スクロールコンプレッサ

スクロールコンプレッサとは

スクロールコンプレッサとは、渦巻き状の回転盤 (スクロール) が回転することで、圧縮空気を作り出す装置です。

圧縮空気は自転車や車のタイヤなど、私たちの生活の身近なところで使用されています。この圧縮空気を作り出すのが、コンプレッサの役割です。

コンプレッサには大きくスクロール、レシプロ、スクリューの3種類がありますが、スクロールコンプレッサは近年最も注目されています。

スクロールコンプレッサの使用用途

スクロールコンプレッサの身近な使用例は、家庭用のエアコンの室外機です。スクロールコンプレッサは、比較的小型のコンプレッサの効率が高く、騒音も少ないです。

オイルフリーコンプレッサであることから、一般家庭用、食品、冷蔵、輸送業界で広く用いられています。

スクロールコンプレッサの原理

コンプレッサはある空間に存在する空気を圧縮する装置ですが、スクロールコンプレッサでは空気を圧縮するために、インボリュート曲線で構成されたスクロールを2つ組み合わせています。インボリュート曲線とは、円筒に糸を巻きつけておき、糸を緩むことなく引きほどいていく際に糸の先端が描く曲線のことです。

動力伝達に用いる歯車の歯形にも、インボリュート曲線が広く使われています。スクロールコンプレッサではインボリュート曲線形状を持つ2つのスクロールを180°ずらした状態で噛み合わせています。一方のスクロールを固定し、もう一方のスクロールを動かすことによって生まれる2つのスクロールで仕切られた空間の容積の変化を利用して、空気を圧縮する仕組みです。

スクロールコンプレッサの構造

スクロールコンプレッサの可動部分は、2枚のスクロールで構成されています。一方が固定スクロールで、もう一方は旋回スクロールです。

吸い込み口から気体が入ると、旋回スクロールが回転して空気を移動させます。固定スクロールと旋回スクロールの隙間に空気が一定以上溜まると、中心部にある吐出口から圧縮空気が押し出され圧縮空気が押し出されたら、旋回スクロールは最初の位置に戻ります。

このサイクルをの繰り返しが、連続的に圧縮空気を送り出すスクロールコンプレッサのメカニズムです。

スクロールコンプレッサの特徴

スクロールコンプレッサには、次のような特徴があります。

1. オイルフリーエアである

スクロールコンプレッサで得られる圧縮空気は、オイルフリーエアです。コンプレッサで圧縮空気を作る際、旋盤やピストンの動きを滑らかにするため、装置の中にオイルを入れて使う方式があり、一般工場用機械の作動用エアとして広く用いられています。

スクロールタイプではオイルは使用していない無給油式のため、食品、塗装、医療等、オイルを嫌う用途に向いたコンプレッサです。

2. 低音・低振動で作動できる

スクロールコンプレッサは発生する音や振動が、他の方式に比べて非常に小さく抑えられます。そのため、近くで作業していても、騒音を最小限に抑えることが可能です。

3. 小型クラスで効率が高い

スクロールコンプレッサは小型クラスのコンプレッサの中で、最も効率が高い方式です。しかし、工場エアなど中型のコンプレッサでは、スクリューコンプレッサの方が高い効率を得ることができます。

スクロールコンプレッサのその他情報

使用上の注意点

コンプレッサを使い続けると、結露により水が溜まってきます。溜まった水を放置し続けると錆びにつながり、エアータンクがタンクの役目を果たさなくなるため注意が必要です。

さらに、錆が進行するとコンプレッサ自体の故障にもつながりかねません。そのため、コンプレッサを運用する際には、定期的な掃除が大切です。

また、周りの環境温度にも影響されます。極端な低温下や高温下に置いていると、寿命を縮める原因にもなるので、適切な温度管理が必要です。

参考文献
https://www.ihi.co.jp/compressor/technical-info/basic.html
http://www.id-c.co.jp/contents/web/chishiki/acshikumi.html
https://sanei-air.jp/hpgen/HPB/categories/9221.html

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