スクリューアンカー

スクリューアンカーとは

スクリューアンカーとは、アンカーの固定にねじを使ったアンカー部品のことです。

アンカーは主に建築などで用いられる資材の一種で、母材となる部材に別の部材を取り付けたり、既存の母材と新設する部材とを接合したりするために使われます。

建築業界で使われるアンカーには、先付アンカーと後付アンカーがあります。後付アンカーを特に「あと施工アンカー」とも呼びます。

スクリューアンカーの使用用途

スクリューアンカーは主に、建築用途で使われます。取り付けられる母材にはコンクリートが多く、コンクリート施工された土台や建築物に対して、金属製の部材などを取り付けるために使われます。

設備などを取り付ける例としては、コンクリートとタイルで作られた階段に取り付けられる手すり、立体駐車場の柱脚、駐輪設備、看板、太陽光発電パネルの固定、自動販売機、水道管の取付けなどです。その他、古くなった建物を補強する耐震部材の取付け、橋梁、道路に設置される保護柵、港湾に取り付けられる防舷材や車止め、トンネル内照明などの取り付けにも使われています。

なお、アンカーにはスクリューアンカーのようなねじの原理で固定するもの以外にも、さまざまな固定方法があり、使用場所や目的に応じて使い分けることが必要です。建築用途以外として、段ボールやプラ段部材の固定、歯科矯正などが挙げられます。

スクリューアンカーの原理

アンカーはまずアンカー自体が母材に固定され、アンカーに設けられたねじ部分に他の部材を取り付けることによって、母材と他の部材とを接続します。スクリューアンカーではスクリューアンカー自体と母材との固定に、ねじが用いられています。

一般的にねじが固定力を発揮できるのは、ねじが軸力という引張力を発生させるからです。しかし、スクリューアンカーにおいては、軸力よりも母材とスクリューアンカーのねじのせん断応力が発生することによって、固着力が得られます。つまり、ねじの山と谷との凹凸が母材の噛み合うことによって、母材と他の部材とが離れようとする力に耐えているわけです。

一般的なねじが固定力を発揮している軸力は、ねじが固定する部材 (被締結物) がねじによって圧縮され、ねじは逆に被締結物の圧縮反力によって伸ばされることによって生まれます。スクリューアンカーでは被締結物はないので圧縮される部材はなく、スクリューアンカーにも積極的な軸力は発生しません。

よって、スクリューアンカーの固定は軸力よりもねじの山と谷との形状部分が、母材と他の部材との間で働く引張力に対して、せん断力を受けることによって固定しています。

スクリューアンカーのその他情報

1. アンカーの種類

アンカーにはスクリューアンカー以外にも、さまざまな種類があります。建築用では大きく金属系アンカー、接着系アンカー、その他のアンカーの3つに分けられており、スクリューアンカーはその他のアンカーに分類されています。

金属系アンカー
金属系アンカーは主に、金属拡散アンカーとその他の金属アンカーに分けられます。金属拡散アンカーは母材に開けられた孔の中で拡散部分が孔に対して押し広げられることによって自らを母材に固定します。

接着系アンカー
接着系アンカーは母材に開けられた孔の中で接着剤が硬化することによって、アンカーが母材に固定されます。

2. あと施工アンカーの破損モード

スクリューアンカーを含む、あと施工アンカーが壊れるモードには3つあります。あと施工アンカーが壊れる際には、3つのモードのうち最も弱いモードで壊れます。

破損モード1:アンカー筋の破断 (アンカーの降伏破壊)
アンカーと母材との固着強度が十分な場合には、アンカー自体の強度限界に達した時に破壊します。アンカーの材料強度不足かそもそもアンカーの大きさ (断面積) が不足していたことが原因です。

破損モード2:コーン状破壊 (母材の破壊)
モード1と同様にアンカーと母材の固着強度は十分であり、アンカーよりも母材の方が弱かった場合に起こります。母材がコーン状に破壊するのが特徴です。

破損モード3:アンカーの引き抜き
取付けられたアンカーの固着強度が不足していた際には、アンカーが母材から引き抜かれてしまいます。アンカーや母材の強度ではなく、固着強度の不足が原因です。 

参考文献
https://www.anchor-jcaa.or.jp/anchor/foundation.html
http://chuo-sogyo.com/publics/index/65/

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