スプレードライヤ

スプレードライヤとは

スプレードライヤ

スプレードライヤとは、特殊な装置で溶液を噴霧し乾燥させる技術のことです。

溶液が微粒子化され、熱風と触れる表面積が増大します。結果として、短時間で乾燥が可能です。スプレードライヤーの利点は、熱による変性を抑えられることです。

短時間で乾燥できるため、成分の劣化を防げます。さらに、通常の乾燥方法に比べて工程数が少なく、効率的な過程が実現可能です。

食品、医薬品、合金、ファインセラミックスなど、多岐にわたる分野で活用されており、用途は多岐にわたります。スプレードライヤは、品質を維持しながら迅速に乾燥させることが求められる産業において、重要な役割を果たしています。

スプレードライヤの使用用途

スプレードライヤは幅広い分野で活用されており、特に食品や医薬品の製造において重要な役割を担っています。

1. 食品分野

食品分野では、インスタントコーヒーの製造にスプレードライヤが利用されています。コーヒー液を噴霧し乾燥させることで、長期保存が可能な粉末状のコーヒーが作られます。

2. 医薬品分野

医薬品分野では、新薬候補となる化合物の開発にスプレードライヤが活用されています。従来は水に溶けにくい化合物が開発の障壁となっていましたが、スプレードライヤを用いることで、これら難溶性の化合物でも薬剤化が可能になりました。

有機溶剤に溶ける化合物であっても、熱による乾燥の制限がある可燃性の有機溶媒を回避し、安全な方法で薬剤を製造することが可能です。

スプレードライヤの原理

スプレードライヤは、溶液を乾燥室で噴霧し、熱風で粒子化させています。構成部品は、原料タンク、送風機、乾燥室、フィルタの4つです。原料タンクから溶液が乾燥室に供給され、送風機からの熱風と乾燥室での噴霧により粒子化し、粒子化した製品はフィルタで捕捉されます。

乾燥室での噴霧方法の方式は主に、ロータリーアトマイザー方式とノズル方式の2方式です。スプレードライヤは、噴霧方式を組み合わせることで、さまざまな粒子径や特性を持つ製品を効率的に作製可能です。

1. ロータリーアトマイザー方式

穴の開いた円盤を回転させ、遠心力で溶液を飛散させて乾燥させます。粒子径は円盤形状や回転数で調節可能です。

2. ノズル方式

ノズル方式は、圧力をかけてノズルから溶液を噴射し、熱風で乾燥させます。ノズルには一流体ノズルと二流体ノズルがあり、一流体ノズルは設置面積が限られた場合に使用され、比較的大きい粒子が得られます。一方、二流体ノズルはロータリーアトマイザー方式よりも小さい粒子を作製でき、低い圧力で粒子化が可能です。

スプレードライヤのその他情報

スプレードライヤと併用される装置

スプレードライヤは、さまざまな製品の乾燥プロセスにおいて利用される装置ですが、他の機械と併用されることもあります。併用される機械は、搬送ポンプ、混合機、微粒子分離機 (サイクロン・バッグフィルター) の3種類が代表的です。

スプレードライヤを組み合わせることで、効率的に安定した乾燥プロセスが実現され、製品の品質や生産性が向上します。各工程のニーズに応じて、適切な機械を選択することが重要です。

1. 搬送ポンプ
搬送ポンプは、原料タンクからスプレードライヤへ溶液を連続的に供給するために使用される機械です。搬送ポンプは、正確な流量制御が可能で、均一な供給を保証します。また、高粘度の溶液や懸濁液に対応した特殊なポンプも利用されることがあります。

2. 混合機
混合機は、スプレードライヤに供給される溶液の均一性を確保するために使用されます。混合機には、高速回転するインパラーや静的ミキサーなど、さまざまなタイプが存在します。

3. 微粒子分離機 (サイクロン・バッグフィルター)
微粒子分離機は、スプレードライヤから排出される乾燥ガス中の製品粒子を回収するために使用されます。サイクロンは、遠心力を利用して粒子を分離し、バッグフィルターは、繊維製のフィルターを通過させて粒子を捕集します。製品の回収効率を高めるだけでなく、環境への粉塵の放出を低減させることが可能です。

参考文献
https://www.preci.co.jp/spray-dryer/spray-dryer-profile/
http://www.makino-co.co.jp/products/kansou/kansou01/
https://www.agf.co.jp/enjoy/cyclopedia/flow/manufacture_02.html
https://tech.fujichemical.co.jp/csd/
http://nikkakasei.com/spraydry

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