スクリューポンプ

スクリューポンプとは

スクリューポンプ

スクリューポンプとは、容積式回転ポンプの1種であり、1~3つのスクリューとケーシングから構成されるポンプです。

ケーシング内の液 (流動体) は、スクリューの回転に合わせてスラスト方向に押し出されます。水などの液体から、食品、オイル、溶解した樹脂など、高粘度・固形物含有液の輸送にも適しています。

スクリューポンプは搬送物が回転しながら輸送されるため、撹拌や混錬を与えずに移送できます。また、スクリュー形状を一部変更することによって、ある程度の混合・混錬も可能なポンプです。

スクリューポンプの使用用途

スクリューポンプの身近な使用用途では、農業用水の引き上げなどがあります。水田などに用水を送るために、用水路から水田よりも高い位置に水を引き上げておく必要があるからです。

工業用途としては液体の搬送というよりは、高粘度液体、個体含有液体の輸送に多く使われます。また、スクリューポンプは回転物が接触しない構造であるため、摩耗・衝撃による金属破片の発生及び混入する可能性は少ないポンプです。食品やフィルム用樹脂など、異物の混入を嫌う材料の搬送・混合に使用されることもあります。

スクリューポンプの原理

スクリューポンプはネジの原理を利用しており、回転運動を直進運動に変換することによって搬送物を移動させます。軸方向に螺旋状のネジが切られたスクリューがケーシング内で回転することで、空間容積がスラスト方向に移動し、吸い込み及び吐出が連続的に行われます。

締結用のねじを締め込むと、ねじ本体が壁面に深く入り込んでいきますが、スクリューポンプはねじ=スクリューが回転することによって、ケーシング内の流動体を移動させることが可能です。スクリューポンプには1~3本のスクリューが1つのケーシング内に収められているものがあります。

1軸スクリューポンプは、他のポンプで扱うことが困難な高粘度の流体に使用されるポンプです。製品によっては、ステータ内面にも螺旋状のめねじが切られていることがあります。これはスクリューが回転しても、スクリューとステータ間の空間容積を一定のまま吸い込み・吐出を繰り返すことが可能です。

材料の搬送と共に混合・混錬を行う目的のスクリューの形状は、きれいな螺旋状ではなく中間部に混合・混錬用の部品が取り付けられている事があります。

スクリューポンプの構造

スクリューポンプは、モーターの回転軸に螺旋形状の羽根を持ったスクリューと、スクリューを覆う円筒状のハウジングで構成されています。ハウジングのモーター取り付け部の側面に搬送物を導くための導入口があり、スクリューの回転によって搬送物はモーター取り付け側と反対の吐出口に向かって押し出されていきます。

スクリューポンプの特徴

スクリューポンプには、以下のような特徴があります。

1. 液を撹拌せずに移送できる

スクリューポンプは搬送物を前方へと押し出しながら移送するため、搬送物にせん断がかかりません。撹拌されることによって性質が変化する液体の搬送に適したポンプです。また、スクリュー形状を意図的に変化させることによって、撹拌や混合の機能を与えることも可能です。

2. 金属破片の混入リスクが低い

スクリューポンプでは搬送物が触れる部分において、ポンプの部品同士は接触しません。つまり、ポンプの稼働によって部品の摩耗や破損のリスクが極めて低く、故障によって搬送物内に金属破片などが混入するリスクは極めて低くなります。

3. サニタリー性が高い

食品や医療品の製造業界におけるサニタリー性は、異物の混入がなく衛生的な状態が維持しやすいことを指します。先の説明のとおりスクリューポンプでは、ポンプ部品の混入リスクが少ない構造です。

さらに、ケーシングを取り外せば液体と触れるスクリューを完全に露出できるので、洗浄作業が簡単な点もメリットの1つです。

参考文献
https://engineer-education.com/pump-20_positive-displacement-pump/#i-11
https://www.fukko.com/products/screw/

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