IoTセンサー

監修:エルスピーナヴェインズ株式会社

IoTセンサーとは

IoTセンサーとは、IoT (Internet of Things)と呼ばれるモニタリング・コントロール・センシング技術において用いられている、通信機能を持ったセンサーです。

IoT(Internet of Things)とは、インターネットに接続されたさまざまな物理的なデバイスやオブジェクトが相互に通信し、データを交換する技術のことです。

センシング技術と通信技術を用いて、生産設備や家電製品などをインターネット上で接続し、状況の監視や遠隔操作を行います。IoTセンサーとは、温度・加速度・圧力・光などの各種センシング機能と通信機能を併せ持ったデバイスのことを指します。

IoTセンサーの使用用途

1. 概要

IoTセンサーの用途はさまざまで、「環境モニタリング」「モーションモニター」「位置検知」「開閉検知」などがあります。

環境モニタリングでは、温度、湿度、気圧、照度、などをモニタリングすることができ、居住空間、作業環境や農園などのモニタリングが可能です。モーションモニターでは衝撃、振動などの動きの様子を検知することで、製造現場などの機器稼働状況などをモニタリングすることができます。

位置検知では、対象物と受信機の間の電波強度を計測することで距離を測り、物体の存在検知、近接検知、通過検知を行うことが可能です。開閉検知は、ドアや窓などの開閉状態を検知します。

2. 具体的な利用シーン

産業用途では、工場などにおいてIoTによる設備状況のリアルタイム監視を行うことで、稼働状況の監視、工程管理、異常動作の検知、故障予知を行うことができます。農業分野では、ビニールハウス内の温度、湿度、土壌の水分、照度を遠隔で確認することに利用されています。

また、防災分野では、河川にIoT水位計を設置することで、増水・氾濫の危険検知に役立てられています。一般住宅や、オフィスなどでは、室内の温湿度、ドアの開閉状況の管理が可能です。介護シーンでは、離床センサーや、落下・転倒を検知するセンサーを利用することで、見守りや安全確保などを行うことができます。

IoTセンサーの原理

IoTセンサーのセンサー部分には、金属や半導体素子を用います。これらの素材から得たアナログな情報を電気信号によりデジタル情報に変換して通信を行う装置です。測定対象に合わせて、熱電対やシリコンチップ隔膜など、様々なものが用いられます。

センサー部分から得た情報は、数値データとして収集され、通信機能を介してサーバ・クラウドで監視・管理できるようになります。

IoTセンサーの種類

IoTセンサーは、測定対象に合わせて様々な種類があります。主なものでは、温度、加速度、圧力、距離などが挙げられます。以下に代表的なものを記述します。

1. 温度センサー

温度センサーは、物体や空間の温度を計測します。センサー部位には、熱電対 (異なる金属を溶接したもので、温度変化に伴って電圧・電流が流れる)や、測温抵抗体やサーミスタ、バイメタル、圧力温度計、放射温度計など、様々なものがあります。

2. 加速度センサー

加速度とは、単位時間あたりの速度を表す値です。加速度センサーは、この加速度を測定するセンサーです。対象物体の移動や傾き・振動・衝撃などを検知することができます。静電容量検出方式・ピエゾ抵抗方式・熱検知方式などの主な種類があります。

3. ジャイロセンサー

ジャイロセンサーとは、対象の傾きや角速度を検知する装置です。加速度センサーと似ていますが、ジャイロセンサーでは回転運動を検知することが可能です。

4. 圧力センサー

圧力センサーは、気体や液体の圧力を測ります。シリコンチップでできた隔膜を用いて膜の変形を検出し、電気信号に変換することで圧力を計測します。

5. 光センサー

光センサーは、光の有無や強さを検知する装置です。可視光線、紫外線、赤外線など、光の種類別にセンサーが存在します。

6. 距離センサー

距離センサーは、対象物に光、電波、超音波などを照射して得られる反射を評価して距離に換算し、物体の位置を特定するセンサーです。特に、障害物検知や侵入対策などに活用されています。

本記事はIoTセンサーを製造・販売するエルスピーナヴェインズ株式会社に監修を頂きました。

エルスピーナヴェインズ株式会社の会社概要はこちら

LPWA機器

監修:エルスピーナヴェインズ株式会社

LPWA機器とは

LPWA機器とは、Low Power Wide Area (LPWA) と呼ばれる、広域無線通信技術を利用するために用いられる機器一般です。

LPWAは、消費電力が小さいことや長距離通信が可能なことが特徴です。周波数帯、通信距離、省電力性、通信速度などの異なる様々な通信規格があります。また、それらの通信規格は、通信事業者が提供する「セルラー系 (ライセンスバンド) 」と呼ばれる種類と、無線局免許が不要な「非セルラー系 (アンライセンスバンド)」と呼ばれる種類に分けられます。

非セルラー系では自由な運用が可能である一方で、基地局の施工・設定、サーバの構築などが必要です。一方、セルラー系では通信料金は発生しますが、通信事業者による既存の基地局を利用することが可能です。LPWA機器とは、こうしたLPWAネットワークを構築するのに必要な機器類(ゲートウェイ、エンドデバイスなど)を指します。

LPWA機器の使用用途

LPWAは一般家庭における家電・スマートホーム化や、産業分野や公共サービスなど、多様なシーンで活用されています。

1. 一般家庭のスマートホーム化

一般家庭におけるLPWAの使用用途では、スマートメーターやスマートロックなどが挙げられます。スマートメーターとは、電気・ガス・水道などの利用量を自動的に遠隔で検針することができるメーターです。また、空調機器、照明機器など各種家電製品を統合制御したり、スマートロックなどを制御することにも用いられています。

2.  トラッキング

LPWAは、人や動物、モノなどの位置情報を追跡するトラッキングにも利用可能です。産業分野においては、物流・輸送管理に用いられています。輸送パレットにLPWAモジュールを装着することで、荷物の紛失を予防することができます。通信距離が長く、国や地域をまたいでも通信可能です。また、動線を可視化できるため、輸送ルートの再検討や効率化にも役立ちます。

また、ウェアラブルデバイスを子供やペットに装着することで、見守りや迷子防止を行うことも可能です。

3. モニタリング

通信距離の長さや消費電力の低さを活かし、LPWAは環境測定センサ(水温・水量・土壌・CO2濃度など)の情報を遠隔で取得することにも使用されている通信技術です。農業のスマート化に活用されている他、危機管理型水位計、マンホール内の水位の監視など自然災害対策で活躍しています。

また、農業分野では農作物の盗難防止にも使用されます。医療分野では、医療機器(CPAP装置など)の遠隔モニタリングに利用することが可能です。

LPWA機器の原理

1. 概要

LPWAとは、Low Power Wide Areaの略ですが、LPWAN(Low Power Wide Area Network)とも呼ばれることもあります。名称の通り、消費電力が低いことと広域・長距離通信が特徴です。種類にもよりますが、低速な狭帯域を利用しているため、最大伝送距離は短いものでも2km以上、長いものでは50kmや100kmにも及びます。

LPWAの伝送速度は小さいものの工場や物流、農業、住居、生活インフラなどのスマート化においては小サイズデータの長距離通信が行われるため、LPWAの最大伝送速度でも十分に機能を果たすことができます。最大伝送速度は非セルラー系で数十~250kbps、セルラー系で200kbpsから1Mbpsほどです。(LPWA以外の最大伝送速度は、LTEは37.5~150Mbps程度、Wi-Fi(IEEE 802.11ac)は1Gbps)

2. ネットワーク構築機器

非セルラー系のLPWAネットワークでは、基地局の施工・設定、サーバの構築などを自前で行う必要があります。ネットワーク構築には

  • 使用したいIoT機器/センサーなど
  • ゲートウェイ(基地局)
  • ネットワークサーバー
  • アプリサーバー

です。

セルラー系では、通信事業者の基地局を利用するため、SIMが必要です。通信事業者へ通信料金を支払う必要がありますが、ネットワーク構築を自分で行う必要はありません。接点監視端末などを利用する場合もあります。

LPWA機器の種類

概要

前述の通り、LPWAには様々な通信規格があります。主な非セルラー系の通信規格には、

  • LoRaWAN
  • Sigfox
  • Wi-SUN
  • ZETA
  • ELTRES

などがあります。また、セルラー系には

  • LTE-M
  • NB-IoT

があります。下記は代表的な非セルラー系のLPWAの例です。

・LoRaWAN

LoRaWANとは、LoRa Allianceによって仕様策定された規格であるLoRaを使用したオープン無線ネットワークです。非セルラー系であり、920MHz帯の周波数を使用します。通信速度は環境にに依存しますが、50kbps〜250kbps程度です。また、双方向通信が可能です。ユーザーがゲートウェイを設置して自由にネットワークを構築することが可能であるため、山奥や地下など、携帯電話やSigfoxなどの基地局の電波が届かない場所でも利用することができます。

・Sigfox

Sigfox(シグフォックス)はフランスのUnaBiz社が各国のオペレーターを通じて提供している非セルラー系のLPWAネットワークです。920MHz帯を使用し、通信速度は100kbps程度です。

Sigfoxは国ごとに提供する通信事業者を1社に絞っており、日本では京セラコミュニケーションシステム社が回線提供とクラウド提供を行っています。そのため通信に必要な基地局を自分で用意する必要がありません。

本記事はLPWA機器を製造・販売するエルスピーナヴェインズ株式会社に監修を頂きました。

エルスピーナヴェインズ株式会社の会社概要はこちら

LEDビジョン

LEDビジョンとは

LEDビジョンとは、LEDディスプレイを利用した大型の電子看板です。

従来の広告に代わって、画像や映像などで広告を掲示することに活用されています。明るさに優れているため日中の屋外でも視認性が良いことが特徴です。また、従来広告・ディスプレイよりコンテンツの入れ替えが容易であるという利点があります。屋内用や屋外用がある他、様々な種類の製品があります。

LEDビジョンの使用用途

1. 概要

LEDビジョンは、主に大型広告・掲示に用いられている製品です。屋内外において様々な用途で用いられています。

屋外型LEDビジョンの主な用途は下記の通りです。

  • 店舗看板 (特にビル・テナントなどの外壁)
  • 大型自立看板
  • 映像による空間演出や動画広告 (野外コンサートやイベントなど)
  • 案内用看板
  • スタンド看板

屋内型LEDビジョンの主な用途は下記の通りです。壁だけでなく床、天井などにも設置することができます。

  • 店内案内
  • 施設案内
  • オフィス
  • 催し物などにおける展示ブース
  • コンサートホールにおける催し物案内

2. デジタルサイネージとの違い

LEDビジョンと類似のものにデジタルサイネージがあります。デジタルサイネージは近くで見る(視認距離が近い)ことに適している媒体です。そのため、店舗の入口や駅構内にある広告など、視認距離が近く、情報提供や顧客対応を行う場所に設置されています。一方、LEDビジョンは明るくて目立ち大規模なビジュアル広告や展示に適している媒体です。そのため、ビル壁面の大広告、駅や空港の電子掲示板などに多く使用されています。 

LEDビジョンの原理

1. 概要

LEDビジョンはLED素子を発光させて画像や映像を映し出す装置です。LEDビジョンにはLED素子を組み込んだLEDモジュールが多数組み込まれています。画像や映像の表示にあたっては、コントローラーから電気信号によって電流の制御が行われ、モジュールのダイオードが点灯します。

液晶モニターは、画面をバックライトで照らすことで発光させる一方、LEDビジョンはLED素子自体が発光するという点が決定的に異なります。LED素子自体が発光することにより、液晶モニターの約20倍の明るさで表示させることが可能です。

2. ピクセルピッチ

LEDビジョンのLED電球の間隔のことをピクセルピッチと呼びます。ピクセルピッチの細かさとLEDビジョンの大きさによって、LEDビジョンの解像度が決まります。例えば、LED球の間隔が10mmであれば10mmピッチです。適切なピッチサイズは次式で表されると言われています。

視認距離(m) ÷ 1.16 = 最適なピッチサイズ(mm)

これは例えば、ピッチサイズが10 mmであれば、視認距離は 11 mとなる計算です。

3. リフレッシュレート

もう一つのLED ビジョンの特徴は、リフレッシュレートが高いことです。これにより、滑らかで鮮明な映像を表示することができます。通常のテレビや PC モニターのリフレッシュレートが 60Hz 程度であるのに対し、LED パネルは最大で 3840Hz の高い更新頻度を実現することが可能です。

4. その他

LEDビジョンはベゼル (枠) がないため、複数のビジョンを並べて大きな1枚画とすることが可能です。そのため、サイズを柔軟に設置場所に合わせることができます。防塵・防水機能に優れ、動作温度は-20℃~60℃まで対応しています。湾曲した曲面にも設置可能です。

LEDビジョンの種類

1. 概要

LEDビジョンには様々な種類があります。屋外型は日中の太陽光の下でもはっきりと見えるように明るさが設定されており、屋内型LEDビジョンは、近距離でも綺麗な映像を映し出すためにピクセルピッチが細かくなっています。視聴距離や設置スペースに合わせて、ビジョンの大きさやピッチサイズを決定することが必要です。

その他、特殊なLEDビジョンは下記の通りです。

2. 透過型LEDビジョン

透過型LEDビジョンとは、素材を通して背景を見ることができるLEDビジョンです。半透明なアクリル板などを用い、LEDモジュールの素子の間を光が透過するように設計されています。例えば、屋内外を仕切る面に設置すると、室内からは、LEDビジョンを通して外を、外からはLEDビジョンを通して室内を見通すことが可能です。

3. キューブ型LEDビジョン

キューブ型LEDビジョンは、形状が立方体となっているLEDビジョンです。3面から6面の複数の面にLEDビジョンが配置され、様々な角度から視聴することができます。店先の看板や室内の天井、屋外などに用いているLEDビジョンです。

 

混合水栓

混合水栓とは

混合水栓とは、水栓内でお湯と水を混合することができる水栓です。

水栓金具とは一般的に「蛇口」と呼ばれているものです。水栓金具には、単水栓と混合水栓があります。単水栓とは、水またはお湯のどちらか一方だけを蛇口から出すことができる水栓金具です。混合水栓は単水栓と異なり、お湯と水を混合させることで適温に調節することができます。混合栓と呼ばれる場合もあります。

混合水栓の使用用途

混合水栓は、一般住宅における洗面台やキッチン、浴室などの水栓に使用されています。宿泊施設においても同様に洗面台や浴室で使われている他、オフィスや商業施設などの建物においても、トイレの洗面台などで使われています。

その他の用途の一つは、洗濯機用の水栓です。洗濯機用の水栓に混合水栓を利用すると、洗濯機に水温調節機能がなくても水温を調節することができ、効果的に汚れを落とすことができます。

混合水栓の原理

混合水栓は、金具内でお湯と水を混合して吐水口より吐水する仕組みです。動作機構には、シングルレバー混合水栓、2ハンドル混合水栓、サーモスタット水栓の3種類があります。

1. シングルレバー混合水栓

シングルレバー混合水栓とは、一つのレバーで水量と温度を調整できる混合栓です。シングル混合栓と呼ばれる場合もあります。レバーハンドルとバルブやカートリッジが連動しており、湯水の通水路の開閉を加減する仕組みです。レバーの上下操作によって吐水・止水をしたり、吐水量を調整することができます。また、レバーを左右に動かすことで、温度調節が可能です。

キッチンや洗面所など、水とお湯の両方を多用する場所で主に使用されます。

2. 2ハンドル混合水栓

2ハンドル混合水栓とは、お湯と水のそれぞれに対して、水量を調整するハンドルを回す動作機構の水栓です。それぞれの水量を手動で調整することで水温を調節します。

古いタイプの浴室で使用されていた他、今でも洗濯機用混合水栓や洗濯流し用混合水栓で用いられています。別名は、ツーバルブ混合栓です。

3. サーモスタット水栓

サーモスタット水栓は、自動温度調節機能付の水栓です。給湯温度や水圧によらず、吐水温度をほぼ一定に保つことができます。湯温を設定するハンドルと湯量を調整するハンドルが別々についています。

ハンドルで温度を設定すると、湯温の変化に応じてSMAコイルが伸縮し、湯水のバルブを動かして湯と水の量が調節されます。温度が下がるとSMAバネが縮んでお湯を多く出して温度を上げ、温度が上がるとSMAバネが伸びて水を多く出して湯温を下げる仕組みです。一定温度のお湯を安定的に供給できるため、主に浴室に設置されます。

混合水栓の種類

1. 概要

混合水栓の種類には、上述の通り、シングルレバー混合水栓、2ハンドル混合水栓、サーモスタット水栓の3種類があります。

2. 形状

取り付け方では壁面取り付けのタイプと洗面台などの台に取り付けるタイプとがあります。シングルレバー混合水栓、2ハンドル混合水栓では両方のタイプが有り、サーモスタット水栓は浴室などの壁面に取り付けられることが一般的です。台付けのタイプでは、穴が一つのワンホールタイプと、天板に横長の台が付いているツーホールタイプ (デッキタイプ) 、水・湯・吐水口それぞれ分かれているスリーホールタイプ (デッキタイプ) があります。

様々なデザインの種類があり、インテリアに合わせてスタイリッシュなものを選択することが可能です。耐食性・耐熱性・耐摩耗性に優れているクロムメッキ製品が一般的ですが、黒色などで塗装されたものもあります。また、キッチン用では用途に合わせて洗面台用と異なった形状をしています。大きな丸首になっているグースネック水栓など、吐水口の下で作業しやすいよう、自由度が高くなっていることが一般的です。

2. 機能

サーモスタット混合水栓は主に浴室で用いられるため、シャワーへの切替機能 (通常の吐水口とは別でシャワーがついている) がついているものが主流です。湯量を調節するハンドルでシャワー切替もできるようになっているタイプや、吐水口はボタンで切り替えるようになっていて湯量の調節とは別になっているタイプなど、様々なものがあります。

シングルレバー混合水栓は通常一つの吐水口ですが、シャワーと通常の吐水に切替られるものもあります。この場合はボタンやハンドルではなく、吐水口の先端に吐水方法を切り替える機構がついていることが一般的です。また、特にキッチン用で、浄水器が内蔵されている水栓もあります。

レインシャワー

レインシャワーとは

レインシャワー

レインシャワーとは、浴室の天井周辺に固定されたシャワーの一種です。

天井周辺に固定されているため、可動式シャワーと異なり、全身でシャワーを浴びることが可能です。オーバーヘッドシャワーも天井周辺に固定されたシャワーを指す名称ですが、オーバーヘッドシャワーはレインシャワーよりも水圧が高いものを指す場合もあります。一方、メーカーによってはオーバーヘッドシャワーの中にレインシャワーを含める場合もあります。身体を洗うためというよりはリラクゼーション効果のために使用されるシャワーです。

レインシャワーの使用用途

1. 概要

レインシャワーは、浴室やシャワー室などにおいて、頭上からシャワーを浴びる用途で使用されます。一般住宅に取り付けられることは少なく、宿泊施設や温浴施設で用いられます。

レインシャワーは、頭上からシャワーを全身に浴びることにより、温浴効果やリラクゼーション効果を得られることが特徴です。水圧は柔らかで弱く、入浴と同じくらいの温浴効果を得られます。リゾート施設などでリラックス効果に用いられる他、ビジネスホテルなどでもバスタブの代わりに身体を温める目的で用いられます。

2. オーバーヘッドシャワーとの違い

オーバーヘッドシャワーは、レインシャワーと同様に頭上からシャワーを浴びるために用いる固定型のシャワーですが、水圧がある程度高く、身体を洗うために用いることができます。

一方、レインシャワーは一般的に水圧が弱く、身体を洗うために用いることは難しいです。純粋なリラックス効果のために利用されます。メーカーによっては、レインシャワーも広義のオーバーヘッドシャワーとして含まれる場合もあります。

レインシャワーの原理

1. 機構

レインシャワーは、全身でシャワーを浴びる目的のため、シャワー吐水口が天井近くの高い位置や天井に取り付けられたシャワーです。

壁面もしくは天井の水道管に繋いで水やお湯を供給します。天井に取り付けるものは吐水口までの配管が無いもしくは短くなっていますが、壁面に取り付けるものでは、十分な高さと壁からの距離が確保できるよう、壁面から吐水口まで適切な長さのパイプが伸びています。吐水口が高い位置にあるため、湯量や湯温を調整するハンドルは下の方に設置されることが一般的です。

2. 取り付け・利用

レインシャワーは、温浴施設などの専用室に使用されることが多いものの、一般住宅にも設置することは可能です。製品によっては、大掛かりな工事を行うこと無く後づけができるようになっているものもあります。ただし、利用にあたっては下記の条件が必要です。

  • 給水圧が十分に足りていること
  • 凍結の可能性が無いこと
  • 設置の邪魔になるものがないこと
  • 取付位置の壁の強度が十分であること
  • 適切な給湯設備を備えていること
  • 壁からシャワーまで十分な距離を取ることができること
  • 天井に十分な高さがあること
  • 施工業者がレインシャワーに対応していること

レインシャワーの種類

レインシャワーは、様々な種類の製品があります。目的や好みにあったものを使用することが必要です。

1. 外観

レインシャワーには、壁付け、天井付けなどの種類があります。配管や設置場所条件に合わせて利用することができます。

シャワー吐水口形状は、丸型や角型です。色はメタリックなものが一般的ですが、黒色などでマット塗装されたものもあります。天井付けや、天井近くの壁に吐水口を設置する製品では、操作バルブは壁埋め込みで下の方に設置されることが一般的です。

2. 機能

レインシャワーは、リラクゼーション目的で利用されることから、シャワーの吐水形状を変えられるものがあります。例えば、柔らかな雨のような水滴と、滝のような水流などの切替などが挙げられます。

3. その他

レインシャワー単体では体を洗うには不十分な場合があります。そのため、レインシャワーの中にはハンドシャワーとセットになっている製品もあります。

 

洗面ボウル

洗面ボウルとは

洗面ボウルとは手洗い場や洗面台などで、水栓金具の下方に設置されて水を受けるためのものです。

元々の形状が球形であったため、「ボウル」と称されます。住宅・商業施設を問わず様々な場所で利用されており、現在では多様な内装に合わせて様々な色・形状・デザインのものがあります。

洗面ボウルの使用用途

洗面ボウルは、一般住宅、商業施設、宿泊施設などにおいて、手洗い場や洗面台一般で使用されています。

主な用途は、顔を洗う、歯を磨く、化粧をする、ひげをそるなどですが、その他にも下記のような用途があります。

  • 髪染め
  • 手洗い洗濯・汚れ物の予洗い
  • ペットのシャワー
  • 髪を洗う
  • 赤ちゃんの沐浴

洗面ボウルの原理

1. 概要

洗面ボウルは、水やお湯を受けることに用いられる器具です。そのため、水を受けられるよう、中央が大きく窪んだ形状をしており、中央に排水のための穴が開いています。材質には様々な種類があり、質感や機能性が異なります。下記は代表的な素材とその特徴です。

2. 陶器

陶器は洗面ボウルの素材として最も一般的な素材です。安価でありながら表面に光沢があり、汚れも付着しにくく清掃性が高いことが特徴です。

陶器は傷が付きにくい素材ですが、物を落とすなどの衝撃を加えると割れたりヒビが入ったりします。また、熱湯を流すとヒートショックでひび割れすることがあります。80℃程度までは耐えられる製品もありますが、中には42℃以上で破損の恐れがある製品もあるため、注意が必要です。また、陶器の洗面ボウル自体も重量があるため、落下しないよう対策が必要です。

3. 樹脂

樹脂製の洗面ボウルには、主にアクリル樹脂やポリエステル樹脂が使用されています。所謂人工大理石と呼ばれる素材は樹脂製に分類されます。陶器と異なり、割れる心配はありません。加工の自由度が高く、様々な形状で作ることが可能であり、カウンターと洗面ボウルが一体成型されたものもあります。一方、小さな傷、汚れやシミは陶器に比べて付きやすい特徴があります。また、ヘアカラーなどの薬剤で変質・変色する可能性があります。

4. 天然石

天然石の洗面ボウルには、大理石やライムストーンの製品があります。石灰岩の原石から加工されているため、同じ大理石でも色や柄は一台ごとに異なります。

高級感のある光沢仕上げと素材の質感を活かしたマット仕上げがあり、それぞれの魅力があります。天然石は多孔質という特性があり、吸水性がありますが、定期的に保護剤を塗布することで汚れによる染みを防ぐことができます。

使用後に水分を拭き取り、乾燥した状態を保つことで美しい状態が維持できます。

5. ホーロー

洗面ボウルの中には多くはないもののホーロー製の製品もあります。ホーローとは、金属製の素地にガラス材の釉薬をコーティングして焼き上げたものです。匂いや汚れがつきにくく、陶器のように割れることがない素材です。ただし、表面のコーティングが欠損するとベースの金属が錆びてしまいます。

6. その他

その他の素材には、ガラスや金属があります。ガラスは光を透過し、色付きや柄入りのものもあるため、独特のインテリア性があります。一方、水垢などの汚れが目立ちやすく、こまめな清掃が必要です。

金属製には、ステンレスなどの錆びにくい素材が使用されます。独特な光沢感と、優れた加工性により様々な形状が実現可能であることが特徴です。

洗面ボウルの種類

洗面ボウルには、置き型(ベッセル型)、埋込み型・半埋め込み型などを始めとした様々な形状があります。それぞれの特徴をよく理解して選択することが必要です。

1. 置き型

置き型とは、洗面カウンターの上に置いて使用するタイプの洗面ボウルです。ベッセル型とも呼ばれており、近年人気のデザインです。形は主に、円型と角型があります。

水がカウンター天板に跳ねないようにするためには、それなりの大きさのものを選択する必要があります。ただし、カウンターが高すぎると洗面器の上端も高くなり、使い勝手が悪くなることがあるため注意が必要です。

2. 埋め込み型 

埋め込み型とは、洗面カウンターに埋め込む形状の洗面ボウルです。すっきりとした印象となり、カウンターの凹凸がないように施工すると、清掃性が高いというメリットもあります。

また、洗面カウンターに洗面ボウルを半分埋め込んで使用する半埋め込み型と呼ばれるタイプもあります。この場合は、洗面ボウルの存在感を残しつつ、カウンター下の収納を確保することが可能です。

3. 壁付け型

壁付け型は、洗面ボウルを壁に直接取り付ける形状の洗面ボウルです。省スペース性に優れているため、洗面所が狭い場合や、トイレの中の手洗い場に採用されることが多いです。

4. カウンター・洗面器一体型

樹脂製の洗面ボウル、所謂人工大理石製のものでは、カウンターと洗面器が一体化したタイプの製品も多く販売されています。一体成型により継ぎ目がなく、見た目がスッキリとしていることが特徴です。

溶射装置

監修:株式会社澤村溶射センター

溶射装置とは

溶射装置とは、加熱によって溶融・軟化させた溶融粒子を基材へ噴射し、基材表面に成膜する処理 (溶射処理) を行う装置です。

溶射処理は、基材に異種材料をコーティングすることにより、基材にはない特性・機能を表面に持たせることを可能とする技術です。具体的には、防錆性・防食性・耐薬品性・耐蝕性・耐摩耗性・耐熱性などの表面保護や、導電性付与・絶縁処理・酸化防止・装飾性付与などの機能付加が挙げられます。溶射処理はコーティングを必要とする部分のみに効率よく処理を行うことが可能です。

また、減肉した基材に異種や同種材料をコーティングして寸法再生することも可能です。

溶射は基材を低温に抑えることが可能で、歪がすくなく、また、現地施工が可能で成膜速度が速いという特徴があります。

溶射装置の使用用途

溶射装置は、様々な種類の基材一般 (金属、セラミックス、サーメット、プラスチック、FRP、紙など) に使用が可能です。また、吹き付けられる物質である溶射材料には、金属 (合金含む) 、サーメット、セラミックスなどを用いることができます。

これらの広い汎用性のため、溶射装置には多様な用途があります。下記に代表的な例を示します。

  • 鉄鋼構造物・屋外構造物など (橋脚や鉄橋、航空機の搭乗橋、屋外遊具など) の基材保護 (防錆・防食) 
  • コンクリ-ト内の鉄筋の陰極保護
  • 化学製品を製造する機器・装置における耐薬品性・耐蝕性の向上
  • 各工業分野の設備、装置など (自動車、航空機部品、半導体製造装置部品、メカニカルシール・スリーブ・プランジャーなど) における耐摩耗性・耐熱遮熱性・電気絶縁性・耐酸化性の付与
  • カーボン製品に対する酸化防止や浸炭防止用途、絶縁処理、パーティクルの防止

溶射の原理

溶射装置による溶射処理の概要は下記の通りです。

  1. ガス等の燃焼エネルギーや電気エネルギー源を用いて溶射材料を溶融、もしくは軟化状態にする
  2. 溶融・半溶融状態となった溶射材料を基材に吹き付ける
  3. 吹き付けられた材料は基材に当たり扁平化し積層する。

熱源には、プラズマ、フレーム、アークなどが用いられ、線材やワイヤー状、粉末状の溶射材料を加熱します。

溶射装置の種類

溶射装置は、様々な種類が開発されており、熱源や溶射方式などが種類によって異なります。下記は代表的な溶射装置の種類です。

1. フレーム溶射装置

フレーム溶射装置における熱源はアセチレンやプロパンなどのガス燃料と酸素による燃焼フレームです。溶射材料は、粉末、ワイヤーあるいは棒状 (セラミックロッドなど) のものが使用されます。

熱源を用いて溶融した粉末粒子や溶融した材料融液から、燃焼ガスもしくは圧縮空気を用いることで液滴を作り出し、噴霧します。フレーム溶射は手動装置のほか、必要に応じて半自動や完全自動の装置を用いることも可能です。

2. アーク溶射装置

アーク溶射装置は、熱源として電気エネルギーを用いる装置です。溶射材料である、2本の金属ワイヤーに電圧を加え、アーク放電を発生させます。ガス噴射によって微細化した溶融粒子を基材に吹き付けて成膜を行います。使用されるガスは圧縮空気(特殊な場合アルゴンや窒素)などです。

電気導電性を有するワイヤー状の溶射材料にのみ適用が可能です。溶射の中でも特に高吐出量で成膜速度が速く、コストが低いという特徴があります。

3. プラズマ溶射装置

プラズマ溶射は、プラズマの高い熱エネルギーを利用する溶射法です。ガン内部の陰極と陽極の間に電圧をかけ、そのアーク放電でアルゴンなどの作動ガスを電離させることで発生するプラズマを利用して材料の溶融し基材に吹き付けます。融点の高い粉末材料でも溶融加速することができるという点が優れている方法です。

4. 高速フレーム溶射

高速フレーム溶射は、燃料(一般的にはケロシンや炭化水素系ガス)と酸素を高圧下で燃焼し、燃焼室に続くバレルの効果により超音速のフレームを得る方法です。非常に密度が高く強い密着性のある皮膜が形成されます。HVOF (High Velocity Oxy- Fuel) 法と呼ばれることもあります。

HVOF法による皮膜は、一般に硬質クロムの代替工程として使われており、非常に密度が高く硬質で密着力の高い皮膜を形成することが可能です。

本記事は溶射装置を製造・販売する株式会社澤村溶射センター様に監修を頂きました。

株式会社澤村溶射センターの会社概要はこちら

組織切片スライサー

組織切片スライサー

組織切片スライサーとは、研究や臨床において、標本化や培養などの目的で細胞組織を薄くスライスする(切片化)ための装置です。

臨床においては、組織標本を作製し顕微鏡などで病変を解析する組織検査のために用いられる他、研究においては免疫組織化学や電気生理学をはじめとした各種分野において分析対象の組織標本を作製する用途で用いられます。人体の細胞組織のほか、研究においては、動物や植物など様々な生物の細胞組織の標本化に用いられる装置です。ミクロトーム、マイクロスライサーなどの名称で呼ばれていることもあります。

組織切片スライサーの使用用途

1. 臨床

組織切片スライサーは、臨床においては、病変部を含む組織から組織標本を作製することに用いられます。使用されるのは、外科的手術によって摘出された臓器や、診断目的で採取された組織片などです。作製した標本は、顕微鏡などで観察され、診断が行われます。

これらの組織検査は、「生検」とも呼ばれます。一方、病理解剖によって取り出された臓器 (剖検) については、後述する病理組織学で用いられます。

2. 研究

研究分野において、組織切片スライサーは、病理組織学をはじめとする各種医学・生物学分野で使用されます。

病理組織学とは、組織や手術で採取した生検組織、もしくは病理解剖によって取り出された臓器を顕微鏡で観察し、研究する学問です。組織切片は染色処理され、色素や抗体によって組織やタンパク質成分が可視化されます。その他、組織切片を用いる医学分野は、免疫組織化学、酵素学や毒性学などです。組織切片は標本化だけではなく、腫瘍組織などの培養に用いられる場合もあります。

また、組織切片スライサーは人体のみではなく広く組織細胞一般に使用可能です。動物や植物などの細胞組織研究に用いられます。動物組織の物質代謝研究、電気生理学、スライス培養、イメージングなどの用途例があります。

3. 切片化可能な組織 (臓器)

組織切片スライサーは、下記の組織から切片が調製可能です。製品機種にもよりますが、人体のほか、ラット、マウス、モルモット、ひよこ、ブタ、魚類など広く使用することが可能です。

  • 脳 (視床下部、大脳皮質、海馬、小脳、プルキンエ細胞など)
  • 脂肪
  • 心臓
  • 肝臓
  • 膵臓
  • 副腎
  • リンパ節
  • 脾臓
  • 筋肉
  • 生殖組織
  • 脊髄
  • ガン組織

また、植物を用いる場合、種・茎・根など、基本的にどの部位からでも切片化が可能です。

組織切片スライサーの原理

組織切片スライサーは、試料台に置かれた組織試料を刃で切断して薄片化します。固定した試料台に対して刃を移動させる「滑走式」(別名はユング型、シャンツェ型など)と、固定した刃に対して試料台の方を動かす「回転式」(別名は、ロータリー式、ミノー型、ザリトリウス型など)の2つの形式に分類されます。

また、ビブラトーム/振動ミクロトームと呼ばれる種類は、高周波振動する刃を細かく振動させて試料を切る装置です (振動切削) 。製品によっては、試料をアガロース包理してから切断します。アガロース包理によって刃の振動が伝わりにくくなるため、組織の損傷が最小限になります。細胞内外の構造が保持され、安定して染色やイメージングを行うことが可能です。また、細胞を培養する場合も生細胞を多く得ることができます。

組織切片スライサーの種類

組織切片スライサーは様々な種類がある装置です。前述の通り、動作機構には滑走式や回転式、振動ミクロトームなどがあります。また、滑走式の中にも、刃が浮かないよう重りがついたものや、滑走レールを挟み込むようにして刃を保持する機能を備えたものなど、バリエーションがあります。

振動ミクロトームにも、切開や厚み調整を全自動で行うものや、厚み調整を手動で行う半自動のものなどがあります。また、装置によって、大きさが異なりますが、小型のものでは安全キャビネットやクリーンベンチ内での仕様が可能です。尚、機種によって取り扱い可能な細胞組織の種類が変わります。使用の際は、用途に合わせて適切に選択することが必要です。

テレメトリー

テレメトリーとは

テレメトリーとは、観測対象から離れた地点から遠隔で観測を行い、データを取得する技術一般(遠隔測定法)を指す言葉です。

テレメトリーという言葉自体は遠隔測定法一般を広く指すため、様々な分野において多様な形態で行われています。分野によって少しずつ意味合いや形態が異なります。

テレメトリーの使用用途

テレメトリーは、様々な分野において多様な用途で用いられている技術です。具体例には下記のようなものがあります。

1. ソフトウェア製品

ソフトウェア製品や、ソフトウェアを搭載した機器製品などでは、パフォーマンスデータを収集し、監視と分析のためにそれを遠隔地に伝達するプロセスをテレメトリーと呼びます。

テレメトリーにより、開発者の側で、ユーザーの嗜好・利用時間・利用パターンの情報を得たり、クラッシュ報告を得たりすることが可能です。ネットワーク管理では、個々のソフトウェアの情報収集にとどまらず、複数のネットワーク関連機器から稼働情報を収集して一元化する場合もあります。

2. 課金情報

テレメトリーは、ガスや電気のメーターでも利用されています。各世帯での利用量などのデータをガス会社・電力会社で遠隔取得することが可能です。また、自動販売機では、テレメトリーを用いて商品の在庫切れやつり銭の不足解消、売り上げ管理などが遠隔で行われています。

従来人が行っていた作業をテレメトリーで遠隔化することで、人件費の削減や、人為的ミスの予防などを行うことが可能です。

3. 生物・医療

生物学の分野では、発信器などを取り付けて行動・生理・環境に関するデータを遠隔測定し、行動や生態を調査することをテレメトリーと呼ぶ場合があります (バイオテレメトリー) 。前臨床研究 (毒性学、薬理学、安全性薬理学研究など) として実験動物に対して行うものや、野生動物の生態、環境保護を目的に行われるものもあります。

また、実際に医療分野で患者の容態を遠隔モニタリングすることにも用いられている技術です。無線テレメトリー方式の生体情報モニタでは、心電図・脈拍・血圧・体温・パルスオキシメトリーなどの情報をスタッフステーションなどに常時送ることができます。

4. その他

レーシングカーではセンサーなどを取り付け、タイヤの磨耗・ブレーキの温度・燃費などを離れた場所から観測することに用いられています。宇宙分野では、ロケットや人工衛星は地上の管理側から離れているため、テレメトリーによる観測が非常に重要です。

また、軍事分野では、遠隔監視や得られるデータをテレメトリーと呼ぶこともあります。

テレメトリーの原理

テレメトリーは、観測対象と観測する側のデバイスを通信でつなぐシステムです。無線方式で繋ぐ方法と有線方式で繋ぐ方法とがありますが、通常は無線方式であることが多いです。

観測する側には

  • センサや測定器・計測器
  • 測定データを電気信号などに変換して伝送するための送信機

が搭載されている必要があり、観測する側には

  • データ受信機
  • データを蓄積・分析するためのシステム

が必要です。

テレメトリーの種類

テレメトリーは、様々な分野で使用されている技術であることから、製品形態も様々なものがあります。

1. 産業分野

産業分野では、各用途に合わせたテレメトリー用センサー製品が多く販売されています。例えば、ドローン飛行に適した製品の例では、サーボセンサー、光学回転センサー、磁気回転センサー、温度センサーなどがあります。また、人工衛星搭載用のテレメトリー装置は、無線を用いて人工衛星の状態情報を送信する装置です。

2. 動物・前臨床研究

前臨床研究での動物実験用には、専用の製品が販売されています。ラット・マウスや、大型動物に埋め込むための装置や、ジャケット型 (主に手術や麻酔に耐えられない場合) の装置があります。

心電図、脳波、筋電図、眼電図、血圧、呼吸数、体温、加速度などを測定することが可能です。毒性学、薬理学、安全性薬理学研究などに広く役立てられています。

レーダーセンサー

監修:株式会社小森安全機研究所

レーダーセンサーとは

レーダーセンサーとは、電波を照射して跳ね返ってきた反射波から物体や人などを検知する仕組みのセンサーです。

レーダー (英: Radar) とは、radio detecting and rangingから頭文字を取ったアクロニムです。照射する電磁波には可視光線よりも波長の長いマイクロ波が用いられます。各種静止物体、移動物体や人の検出・監視・動体の速度や距離の計測を行うことができ、様々な分野で広く活用されている技術です。

国際標準化機構(ISO)の規格13849-1のパフォーマンスレベル(PL)、国際電気標準会議(IEC)の規格61508の安全度水準(SIL)や、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.)の製品安全規格であるUL規格に準拠したものがあり、安全性に関わる場所で使用する場合はそうした規格に準拠しているかどうかも検討材料の一つになります。

レーダーセンサーの使用用途

レーダーセンサーは、物体検知・速度や距離の計測を行うことができる装置です。

1. 産業用途

産業用途では、衝突回避や侵入防止など、主に安全対策を目的として使用されます。主な用途としては下記のようなものがあります。

  • 工場における各種装置や工業用ロボット、切断機などと人との接触防止
  • 衝突回避システム (乗用車、トラック、フォークリフトなどの車両および、キャリア、ハンドラー、シップローダーなどの港湾機械)
  • 車両センサー・車載センサー (車両の移動速度や距離、物体の有無等を判定する)
  • 高精度液面検出・振動モニタリング

また、車載センサーは、自家乗用車においても運転支援機能として近年搭載されるようになっています。

2. 人感センサー/バイタルセンサー

レーダーセンサーは、人体を検知することができ、更に心拍数や呼吸数を非接触で取得することが可能です。そのため、人感センサーやバイタルセンサーとして使用される場合もあります。ただし、現段階では人体センターとして人体のみを検出することは難しく、人体以外の動きを検知する事があります。

  • 複数人のバイタル検出や複数の動体の追跡
  • 成人および乳幼児のベッドの見守り (脈拍と呼吸の計測およびベッドからの転落検出) 
  • 防犯カメラの機能拡張・交通量モニタリング

レーダーセンサーは非接触式であることと、イメージセンサーと異なり映像を伴わないことが特徴です。そのため、浴室やトイレなどのプライバシー配慮が求められる空間や、機密性の高い施設など、映像での監視を行うことが難しいシチュエーションにおいても使用しやすいというメリットがあります。

3. ポータブルデバイス

レーダーセンサーは、一部のスマートフォンに搭載されており、手の動きを追跡することでジェスチャーコントローラーとして使用されています。ウェアラブルデバイスや各種ポータブルデバイスにも搭載されていくことが見込まれている技術です。

レーダーセンサーの原理

1. 概要

レーダーセンサーは、マイクロ波や、さらに波長の長いミリ波を一方向へ照射し、物体に反射して戻ってきた反射波を解析することにより物体の位置などを検知します。

日本でレーダーセンサーに使用されている帯域には、79GHz帯 (帯域幅4GHz幅、距離分解能3.75cm) や60GHz帯 (帯域幅7GHz幅、距離分解能2.14cm)などがあります。また、レーダーセンサーは風や雨、霧、煙、粉体、光の影響を受けず、湿度、温度によっても検出能力は変化しません。このため、屋外環境や煙や粉体の多い環境でも高精度の検出が可能です。

2. FMCWレーダー (周波数変調連続波レーダー)

レーダーセンサーの中には、FMCWレーダーと呼ばれる連続波レーダーを採用しているものもあります。FMCWレーダーは、周波数変調した連続波を送信し、送信波と反射波の周波数差 (ビート周波数) から距離を求める方法です。

レーダーセンサーの種類

レーダーセンサーは、様々な分野で使用されているため、製品の種類も様々なものがあります。

1. 産業用

工場などで使用する産業用製品は、煙、ほこり、切粉、など、機械加工による廃棄物に耐えるように設計されており、製造機器などと接続して、機器の停止や再起動防止ができるようになっています。また、車載用や車両検知用などの製品は、屋外で使用されることを念頭に置いて雨などに強い構造になっていることが多いです。

2. 民生用

民生用機械では、人のバイタル検出や細かい動作の追跡などを目的とすることが多いため、脈拍検出、呼吸検出、動体検出などを想定した設計となっています。人が居るか居ないかだけではなく、人数や位置、動きを検出するなど、精緻な検出ができる製品も多いです。

本記事はレーダーセンサーを製造・販売する株式会社小森安全機研究所様に監修を頂きました。

株式会社小森安全機研究所の会社概要はこちら