OPPフィルムとは
OPPフィルムとは、Oriented Polypropyleneフィルムの略称で、汎用プラスチックであるポリプロピレンを縦と横の二方向に延伸しながら成形したフィルムです。
透明性が高く、剛性、防湿性、印刷性に優れるという特徴を持ちます。一方でヒートシール性が低く、裂けやすい欠点も有しています。この欠点を補うものとしてCast Polypropyleneフィルムという延伸していないタイプも存在していますが、その代わり透明性はOPPフィルムよりも劣ります。
OPPフィルムの使用用途
OPPフィルムは、高い透明性や耐衝撃性、耐水性を持つことから産業・食品用の包装フィルムとして幅広く使われています。以下に代表的な用途について説明します。
1. 商品パッケージ
コンビニエンスストアや100円ショップなどで販売される商品は、工場で製造されてからトラック等で店舗に輸送され、陳列された後、消費者の手元に渡ります。それぞれの過程で色々な取り扱い方をされるため、商品を保護するためにOPPフィルムが使われます。OPPフィルムは透明で張りがあり、耐衝撃性も有していることから、保護する際に最適です。
また、花束やホテルなどにあるアメニティ用のパッケージにもOPPフィルムが使われています。水に触れる可能性のある商品の場合、紙の袋ですと水を透過して商品に悪影響を及ぼす可能性があります。OPPフィルムは水を通さず、かつ防湿性に優れているので、たとえ水に触れたとしても商品の品質を保つことができます。
さらに、OPPフィルムは紙と同様に印刷を施すことが可能です。加えて表面光沢が優れており、印刷すると鮮やかな見た目となります。ロゴや商品の特徴を消費者にアピールするために、デザインを付与する企業も多いです。
2. 食品用パッケージ
コンビニエンスストアなどで販売される弁当やおにぎりの包装にもOPPフィルムが使われています。OPPフィルムは引っ張っても簡単には破れませんが、切れ目を入れて引き裂くと切れ易い性質を持っています。そのため、おにぎりやお弁当を包装しつつ、簡単に開封可能です。
また、OPPフィルムの片面にポリビニルアルコールを塗布すると、ガスバリア性と保香性が付与されます。グレードはさまざまですが、せんべいなどの米菓、饅頭やケーキなどの生菓子の包装にも活用されています。
OPPフィルムの原理
OPPフィルムの原料であるポリプロピレン樹脂は、汎用プラスチックの中でも耐熱性が高く、強度も強いです。加えて酸やアルカリなどに対する耐性も優れています。この原料を縦と横の二方向に延伸しながら成形したOPPフィルムは、ポリプロピレンの持つ特徴を有しながら、フィルムにコシがあり高い透明性と防湿性を示します。
二軸方向に延伸させることにより、一般的には力学的特性や熱的特性、光学的特性、表面特性、ガス透過性が変化するとされています。具体的には、引張強度の向上や、耐熱性及び耐寒性の向上、透明性の向上、滑り性・印刷性の向上、防湿性の向上などです。
一方で、ヒートシール性の低下や切れ目が生じた際に裂けやすくなるといったデメリットも生まれます。ただし、裂けやすい性質はおにぎりやお菓子類の包装には、むしろ好都合でストレスを感じさせることなく開封できるといった面もあります。フィルムには種類によってさまざまな特性を持つため、包装する内容物や使用環境に合わせたフィルムを選択することが大切です。
OPPフィルムのその他情報
OPPフィルムの製造方法
OPPフィルムは、一般に2段階の工程を経て製造されます。まず1段階目では、フィルムを縦方向に延伸させます。次に縦方向に引き伸ばしたフィルムを横方向に延伸させ、CPPフィルムからOPPフィルムを製造しています。
このように、延伸させるだけというシンプルな製造方法であるため、特殊な機械を必要とせず、製造コストも安価に抑えられます。
参考文献
http://www.pp-film.jp/knowledge.html
https://www.mc-tohcello.co.jp/product/wrapping/op.html