プレフィルタ

プレフィルタとは

プレフィルタ

プレフィルタとは、大気もしくは液体の濾過で上流過程に使われる比較的目の粗いフィルタのことです。

液体の濾過にもプレフィルタは利用されますが、一般的には大気中の汚染物質を除去するエアフィルタを指す場合が多いです。通常、チリやホコリなどの汚染物質を除去する際は、高性能なフィルタとプレフィルタを用いることで、フィルタの長寿命化と効率化に貢献しています。

このような理由からプレフィルタは、比較的安価であり、様々な材質のフィルタが存在します。

プレフィルタの使用用途

プレフィルタは大気中の汚染物質を除去し、空気の清浄化を目的に使用されますが、プレフィルタ単体で使用されることはありません。プレフィルタより孔径の小さい高性能なHEPAフィルタなどとセットで使われます。これは、ミクロンサイズの微粒子や粉じんを捕捉する高価なフィルタの寿命を延ばす工夫の1つです。

一般的なプレフィルタが捕捉できる最小粒径は5μm程度とされていますが、あくまで参考値であり、材質や製品により異なるため製品情報の確認は必須になります。

プレフィルタの特徴

プレフィルターはチリやホコリなど汚染物質の捕捉を目的に使用されていますが、洗浄可能なものから使い捨てのフィルターまで様々な種類が存在します。また、材質もポリエステルやガラスファイバー、ステンレスなど用途に応じて使い分けることが大切です。

1. 再生用プレフィルター

洗浄をすることで再利用が可能なフィルターで、合成繊維不織布製などが存在します。外気処理や中性能フィルターに適しており、数回の洗浄まで耐えられます。

2. 使い捨て用プレフィルター

一定の使用期間で捕集能力が低下するため、定期的な交換が必要です。使い捨て用途に最適なため、外気処理に用いられることが多くなっています。

3. 塗装ブース用プレフィルター

10μm以上の大きな粒子やチリを除去する目的で使用されます。上記2種類のフィルターの捕集効率は80%程度ですが、塗装ブース用は98%以上が一般的です。

プレフィルタのその他情報

1. プレフィルタの材質

プレフィルタの材質は多種多様であり、理由としてプレフィルタを取り付ける製品によって目的が異なることが挙げられます。落ち葉など大きなゴミを取り除くのが目的のプレフィルタであれば、合成繊維を粗めに折った布製フィルタが最適です。難燃性も求められるのであれば、ポロエステル性で圧力損失を抑制している製品があります。

エンジン吸気口のエアフィルタに使われるプレフィルタには紙製のタイプも存在し、さらに排ガス規制に対応したエンジンでは、燃料ラインにプレフィルタが存在します。排ガス規制対応エンジンは、コモンレール方式を採用しており燃料中のゴミによってエンジン不調が発生してしまいます。そのため、プレフィルタおよびメインフィルタによって、燃料中のゴミを徹底的に除去することが必要です。

このように一口にプレフィルタの材質と言っても、各製品の目的に合わせた適切なプレフィルタの材質が存在します。プレフィルタ交換時にメーカー純正品以外を使用すると本来のプレフィルタの機能を発揮せず、製品の能力低下や動作不良が発生する恐れがあるので注意が必要です。

2. プレフィルタの交換

プレフィルタのフィルタ部分だけを交換する場合もありますが、プレフィルタケースとフィルタが一体となっており、プレフィルタケースと一緒に交換する場合もあります。そもそも交換が不要な場合や、定期的な清掃を行い損傷が激しいときのみ交換する場合もあるため、プレフィルタを交換する前はメーカーの取扱説明書をよく確認することが大切です。

また、プレフィルタを交換するときに、プレフィルタの取り付け方向が指定されていることがあります。取り付け方向を間違ってしまった場合、ゴミを吸着できない、製品への気体吸引が正常にできないなどの症状が発生する可能性が高いです。気体吸引ができないと故障してしまう製品もあるため、交換時にはプレフィルタの取り付け方向があるのかどうかも合わせて確認が必要です。

参考文献
http://www.ace-cl.jp/product/filter-pre
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/185/
http://www.kankyotec.toyobo.co.jp/business/le/pre.html
https://jp.sharp/support/air_purifier/mt_doc/panel_care_kigx100_75.html

フライアイレンズ

フライアイレンズとは

フライアイレンズとは、上下左右にレンズを配置したレンズ体です。

見た目がハエの目に見える形状をしており、フライアイレンズと呼ばれています。複数のレンズがあることで、1枚のものに比べて、光源の輝度むらを少なくすることが可能です。ただし、LEDは輝度ムラが課題となっています。

そのため、LEDを使う装置の中で使われることが増えています。配置されるレンズの形は、場合によってさまざまです。ハニカムコアのように六角形のレンズを並べることもあれば、四角形の形状のものを並べることもあります。

フライアイレンズの使用用途

フライアイレンズは主に光学用途で用いられ、特に均一な光源が求められる装置で使われています。使用される用途の1つとして、プロジェクターが挙げられます。プロジェクターは映画鑑賞やスポーツ観戦などの娯楽のイメージが強いですが、ビジネス用途でも多く用いられています。

フライアイレンズを用いることで、投影したい光学画像を拡大することが可能です。用途の多様化やきれいな映像が求められることになり、高輝度化が進みました。輝度が高くなるとムラが目立ちやすくなるため、解消するためにフライアイレンズが使用されています。

また、不均一な光強度のレーザー光を均一化する際にも、フライアイレンズは有用です。

フライアイレンズの原理

フライアイレンズを使用することで、入射光の強度を均一化することが可能です。入射強度が不ぞろいなレーザー光等が入射されると、構成している複数の凸レンズそれぞれに光が入射されます。レーザー光はガウシアンビームといった強度の分布を取っているため、強度が不均一です。

この段階では、各凸レンズに入る光の強度は均一ではありません。凸レンズへの入射光は、焦点に向かって像を結びます。各レンズで像の生成が行われ、出力される面に対しては像の重ね合わせが起こります。

像が重ね合っているため、入射時には不ぞろいな強度であったレーザー光でも均質な強度で照射が行われます。以上の原理から凸レンズの数を増やすことで、入射光を細かく分割するほど均一化の精度を高めることが可能です。

フライアイレンズの構造

フライアイレンズは単体ではなく、複数のレンズ層で構成して使用します。光源に一番近いレンズが、フォーカスレンズです。光源からの光を対象物にそのまま照射しただけでは弱いため、光を収束させて強いエネルギーに変換します。光が収束する部分とレンズ間の距離は、焦点距離と呼ばれます。焦点距離はレンズの屈折率により異なります。

真ん中と逆側の端に位置するレンズが、フライアイレンズです。複数枚の凸レンズから構成されており、真ん中のレンズは光源に対して凸側が向いています。ここではフォーカスレンズで収束された光を、広げていく役割を持ちます。

端にあるレンズは、光源に対して平らな面が向けられています。2枚目のフライアイレンズで広がった光を更に均一に広げていきます。

フライアイレンズのその他情報

フライアイレンズの機能

機能の1つに光強度の均一化があります。これはレーザー光などで光源の強度が不均一な光に対しても、レンズを通すことで等しい強度の光を出力することができる機能です。各凸レンズへの入射光は一度集光された後に拡散されるため、出てくる光が均一になる仕組みです。

他の機能としては光学画像の拡大・縮小機能があります。この拡大と縮小機能は、フライアイレンズの各凸レンズで集光して出たそれぞれの光学画像が再度重ね合わせられることで実現されています。

最近では、ホログラフィ像を作製する目的でフライアイレンズを用いられる研究も行われています。従来使われていたレーザーに比べると、フルカラー化や場所を選ばない点で優れています。一方で、費用が高額な点が課題です。

参考文献
https://www.global-optosigma.com/jp/Catalogs/pno/?from=page&pnoname=FEL&ccode=W3183&dcode=
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2012/09/0433e6d79a4739f7074fc66932c37b81.pdf
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/35-06-sougou.pdf
https://www.uesltd.co.jp/laser_machining/focus_lens.html
https://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/02/033/

フィルタープレス

フィルタープレスとは

フィルタープレスとは、フィルターを用いて圧搾することにより、スラリー液を濾過して固液分離するための装置です。

主に浄水用途で用いられています。構造がシンプルで、比較的処理量を簡単に増やしやすいことが特徴です。製造ライン中に組み込めるので、濾過脱水装置として多く使用されています。

得られる脱水物 (ケーキ) の含水率は非常に低く、固液分離特性は非常に高いです。自動操作式のフィルタープレスも存在し、液充填から濾過まで全自動で実施可能です。 

フィルタープレスの使用用途

フィルタープレスは高い固液分離特性から、さまざまな産業で使用されます。下記以外の用途として、食品加工や鉱業が挙げられます。

1. 環境分野

代表的な用途は環境分野であり、廃水処理や大気汚染防止に使用されます。廃水処理プラントではフィルタープレスを使用して固形物質を取り除き、浄化水を生成します。浄化水は排出基準に適合することを確認した後に、海などへ排出されます。

2. 化学工業分野

化学工業では合成化合物の精製、分離、濃縮に使用されます。有機合成においては、反応生成物と反応副生成物を分離するためにフィルタープレスを使用することがあります。

また、精製工程においては不純物を取り除き、製品品質を向上させるために使用されることもあります。

3. 石油化学工業

石油化学工業では、石油製品や化学物質の製造に使用されます。具体的には、石油精製工程などで油中の不純物を取り除くためです。

フィルタープレスの原理

フィルタープレスは、濾布を貼った2枚の鋼板やプラスチック板で仕切られた濾室が複数並んだ構造です。濾布同士の間には空間が設けられており、そこにポンプでスラリー液を流し込みます。濾室内にスラリー液が流し込まれて濾過が進んだ後、さらに圧力をかけて脱水します。

圧力をかける方法は油圧が一般的です。油圧を解除した後に、濾室を開放してケーキを落とします。手動フィルタープレスの場合、油圧による加圧を手動油圧ポンプにて行います。

フィルタープレスの主要部品である濾板と濾布の性質は以下です。

1. 濾板

ポリプロピレン製などの板を使用します。濾布を固定したり圧迫したりすることが役割です。硬い材質でできているため高い圧力に耐えることができ、耐薬品性も優れています。

フィルタープレスの機種によっては濾板の間にエアーを送り込むことで圧力を上げ、濾過速度を高めることが可能です。

2. 濾布

ポリプロピレンナイロンポリエステルなどでできた、布状のフィルターです。さまざまなフィルター孔径の製品があるため、スラリーの固形分量や粒子径によって使い分けます。現在のフィルタープレスは、濾布がベルトコンベアー状に移動して固形分を自動排出できる機種が主流です。

フィルタープレスの選び方

フィルタープレスを選ぶ際は、スラリー液の性状や処理速度、含水率などを考慮します。

1. スラリー液の性状

スラリー液の性状に応じて、濾板や濾布の材質を決定します。スラリー液が腐食性の場合はステンレスなどを選定し、高粘度の場合は高揚程の圧搾ポンプなどを選定します。

2. 処理量

処理量も重要な要素の1つです。フィルタープレスの適切なサイズを決定する上で重要な指標の1つであり、フィルタープレスの設計や構造に影響を与えます。処理量を多くするにしたがって、大型化します。

3. 含水率

上記を踏まえて、要求される含水率を確認します。ケーキの含水率を下げたい場合、余分な水分を取り除くのに十分な時間を与える必要があります。

ただし、その場合は処理量が減ってしまうため、必要処理量と要求含水率に応じて設備容量を検討します。

フィルタープレスのその他情報

フィルタープレスの漏れ対策

フィルタープレスはフィルターの縁から液漏れする場合があります。漏れが発生する原因は隙間や過剰圧力、濾布の目詰まりなどです。

濾布と枠の間に隙間が生じた場合、液漏れする可能性があります。シール材で隙間を塞ぐことで、漏れが止まるケースも多いです。また、濾布の濾過速度に対して圧力が高い場合も、処理しきれないスラリーが液漏れする可能性があります。

圧力を下げるか、濾布孔径の最適化が必要です。固形分が濾布に詰まり、濾過性が低下することも液漏れの原因です。濾布洗浄で改善します。スラリー中の固体が多い場合も液漏れするため、上流工程で固形分を減らす必要があります。

参考文献
https://www.nihon-rokasochi.co.jp/filterpress/filtration/
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/052.html 
https://www.nihon-rokasochi.co.jp/productspost/163/ 

ビニールフィルム

ビニールフィルムとは

ビニールフィルム

ビニールフィルムとは、本来は塩化ビニル樹脂 (PVC) で作られた薄いシートです。

しかし、PVCに外観の似たポリエチレン(PE) やポリプロピレン (PP) のフィルムも、慣用的に「ビニールフィルム」と呼ばれる場合があります。安価で加工しやすく、防水性・電気絶縁性・保温性があるので様々な場面で被覆材や保護材に使えます。

ただし、薄いフィルムは酸やエーテルに腐食される場合があるので、薬品がかかる場所での長期使用は避けた方が無難です。

ビニールフィルムの使用用途

ロール状、方形シート状、袋形など様々な形状で販売されているため、用途に応じたものを選べます。安価で加工しやすく強度もあるので、以下に示すように幅広い場面で使われます。

  • サンプルが乾燥しないように表面を被覆する
  • 植物を栽培する際に周りを覆う
  • 配線を保護する
  • カーテン状にビニールフィルムを張って仕切りとする

ビニールフィルムの特徴

ビニールフィルムは、ポリ塩化ビニル (PVC) 樹脂を基材として製造されるフィルムであり、その特性により幅広い用途に使用されています。

1. 透明性と柔軟性

ビニールフィルムは非常に透明であり、内容物を視覚的に確認できるため、包装業界で広く利用されています。また、柔軟性に優れているため、曲げや折りたたみが容易であり、様々な形状に成形することが可能です。この特性により、食品や日用品、化粧品の包装に広く用いられています。

2. 耐久性と耐候性

ビニールフィルムは耐久性に優れており、機械的なストレスや摩擦に対しても強靭な性質を持っています。また、耐候性にも優れており、日光や雨などの外部の環境要因による劣化が少ないため、屋外での使用が可能です。

3. 防水性と絶縁性

ビニールフィルムは防水性に優れており、水や湿気を通さない特性があります。そのため、屋外広告や看板、屋外用家具のカバーなどに使用され、対水性が求められる用途に適しています。また、電気絶縁性も高く、電気・電子部品の保護や絶縁材料としても広く利用が可能です。

4. 高断熱性

ビニールフィルムは断熱性に優れており、保温や保冷に有効です。特に断熱効果が必要な建築用途や温度管理が重要な輸送用途に利用されます。

5. 染色性と透過性

ビニールフィルムは染色性が高く、さまざまな色に着色することができます。また、透過性にも優れており、特定の波長の光を通過させることが可能です。この特性を利用して、カラーフィルターやディスプレイ保護フィルムなどに用いられることもあります。

ビニールフィルムの種類

1. 透明ビニールフィルム

透明ビニールフィルムは、非常に透明でクリアな特性を持つフィルムです。この透明性により、包装業界で広く使用されています。

食品や日用品、化粧品などの包装によく利用されるほか、書籍や資料のカバー、ディスプレイ用の保護カバーなどにも使用されます。透明ビニールフィルムは、内容物を視覚的に確認したい場合や製品の魅力を引き立てたい場合に適応可能です。

2. 色付きビニールフィルム

色付きビニールフィルムは、透明フィルムに比べて特定の色調を持っています。商品の包装において、商品の識別やデザイン性を高めるために使用されることがあります。

特定の色を持つビニールフィルムは、ブランドのイメージや製品の個性を強調するのに効果的です。また、色付きビニールフィルムは広告や看板、装飾用途にも利用され、特定のカラーテーマを表現するのに適しています。

3. 高耐熱ビニールフィルム

高耐熱ビニールフィルムは、PVCフィルムに耐熱性を持たせたタイプのフィルムです。耐熱温度が比較的高いため、食品の加熱や加工、工業製品の製造など、高温環境での使用に適しています。

食品産業や製造業において高温環境での保護や包装が必要な場合に重宝されます。耐熱性により、フィルムが変形したり劣化したりすることなく、安定したパフォーマンスを発揮しる製品です。

4. マットビニールフィルム

マットビニールフィルムは、光沢が少なく、マットな質感を持つフィルムです。指紋や傷が目立ちにくく、視覚的な効果を重視する用途に適しています。

ディスプレイの保護フィルムや家具の表面カバーなどに使用されます。マットビニールフィルムの特性により、反射を抑えられ、視認性を向上させることが可能です。特にディスプレイや看板など、光の反射を制御したい場面で重宝されます。

5. 防水ビニールフィルム

防水ビニールフィルムは、水や湿気を通さない特性を持つフィルムです。屋外広告や看板、屋外用家具のカバー、防水カバーオールなどに使用され、対水性が求められる用途に適しています。

雨や湿気から製品や装置を保護するために使用するため、特に屋外での使用や湿度の高い環境での対策に適しています。

参考文献
https://www.kk-kunii.co.jp/dcms_media/other/

ヒーターケーブル

ヒーターケーブルとは

ヒーターケーブルは発熱線を絶縁体で被覆しコード状、ベルト状にしたものです。

絶縁体にフレキシブルなものを使用してあるため、曲げ伸ばしが容易です。そのため、パイプやタンクに巻きつけることができます。

また絶縁体は耐水性、耐薬品性に優れているものが使用されます。単位長あたりの電力は同じになるのでヒーターケーブルを現場で切りヒーターケーブルを巻きつける対象物の形に合わせることができます。また重ねて巻くこともできます。

ヒーターケーブルの使用用途

ヒーターケーブルは工業用や理化学実験の温度保持に使われます。また寒冷地での水道管などの凍結防止にも使われます。タンクの形やパイプの形に沿って隙間なくヒーターを巻くことができるため効率よく使用することができます。特に大型タンクの下3分の1にヒーターケーブルを巻きつけ加温することで、タンク内の上部と下部で対流が生まれ自然撹拌が起きます。

凍結防止に使用するときはパイプに巻きつけ使用しますが、発熱体を絶縁体で覆ってあるため重ね巻きしてもスパークの危険性がありません。

ヒーターケーブルの特徴

ヒーターケーブルの特徴は、自己温度制御機能を持つ半導体発熱体にあります。ニッケル銅より線を自己制御発熱体で覆ってあります。この半導体発熱体は自己の温度変化により発熱量が変化する性質を持っています。温度が下がると出力が増加し、温度が上がると出力が減少するので、一定の温度を保つことができるため、温度を調整するサーモスタットが必要ありません。異常加熱や焼き切れの心配が無いため幅広く使われています。

使用電圧は汎用の100Vあるいは200Vで目的に応じて発熱出力を選ぶ必要があります。漏電ブレーカーを設けることとされています。特に凍結防止で使用する場合、融解点では温度上昇がないため過電流が発生する恐れがあるため適したヒーターケーブルを選定しなければなりません。

電圧により発熱する発熱体を使用しているため火花スパークに気をつける必要があります。防爆仕様でないものは有機溶剤を使用する場所や粉じんが発生する場所では使用できないため、日本の規格では「電気機器防爆構造規格」を有しているものを使用する必要があります。

パンチダイ

パンチダイとは

パンチダイとは、プレス金型において重要な役割を担うパンチとダイの組み合わせのことです。

パンチとダイは基本的に1つのセットであり、対で使用されます。さまざまな加工形状に合わせたパンチが存在し、刻印パンチや抜きパンチ、曲げパンチ、絞りパンチなど精密に加工されて使用されます。

それらのパンチに対応するダイがセットで制作され、単品では機能しないため、両者が揃って初めて加工することが可能です。ダイはパンチ形状に合わせた受け皿の役割を果たします。例えば、抜きパンチと抜きダイの場合、鋭利な刃物のような形状をしており、絞りパンチや曲げパンチの対になるダイは金属が滑り込むような形状で加工が可能です。

金属が圧力を加えながら滑り込んでいく際には大きな負荷がかかりますが、表面を鏡面加工 (ラッピング) や表面処理することで、寿命を延ばす工夫がされています。パンチダイには非常に強い負荷がかかるため、ダイス鋼やHAP、粉末ハイス、SKD (焼き入れ) など耐久性の高い素材が使用されています。

パンチダイの使用用途

パンチダイは、プレス金型において重要な役割を担う部品で、鋼板への加工を行います。プレス金型は、単発型と順送型に大別され、それぞれの用途に応じたパンチダイが使用されます。

比較的単純な加工を行うもので、人手によって材料が送り込まれ、加工が進められます。一方、順送型プレス金型は、複数の加工工程が1つの金型に設けられており、自動で材料が送り込まれ、複雑で精密な部品の大量生産をすることが可能です。

順送金型では、穴あけ、刻印、抜き加工、絞り加工、せん断加工など、さまざまな工程がパンチダイによって実現されます。パンチダイが複数のセットで組み込まれており、それぞれの工程で効率的に加工が行われます。

パンチダイは金型にとって重要な工具であり、その使用用途は金型の種類や加工内容によってさまざまです。しかし、いずれでも精密な部品加工や大量生産に欠かせない存在となっています。

パンチダイの原理

プレス金型におけるパンチダイの原理は、抜き加工におけるクリアランスの重要性にあります。クリアランスとは、パンチとダイの間にできる隙間のことです。設定や調整が加工品の仕上がりやパンチダイの寿命に大きく影響します。

抜き加工に必要なパンチサイズは、鋼板の抜き寸法に合わせて設定されます。対応するダイの加工寸法は、パンチサイズよりも1回り大きくなり、隙間がクリアランスで、全周にわたって均一でなければなりません。

加工する材質によって、クリアランスの設定値は異なります。例えばステンレス系の材料では、板厚に対して7~11%程度に設定することが一般的です。適切なクリアランスの設定や調整が不十分だと、製品に大きなバリが発生したり、パンチダイが痛む原因となったりする可能性があります。

クリアランスを調節する際には、0.01mm単位で合わせることが一般的であり、非常にシビアな作業が求められます。順送金型のようにすべてのパンチダイの位置関係を合わせる必要がある場合には、加工精度が重要となります。

位置決めプレートの加工は主にマシニングセンタやワイヤーカットで行われ、パンチダイの傾きの原因となる場合があるため注意が必要です。パンチダイをセットする際には、傾きがないかしっかりとチェックします。

パンチダイの種類

用途や加工形状によって異なるパンチダイが使われます。主に刻印パンチ、抜きパンチ、曲げパンチの3種類が存在します。

1. 刻印パンチ

刻印パンチは、金属表面に文字や図形を刻むためのパンチダイです。製品にロゴや識別番号、規格表示などの情報を刻むために使用されます。刻印パンチは、刻印面が鏡像状に彫られ、プレス加工時に正確な文字や図形を金属表面に転写できるように設計されています。

2. 抜きパンチ

抜きパンチは、金属板を切り抜くためのパンチダイです。金属板に穴を開けたり、外形や内形の加工を行ったりするために使用されます。抜きパンチは、鋭い刃が金属板を切断し、対応する抜きダイが切り抜かれた形状を受け止めることで、正確な形状の切り抜きが可能になります。

3. 曲げパンチ

曲げパンチは、金属板を曲げるためのパンチダイです。金属板を特定の角度や曲率に曲げられる点が特徴です。曲げパンチは、曲げる部分に沿った形状を持ち、対応する曲げダイが金属板を押さえつけることで、金属板を滑らかに曲げられます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr02/c0405.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/work-knowledge/concept_basic-design/press-basic_design

パレット洗浄機

パレット洗浄機とは

パレット洗浄機は、パレット(プラスチックパレット)の洗浄(乾燥)を行う機械です。

使用済みのパレットは汚れやカビの発生、または異物の混入などがある場合があり、積載する荷物を不衛生な環境に曝さないためにパレットの洗浄が必要ですが、パレットは非常に大きくまた重量もあるので、人の手で洗浄していたのでは手間がかかります。

パレット洗浄機は、パレットを積んで設置すると段ばらし、洗浄、遠心脱水、乾燥、段積みまでを行う機械です。洗浄対象となるパレットの形状・種類に応じて様々なタイプが存在します。

パレット洗浄機の使用用途

段積みしたパレットを洗浄機に設置すると、まず低圧多水量方式でパレットを丸洗いしながら回転ブラシで全体の汚れを取り除いていきます。洗浄が終わった後は、パレットを高速で回転させ、遠心力で水分を飛ばします。最後に高温のエアブローを行い、残った水の水切りをして乾燥させ、終了です。

洗浄だけを行う簡易的なものから、洗浄から乾燥までトータルに行える大規模なものまで様々なタイプがあります。機器の設置スペースやパレットのサイズなど、ニーズに合わせて機器を選択します。

パレット洗浄機の原理

物流業界で重要なマテリアルハンドリング機器であるパレットは、昔は木製が主流でしたが、木製パレットは洗浄を行う概念がなく、しばしば積載する貨物を不衛生な状況に曝してしまうことがありました。特に衣料品・食料品・電子産業等の生産現場ではこの問題は深刻であり、パレットをクリーンな状態に保つことが重要視され、パレットは洗浄・滅菌が可能なプラスチックパレットやスチールパレットに置き換わってきています。

しかし、プラスチックパレットも使い続ければ汚れが蓄積します。そして人海戦術によるパレット洗浄はとても大変で、手作業では取り切れない汚れもあります。パレット洗浄機は洗浄から脱水乾燥までを自動で行い、パレット洗浄の効率化を行う機械です。

洗浄可能なパレットの大きさや形状、種類、洗浄効率は機械の型によって様々です。設置スペースを取らないコンパクトな洗浄機は一時間に数十枚、大型の洗浄機は一時間に数百枚の処理が可能です。

参考文献
http://www.kinsei-unyu.co.jp/pallet/

パレットステージ

パレットステージとは

パレットステージとは、中二階式の棚(仮設中二階)のことで、倉庫の上部にできてしまいがちなデッドスペースを活用するために設置します。2台のラックの間にスチールパレットを架け、繋げていくものです。アンカーなどを使用せず建物に固定しない仕組みで、組み立ても解体も短期間で行うことができます。

積載ラック、積層ラック、積層棚、メザニン式積層ラック、メザニンラック、立体架台、プレーンラックなど、似た構造物は多くあります。これらのうちパレットステージは最も簡易的な設置方法を用いるもので、アンカーを使わずに逆ネステナー(逆ネスティングラック)を支柱として設置します。 

パレットステージの使用用途

パレットステージは倉庫の上部にできたデッドスペースを活用するために考案されました。平面を上下二層化することができるので、作業スペースと収納量が単純に倍増します。

ボルトを使わないので、フォークリフトで好きな場所に設置し、自由に移動・増設させることができるのが利点です。不要な時は取り外し、ネスティングによる収納が可能です。さらにインテリアを工夫して景観をよくすることもできます。

設置を含めたレンタル貸し出しを請け負っている業者もあります。 

パレットステージの特徴

溶接・アンカーを使用せずに組み立てられるパレットステージは、積層タイプ・中二階タイプなどの他のメザニン(中二階)よりも短期間で作ることができ、解体も容易です。在庫の変動に合わせて広げたり縮小したりすることができ、使わない時は場所を取らずに収納しておけます。

パレットステージはメザニンラックの一つです。これまでメザニンラックはあくまで「ラック」であるとみなされており、建築物ではないという認識でしたが、近年耐震設備などが問題視されるようになり、「メザニンラックも建築物の範疇である」と見解が変わってきました。そのため、設計施工においては防災設備や耐震強度などは消防関係法令の規制を受ける可能性があります。棚下は照度が低下するので、照明設備の追加が必要になることがあります。

また、パレットステージの上階に人が常駐することはできません。事務所スペースにするなどといった使い方は不可能で、あくまで荷物を積載し保管しておく場所となります。 

参考文献
https://www.saneimatehan.com/product/platform/01.php
https://lplanners.jp/products/mezzanine-rack/

透視度計

透視度計とは

透視度計とは、河川・湖沼や下水などを流れる水の透明度を測定するための機器です。

底に印 (標識板) が入っている円筒状のガラスの容器に試料を入れて、標識板が見える時の水の量によって透明度を測定します。水の透明度が高ければ、水の量が多くても底にある標識板は見えますが、濁っているほど試料が少なくないと標識板は見えません。

標識板が見えるまで水の量を容器から排出して、標識板がはっきりと見える時点での水の量を容器の目盛りから読み取ります。

透視度計の使用用途

透視度計は、主に色付きの水の透明度を測定するために使用されます。下水や雨水、プール、河川水、湖沼水、海水などを測定します。また、工場排水が基準を満たしているか判断する際や、水中の懸濁物質量を把握する際にも有用です。

懸濁物質が多い試料の場合、懸濁物質が底に沈澱して、底部の印を覆ってしまうことがあり、測定に支障をきたすため注意が必要です。また、測定時の周囲の明るさによって透視度は変化します。原則として、昼間の光で測定することとされています。

透視度の原理

透視度の原理は、測定する水の厚さを変化させて、標識板に描かれた二重十字が認識できる水の厚さを判定するものです。比色菅に入った水の量を変化させることによって、試験者の目と標識板の間にある水の厚さを変化させます。

標識板の二重十字の確認を正しく行うためには、環境の明るさが重要です。透視度計で水の透明度を評価する際には、環境の照度を1,000±500lxの明るさに保つ必要があります。この明るさは、青天の日中で直射日光の入らない窓際と同じです。

透視度計の構造

透視度計は、比色管、スタンド、流出口、標識板によって構成されます。

1. 比色管

試料を入れる容器を比色管と呼びます。比色管の長さは30cm、50cm、1mのものがそれぞれ販売されていますが、30cmのものが一般的です。

2. スタンド

比色管や標識板などがセッティングされており、さらに取手がついています。またスタンドの底部が重りの役割となるので、倒れにくい上、そのまま採水できます。

もちろん、バケツなどで採取して注ぐこともできますが、泡が立たないように注ぐことが大切です。

3. 流出口

ピンチコック付きゴム管や、サイフォン式によって、少しずつ比色管の水を減らすことができます。

4. 標識板

標識板は二重十字が印刷されたものです。計測する水に濁りがある場合、この標識板の二重十字はぼんやりと見えますが少しずつ水の量を減らしていくと、十字の線が二重線になっているのが見えます。

この標識がはっきりと見える水量で流出口からの水の排出をやめ、水の高さを目盛りを読み取ります。

透視度計のその他情報

1. デジタル式透視度計

透視度を測定する最もベーシックな方法は、標識板を用いて目視で評価するものですが、デジタル式の透視度計も販売されています。浄水場や上下水処理上、農業排水、産業排水処理施設などの施設において活用されています。

濁度やSSと透視度は一定の関係性を持つため、透視度の測定により応用的に濁度やSSを推定することも可能です。また、検出部を試料水に浸すだけで測定できる、プローブ型のハンディタイプもあります。透過光吸光光度法により測定するものが主流です。

不特定多数の試料を目視の透視度計とデジタル式透視度計において結果を比較した場合、測定値が一致しない場合があるため注意しなければなりません。これは試料水によって、濁度や色相などによるが影響することが原因です。一方、デジタル式は、測定者によるばらつきが少ないというメリットもあります。デメリットとしてあげられることは、デジタル透視度計は目視で測定するタイプの透視度計と比べると高価であることです。

2. 透視度の基準

透視度を測定するための目的は、場面によって多岐に渡ります。例としては、河川水の水質評価、畜産農家などから排出される農業排水・工場排水などです。排水の測定を目的として透視度を図る場合の基準は、水質汚濁防止法により定められています。

工場からの排水を試験する場合、日本工業規格 (JIS-K0102) において、高さ30cmの透視度計の使用が標準化されています。なお、透視度は飲料水については、適応範囲外です。

透視度は、標識板の二重十字がはっきり見える水層の高さによって評価されます。10mmを1度とするので、30cmの透視度計を使用した場合の透視度は1〜30度です。透視度が30度以上である場合、現場レベルであれば工場排水として異常はないと判断することができます。

ただし、測定する場面によって基準や、クリアすべき値は異なり、透視度以外の項目も満たさなければなりません。また、河川水については使用される透視度計の高さは場合によって異なります。

参考文献
https://www.miyamotoriken.co.jp/html/products/1B.pdf
https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/suishitsu/pdf2/23_sankou%20zuhyou14~16.pdf
https://www.sibata.co.jp/downloads/pdf/manual/M080530-055_05.pdf

丸釘

丸釘とは丸釘

丸釘とは板の接合などに使用される、最も一般的な釘です。

釘は木造住宅の建築現場や日曜大工など、多くの木工現場で使用されています。その中でも丸釘は最も基本的な形状をしています。金槌を打ち付ける頭の部分は円盤状になっており、木に食い込む先端の部分は円錐状になっています。

丸釘の中には、材質や長さと太さ等についてJISで規格されたものがあり、木造建築では建築基準に対応するためには規格に準拠した丸釘を使用します。

その一方で丸釘には材質や形状、防錆性能、外観などにさらに多くの種類があります。

丸釘の使用用途

丸釘は木造建築や家具の製造、DIY (Do It Yourself: 日曜大工) などで広く使われています。

丸釘は金槌を使って木製材料どうしを接合する際に多く使われます。簡単に打ち付けることができ、くぎ抜きを使って釘を抜くことで接合部を切り離せます。このため、接合に失敗した場合でもやり直しがききます。さらに、一時的な用途の接合部材としても使用できます。

反対に、丸釘は、予め接着剤で結合された木材に対して、後から打ち込むことによって、その部分の接合をさらに補強するためにも使用されます。

代表的な丸釘の使用用途としては、木造家屋の建築、家具の製造の他、コンクリートの型枠のように一時的な構造物の構築などに多用されています。さらに、DIYのように趣味の工作においても、棚や犬小屋の製作など、木工の分野では丸釘は主要な材料です。

また、釘打ち機が普及した現代では、丸釘はビニール袋やプラスチックケースに入ったバラ詰めの他に、釘打ち機用に釘どうしがワイヤーで連結された状態でも販売されています。

丸釘の原理

1. 丸釘の特性

釘は細かく見ると様々な種類があります。基本的には、丸釘は鉄線や鋼線を基に切り出した、細長い円柱状の本体の片方に金槌を打ち付ける円盤状の頭部があり、反対側の端部は木材に食い込むために先が尖った円錐形状をしています。

釘の他の種類には、胴体にスクリューが刻まれたスクリュー釘、コンクリートに使用するコンクリート釘、表面が塗装されたケーシング釘、トタン板の取り付けに使うトタン釘、丸釘の頭の部分を潰したつぶし釘、U字型をした又釘などがあります。

丸釘も細かく分けると、太さ、長さ、材質、頭部の形状などに違いがあり、それぞれ違う特性を持っています。

丸釘の太さは太くなるほどに、木材の接合部の横方向に架かる力に対する耐力が大きくなると同時に抜けにくくなります。長さは、長い方がより厚い木材同士の接続に使えます。

2. 丸釘の材質

丸釘の材質には、鉄、ステンレス、銅、メッキ処理した鉄などがあります。鉄の釘は長期間の使用で錆が出てきます。しかし、この錆が木材同士の結合をより強固に保つ特性があるとされ、木造家屋の筐体の接合に使用されています。

一方、ステンレス製の丸釘は錆びを嫌う用途に使用されます。また、銅製の丸釘やめっき処理した丸釘は外観を重視する家具の製造などに使用されます。

丸釘の選び方

1. 丸釘の規格

丸釘にはJIS規格によって定められた基準に準拠したものがあります。木造家屋の建築では、建築基準を満たすためには、JIS規格に準拠した丸釘を、建築基準に沿った間隔で筐体の接合に使用しなければなりません。

JIS規格は釘の10種類について規格化を行っており、それぞれに種類、頭部形状、胴部形状、胴部径、長さについて規定しています。JIS規格では、釘の種類が一目で判る記号を付けていて、釘の種類をアルファベットから始まる表記としています。

丸釘については、鉄丸くぎがN、めっき鉄丸くぎがNZ、太め鉄丸くぎがCN、めっき太め鉄丸くぎがCNZ、溶融亜鉛めっき太め鉄丸くぎがZN、細め鉄丸くぎがBN、ステンレス鋼くぎがSと、それぞれに記号が割り振られています。

2. 丸釘の選択

DYIのような趣味の木工で釘を使う際には、JIS規格にこだわる必要はないかもしれません。その一方で、木造家屋の建築のように、規格に定められた釘を使用することが建築物の基準を満たす必要条件になる場合には、JIS規格を正しく理解した上で、規格に適合した釘を選択しなければなりません。

また、木工製品の製造においても、耐久性を持たせたり、見た目を良くするためには、丸釘の選択は重要です。

参考文献
https://www.tanakanet.jp/contents/product/screw/sc103ct.html