがあり、用途に合わせて使い分けることができます。例えば、シリコンチューブやタイゴンチューブなどが使用可能ですが、基本的には送液する溶液に耐薬品性のある素材のチューブを使用します。また、軟質性のチューブでしかスムーズに送液できないので、注意が必要です。各部に物理的な負荷がかかるため、長時間の使用によってチューブが破れたり、ローラー部分が摩耗したりするので、適宜交換して使用する必要があります。

参考文献
https://www.atto.co.jp/technical_info/liquidchromatography/peristapump2
https://www.surpassindustry.jp/%E6%8A%80%E8%A1%93%E6%83%85%E5%A0%B1/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E/

スクリューコンベア

スクリューコンベアとは

スクリューコンベア

スクリューコンベアとは、らせん状のスクリュー羽を回転させて粒状物体を移送できるコンベアです。

供給機能はなく、コンベアとして輸送することのみに特化して作られた製品です。構造上、傾斜での輸送も可能であり、異物混入や移送物の漏れが発生しにくい特徴があります。

らせんが連続した形状をしているスクリューの羽の特徴を生かして、輸送以外にも2種類以上の物質を同時に投入して攪拌しながら混合させて移送することが可能です。フィーダと併用して一定の量で供給することや、冷却・加熱を同時に行うなど使用方法が可能です。

スクリューコンベアは効率的でコンパクトであり、複雑なプロセスの一部として使用することができます。また、容易に設置・取り外しができるため、移動可能な製品も販売されています。

スクリューコンベアの使用用途

スクリューコンベアは粉体輸送の用途として、その構造の単純さと効率性からさまざまな産業で使用されます。

代表的な産業は建材産業です。コンクリートの製造を目的に、セメント、砂、水、砕石などの原料を混合して輸送するために使用されます。コンクリートの主要な原料の1つであり、建築や土木工事などで広く使用されています。

食品分野では飼料や穀物などの農産物を運搬するために使用されます。鉱業分野ではセメントや石炭などの運搬に使用されます。ボイラの灰出しなどに用いられる場合もあります。

化学工業の分野では、顆粒の化学物質を運搬するために使用します。一例としては炭酸カルシウムをタンクから混合槽まで運搬するために使用する場合などが挙げられます。医薬品などの分野でも使用されており、混合と運搬を担います。

スクリューコンベアの原理

スクリューコンベアの原理は、螺旋状に曲がった送りネジ (スクリュー) を回転させ、物質を送り出す機械です。スクリューコンベアはスクリュー、ハウジング、駆動装置などで構成されます。

1. スクリュー (送りネジ) 

螺旋状に曲がった形状の部分で、物質を送り出す役割を担います。スクリューが回転することで、物質は前方に押し出されます。

スクリューの直径やピッチ (スクリューの回転角度) は、運搬する物質の種類や量に応じて設計されます。スクリューの形状や回転速度を調整することで、物質の送り出し量や速度を制御することができます。

2. ハウジング

スクリューを覆う筒状の外殻です。移送対象の物質を収容しています。ハウジングの形状やサイズは、スクリューの大きさや運搬する物質の種類に応じて設計されます。移送対象物質は、ハウジング内をスクリューの螺旋状溝に沿って移動します。

3. 駆動装置

スクリューを回転させるための電気モーターやエンジンなどの駆動装置です。駆動装置によってスクリューを回転させ、物質を送り出します。

産業用途の場合、三相誘導モーターが使用されることがほとんどです。三相モーターの中でも200Vの製品が多いです。インバータなどを使用することで駆動装置の回転速度を可変させ、運搬速度を変更することが可能です。

スクリューコンベアの選び方

スクリューコンベアを選ぶ際は、運搬対象や運搬距離から適切な機器を選定します。

まず、運搬対象の粉体や顆粒などの物質に応じて選定します。ほとんどの場合は粉体を運搬するために用いられるため、液体等の場合は他の移送方法も検討します。運搬する物質の種類によってスクリューの形状や材質などが異なります。

運搬する物質の量に応じてもスクリューの大きさやハウジングのサイズが異なります。運搬する物質の量を正確に把握し、必要な運搬能力を持つ機器を選定します。

また、スクリューコンベアの適用範囲は比較的短距離です。運搬する距離に応じて複数のスクリューコンベアを連結する必要がある場合もあります。運搬する距離に合わせて、必要なスクリューコンベアの数や配置を検討する必要があります。

参考文献
https://www.sanwa-conveyor.co.jp/wp-content/uploads/catalog_screw_200106_S001.pdf
https://kyowaeng.com/1-a7-screw-conveyor.html
https://kenki-corporation.jp/2017/09/16/what-is-screw-conveyor-1/

スクリューアンカー

スクリューアンカーとは

スクリューアンカーとは、アンカーの固定にねじを使ったアンカー部品のことです。

アンカーは主に建築などで用いられる資材の一種で、母材となる部材に別の部材を取り付けたり、既存の母材と新設する部材とを接合したりするために使われます。

建築業界で使われるアンカーには、先付アンカーと後付アンカーがあります。後付アンカーを特に「あと施工アンカー」とも呼びます。

スクリューアンカーの使用用途

スクリューアンカーは主に、建築用途で使われます。取り付けられる母材にはコンクリートが多く、コンクリート施工された土台や建築物に対して、金属製の部材などを取り付けるために使われます。

設備などを取り付ける例としては、コンクリートとタイルで作られた階段に取り付けられる手すり、立体駐車場の柱脚、駐輪設備、看板、太陽光発電パネルの固定、自動販売機、水道管の取付けなどです。その他、古くなった建物を補強する耐震部材の取付け、橋梁、道路に設置される保護柵、港湾に取り付けられる防舷材や車止め、トンネル内照明などの取り付けにも使われています。

なお、アンカーにはスクリューアンカーのようなねじの原理で固定するもの以外にも、さまざまな固定方法があり、使用場所や目的に応じて使い分けることが必要です。建築用途以外として、段ボールやプラ段部材の固定、歯科矯正などが挙げられます。

スクリューアンカーの原理

アンカーはまずアンカー自体が母材に固定され、アンカーに設けられたねじ部分に他の部材を取り付けることによって、母材と他の部材とを接続します。スクリューアンカーではスクリューアンカー自体と母材との固定に、ねじが用いられています。

一般的にねじが固定力を発揮できるのは、ねじが軸力という引張力を発生させるからです。しかし、スクリューアンカーにおいては、軸力よりも母材とスクリューアンカーのねじのせん断応力が発生することによって、固着力が得られます。つまり、ねじの山と谷との凹凸が母材の噛み合うことによって、母材と他の部材とが離れようとする力に耐えているわけです。

一般的なねじが固定力を発揮している軸力は、ねじが固定する部材 (被締結物) がねじによって圧縮され、ねじは逆に被締結物の圧縮反力によって伸ばされることによって生まれます。スクリューアンカーでは被締結物はないので圧縮される部材はなく、スクリューアンカーにも積極的な軸力は発生しません。

よって、スクリューアンカーの固定は軸力よりもねじの山と谷との形状部分が、母材と他の部材との間で働く引張力に対して、せん断力を受けることによって固定しています。

スクリューアンカーのその他情報

1. アンカーの種類

アンカーにはスクリューアンカー以外にも、さまざまな種類があります。建築用では大きく金属系アンカー、接着系アンカー、その他のアンカーの3つに分けられており、スクリューアンカーはその他のアンカーに分類されています。

金属系アンカー
金属系アンカーは主に、金属拡散アンカーとその他の金属アンカーに分けられます。金属拡散アンカーは母材に開けられた孔の中で拡散部分が孔に対して押し広げられることによって自らを母材に固定します。

接着系アンカー
接着系アンカーは母材に開けられた孔の中で接着剤が硬化することによって、アンカーが母材に固定されます。

2. あと施工アンカーの破損モード

スクリューアンカーを含む、あと施工アンカーが壊れるモードには3つあります。あと施工アンカーが壊れる際には、3つのモードのうち最も弱いモードで壊れます。

破損モード1:アンカー筋の破断 (アンカーの降伏破壊)
アンカーと母材との固着強度が十分な場合には、アンカー自体の強度限界に達した時に破壊します。アンカーの材料強度不足かそもそもアンカーの大きさ (断面積) が不足していたことが原因です。

破損モード2:コーン状破壊 (母材の破壊)
モード1と同様にアンカーと母材の固着強度は十分であり、アンカーよりも母材の方が弱かった場合に起こります。母材がコーン状に破壊するのが特徴です。

破損モード3:アンカーの引き抜き
取付けられたアンカーの固着強度が不足していた際には、アンカーが母材から引き抜かれてしまいます。アンカーや母材の強度ではなく、固着強度の不足が原因です。 

参考文献
https://www.anchor-jcaa.or.jp/anchor/foundation.html
http://chuo-sogyo.com/publics/index/65/