パルスロガーとは
パルスロガー (英: Pulse logger) とは、短時間で急に発生する信号を時系列に記録する機器や装置です。
通常は検出器に接続されているセンサーから送られてくる信号をデジタル変換することで、経時的なデータとして自動的に記録が可能です。イベントの解析に利用します。
そのため、単独で用いられることはありません。流量計や風速計であるような回転カウンタから送られてくる単位時間あたりの信号数をカウントするために組み込むことによって、その量や速度を把握することができます。
パルスロガーの使用用途
速度や量に従って出力されたパルス信号をデジタル変換して記録できることから、測定目的に合わせて単位変換する装置と検出機器を組み込みます。水道、ガス、電気の使用量や雨量、風速を算出することが可能です。
パルスロガーは、パルス信号を時系列にカウントする機能のみですが、アナログロガーよりも経年劣化が少なく保存性に優れています。連続的かつ長期的に用いることができる特徴を生かして、研究機関などにて様々な環境測定にも使用されています。
パルスロガーの原理
1. デジタル信号への変換
回転カウンタによって生成される接点信号や直流電圧信号などのアナログ信号出力を信号変換器などを通して、デジタル信号に変換してカウントします。その後、設定した時間毎にカウント数を連続的にデータメモリへ記録します。
時間あたりのカウント数と測定目的に合わせた係数をかけることで、測定単位に合わせた記録データの算出が可能です。パルスはタイムスタンプされずに、発生した時間に基づいてデータメモリに記録されます。
2. パルス信号の測定
周波数をf (Hz) 、周期をT (sec) とすると、その関係はf = 1 / Tであることから、どちらかを測定することで測定対象データを取得できます。なお、パルスロガーのパルス測定方式には次の2種類があります。
ダイレクト方式
ダイレクト方式では、ゲートパルスに一定時間を設定しており、ゲートパルス内にある計測対象のパルス数をカウントします。ダイレクト方式は直接的に周波数を計測する方式です。
レシプロカル方式
レシプロカル方式では、計測対象のパルスをゲートパルスとし、特定の周波数に設定したクロック信号を出力します。ゲートパルスに対してクロック信号のパルス数を計測することで信号周期を取得します。そのため、レシプロカル方式は周期の逆数から周波数を計測する方式です。
パルスロガーの選び方
1. カウント数の違い
測定の際に使用する方式は、1秒あたりに出力されるパルス信号のカウント数が多い場合は周波数 (Hz) を用いたダイレクト方式です。カウント数が少ない場合は、繰返して出力されるパルス信号の1往復あたりの時間長を基準とした周期を用いたレシプロカル方式がよく使われます。
2. 方式の違い
時間長が短周期の測定機器の場合はデータ点数が多くなり、正確な値が記録できますが、感度を超えた短周期のデータを認識が難しいです。反対に、時間長が長周期に設定されている機器の場合は、設定した測定時間内にパルス信号が無いためパルス幅を測定したり、短周期パルスを検出したりすることができません。
そのため、測定目的が短周期か長周期かを考慮して、パルス信号の強さ、データ収集の期間、パルスカウント数の量に合わせた測定方式の機器を選び、設定値を調整することが求められます。
パルスロガーのその他情報
パルスロガーの使用事例
パルスロガーの使用事例として、コピー機ローラーの回転数計測があります。研究開発での動作検証のために、ローラーの回転数を計測することが目的です。
温度計測ユニットや加速度計測ユニットも同時に使用することで、放射熱や各部の動作不良検査も可能です。計測データはネットワーク経由でパソコンに転送することで、計測と検証を同時に行えます。
参考文献
https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2018/201902/pdf/2019_02.pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/pulse/mechanism.jsp