ロータリーディップスイッチとは
ロータリーディップスイッチとは、プリント基板に実装して使う、回転式の設定用ツマミがついたスイッチのことです。
PCや各種測定器などは、その機器で使う電子部品の種類や使用条件によって、回路の接続先や各種条件を変更する必要があります。この種の設定では、多くの場合、設定値の変更の頻度は少ないものの、電源を落としてもその設定を保持する機能が要求されます。
このような場合にディップスイッチが多用されます。ロータリーディップスイッチはディップスイッチの一種であり、上部に回転式のツマミがあります。
ロータリーディップスイッチの使用用途
ロータリーディップスイッチは各種電気機器のプリント基板上や工場のFA機器のコントローラーで使用されます。
ディップスイッチは、一度設定すると回路や機器の電源が遮断されてもその設定状態が保持されることと、スイッチの位置を見ると設定値が判ることが特徴です。そして、意図的に設定を変更しない限り、誤って触れてスイッチの位置が変わる危険性も小さくなっています。
このような利点から、ディップスイッチは設定値の変更の頻度は少ないが変更する必要がある場所で使われます。その中でもロータリーディップスイッチは、スイッチ1つで10個前後の設定値を割り振ることが可能です。従って、ロータリーディップスイッチは工場における設備の温度制御用などで、1の位、10の位、100の位と数値を設定するのに適しています。
その他、各種電気機器の内部のプリント基板上でも、桁ごとに値を指示する箇所などを中心に使用されています。
ロータリーディップスイッチの原理
PC上のプリント基板上でよくみられるような、スライドスイッチを複数並べたタイプのディップスイッチの場合、ひとつひとつのスイッチをON/OFFすることで回路の切り替えや値の設定が可能となります。
2個のスイッチを使えば2ビットの情報を表現できるので、0~3までの数値を表現できます。4個の場合0~15、8個の場合0~255までの数値をそれぞれ表現することが可能です。
一方、ロータリーディップスイッチの場合、その形状から、スイッチといっても、ツマミを回転させ所定の位置で停止させるだけで、複数のスライドディップスイッチの位置を同時に設定したことと同様の設定が可能です。この意味でロータリーディップスイッチはスライドスイッチ型のディップスイッチに比べて、取り扱いが容易です。
このようなディップスイッチの設定情報は、一般的にマイコンなどのシステムコントローラで読み込まれ、その内部でスイッチの設定情報を保持するとともに、設定情報に応じてシステムの制御を行います。
ロータリーディップスイッチの種類
ロータリーディップスイッチの中でも操作部の形状により、操作部がフラットなものやシャフト形状になっているものなど様々な種類があります。形状の違いにより、切り替えの操作に指で操作できるものやドライバーなどが必要なものがあります。
ロータリータイプには、回転することで回路を切り替える構造上、ショーティングタイプとノンショーティングタイプという接点方式の種類があり、部品選定時や使用時に注意が必要です。ショーティングタイプかノンショーティングタイプかは、スイッチが切り替わる間の動作が回路上どのようになっているかの違いで変わります。
また、ロータリースイッチの中には、スイッチの表示部として数字が書かれた円盤状の部品がついていて視覚的に確認が容易なサムロータリスイッチというスイッチがあります。代表的なサムロータリスイッチは、ケース、押しボタン、摺動子、ロータ、プリント基板、取り付け版などの部品からできており、使用用途としてはロータリースイッチと同様です。
参考文献
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20120605/221411/
https://akizukidenshi.com/catalog/goods/search.aspx?search=x&keyword=DIP%83X%83C%83b%83%60&image=%8C%9F%8D%F5
https://www.nkkswitches.co.jp/support/klg/knowledge.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/15/330/index.html