USBマイクロスコープ

USBマイクロスコープとは

USBマイクロスコープ

USBマイクロスコープ (英: USB microscope) とは、伝統的な光学顕微鏡と一線を画する革新的なデジタルデバイスです。

その名の通り、USBインターフェースを介してコンピュータやモバイルデバイスと直接接続可能なこのマイクロスコープは、高解像度のデジタルイメージングと快適な操作性を兼ね備えています。従来の顕微鏡では物理的な目視や外部カメラの装着が必要だった観察が、USBマイクロスコープによって一変。瞬時にデジタル画像データとして取得が可能となりました。

特に技術者や研究者にとって、サンプルの高精細な画像をリアルタイムで共有や保存が容易になるのは、極めて大きなメリットです。コンパクトでありながら高性能を持つこのデバイスは、研究施設や教育機関、産業界など幅広い場面での利用が期待されています。

USBマイクロスコープの使用用途

1. 産業界の品質管理と検査

精密部品や回路基板の微細な欠陥を検出するため、USBマイクロスコープは頼りにされています。高解像度のデジタルイメージングを活用して、生産ライン上の瑕疵や不具合を素早く特定が可能です。

2. 生物学・医学の研究

細胞や微生物のリアルタイムの高精細画像取得が求められる場面で、USBマイクロスコープは大変有効です。保存されたデータをもとに、詳細な解析や比較研究を行うことも容易です。

3. 教育・トレーニングのツール

教育機関やトレーニングセンターでは、学習者が観察したい対象をデジタル画像として捉え、大画面での共有や議論の材料として使用できます。

4. 美術・考古学の詳細分析

古代の遺物や美術作品の詳細な構造や技法を調査する際に、USBマイクロスコープは役立ちます。微細な部分を非破壊・非接触での調査が行えるため、保存状態を保ちつつ詳細な分析が可能です。

5. 宝石・鉱石の鑑定

宝石や鉱石の細部に見られる特徴や欠陥を観察する際、USBマイクロスコープは鑑定士にとっての信頼のツールとなります。高精度な画像は、真正品と偽物の識別にも有効です。

USBマイクロスコープの原理

USBマイクロスコープは、伝統的な光学顕微鏡とデジタル技術を組み合わせたデバイスとして登場しました。このマイクロスコープの主な仕組みや原理は、以下の通りです。

1. 光学システム

まず基本となるのは、光学システムです。光学顕微鏡同様、対象を拡大して観察するためのレンズが内蔵されています。多くのUSBマイクロスコープは、複数のレンズを組み合わせることで、必要な倍率に応じて精密な観察を行うことができます。

2. デジタルイメージセンサー

このマイクロスコープの最も特徴的な部分です。伝統的な顕微鏡が目で直接観察するのとは対照的に、USBマイクロスコープはデジタルセンサーを利用して、拡大された対象をデジタル画像として捉えます。このセンサーは、一般的にCMOSまたはCCDセンサーと呼ばれるものを使用しています。

3. デジタル信号処理

イメージセンサーで捉えられたデータは、内蔵されたプロセッサを通じてデジタル信号に変換されます。この段階で、画像の色補正やシャープネスの調整など、様々な画質の最適化が行われる場合があります。

4. USBインターフェース

変換されたデジタル信号は、USBインターフェースを介してコンピュータやモバイルデバイスに送信されます。このUSB接続により、高速でのデータ転送が可能となり、リアルタイムでの高解像度画像観察が実現します。

5. ソフトウェア統合

USBマイクロスコープと連携する専用ソフトウェアが多くの製品に同梱されています。これにより、画像のキャプチャ、分析、保存、共有などの機能が手軽に利用できます。

USBマイクロスコープの種類

USBマイクロスコープの技術進化に伴い、多様な形状や機能を持つ製品が市場に登場しています。ここでは、その主な種類である「デスクタイプ」と「ハンドヘルドタイプ」を詳しく解説します。

1. デスクタイプ

概要 デスクタイプのUSBマイクロスコープは、研究室やオフィスのデスク上での使用を前提とした設計になっています。安定した台座やスタンドに固定されたマイクロスコープ本体が特徴です。
安定性 固定された台座により、振動や手ブレの影響を受けにくい。
高精度 精密なフォーカス調整や高倍率の観察が容易。
拡張性 追加の照明やフィルター、特殊なレンズなど、様々なオプションを装着可能。
主な用途 精密な観察や分析が必要な研究、工業的品質検査、教育機関での教材利用など。

2. ハンドヘルドタイプ

概要 ハンドヘルドタイプのUSBマイクロスコープは、持ち運びやすさと即座に使用できる利便性を重視したデザインです。手に持って直接観察対象に近づけることができるため、非常にフレキシブルな使用が可能です。
モビリティ 小型軽量で、場所を選ばずに使用できる。
直感的操作 複雑な設定や調整なしに手軽に観察が行える。
主な用途 屋外でのフィールドワーク、現地調査、教育現場での実験や観察、一般消費者向けの趣味や教育用。

 

これらの選択に際しては、使用するシーンやニーズに合わせて適切なタイプの選択が重要です。どちらのタイプもUSBマイクロスコープの基本的な機能を持っており、その使用方法や目的に応じて最大の効果を発揮します。

参考文献
https://ranking.goo.ne.jp/select/9575
https://www.shodensha-inc.co.jp/ja/sh140ccd-2r/

OPPフィルム

OPPフィルムとは

OPPフィルム

OPPフィルムとは、Oriented Polypropyleneフィルムの略称で、汎用プラスチックであるポリプロピレンを縦と横の二方向に延伸しながら成形したフィルムです。

透明性が高く、剛性、防湿性、印刷性に優れるという特徴を持ちます。一方でヒートシール性が低く、裂けやすい欠点も有しています。この欠点を補うものとしてCast Polypropyleneフィルムという延伸していないタイプも存在していますが、その代わり透明性はOPPフィルムよりも劣ります。

OPPフィルムの使用用途

OPPフィルムは、高い透明性や耐衝撃性、耐水性を持つことから産業・食品用の包装フィルムとして幅広く使われています。以下に代表的な用途について説明します。

1. 商品パッケージ

コンビニエンスストアや100円ショップなどで販売される商品は、工場で製造されてからトラック等で店舗に輸送され、陳列された後、消費者の手元に渡ります。それぞれの過程で色々な取り扱い方をされるため、商品を保護するためにOPPフィルムが使われます。OPPフィルムは透明で張りがあり、耐衝撃性も有していることから、保護する際に最適です。

また、花束やホテルなどにあるアメニティ用のパッケージにもOPPフィルムが使われています。水に触れる可能性のある商品の場合、紙の袋ですと水を透過して商品に悪影響を及ぼす可能性があります。OPPフィルムは水を通さず、かつ防湿性に優れているので、たとえ水に触れたとしても商品の品質を保つことができます。

さらに、OPPフィルムは紙と同様に印刷を施すことが可能です。加えて表面光沢が優れており、印刷すると鮮やかな見た目となります。ロゴや商品の特徴を消費者にアピールするために、デザインを付与する企業も多いです。

2. 食品用パッケージ

コンビニエンスストアなどで販売される弁当やおにぎりの包装にもOPPフィルムが使われています。OPPフィルムは引っ張っても簡単には破れませんが、切れ目を入れて引き裂くと切れ易い性質を持っています。そのため、おにぎりやお弁当を包装しつつ、簡単に開封可能です。

また、OPPフィルムの片面にポリビニルアルコールを塗布すると、ガスバリア性と保香性が付与されます。グレードはさまざまですが、せんべいなどの米菓、饅頭やケーキなどの生菓子の包装にも活用されています。

OPPフィルムの原理

OPPフィルムの原料であるポリプロピレン樹脂は、汎用プラスチックの中でも耐熱性が高く、強度も強いです。加えて酸やアルカリなどに対する耐性も優れています。この原料を縦と横の二方向に延伸しながら成形したOPPフィルムは、ポリプロピレンの持つ特徴を有しながら、フィルムにコシがあり高い透明性と防湿性を示します。

二軸方向に延伸させることにより、一般的には力学的特性や熱的特性、光学的特性、表面特性、ガス透過性が変化するとされています。具体的には、引張強度の向上や、耐熱性及び耐寒性の向上、透明性の向上、滑り性・印刷性の向上、防湿性の向上などです。

一方で、ヒートシール性の低下や切れ目が生じた際に裂けやすくなるといったデメリットも生まれます。ただし、裂けやすい性質はおにぎりやお菓子類の包装には、むしろ好都合でストレスを感じさせることなく開封できるといった面もあります。フィルムには種類によってさまざまな特性を持つため、包装する内容物や使用環境に合わせたフィルムを選択することが大切です。

OPPフィルムのその他情報

OPPフィルムの製造方法

OPPフィルムは、一般に2段階の工程を経て製造されます。まず1段階目では、フィルムを縦方向に延伸させます。次に縦方向に引き伸ばしたフィルムを横方向に延伸させ、CPPフィルムからOPPフィルムを製造しています。

このように、延伸させるだけというシンプルな製造方法であるため、特殊な機械を必要とせず、製造コストも安価に抑えられます。

参考文献
http://www.pp-film.jp/knowledge.html
https://www.mc-tohcello.co.jp/product/wrapping/op.html

M2Mルータ

M2Mルータとは

M2M (Machine to Machine) ルータとは、末端のセンサーデバイスで収集した各種データをサーバに集めてデータ処理を行う際に、これらデバイスとサーバの間に入り、中継の役割を果たす機器のことです。

例えば、河川などの水位を常時監視するために複数の観測地点に水位センサーを複数設置した場合、センサーデバイスからのデータをサーバに送ろうとすると、3GやLTEといった無線のインターフェースを搭載する必要があります。その結果、1つ1つのセンサーデバイスが非常に高価なものになってしまいます。

これを回避するために、センサーデバイス側では比較的安価なWi-Fiや、もしくは有線のインターフェースのみを搭載することにより、システムのコストを抑えることが可能です。M2Mルータは、厳しい環境条件下で使われることも想定し、使用温度範囲が広く、防塵性に優れた特性が求められます。

M2Mルータの使用用途

M2Mルータが使用される分野は非常に幅広く、監視用、工場内における機器制御用、防災用、物流倉庫、農業などが挙げられます。

1. 建物周辺・建物内

監視用途としては、街中やマンションなどの建物周辺、スーパーマーケットなど、更には駅などに複数のカメラを設置し、主に防犯を目的として設置されています。

2. 工場

工場内では、各種機器を制御する場合や、生産ラインにおいて製品の生産状況、生産数等をカウントしたり監視したりする場合等に使われます。

3. 物流倉庫

物流倉庫においては、在庫品の有無確認や数量の確認と管理などに使われます。

M2Mルータの原理

M2Mルータを利用したシステムにおける基本的な動作は、以下のとおりです。

1. センサーデバイスからのデータ受信

監視用途の例として、街中に設置されている監視カメラシステムが挙げられます。この場合、監視カメラがセンサーデバイスになり、このデバイスがWi-Fi等の無線インターフェースを内蔵し、カメラ画像をM2Mルータに送ります。

2. M2Mルータ内部処理

M2Mルータは複数地点からのカメラ画像を受信し、画像データを圧縮し画像の属性を示すデータと共に、サーバ側で処理しやすいデータ形態に加工します。その後、暗号化して保護し、3GやLTE等の回線でサーバに送信します。

M2Mルータから送られてきたデータを必要に応じて、加工したりした後に、分析可能な状態にしてディスプレイなどに表示します。

3. サーバからのデータ受信

以上は、センサーデバイスからサーバ側へデータを転送する場合の流れですが、逆方向もあります。例えば、表示された監視映像を見たところ不審な人物を発見した場合、更に追跡が必要となった場合などです。

この場合は、センサーデバイスの1つの監視カメラを向きを変えて、不審者を追跡します。そのため、サーバからこの監視カメラに対して「向きを変える」コマンドを発行します。コマンドは、3GまたはLTE等の回線を経由してM2Mサーバに届きます。

このコマンドを受信したM2Mサーバは、複数台の監視カメラの中からサーバから指示のあった監視カメラを特定し、指示のあった監視カメラに対してのみ、コマンドを転送します。この場合、コマンドは、監視カメラが解釈できるコマンドに変換されることが一般的です。

このサーバから送信されたコマンドを受信すると監視カメラは、自らを制御しカメラの向きを変えるという流れになります。以上によりセンサーデバイスとサーバはM2Mルータを介して、相互に通信を行います。 

M2Mルータのその他情報

1. M2Mルータの通信プロトコル

M2M通信ではGSM、3G、LTEなどの無線通信手段を用いてインターネット経由で通信を行う例が挙げられます。これらの通信手段は元々携帯無線通信網を用いて人間同士の通信に使われていたものです。その後、機器同士の通信へと市場拡大する意図で使われ始めたものになります。

機器同士の通信を行うM2M通信は、上記の通信手段以外にもローカルで閉じた通信や有線での通信も可能です。コストや通信性能を考慮し、これらの様々な通信手段を適切に組み合わせることで機器間の通信を実現しています。

2. IoTとの違い

IoTは「Internet of Things」の略で、社会に存在する様々なモノがインターネットにつながり、相互通信等が可能になることを指します。IoTでは基本的に、データの収集・データの蓄積・データの分析・課題解決や価値創造の4つの構成要素から成ると考えられています。

M2Mとの違いは、つながるものと手法です。M2Mはインターネットによる通信の他、機械と機械が直接通信することも指します。一方で、IoTが繋がる先は機械とは限らず、別の装置や時には人とつながることもあります。

また、IoTは情報の収集や活用が目的であるのに対してM2Mの活用目的は機械からの情報収集や機械の制御です。センサーで正確な情報収集が必要である場合はM2Mが適しています。

参考文献
https://www.i-netd.co.jp/glossary/m2m_router/
https://mono-wireless.com/jp/tech/M2M.html
https://forcenet.jp/m2m/ 

DLCコーティング

DLCコーティングとは

DLCコーティング

DLCコーティングとは、高硬度、耐摩耗、低摩擦、凝着を起こしにくいなどの優れた特徴を持つ表面処理技術です。

DLCはDiamond like Carbonの略称です。

DLCコーティングの使用用途

DLCコーティングは、主に金属の耐摩耗性向上を目的に処理されます。焼き付き防止や耐久性向上が期待できます。主な使用例は以下です。

1. 自動車エンジンへ耐久性向上用コーティング
2. 切削工具の耐摩耗防止コーティング
3. 産業用ロボットの耐久性向上用コーティング
4. 加工機のシャフト・軸受へのコーティング

DLCコーティングの原理

DLCはダイヤモンド成分と炭素成分から合成されます。アセチレンガスを注入し、高周波・高電圧でプラズマを発生させて炭素と水素に分解し、水素は排出することで合成します。プラスイオン化した炭素はマイナスを帯びた製品に付着し、ダイヤモンドに近い非結晶が製品に表面に生成されます。
DLCコーティングをすると多くの材料に対して摩擦係数が小さくなるため、CO2排出量低減に貢献することができます。

DLCコーティングのその他の情報

1. DLCコーティングの成膜方法

DLCコーティングは、成膜方法によっても特徴が変わります。成膜方法は大きく分けて3種類です。

CVD法
成膜速度がPVDよりも速く、複雑な形状にも可能です。水素を含んだ成膜で厚膜化させることもできます。
PVD法
水素フリーの成膜や高硬度成膜が可能です。基材との密着性が強いく導電性の物にも対応することができますが、厚膜化が難しいです。
プラズマイオン注入法
室温成膜が可能でゴム・樹脂・セラミックにも成膜することができます。

2. DLCコーティングのデメリット

DLCコーティングはメリットばかりではなく、下記のようなデメリットも存在します。

1. 欠けやすく、破片が混入する
2. 生地との密着性が悪い
3. 最大2ミクロン程度の被膜に限定される
4. 水素を含む量が多くなるほど硬度は下がる
3. アルミニウムへのDLCコーティング

アルミにDLCコーティングをすることで、耐摩耗性と低摩擦性を与えることが可能です。この特徴により、機械部品の軽量化などが可能となります。アルミニウム合金は酸化しやすく多種の元素が含まれるため、DLC薄膜と基材との境界面に合った中間層を選ぶことが必要です。アルミ合金へのDLCコーティングの応用事例としてはエンジン部品へのコーティングがありますが、炭素とアルミニウムの親和性の低さから生じる密着性の低さが課題として挙げられています。

4. DLCコーティングとモリブデン系高滑油

摩擦調整剤であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンを配合したオイルを使って摺動させた場合に、DLCコーティングが摩耗するという事例が報告されています。乾いた環境で低摩擦を示すDLCコーティングですが、そのまま境界滑油として使用した場合は極低摩擦を実現することは少ないです。二硫化モリブデン結合幕を使用した場合はドライで低摩擦ですが、境界滑油で使用した場合は耐摩耗性が低いため摩擦に対する耐久性があまりありません。

5. DLCコーティングの剥がれ

DLCコーティングはアルミニウムや真鍮などに処理は可能ですが、高荷重環境ではDLCコーティングが剥がれてしまうことがあります。剥がれることを避けるためには、基材が高硬度であることが必要です。DLCコーティングの剥がれを避ける技術として、イオン注入があります。この方法をとることで、成膜イオンが基材表面に入り込み成膜された膜との高密着を実現できます。

参考文献
https://www.jndf.org/nakama/dlc.html
https://60you1.com/diamond-like/
https://www.nanotec-jp.com/aluminumalloyICF
https://www.jsme.or.jp/publish/kaisi/011002t.pdf
https://www.juntsu.co.jp/coating/coating_kaisetsu03.php

回転センサー

回転センサーとは

回転センサーとは、機械の回転運動に関する情報を得るためのセンサーです。

具体的には、機械の回転に伴う物理量の変化から回転角度、回転速度、回転量などを検知します。また回転センサーは単体で使われるのではなく、PCやメータと接続して使用する機器です。

回転センサーには大きく4種類あります。回転角を認識する機械式、光の通り抜けを感知する光学式、磁界変化に関連する磁気式や電磁誘導式です。それぞれ検知する物理量によって使い分けられます。

回転センサーの使用用途

回転センサーは、機械の回転運動の状態を検知するためのセンサーとして、さまざまな機械で使用されています。例えば、自動車やオートバイ、農耕機械、船舶など、エンジンやモーターで駆動する乗り物です。自動車であればエンジンのクランク角やカム角の検知、エンジンのクランク軸やトランスミッションの出力軸の回転数の検知、またABS (アンチロックブレーキシステム) も、回転センサーが使われています。

連続して回転運動し続ける機械以外に、回転位置の検知にも、回転センサーは用いられます。ポテンションメーターとして、機械の回転角度を検知するためのセンサーとしても有用です。

回転センサーの原理

回転センサーは目的に応じて、複数の原理を利用した製品があります。ここでは代表的な4つについて説明します。

1. 機械式 (接触式)

機械式の回転センサーは可変抵抗を使って、回転角に応じた電気抵抗を検知することで回転位置を検出します。機械式の回転センサーは連続する回転運動だけでなく、円周運動する際の位置を検知するポテンションメーター、ギアポジションメーターなどとしても使われます。

2. 光学式

光学式の回転センサーは、回転軸上に取り付けた円盤に、スリットという小さな穴を連続的に多数配置して、スリットを通過する光の点滅速度をパルスとして光センサーで検出します。光センサーは光パルスを電気信号に変換します。光学式ではスリットの形状によって、高い検出精度や分解能が得られるのが特徴です。

3. 磁気式

磁気式の回転センサーは、回転軸に永久磁石を取り付けて、磁気センサーによって磁界分布の変化を検出します。磁気センサーにはホール素子という半導体材料を用いたものがあります。モーター軸の回転位置や回転速度を検出することが可能です。

4. 磁気誘導式

磁気誘導式の回転センサーは、回転軸に誘導コイル (励磁コイル) と固定コイル (検出コイル) を交互に取り付けて、回転運動による磁界の変化を読み取るセンサーです。磁気誘導式の回転センサーはレゾルバとも呼ばれる方式です。他のセンサーよりも広い温度範囲で使え、耐環境性に優れています。

5. MR (磁気抵抗素子) センサー

MRセンサーは回転軸に取付けられた歯車の歯先近くに永久磁石を設置して、歯車が通過する際に生じる磁界の強さから回転速度を検出します。磁界はギアの歯先とセンサーの距離が短くなる方向に働きます。

つまり、歯先がセンサーに近づくときと、歯先がセンサーから遠ざかるときで逆向きの磁界が生じ、これを電圧として検出するためのセンサーです。MRセンサーは、自動車のさまざまな部位で使用されています。

回転センサーのその他情報

ABSでの活用例

私たちが日常使う製品の中でも自動車には多くの回転センサーが用いられており、その1つにABS装置があります。ABSとは「Anti-lock Brake System (アンチロックブレーキシステム) 」の略称で、急ブレーキをかけた時にタイヤがロックしてしまうのを防ぐシステムです。

車はタイヤがロックしてしまうと、ハンドル操作をしても進行方向を変えることができません。そこで、ABSによってタイヤのロックを防ぎ、ハンドル操作によって障害物への衝突を回避できるようになります。回転センサーで急激なタイヤ回転数低下が検知されると、ABS装置が作動します。

参考文献
https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-encoder/type-mechanism-1/
https://atsense.jp/product/kaiten/
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq05674.html
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/ninja/016
https://www5.epsondevice.com/ja/information/technical_info/gyro/
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/43/2/index.html
https://tohokuseigyo.net/tcs_column_all/tcs_column_motor/モーター2/

パルスロガー

パルスロガーとは

パルスロガー (英: Pulse logger) とは、短時間で急に発生する信号を時系列に記録する機器や装置です。

通常は検出器に接続されているセンサーから送られてくる信号をデジタル変換することで、経時的なデータとして自動的に記録が可能です。イベントの解析に利用します。

そのため、単独で用いられることはありません。流量計風速計であるような回転カウンタから送られてくる単位時間あたりの信号数をカウントするために組み込むことによって、その量や速度を把握することができます。

パルスロガーの使用用途

速度や量に従って出力されたパルス信号をデジタル変換して記録できることから、測定目的に合わせて単位変換する装置と検出機器を組み込みます。水道、ガス、電気の使用量や雨量、風速を算出することが可能です。

パルスロガーは、パルス信号を時系列にカウントする機能のみですが、アナログロガーよりも経年劣化が少なく保存性に優れています。連続的かつ長期的に用いることができる特徴を生かして、研究機関などにて様々な環境測定にも使用されています。

パルスロガーの原理

1. デジタル信号への変換

回転カウンタによって生成される接点信号や直流電圧信号などのアナログ信号出力を信号変換器などを通して、デジタル信号に変換してカウントします。その後、設定した時間毎にカウント数を連続的にデータメモリへ記録します。

時間あたりのカウント数と測定目的に合わせた係数をかけることで、測定単位に合わせた記録データの算出が可能です。パルスはタイムスタンプされずに、発生した時間に基づいてデータメモリに記録されます。

2. パルス信号の測定

周波数をf (Hz) 、周期をT (sec) とすると、その関係はf = 1 / Tであることから、どちらかを測定することで測定対象データを取得できます。なお、パルスロガーのパルス測定方式には次の2種類があります。

ダイレクト方式
ダイレクト方式では、ゲートパルスに一定時間を設定しており、ゲートパルス内にある計測対象のパルス数をカウントします。ダイレクト方式は直接的に周波数を計測する方式です。

レシプロカル方式
レシプロカル方式では、計測対象のパルスをゲートパルスとし、特定の周波数に設定したクロック信号を出力します。ゲートパルスに対してクロック信号のパルス数を計測することで信号周期を取得します。そのため、レシプロカル方式は周期の逆数から周波数を計測する方式です。

パルスロガーの選び方

1. カウント数の違い

測定の際に使用する方式は、1秒あたりに出力されるパルス信号のカウント数が多い場合は周波数 (Hz) を用いたダイレクト方式です。カウント数が少ない場合は、繰返して出力されるパルス信号の1往復あたりの時間長を基準とした周期を用いたレシプロカル方式がよく使われます。

2. 方式の違い

時間長が短周期の測定機器の場合はデータ点数が多くなり、正確な値が記録できますが、感度を超えた短周期のデータを認識が難しいです。反対に、時間長が長周期に設定されている機器の場合は、設定した測定時間内にパルス信号が無いためパルス幅を測定したり、短周期パルスを検出したりすることができません。

そのため、測定目的が短周期か長周期かを考慮して、パルス信号の強さ、データ収集の期間、パルスカウント数の量に合わせた測定方式の機器を選び、設定値を調整することが求められます。

パルスロガーのその他情報

パルスロガーの使用事例

パルスロガーの使用事例として、コピー機ローラーの回転数計測があります。研究開発での動作検証のために、ローラーの回転数を計測することが目的です。

温度計測ユニットや加速度計測ユニットも同時に使用することで、放射熱や各部の動作不良検査も可能です。計測データはネットワーク経由でパソコンに転送することで、計測と検証を同時に行えます。

参考文献
https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2018/201902/pdf/2019_02.pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/pulse/mechanism.jsp

パレタイザーロボット

パレタイザーロボットとは

パレタイザーロボット

パレタイザーロボットとは、製造業や物流業などで使用されるロボットの1種です。

製品や物品を自動的に搬送し、パレットに配置する作業を行います。パレタイザーロボットは製品の梱包や積み重ね、物流センターや倉庫での荷役作業などで使用されます。

これにより、生産プロセスの効率化や作業環境の改善が図られる一方で、労働力の削減や技術革新の一環としても位置づけられています。

パレタイザーロボットの使用用途

パレタイザーロボットの主な使用用途は以下の通りです。

1. 製造業

製造業では、製品のパーツや製品自体を自動的に取り扱い、組み立てラインに供給するためにパレタイザーロボットを使用します。組み立て作業の一環として、部品や部材を正確に配置することが求められます。

2. 食品産業

食品産業では、食品や飲料の容器をパレットに積み重ねて梱包する作業があります。パレタイザーロボットは、食品や飲料の種類やサイズに応じて、自動的に製品を積み重ねて梱包する役割を果たします。

3. 物流業

倉庫や物流センターでは、入荷した製品をパレットに積み重ねて保管し、出荷の際にはパレットを解体して製品を運ぶ必要があります。パレタイザーロボットは、効率的な荷役作業を行い、物流プロセスを迅速化します。

4. 医薬品産業

医薬品や医療機器の製造業では、製品の取り扱いや包装作業が非常に正確で衛生的である必要があります。パレタイザーロボットは、このような環境での作業に適した解決策を提供します。

5. 自動化倉庫

近年、自動化倉庫やフルフィルメントセンターが増加しています。こうした施設では、製品のピッキングやパッキングの自動化にパレタイザーロボットが活用されています。

6. 重工業

重機や大型の製品を取り扱う際にも、パレタイザーロボットは重要な役割を果たします。これにより、人間が危険な作業環境に曝されるリスクを軽減することが可能です。

パレタイザーロボットの原理

1. 物品の検知と取得

まず、パレタイザーロボットは、センサやマシンビジョンシステムを使用して、物品の位置や形状を検知します。その後、アームを動かして物品を保持します。

2. パレット上への配置

次に、ロボットは物品を適切な位置に持っていき、パレットの上に配置します。この際、物品同士の間隔や配置パターンを制御することで、安定した積み重ねを実現します。

3. プログラムと制御

これらの検知や、保持、配置は、事前にプログラムされた指示に基づいて行われます。ロボットの制御システムは、移動、物品のつかみ方、配置方法などの情報を含む指令を受け取り、それに従って動作します。

4. 制御アルゴリズム

パレタイザーロボットは、適切な制御アルゴリズムを使用して、物品の位置、重量、形状などを考慮して効率的な配置を行います。アルゴリズムは、安全性や効率性の最適なバランスを保つために重要です。

5. センサと安全性

パレタイザーロボットには、障害物や人との衝突を回避するための安全機能が組み込まれています。これにより、作業中の安全性が確保されます。

6. 自己補正機能

一部のパレタイザーロボットには、物品の位置誤差や変動に対応するための自己補正機能が組み込まれています。これにより、正確な配置が維持されます。

パレタイザーロボットの種類

パレタイザーロボットの主な種類は、以下の通りです。

1. レイヤーパレタイザー

このタイプのロボットは、同じサイズや形状の製品を複数の層に配置してパレットに積み重ねます。一度に複数の製品を取り扱う能力があり、高速かつ一貫した作業が可能です。

2. ケースパレタイザー

ケースパレタイザーロボットは、様々なサイズや形状の製品を個別に取り扱い、パレットに積み重ねる能力を持ちます。変動する製品のサイズや種類に適応できるため、柔軟性が高いです。

3. ハイブリッドパレタイザー

ハイブリッドパレタイザーロボットは、異なるタイプのパレタイジング作業を組み合わせて実行することができるロボットです。例えば、レイヤーパレタイジングとケースパレタイジングを同時に行うことが可能です。

4. ロボットアーム式パレタイザー

これは多関節のロボットアームを使用して作業を行うタイプです。物品をつかむ能力と多彩な動作範囲を持つため、さまざまな配置が可能です。

5. ポータル式パレタイザー

ポータル式のパレタイザーロボットは、物品を運搬するためのガントリー (上下する支持構造) を使用します。大型で重い製品を取り扱う際に適しています。

6. スカラロボット

スカラロボットは、一直線に伸びるアームを使用して作業を行うタイプです。一般的に直線的な移動に特化しており、特定の形状やサイズの製品のパレタイジングに適しています。

7. アームレスパレタイザー

アームレスパレタイザーロボットは、アームを持たず、代わりにコンベアや転送機構を使用して物品を移動させる方法を採用しています。特定の状況において、より単純で効率的なソリューションとなることがあります。

参考文献
https://www.yaskawa.co.jp/product/robotics/about

ロータリーディップスイッチ

ロータリーディップスイッチとは

ロータリーディップスイッチ

ロータリーディップスイッチとは、プリント基板に実装して使う、回転式の設定用ツマミがついたスイッチのことです。

PCや各種測定器などは、その機器で使う電子部品の種類や使用条件によって、回路の接続先や各種条件を変更する必要があります。この種の設定では、多くの場合、設定値の変更の頻度は少ないものの、電源を落としてもその設定を保持する機能が要求されます。

このような場合にディップスイッチが多用されます。ロータリーディップスイッチはディップスイッチの一種であり、上部に回転式のツマミがあります。

ロータリーディップスイッチの使用用途

ロータリーディップスイッチは各種電気機器のプリント基板上や工場のFA機器のコントローラーで使用されます。

ディップスイッチは、一度設定すると回路や機器の電源が遮断されてもその設定状態が保持されることと、スイッチの位置を見ると設定値が判ることが特徴です。そして、意図的に設定を変更しない限り、誤って触れてスイッチの位置が変わる危険性も小さくなっています。

このような利点から、ディップスイッチは設定値の変更の頻度は少ないが変更する必要がある場所で使われます。その中でもロータリーディップスイッチは、スイッチ1つで10個前後の設定値を割り振ることが可能です。従って、ロータリーディップスイッチは工場における設備の温度制御用などで、1の位、10の位、100の位と数値を設定するのに適しています。

その他、各種電気機器の内部のプリント基板上でも、桁ごとに値を指示する箇所などを中心に使用されています。

ロータリーディップスイッチの原理

PC上のプリント基板上でよくみられるような、スライドスイッチを複数並べたタイプのディップスイッチの場合、ひとつひとつのスイッチをON/OFFすることで回路の切り替えや値の設定が可能となります。

2個のスイッチを使えば2ビットの情報を表現できるので、0~3までの数値を表現できます。4個の場合0~15、8個の場合0~255までの数値をそれぞれ表現することが可能です。

一方、ロータリーディップスイッチの場合、その形状から、スイッチといっても、ツマミを回転させ所定の位置で停止させるだけで、複数のスライドディップスイッチの位置を同時に設定したことと同様の設定が可能です。この意味でロータリーディップスイッチはスライドスイッチ型のディップスイッチに比べて、取り扱いが容易です。

このようなディップスイッチの設定情報は、一般的にマイコンなどのシステムコントローラで読み込まれ、その内部でスイッチの設定情報を保持するとともに、設定情報に応じてシステムの制御を行います。

ロータリーディップスイッチの種類

ロータリーディップスイッチの中でも操作部の形状により、操作部がフラットなものやシャフト形状になっているものなど様々な種類があります。形状の違いにより、切り替えの操作に指で操作できるものやドライバーなどが必要なものがあります。

ロータリータイプには、回転することで回路を切り替える構造上、ショーティングタイプとノンショーティングタイプという接点方式の種類があり、部品選定時や使用時に注意が必要です。ショーティングタイプかノンショーティングタイプかは、スイッチが切り替わる間の動作が回路上どのようになっているかの違いで変わります。

また、ロータリースイッチの中には、スイッチの表示部として数字が書かれた円盤状の部品がついていて視覚的に確認が容易なサムロータリスイッチというスイッチがあります。代表的なサムロータリスイッチは、ケース、押しボタン、摺動子、ロータ、プリント基板、取り付け版などの部品からできており、使用用途としてはロータリースイッチと同様です。

参考文献
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20120605/221411/
https://akizukidenshi.com/catalog/goods/search.aspx?search=x&keyword=DIP%83X%83C%83b%83%60&image=%8C%9F%8D%F5 
https://www.nkkswitches.co.jp/support/klg/knowledge.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/15/330/index.html

角度センサー

角度センサーとは

角度センサー

角度センサーとは、物体の位置などから、角度の情報を検出するためのセンサーです。

最近では、精密加工や半導体製造、自動車、ロボットなどにより高精度で位置を検出するニーズが高まり、位置検出のため精密な角度を計測するニーズも増えています。

角度センサーの角度検出の方式は、一般に磁気式や光学式、誘導式、ポテンションメータ式などがあります。使用の用途に応じて最適な方式を選択することが大切です。

また、最近では自動運転のサポートのために角度以外に角速度や、加速度といった慣性力を検出するジャイロセンサーが注目されています。従来の角度センサーのみならず、ジャイロセンサーへの技術の流れが生じている状況です。

角度センサーの使用用途

角度センサーの使用用途は、精密加工、半導体製造、自動車、ロボットなどです。

1. 自動車

クランク角やカム角を角度センサーで検知することにより、燃料噴射の最適なタイミングと噴射時間を算出しています。そのほか、電動パワーステリングや電子制御サスペンションなどに使われています。

2. ロボット

ロボットのアームの位置を検出して制御する目的で使用されています。

角度センサーの原理

角度センサーの原理は、一般に磁気式と光学式、誘導式、およびポテンションメータ式の4つの方式があります。

1. 磁気式

ホール素子に電流が流れているとき、そこに垂直に磁場をかけると発生する電圧を測定することにより、角度を検知する方式です。この現象は、ホール効果と呼ばれています。

2. 光学式

スリット状の格子をもつ円盤に光を通過させ、検出された光パルスの数から角度を検知する方式です。この方式は透過型と呼ばれ、別の方式として反射型があります。

反射型は発光素子から円盤で跳ね返り、受光素子で受けた光パルスで角度を測定する方式です。

3. 誘導式

誘導式は、1次コイルと2次コイルとその間で回転するカム形状のコアで構成されています。1次コイルに電圧をかけると2次コイルはコアの位置により電圧を出力するため、この電圧の大きさから角度を検知することが可能です。

4. ポテンショメータ式

ポテンションメータは端子をもっており、抵抗体の上をブラシが回転します。その際に端子間の抵抗値を図ることにより、ブラシの回転角度を計測可能です。

角度センサーのその他情報

1. 磁気式の角度センサーにおけるメリット

磁気式の角度センサーは、ホール効果により、磁界の変化を電圧値へ変換しアナログ出力として信号出力しています。磁気式角度センサーはポテンショメーター式とは異なり、出力が2系統存在する場合があります。2つの出力値は中立位置を除いて、異なった数値となることが一般的です。

出力系統が2つあることで、検出値および角度センサーの信頼性が向上します。ポテンショメーター式角度センターでは、構造上必ず角度センサーに死角となる範囲が生じるため、360°の角度検出を行うためには2つの角度センサーが必要です。

しかし、磁気式の角度センサーであれば、1つの角度センサーで360°の検出が可能となるため、構成する部品点数を少なくできるメリットがあります。磁気式角度センサーは非接触なので、ポテンショメーター式角度センサーなどの接触式と比較して故障要因が少なく長寿命です。

ただし、万が一故障が発生した場合は、検出体との距離に注意する必要があります。再取り付け時に距離調整を考えていないと、接触した場合は角度センサーの早期故障が生じ、検出体との距離が遠い場合は正しく角度を検出できなくなります。

2. 角度センサーのアナログ出力

角度センサーのアナログ出力である電圧値は、電気抵抗の変化により出力されています。出力方法は電圧の場合が多いですが、電流の場合もあり、角度センサーによってアナログ出力の出力範囲は異なります。電圧であれば0~5Vの範囲だけでなく、0~10Vの場合もあるので、メーカーの仕様書をよく確認することが大切です。

角度センサーは、アナログ出力を行うために電源回路とアース (GND) が必要です。そのため角度センサーには3つの端子があり、それぞれ電源端子、アース端子 (GND) 、アナログ出力端子となります。アナログ出力が異常である場合、角度センサー本体の故障の他に、配線や結線の異常も原因として考えられます。

参考文献
https://product.tdk.com/info/ja/products/sensor/angle/tmr_angle/technote/tpo/index.html
https://go.alps.jp/l/506151/2018-11-09/29t52b
http://www.turck.co.jp/product/p07.html

ミリ波レーダ評価キット

ミリ波レーダ評価キットとは

ミリ波レーダー評価キットとは、ミリ波帯の電波を利用して評価物との位置関係を測定する装置です。物体との距離だけではなく、角度や相対速度まで高精度な測定ができます。

ミリ波帯を使うことにより、下記のメリットがあります。

  • 環境変化に強い
    電波を利用しているので、環境の変化に強いです。天気や照度に影響されないで測定することができます。
  • 優れた分解能
    77GHzのようなより高周波領域になると、分解能が向上します。近い距離に複数の物体が存座していても、区別して認識することができます。

ミリ波レーダ評価キットの使用用途

ミリ波レーダー評価キットが用いられる例として、自動車の自動検知に用いられています。

自動車は電車や飛行機と比べ、他の物体と衝突しやすい乗り物です。衝突を避けるための補助システムとして、物体検知システムの開発が進んでいます。

従来は低周波レーダーの利用でしたが、高分解能であるミリ波レーダーの使用が急速に進んでいます。世界でミリ波レーダー使用の法整備が進んでいます。

近年では自動車だけではなく、ドローンにもミリ波レーダーの適用が検討されています。

ミリ波レーダ評価キットの原理

ミリ波帯の電波を感知することにより、物体の検知を可能にしています。

電波は波の性質をもち、空気中を特定の振動で進んで行きます。特定の振動数を周波数と呼び、周波数の違いで分類されます。ミリ波帯は30GHzから300Hzの周波数をもつ波です。

周波数が大きくなるほど直進性が強くなります。直進性が強くなると情報の減損が少なくなるので、大量の情報を速く伝送することが可能になります。またミリ波帯では波長が短いため小型化にしても、高精度の感知が可能です。

自動車など乗り物関係でミリ波帯の利用が進んでいましたが、近年ではスマートフォンなどの通信分野でも導入が進んでいます。5Gとして話題に取り上げられており、今までの4Gより高速な情報伝達が実施できます。

ただし通信分野でのミリ波帯導入には課題もあります。その1つは基地局の整備です。ミリ波帯は波長が短いため、電波が届く距離も短くなります。問題解決には基地局の増加がありますが、費用の問題から時間がかかる場合があります。

参考文献
https://www.akasakatec.com/products/hardware/mm-wave-radar-module/
https://www.marubun.co.jp/service/technicalsquare/a7ijkd000000ds1s.html
https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/technology/millimeter-wave-radar.html
https://www.soumu.go.jp/soutsu/okinawa/musentuusin/pdf/06-01sryou-07.pdf
https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/mobile/5g-task.html