ポリウレア

ポリウレアとは

ポリウレアは主鎖にウレア(尿素)構造を有する樹脂で、イソシアネートとポリアミンを重合させることで得られます。

ポリウレアは主にライニング材として使われており、イソシアネートとポリアミンをスプレー内で混合、吐出して塗膜後に素早く化学反応を起こすことで対象物をコーティングします。

ポリウレアは耐薬品性、防水性、耐摩耗性に優れており、化学プラントや薬品タンクなどのライニングに適しています。

ポリウレアに類似した構造を持つ樹脂としてポリウレタンが挙げられます。両者は主鎖の構造が異なりポリウレアのC-N結合に対してポリウレタンのC-O結合は加水分解しやすいため、ポリウレタンのほうが劣化しやすい傾向があります。

一方でポリウレアの主鎖よりポリウレタンの主鎖は回転しやすいため、ポリウレタンはポリウレアよりも柔軟性を有します。

ポリウレアの使用用途

ポリウレアとは主鎖にウレア(尿素)構造を有する樹脂で、芳香族系、脂肪族系のアミンとイソシアネートを重合させることで得られます。

主な施工法はスプレー塗布で、前述の2成分を混合したスプレーを塗布し、対象物上で化学反応を進行させることでコーティングを行います。

ポリウレアの主な用途はライニング材です。防水性、耐薬品性、耐摩耗性など様々な物性が優れているという点から、ポリウレアは薬品タンクや化学プラント設備、防液堤、ピットや水路などの表面保護に使われています。その他、質感の良さや耐久性向上などの目的から車へのポリウレアコーティングも行われています。

ポリウレアのその他情報

1. ポリウレアの生成反応

ポリウレアはイソシアネートとアミンの重合体です。原料モノマーの構造を変えることで物性を変えたポリウレア樹脂を得ることができます。

代表的なイソシアネートとしては4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が挙げられ、アミンとしてはポリエーテルアミンなどが挙げられます。

ポリウレアの生成反応

図1. ポリウレアの生成反応

スプレー塗布ではスプレーからイソシアネートとアミンが混合された状態で圧縮加熱されて噴射され、加熱された混合物が対象物に付着した直後に反応、すぐにポリウレアが生成されてコーティングされます。また、スプレーにはトルエン酢酸エチルなどの揮発性有機溶媒(VOC)が含まれていないため、環境負荷が少ないというメリットもあります。

2. ポリウレアとポリウレタン

ポリウレアと似た樹脂としてポリウレタンがあります。ポリウレタンはイソシアネートとポリオールの反応で得られるウレタン結合を有します。ウレタン樹脂は配合や成形条件を変えることで親水性、耐薬品性などの物性を変えることができるため、繊維、塗料、接着剤、合成皮革など様々な業界で用いられています。

ただし、ポリウレタンはC-O部位で加水分解を起こしやすいため劣化しやすく、光や熱による酸化反応でも劣化します。

ちなみにポリウレアのC-N結合は加水分解を起こさないため、ポリウレタンに比べるとポリウレアは劣化しにくいです。また、ポリウレタンはポリウレアに比べて分子構造的に主鎖が回転しやすいため、ポリウレアは剛直で物質の遮断性に優れ、ポリウレタンは柔軟性が高い、という傾向があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/networkpolymer1996/21/Supplement/21_229/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/66/4/66_4_253/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/74/7/74_7_696/_pdf https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/72/2/72_2_102/_pdf/-char/ja https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/40/6/40_6-4/_pdf

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