ダイヤモンドスラリー

ダイヤモンドスラリーとは

ダイヤモンドスラリーとは、サイズの小さいダイヤモンド粒子を配合したスラリーです。

一般的にスラリーとは、粘性を有する流動体を指します液体と鉱物の粒子などの混合物で、流動性のある泥水のような外観をしています。液体中に粒子が分散した状態です。

ダイヤモンド粒子の大きさは、マイクロメーター (μm) のオーダーでかなり小さいサイズです。ダイヤモンドスラリーはダイヤモンド粒子の硬さを利用して、主に研磨剤の用途で使用されます。

主な成分は、ダイヤモンド粒子および粒子を分散させる液体です。ダイヤモンドスラリーは配合されているダイヤモンド粒子の種類によっていくつかの種類に分類されます。ダイヤモンドスラリーが配合される液体にも、水溶性または油性などの性質の違いがあります

ダイヤモンドスラリーの使用用途

ダイヤモンドスラリーは精密な研磨加工を行うための研磨装置の動作中に使用されます。研磨される被加工物と研磨材との間にダイヤモンドスラリーが投入されます

単結晶ダイヤモンドは、特定の方向に対して割れやすい劈開性 (へきかいせい) という性質ですが、比較的低いコストで人工的に製造できるという利点もあります。そのため、単結晶ダイヤモンドスラリーは極端に硬質でない加工物を研磨するため利用されます。

一方で、多結晶ダイヤモンドは劈開性があまりなく、非常に良好な耐摩耗性有します。そのため、多結晶ダイヤモンドスラリーは被加工物が超硬質材料の場合でもあまり傷をつけずに研磨加工をすることが可能ですレンズ、ハードディスク、セラミックス、宝石、超合金といったかなり硬質な材料の研磨に利用されます。

ダイヤモンドスラリーの原理

研磨加工にダイヤモンドスラリーを使用する微小なダイヤモンド粒子対象物の表面に強く接触し研磨されます。

ダイヤモンドスラリーの研磨性は、ダイヤモンド粒子の種類だけで決まるわけではなく、スラリー中の液体の性質、ダイヤモンド粒子以外の粒子の性質、スラリーの粘度などによって決まります。

液体は、洗浄性が高い水溶性液体や腐食耐性などを有する油性液体などがあり、それぞれの用途に適した液体が選択されます

ダイヤモンドスラリーの種類

ダイヤモンドスラリーには下記のような種類が存在します。効果的に利用するため、用途に合ったものを選択することが重要です。

1. 単結晶ダイヤモンドスラリー

単結晶ダイヤモンドスラリーは、単結晶ダイヤモンドの微粒子を含みます。単結晶ダイヤモンドの各微粒子は1つの結晶の塊でできているため、結晶の向きに沿って割れる傾向があります。強い力が加わるとややもろいですが、割れた先端部分が鋭利になりやすいため、高い研磨力を発揮できます。

単結晶ダイヤモンドは人工的に製造することで比較的安い価格で入手できます。工業用途では天然の単結晶ダイヤモンドよりも頻繁に使用されます。

2. 多結晶ダイヤモンドスラリー

多結晶ダイヤモンドスラリーは、多結晶ダイヤモンドの微粒子を含みます多結晶ダイヤモンドは小さな結晶の塊を集合させて成形されます。多数の結晶がそれぞれさまざまな方向を向いているため、あらゆる方向から力を受けても割れにくく剥がれにくいという特徴があります。

多結晶ダイヤモンドは、高温高圧環境下で黒鉛 (グラファイト) を焼成することで製造されます。

3. その他のダイヤモンドスラリー

上記の種類の他に、ナノダイヤモンドスラリー、RCDダイヤモンドスラリーなどがあります。ナノダイヤモンドスラリーは、ダイヤモンドの微粒子がさらに小さいため分散安定性がより良好です。RCDダイヤモンドスラリーは、単結晶ダイヤモンドを特殊加工した多結晶ダイヤモンドに近い性質の微粒子が配合されています

参考文献
http://www.yamato-sanko.co.jp/knowledge/slurry/
https://www.kemet.jp/diamond_slurry.html
http://www.summit-smdp.com/service/polishingslurry/diamond-slurry/
http://www.musashino-denshi.co.jp/abrasives/diamond_slurries/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です