シリコン3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

シリコン3Dプリンタとは

シリコン3Dプリンタとは、シリコン素材を材料として造形を行うことができる3Dプリンタです。

3Dプリンタで使用できる素材としてはABS樹脂やPLA樹脂などが一般的ですが、シリコン素材は粘度が非常に高いため、従来は3Dプリントで正確に形状を再現することが困難でした。技術の進歩により、現在、一部の機種ではシリコン素材を用いて造形を行うことが可能です。3Dプリンタでの造形は金型造形の手間がかからないというメリットがあります。

シリコン3Dプリンタ

図1. シリコン3Dプリンタ

シリコン3Dプリンタの使用用途

シリコン3Dプリンタは、金型を製作せずに造形を行うことができるため、様々なものの造形に使用されています。軽くしなやかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力を生かし、下記のような用途があります。

  • 消費者向け製品 (コネクタ、グロメット、アクチュエータ、キーパッド、腕時計バンド、靴のインソール、スマートフォンケース、ジュエリー鋳造、メガネフレーム、フィギュア・模型、シリコン製食品型)
  • 自動車部品、産業機器などにおける製品開発サイクルにおけるプロトタイプ
  • 各種部品の少量生産やカスタム製造のコスト効率化 (シールやガスケット、ボルト、ナットなど)
  • 治工具や金型 (鋳造用金型、治工具、マスキングツールなど)
  • 医療器具 (患者ごとにカスタマイズした義肢装具、補聴器)
  • 臓器モデル

3Dプリンタは、高精細で滑らかな造形を行うことができるため、ねじ山などの凹凸、指輪やネックレスなどのアクセサリや時計など、微細な加工も可能です。3Dデータからダイレクトにプリントを行い、鋳造の工程をより効率化します。また、医療器具では、患者の身体の形状に合わせて器具製作を行うことができます。金型が要らないため、各種プロトタイプの試作にも活用されている技術です。

シリコン3Dプリンタの活用事例

図2. シリコン3Dプリンタの活用事例

シリコン3Dプリンタの原理

1. 概要

シリコンは粘度が非常に高いため、3Dプリントで正確に形状を再現することが比較的難しい素材です。また、加熱して押し出したり、光硬化性樹脂材料のようにUV光で硬化させることなどもできません。質感はなめらかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力があります。

3Dプリンターは、デジタルデータから3次元造形を行うことができる機械です。物体を連続の薄い層に分解し、それらの層を一つずつ積み重ねて物体を構築します。3Dプリンターでシリコーン素材を直接造形すると、金型を製作することなく、直接目的物を造形することができます。また、金型での製造では作りづらいハニカム構造などの造形も容易です。

2. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの造形法では、液体積層造形法 (LAM方式) が採用されています。仕組みの概要は下記の通りです。ここで使用されるシリコンゴムは熱硬化性です。

  1. 2つの液状のシリコンゴムを混合し、エクストルーダーで押出して層を造形する
  2. 1層ずつ高温のハロゲンランプによって熱硬化させ積層造形する

液体積層造形法のメリットには下記のようなものがあります。

  • 金型成型品と同等物性の造形品ができる (引張強度、伸びなど)
  • 金型が不要なため、大幅なコスト削減が可能
  • 材料の色調を活かして透明色 (または乳白色) での造形が可能
  • 3Dプリンターならではの難しい形状が造形できる

例えば、内部が空洞になった形状や逆テーパー形状は金型成型では製造困難ですが、3Dプリンターでは造形可能です。また、金型が要らないため、試作品製作時は開発スピードが格段に上がります。

液体積層造形法

図3. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの種類

シリコンの3Dプリント造形は高度な技術が必要であることから機種が限られており、あまり種類は多くありませんが、各製品で機能が工夫されています。

製品によっては、複数種類の硬度のシリコン材料に対応しているものも有り、作成したいモデルに必要な硬度や用途に合わせて自由に選ぶことが可能です。また、2液材料を混ぜて吐出するプリントヘッドと、1液材料を吐出するプリントヘッドの2基を搭載しているものもあり、モデル材となる2液用プリントヘッドとそれを支えるサポート材用の1液プリントヘッドの同時造形を行うこともできます。

本記事はシリコン3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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