採便管

監修:有限会社佐藤化成工業所

採便管とは

採便管とは、便を採取して清潔に保管するための医療器具です。

医療現場や検査機関で行われる便の検査には、正確なサンプルが必要とされます。便は病気の兆候を確認する上で重要な試料であり、腸内環境や消化器系の状態を調べるためにも欠かせません。ただし便を扱う際には衛生面や安全面に十分配慮する必要があり、直接手で触れることは避けることが望まれます。

そこで役立つのが採便管です。先端にスプーン状やスティック状の採取部分が備わっている場合が多く、便を少量ずつ取り分けることができます。さらに密閉性の高い構造になっており、採取した試料を外部の雑菌や湿度の影響から守ります。多くの採便管は耐久性に優れたプラスチック素材で作られており、破損しにくく取り扱いが容易です。

採便管の使用用途

採便管は以下のような用途で使用されます。

1. 医療

主に医療分野における便の検査に活用されます。大腸がんの早期発見を目的とした便潜血検査や、寄生虫の有無を調べるための検査など、様々な疾患の診断に役立ちます。便の成分を分析することで消化器系の健康状態を把握し、適切な治療や生活習慣の指導につなげることが可能です。下痢や便秘などの消化器症状がある場合も、採便管を使って得られた検体から原因を特定する検査が行われることがあります。

2. 研究

研究機関において腸内細菌叢の解析にも利用されます。腸内細菌叢とは腸内に生息する細菌の集まりのことで、栄養吸収や免疫機能に深く関わるとされます。採便管を用いて得られた試料から細菌の種類やバランスを調べることで、健康増進や疾患リスクの評価に寄与する研究が進められています。

3. 家庭用検査キット

家庭向けの検査キットでも採便管が利用される場合があります。自宅で簡単に便を採取し、検査機関へ送付して結果を受け取るサービスが存在します。病院に出向く手間を減らし、プライバシーにも配慮した方法として注目されています。定期的に便の状態を確認し、健康管理の一環とすることで、体調の変化を早期に把握することが可能です。

本記事は採便管を製造・販売する有限会社佐藤化成工業所様に監修を頂きました。

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医療用綿棒

監修:有限会社佐藤化成工業所

医療用綿棒とは

医療用綿棒とは、医科用倦綿糸の一種で医療現場で幅広く用いられる安全性の高い綿棒です。
正式には「医科用倦綿糸」と呼ばれます。

粘膜など、デリケートな部分に接触させる機会が多いため、先端の綿部分が肌や組織を傷つけにくいよう設計されています。例えば、滅菌処理が施されているタイプは、細菌やウイルスによる感染リスクを軽減する効果が期待できます。一般的な綿棒と比較すると、使用目的に応じて軸の素材や長さ、太さなどに違いがあることが特徴です。

医療用綿棒の軸にはプラスチックや木材などが用いられることが多いです。高い衛生基準が求められる医療現場では、個包装が採用されることが多く、未使用の状態を清潔に保つ仕組みが整えられています。医療従事者が安心して使用できるよう、出荷前に厳格な検査を行う場合も多いです。

医療用綿棒の使用用途

医療用綿棒は以下のような用途で使用されます。

1. 体液・検体採取

医療用綿棒の代表的な使用用途として挙げられるのが、体液検査や検体採取です。咽頭や鼻腔からのサンプルを採取する際など、粘膜を傷つけにくい構造が役立ちます。検体の質を保つために、衛生管理が徹底された医療用綿棒を用いることで、より正確な検査結果が得られます。特にウイルスや細菌の検査では、素材に付着した微生物を極力排除することが重要視されます。

2. 処置・消毒

傷口の処置や消毒にも用いられます。外傷や火傷などの患部に薬剤を塗布する際、先端が清潔で柔らかいことで組織に余計な刺激を与えにくいことが利点です。さらに、痛みを最小限に抑えるだけでなく、感染対策にもつながるため、安全性を重視した治療に貢献します。あらかじめ滅菌された医療用綿棒を使うことで、細菌の侵入や二次感染を防ぎながら処置を行える点が大きなメリットです。

3. 耳鼻・口腔ケア

耳鼻咽喉科領域や口腔内のケアにも医療用綿棒が活躍します。耳の奥の掃除には、軸が適度にしなる製品が重宝され、細かい操作をサポートします。綿の部分が丸みを帯びているものは粘膜を傷つけにくいため、口内洗浄や薬剤塗布にも用いられることがあります。

本記事は医療用綿棒を製造・販売する有限会社佐藤化成工業所様に監修を頂きました。

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乾燥剤

乾燥剤とは

乾燥剤とは、周囲の湿気を吸収することで、物品を湿気から守るために使われる化学物質や素材のことです。

私たちの身の回りでは、お菓子の袋や靴箱などに乾燥剤が入っているのをよく目にします。これらはすべて、湿気によるカビやサビ、劣化を防ぐために用意されています。

乾燥剤には、主に「シリカゲル」「生石灰 (酸化カルシウム) 」「塩化カルシウム」の3種類があります。シリカゲルは、透明または半透明の粒状で、表面にある無数の孔で空気中の水分を吸着します。吸湿力が高く、繰り返し使用も可能です。

生石灰 (酸化カルシウム) は、水との化学反応によって作用します。吸湿時に発熱するため、食品に使う場合は注意が必要です。 塩化カルシウムは、強力な吸湿力を持つもので、水分に触れると溶ける性質があります。

乾燥剤の使用用途

乾燥剤は主に、密閉空間内での湿気除去を目的として使用されます。以下はその代表的な使用例です。

1. 食品の保存

乾燥剤はお菓子や乾物、海苔などの食品包装に頻繁に使われています。湿気による風味の劣化やカビの発生を防ぎ、賞味期限を延ばす役割を果たすものです。

2. 金属部品の保護

鉄鋼材料などの金属部品の中には、保管時に空気中の水分や結露によって錆びてしまう恐れがあります。金属部品の錆の発生を防止することは、乾燥剤の役割の一つです。

3. 靴・衣類の保管

革靴やスーツなど、湿気により劣化しやすい素材の保管時にも乾燥剤が利用されます。靴の中や衣服のポケットなどに入れて使用します。特に高温多湿な日本の気候では重宝されるものです。

4. 医薬品・化粧品

湿気で変質しやすい錠剤やパウダー製品には、吸湿によって本来の効き目が失われる可能性もあります。乾燥剤は医薬品の品質保持のために不可欠です。

5. 輸送・倉庫保管

海外輸送や長期保存の際に、コンテナや保管庫内での湿度上昇を防ぐ目的で大量の乾燥剤が使用されます。昼夜の温度差や標高差などによって結露が生じるのを防ぐのも、乾燥剤の大切な役割です。

シリカゲル

シリカゲルとは

シリカゲルは乾燥剤の一種で、二酸化ケイ素を主成分にするものです。

シリカゲルは、粒状またはビーズ状の形で広く使用されています。内部に無数の微細な孔を持っており、表面積が大きいのが特徴です。これらの孔は水分子を吸着する性質があり、大気中の湿気を効率的に取り除くことが可能です。通常は通気性のある透明のフィルムや、不織布などに包まれた製品として扱われています。

シリカゲルには白色や、塩化コバルトで青色に着色した製品が多いです。青色の製品の場合は、ピンク色に変化することで、吸湿していることを示します。

また、シリカゲルにはA型とB型があります。A型は低湿度の環境でも吸湿し、電子レンジなどで再利用することが可能です。B型は、高湿度の環境下で強力に吸湿する性質があります。

シリカゲルの使用用途

シリカゲルの使用用途は、主に以下の通りです。

1. 食品の保存

シリカゲルは、スナック菓子や乾燥食品などの袋に同封される乾燥剤としてよく使われています。シリカゲルは袋内の湿度を下げることで、食品の品質を長持ちさせる役割を果たすものです。特に白色シリカゲルは無害であるため、食品と一緒に使っても安全です。

2. 精密機器や電子機器の防湿

カメラ、レンズ、時計、コンピュータ機器などの精密機器は湿気に弱く、結露やサビによって故障することがあります。これらの機器を保管する際、ケースや収納ボックスにシリカゲルを一緒に入れておくことで、内部の湿度を抑えます。

3. 衣類・革製品・靴の保管

衣類や革靴、バッグなどは湿度の高い環境で保管すると、カビが生えたり嫌なにおいが発生しかねません。クローゼットや収納ケースにシリカゲルを置くことで、湿気を吸収してカビや劣化を防止できます。特に季節の変わり目などで長期保管する際には、非常に効果的です。

4. 輸出梱包

特に船を使った海上輸送では、製品がコンテナ内部で高温多湿な環境に長時間晒される可能性に配慮しなければなりません。シリカゲルよりも高い吸湿性能を持つ乾燥剤も使われますが、シリカゲルではB型が主に使用されます。また輸出規制により、塩化コバルトを含む青色のシリカゲルは使用できない場合があるので注意が必要です。

溶接ビード除去装置

監修:東将精工株式会社

溶接ビード除去装置とは

溶接ビード除去装置の原理

溶接ビード除去装置とは、溶接後にできる盛り上がりを取り除く機械です。

溶接を行うと、接合部に溶接ビードと呼ばれる突起が形成されます。溶接ビードは金属同士をしっかり結合させる役割を担いますが、表面が凸凹になっていると、後の加工や仕上げに支障をきたす場合があります。溶接ビード除去装置を使用すると、不要な突起を効率よく取り除き、表面を平滑に仕上げることが可能です。

従来は、研磨機やヤスリなどを用いて手作業で除去する手法が一般的でした。しかし、手作業では作業時間がかかり、仕上がりにも差が生じるため、専用の除去装置が広く採用されます。溶接ビード除去装置は、製造や建築などの幅広い分野で重要な役割を果たします。

溶接ビード除去装置の使用用途

溶接ビード除去装置は以下のような用途で使用されます。

1. 機械部品

車両や機械部品のように金属同士を接合した後で、見た目を滑らかに仕上げたい場合に重宝します。表面が平滑になると、塗装やコーティングが均一に乗りやすくなり、仕上がりの質感にばらつきが出にくくなる利点があります。さらに、接合部の段差やバリがなくなると、手で触れた際の安全性が向上する効果も期待できます。

2. 構造部品

溶接ビード除去装置は、平らな鋼板をパイプ形状に成形し溶接する際にできるパイプ内面のビードを除去する場合にも利用されます。パイプ内面のビードを削除することにより2次加工の容易化や製造過程の効率化などの効果があります。これらのパイプはより質の高い製品として自動車、自転車、オートバイ、家具、住宅用、建材・建築部材など様々な部品として使用されています。

3. 精密部品

溶接ビード除去装置は、複雑な形状や精密な製品の製造にも役立ちます。部材同士を溶接すると溶接ビードが生成されますが、そのままでは部品同士がきちんと組み付けられないケースがあります。このような状況でも、除去装置を用いて不要な凸部分を的確に削ぎ落とすことで、狙った寸法やかみ合わせを維持することが可能です。

本記事は溶接ビード除去装置を製造・販売する東将精工株式会社様に監修を頂きました。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

テレビCMを東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬の関東エリアで4月16日より放映開始します

 

 

4月16日より、東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬の関東エリアへのテレビCMの放映を開始します。

 

■ テレビCM開始の背景

これまで愛知・岐阜・三重の東海エリアを中心にテレビCMを展開し、製造業の集積地である地域において多くの反響をいただきました。今回、より広範なユーザーへの認知拡大を目指し、東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬の関東エリアへの放映地域を拡大することになりました。

今回放映するテレビCMでは、「産業用製品を探すなら」というキャッチフレーズとともに、50万製品以上登録、掲載企業数8万社、日本最大級の利用者数を誇るメトリーの特徴を全面に出し、メトリーの実用性と利便性を伝えています。

 

■ テレビCMの概要
・タイトル:産業用製品検索サービス「メトリー」CM 50万製品から探せます!篇
・放映開始日・地域:2025年4月16日より東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬の関東エリアで放送開始。

 

■ 概要詳細
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000032842.html

 

■ 東海エリアでのテレビCM開始のニュース詳細
https://metoree.com/company/news/370643/

リグニンスルホン酸

監修:ボレガード エーエス

リグニンスルホン酸とは

リグニンスルホン酸 (CAS登録番号8061-51-6等) は、植物成分であるリグニンを部分分解し、スルホン化した化合物です。

亜硫酸法によるパルプ製造工程において、パルプ製造の副産物として得られるリグニンスルホン酸は、単にリグニンと呼ばれることもあります。

植物成分のリグニンは芳香族高分子化合物であり、木などの植物体において繊維質 (セルロース及びヘミセルロース) と絡み合いながらこれを覆い、植物体の耐久性を高めるのが特長です。パルプ製造では、木材から繊維質を取り出して利用するために、化学反応によりリグニンを分解し除去します。ここで除去されたリグニンが、製品として活用されます。

リグニンスルホン酸の使用用途

リグニンスルホン酸は、以下に示す用途に用いられています。

1. 染料・顔料の分散剤

リグニンスルホン酸は、高分子電解質としてさまざまな粒子に化学的または物理的に吸着する一方、スルホン基による強い負の帯電によって静電的な反発を生じることで、分散状態を維持します。この性質は分散剤として優れた特徴です。

そのため、リグニンスルホン酸は染料・顔料の分散に利用されます。

2. 黒鉛・活性炭・豆練炭の粘結剤、肥料・農薬の造粒剤

リグニンスルホン酸は、黒鉛・活性炭・豆練炭などの粘結剤に用いられています。高分子物質としての粘りを有するため、練り固めて成形する工程に適し、さらに燃焼もしやすいためです。一部の製品には、原料木材に由来するスルホン化された糖類が含まれており、粘りを強めることに寄与しています。

また、練り固めて成型する用途として、肥料や農薬の粒を形成することにも用いられています。

3. 水処理剤・ボイラー清缶防食剤・土壌改良剤

リグニンスルホン酸はスルホン基・カルボキシル基・フェノール性水酸基を有しており、多価金属イオンをキレートする性質を持ちます。水処理剤・ボイラー清缶防食剤・土壌改良剤としての用途は、キレート性を活用した利用法です。

水処理において多価金属イオンを捕捉して除去したり、あるいは土壌に欠乏している多価金属イオンを保持させて土壌に添加することで土壌改良に役立てたりすることができます。

本記事はリグニンスルホン酸を製造・販売するボレガード エーエス様に監修を頂きました。

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液体急速冷凍機

監修:株式会社ゼロカラ

液体急速冷凍機とは

急速凍結機の中でもエタノールなど氷点下でも凍らない液体に包装食品や医薬試料を浸漬し、急速に冷やすことが出来る機械のことを液体急速冷凍機(液体急速凍結機)と言います。

空気式と比べ表面熱伝達率が非常に大きいため、より急速で凍結できます。そのため氷結晶が極小化し細胞破断や凍結濃縮を抑え、風味・食感を損なわない高品質な冷凍が可能です。鮮魚・高級肉・研究試料など短時間・高品質を求める現場で実績豊富となります。

液体急速冷凍機の中でも急速に凍結するには、食品表面の流速確保がポイントです。流速確保のためには機械としての液体攪拌能力はもちろん、液体の濃度低下による粘性上昇も影響が大きく、濃度管理も重要です。エタノールなどを使用する場合には消防法の順守も必要となります。

液体急速冷凍機の使用用途

液体急速冷凍機は以下のような用途で使用されます。

1. 食品

食品業界では、魚介類や肉類、野菜をはじめとしたあらゆる食品を鮮度や品質を高い状態で保管したい場合に活用されます。低温状態への移行を素早く行うことで、素材の色味や風味を保ちつつ、衛生面にも配慮することが可能です。冷凍により長期保管が可能となることで、流通や輸送の過程でも商品価値を損なわない点が利点です。

2. 医療

医療においては、血液や組織片・細菌などを高品質のまま保存する手段として用いられるケースがあります。低温環境を迅速につくり出し、試料の性質を変化させないようにすることが重要です。液体急速冷凍機の技術を活用することで、細胞培養やワクチンの開発などにも応用が期待できます。

3. 産業

産業用の工程でも、液体急速冷凍機は多様な用途を担います。金属部品や樹脂製品の物性評価において、特定の低温環境を安定的に作り出す必要がある場合に採用されることがあります。極端な低温を迅速に得る手法として、より精密な実験や品質テストなどに利用される点が特徴です。また、低温によって応力を加える検査や脆性評価など、製品の安全性や耐久性を調べるためにも用いられています。

他にも、氷曲げ技術と言われる管楽器の製造や二重管パイプなど特殊な管材の加工技術があります。この氷曲げ技術として液体式凍結機が活用されております。

本記事は液体急速冷凍機を製造・販売する株式会社ゼロカラ様に監修を頂きました。

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石英槽

石英槽とは

石英槽 (せきえいそう) とは、高純度の石英ガラス (シリカガラス) で作られた槽のことを指します。

特に半導体の製造工程において多用され、厳格な不純物管理が求められる環境下で、金属汚染や微粒子の発生を抑制する重要な役割を果たします。

石英ガラスには、天然石英 (溶融石英) と合成石英の二種類がありますが、半導体製造用の石英槽には、より純度の高い合成石英が用いられます。天然石英の純度が99.9%以上であるのに対し、合成石英は99.99%以上の純度を誇ります。この極めて高い純度こそが、石英槽の材料として広く採用される理由です。

また、石英ガラスは加工性にも優れており、切削、研削、研磨といった機械加工に加え、火炎加工による溶接も可能です。

石英槽の使用用途

石英槽の使用用途の多くは、半導体の製造工程です。主に洗浄や熱処理といった工程で使用されるものであり、石英ガラスは、その高い耐熱性、化学的安定性、純度の高さから、半導体製造における厳しい条件にも耐えることができます。

1.  化学薬品処理

ウェーハを化学薬品で洗浄する際、石英槽はフッ酸、過酸化水素、アンモニア水などの腐食性の強い薬品にも耐えることができ、不要な有機物や金属汚染を除去する工程で重宝されます。また、高温アニールや酸化プロセスにおいては、1000℃を超える環境での使用にも耐えるため、ウェーハを均一に処理するための加熱槽としても用いられます。

2. 洗浄処理

石英ガラスは不純物の混入を最小限に抑える性質を持ち、半導体デバイスの微細化が進む中で、極めて高い清浄度が求められる工程においても重要な素材です。製造装置の中ではカスタム形状に加工された石英層が多数使用されており、工程ごとに仕様が異なることも特徴です。

このように、石英槽は半導体製造の高精度かつ高信頼性な処理を支える不可欠な部材であり、その性能が半導体製品の性能や品質に直結しています。

石英ボート

石英ボートとは

石英ボートとは、石英ガラスで製造されたボート型の容器です。

石英ガラスは、一般的なガラスに比べて高温への優れた耐性を持ちます。これは、軟化点が約1,700℃と非常に高く、熱膨張係数も小さいためです。広い温度帯で強度を保つことができ、変形を起こしにくい材質です。また、化学的にも各種薬品に対して安定性が高く、耐摩耗性、透明性にも優れています。そのため、石英ボートは試料や製品材料を入れて、高温の炉で処理する用途で用いられることが多いです。

特に、半導体製造用の石英ボートはウエハを保持する溝が設けられており、縦型、横型などの形状の種類があります。一般的に小径のウエハに用いられる石英ボートは横型が多く、口径の大きいウエハーでは縦型が多く使われています。

石英ボートの使用用途

石英ボートが使用される主な分野は、半導体・液晶製造装置関連や、理化学実験・試験分析です。

1. 半導体製造

半導体製造分野では、石英ボートは蒸着プロセスやエッチングプロセスで利用されています。

蒸着プロセスとは、ウェハの表面にCVDなどの方法で酸化膜などの薄膜を形成し、電気的な特性を持たせるプロセスです。一般的には1,000℃付近の高温の電気炉で処理を行いますが、蒸着を行うウエハの保持容器として耐熱性の高い石英ボートが利用されます。また、エッチングプロセスでは薬液や反応ガスなど腐食性反応剤が利用されますが、このような薬品へ耐性のある容器として石英ボートが適しています。

2. 理化学機器

石英ボートは、理化学実験の分野で加熱や燃焼実験、焼結などに利用されています。

優れた耐熱性と耐薬品性を生かして、種々の化学反応や化学処理に対して容器として利用することが可能です。多くの薬品や溶剤に対して耐性がありますが、アルカリ溶液やフッ酸、300℃以上のリン酸には侵される可能性があるため注意が必要です。最高使用温度は約1,100℃、常時使用温度は約900℃まで耐えることができ、高温での合成反応にも利用することができます。その他、実験系を応用した化学工業プロセスや、薬品処理や洗浄工程でも利用することが可能です。

3. 分析化学

石英ボートは、分析化学における各種の試験・分析において試料を保持する用途でも利用されています。特に、蒸発や乾燥プロセスなど、加熱を伴うプロセスにおいて石英ボートは正確な分析結果を得るのに有用です。高温などの試験条件によって溶融したり侵食されたりすることがないため、試験結果に影響を与えることなく、試料を安定して保持することができます。

具体的な事例としては、魚に含まれる水銀の微量分析における試料の燃焼分解、新規開発材料や既存材料の特性評価などが挙げられます。