セルフィールとは
セルフィールとは、空気中に噴霧施工することによっって有害物質を分解し、消臭や抗菌作用を果たす空気触媒です。
空気中の水と酸素だけを利用して、さまざまな効果が発揮されます。他の触媒として知られているものに光触媒がありますが、光触媒が作用するためには光が必要です。
空気触媒のセルフィールは、光がない場所でも空気中の水と酸素があれば作用できるのが特徴です。
セルフィールの使用用途
セルフィールは、新築やリフォーム後のお部屋において、さまざまな建材に含まれる揮発性のホルムアルデヒドやvocによって問題となるシックハウス症候群を防ぐために用いられます。
新築やリフォーム後の建築物以外では、病院や学校、商業店舗、多くの人が集まる公共施設、電車、鉄道などの公共交通の車内に施行されます。
セルフィールの原理
セルフィールは触媒です。まず触媒とは、自分自身は変化しないままで、特定の化学反応を促進させる物質のことを指します。触媒がない環境では起こりにくい化学反応であっても、触媒を加えることによって科学反応が促進されます。
その際に、触媒自体が変化することはありません。セルフィールは空気触媒なので、空気だけを使って触媒効果を発揮します。空気の中でも関与するのは、水と酸素です。具体的には、セルフィールに含まれているカリウム40という成分が、空気中の水分子に作用し、ヒドロキシルラジカル (・OH) と過酸化水素を生成します。
生成された過酸化水素は、セルフィール中の鉄やチタンなどのフェルトン反応と呼ばれる作用によって、ヒドロキシルラジカルを生成します。また、過酸化水素から生成されたヒドロペルオキシルラジカル (・OOH) や、空気中の酸素から生成されるのが、スーパーオキシドイオン (O2-) です。
このようにセルフィールは、空気中の水からはヒドロキシルラジカルを生成し、空気中の酸素からはスーパーオキシドイオンを発生します。そして、ヒドロキシルラジカルが、セルフィールのさまざまな効果を担います。また酸素から生成されたスーパーオキシドイオンの作用は、空気中における分解反応です。この分解反応が起こることによって、細菌などが死滅し、カビの繁殖を防ぐ効果が得られます。
セルフィールのその他情報
1. ラジカルとは
ラジカルとは、不対電子を持った原子や分子のことです。ラジカルは通常の原子や電子のように安定していないために、さまざまな反応を生じます。セルフィールが触媒として化学反応を促進するのは、ラジカルが活発に働くものだからです。
また、ラジカルは反応後には、水と酸素に再び分解され、空気中に戻ります。つまり、空気中の水と酸素を循環、利用できます。
2. セルフィールの効果
セルフィールは、新築住宅で問題となるシックハウス症候群を防止する効果があります。他にも、室内の壁などに汚れが付きにくくなる防汚効果や抗菌・防カビ効果、トイレやタバコの臭いなどに対する消臭効果、抗ウイルス効果、マイナスイオン効果などがあります。
3. セルフィールと光触媒との違い
セルフィール以外で、シックハウス症候群を防止するものは光触媒です。光触媒が作用するためには十分な光、具体的には紫外線が必要であり、紫外線が入る環境においては、セルフィールよりも高い効果が発揮できます。
セルフィールの特徴は、光の少ない環境でも効果を発揮できることです。その他、施行しても壁などに変色や風合いの変化がない、無色透明である、施行にあたって養生が不要であり、容易に作業できる、低コストであることもメリットとして挙げられます。
特に、セルフィール自体は人体に無害です。安全性が高いことから学校や病院、公共施設などでも採用され、体の弱い方や子供にとっても安心して使用することができます。
参考文献
https://nichirin-chemical.co.jp/products/selfeel/effects01.html