調節計

調節計とは調節計

調節計とは、機械の出力を自動調節するための装置です。

指示調節計または温度調節計という名称で製品販売されている場合が多いです。温度調節計として販売された機器でも、温度以外を調節可能な製品も多くあります。

温度・湿度・圧力・流量などの物理的なパラメーターをセンサーから入力して値を指示します。これが設定した目標値と同じになるようにフィードバックをかけます。調節したいパラメーターの現在値と設定値をモニタするディスプレイを有した製品が一般的です。

ディスプレイがアナログ指針の場合はアナログ調節計と呼ばれ、7セグメント表示の場合はデジタル調節計と呼ばれます。現在は、デジタル調節計が主流です。アナログ指針の場合は現在値表示が省略されている場合もあります。

調節計の使用用途

調節計は産業機器から家電製品まで広く使用されます。以下は、調節計の使用用途一例です。

  • 業務用水槽や貯液タンクの温度管理
  • エアコンの温度制御
  • 除湿機・加湿器の湿度管理
  • 細胞培養用のCO2インキュベータ における炭酸ガスの流量調節
  • 局所排気装置の圧力管理

パラメーターを一定に保ちたい場合に利用されます。また、コンピューターと連携して、モニターしたデータをロギングする場合もあります。

調節計の原理

調節計はセンサー部分、処理演算・モニタ部分、出力部分で構成されます。センサー部分は、物理量を入力する部分です。温度なら温度計、湿度なら湿度計と調節したい物理量のセンサーを使用します。

処理演算・モニタ部分では、値をモニタしながら出力値を調節します。測定値と目標値は回路に組み込まれたコンパレータなどで大小の比較を行い、出力値を決定して出力部分へ送ります。フィードバックを行うための制御動作にはさまざまな方式があります。

1. ON/OFF動作

測定値が目標値と比べて低いときは出力をONに、高いときはOFFにする動作です。この動作を繰り返すことで測定値を目標値付近に保ちます。

2. 比例動作 (P動作)

目標値との差に比例した制御出力を行う動作です。ON/OFF動作よりもなめらかな動作が可能ですが、目標値付近で比較的大きく変動します。目標値から少しずれたところで安定してしまうことをオフセットと呼び、積分動作などで調整します。

3. 積分動作 (I動作)

目標値と測定値における差の時間積分値を基に制御する動作です。比例動作でオフセットが出現した際、オフセットをなくすために使用することが多いです。比例動作と組み合わせて使用します。

4. 微分動作 (D動作)

測定値の変化率 (微分値) に応じて出力する動作です。現在値が急激に変化した場合に即座にもとに戻すような出力量を与えます。P、I、D動作それぞれを組み合わせたものをPID動作と呼び、各動作のメリットを合わせた効果が得られます。

調節計の選び方

調節計は取付サイズ、入力仕様、出力仕様、通信方式などに応じて選定します。

1. 取付サイズ

取付サイズは、調節計を取り付けるパネルの大きさです。一般的に調節計は、金属製制御盤の表面パネルに取り付けることが多いため、取り付けスペースに応じて製品を選定します。多くの調節計を並べたい場合は、小型の製品を選定します。

2. 入力仕様

入力仕様は、入力信号と入力点数などの仕様です。制御したい物理量に応じて選定します。入力信号が温度の場合は、測温抵抗体や熱電対が使用されるケースが多いです。

測温抵抗体は主にPT100Ω仕様が多く、熱電対は使用温度に応じてK、R、Bなどから使い分けられます。温度以外の場合は、4-20mA入力や1-5V入力の機器を繋げるケースが多いです。

入力信号は導入できる信号の数です。制御対象機器には制御ループを2つ組み合わせた「カスケード制御」を実施したい場合もあり、入力が2点以上必要となることがあります。

3. 出力仕様

出力仕様は出力機器へ伝送する信号の仕様です。アナログ制御の場合は4-20mAまたは1-5V出力が一般的です。ON-OFF制御の場合は接点出力またはトランジスタ出力が多いです。出力先の機器仕様に応じて選定します。

4. 通信方式

通信方式はコンピュータと通信するための方式です。通信によってコンピュータへ測定値や出力値を伝送したり、コンピュータから目標値を変化させたい場合に使用します。

コンピュータと通信を行う場合は、以前は、RS422やRS485などのシリアル通信が一般的でした。近年では、LANケーブルによるEthernet通信が主流です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/53/103/index.html

デジタルポテンショメータ

デジタルポテンショメータとは

デジタルポテンショメータ (英: Digital potentiometer) とは、本来アナログ制御されている可変抵抗の摺動子 (ワイパー) をデジタル制御するための集積回路のことです。

アナログの可変抵抗器と比べて機械的に動かす摺動部を持たないため、非常に構造的に堅牢で故障しにくく、長期間の使用が可能で信頼性が高いのが特徴です。マイコンなどと組み合わせてアナログ回路に実装することで、抵抗値を自由にコントロールしながら電流量を自動的に調整できます。

デジタルポテンショメータの使用用途

デジタルポテンショメータは、オーディオ機器のボリューム用途やデジタル化された家電品例えばAIスピーカーやLED調光用などの制御用途に使用されています。デジタル化された可変抵抗器とも言えるため、摺動部分を持ったアナログ回路の代替として使用されます。

例えば、オーディオ機器の音量調整やディスプレイの輝度・コントラストの調整など、これまで物理的なダイヤルなどで制御していたものをデジタル制御できるようになります。近年では家電のIoTが進んでいるため、アナログ値のデジタル制御は、AIスピーカーとの相性などから需要が高まっています。

デジタルポテンショメータの原理

デジタルポテンショメータの原理は、従来はアナログ的に機械で動作させていた可変抵抗の摺動子 (ワイパー) 部分をデジタル回路と抵抗の組み合わせで切り替え制御する可変抵抗の動作にあります。 

アナログ回路部分は、固定抵抗が直列に接続されており、接続点はCOMSトランジスタによってスイッチングされる仕組みです。これによって、デジタル回路部分からの信号によって抵抗値を切り替える、可変抵抗を実現します。

デジタル回路部分は、アップダウンカウンタとEFPROMなどの不揮発性メモリとデコーダによって構成されており、設定したい抵抗値を入力すると、カウンタ部分に書き込まれ、不揮発性メモリに入力されます。

この情報をデコーダで読み出し、その値に対応するCMOSトランジスタのスイッチを入れます。デジタル入力によって擬似的に可変抵抗の値を設定することが可能です。外部からの入力は不揮発性のメモリに格納されるため、回路の電源を切った後でも情報が保存されます。

デジタルポテンショメータのその他情報

1. アナログ調整用トリマからの置き換え

昨今では、デジタル家電やIoT電子機器に代表されるように、アナログ機械式の調整から、プログラミングによるデジタル制御への置換が進んでいます。アナログ調整の場合、製造ラインでは最後は人手による調整を経ての出荷が必要になりますが、デジタルポテンショメータを用いることで、マイコン制御などにより自動調整化ができます。

また、自動キャリブレーションも実現可能で、機器の高精度化にも寄与します。機械式なアナログ調整用トリマと異なり、デジタルの制御コードを認識していない外部の人間による調整は不可能なので、セキュリティ面でも有利です。

これらの高い信頼性の担保から、昨今では音量や画面のLEDコントラストが重要なアミューズメント機器へのデジタルポテンショメータの応用展開も盛んに行われています。

2. デジタルポテンショメータのデジタル制御方法

デジタルポテンショメータの制御インターフェイスとしては、通常はSPI (Serial Peripheral Interface) インターフェイスやI2Cインターフェイス、UP/DOWNインターフェイスなどが用意されています。さらに、デジタルポテンショメータをD/Aコンバータ的に連続変化させたいようなアプリケーションでは、デジタル制御時のクロック周波数にも注意が必要です。

通常は最大3MHz程度ですが、製品スペックを事前に確認することが大切です。また、メーカーからこれらの制御用のアプリケーションソフトは通常は用意されており、必要に応じて技術サポートも提供されます。

そのほか、ユーザー自身がプログラミングソフト開発したい場合のGUI (Graphical User Interface) 含めた開発サポートキットが用意されているケースもあります。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/digital-potentiometer-guide
https://components101.com/articles/how-digital-potentiometer-works-and-how-to-use-it

モータドライバ

モータドライバとは

モータドライバ

モータドライバとは、モーターの回転に関わる駆動を制御するための装置のことです。マイコンなどのコンピュータと組み合わせて、適切な電圧・電流を流すことでモーターの回転に関するタイミングや回転数の制御などを行います。

モータドライバの心臓部であるモータドライバICは非常に小型なので、単体の部品を組み合わせて別途モーターの制御回路を構築するよりも実装面積を削減できるというメリットがあります。また、過電流や過熱に対する保護機能が実装されているものもあり、使用者がモーターの駆動を安全に行うことが可能です。

モータドライバの使用用途

モータドライバはモーターの種類に応じて適切なものを選択します。代表的なモーターには、ブラシ付きDCモーターブラシレスモーター、ステッパーモーター、リニアモータなどがあります。

DCモーターは単純で安価なため、洗濯機のような家電製品をはじめ様々な用途に使われる汎用性のモーターです。また、リニアモータにおいて電流の方向を変えることで磁極を変化させる場合にも使用されます。リニア新幹線は同期型リニアモータと言い、レールの磁極を変化させることで推進力を得ているため、この制御にモータドライバは使用されています。

モータドライバの原理

モータドライバは、制御するモーターの種類によって動作原理が異なります。具体的には通電のスイッチングを行うためのブリッジ回路の構成が異なります。

例えばDCモータドライバでは、電磁石に流す電流の向きを切り替えることで回転方向の制御を行います。例えば高速に回転しているモーターに逆向きの電流を流すと、回転にブレーキがかかるため、回転数を低下させることが可能です。

この際、トランジスタを複数使用してハーフブリッジ回路を組みます。トランジスタの組み合わせによって電流を流す方向を決定します。ブラシレスモーターやステッピングモーターでは、モーターからひかれたコイルの本数(相数)に対応した電流の制御を行うのはハーフブリッジ回路です。

ブラシレスモーターでは単相・三相、ステッピングモーターには二相・五相などがあります。この他に、パルス電圧の幅を変調するPWM制御を組み合わせて回転数を制御する方式もあります。

モータドライバのその他情報

ブラシレスモーターとステッピングモーター

モータドライバの市場においては、前述のDCモーター(ブラシ付)とブラシレスモーターおよびステッピングモーターに大きく分けることが可能です。ブラシ付DCモーターは電圧印加で簡便に回転駆動できるために、扱いやすいのですが、群雄割拠の市場においてコスト的には厳しい状況です。

ブラシレスモーターはPCの冷却ファンやその他の比較的高効率動作で高信頼性が必要なアプリケーション用途で用いられます。ステッピングモーターは、その名の通り、モーターの回転の高度な制御が可能な点に特徴を有しており、FA向けの高精度なアクチュエータ制御などの工業用途やプリンターなどの民生機器に用いられ、両者は今後の市場の拡大が期待されます。

昨今の自動車のEV化に代表される車載市場においては、自動車の低速トルク大の状態から高速回転までの広範囲なモーター制御に対応し、かつバッテリーの放電までの寿命が走行距離に直結するため、モータドライバを用いたモーターの高効率な動作は不可欠です。その実現のため、マイコンによるモータドライバのPWM制御は、車載故の高出力向けインバーター制御技術と合わせて必須の技術といえます。

モータドライバは、単体部品を用いて初心者でも自作できる間口の広い技術分野ではありますが、本格的な制御には、モーターの動作原理への理解と、マイコンによる制御アルゴリズムやソフトウエア対応が必要です。

よって最近のモータドライバは専用のアプリケーションソフトなどのサポートにより、ユーザーが簡便に使いこなせるような工夫が取り入れられているものもあります。

PWM

PWMとはPWM

PWMとは「Pulse Width Modulation」の略で、様々な幅を持ったパルス波を生成する技術です。パルス波はデジタル信号ですが、色々なパルス波を組み合わせることで、正弦波を始めとする様々な疑似アナログ信号に変換することができます。

PWMは一定の周期でパルス幅を変調させる技術です。パルス幅には一定で周波数を変調させるPFMという技術もあり区別されますが、どちらも通電・非通電のスイッチングに利用されます。

PWMの使用用途

PWMは一般に電源の電圧制御や半導体に対する通電・非通電のサイクルの制御に使用されます。特に、DCモーターを効率的に制御する目的で使われることが多いです。モーターに対する電圧印加時間をコントロールすることで、実行電圧の制御が可能となります。

また、インバーター回路において変調した交流電流を生成する際に、PWMを用いて様々な幅を持ったパルス電圧を生成し、これを合成することで直流-交流の変換を行うことが可能です。さらには、インバーター回路のみならずスイッチング電源の制御や、光色に影響を与えないようLEDの調光などにもPWMは用いられています。

PWMの原理

パルス幅変調を行うPWM回路は、トランジスタを利用して回路のスイッチオン・スイッチオフを繰り返すことで様々な幅を持ったパルス波を生成しています。

PWMでは、一定の周期でパルス幅を変調するので、デューティサイクルを変化させています。デューティサイクルとは、パルス幅を周期で割り算したもので、「%(パーセンテージ)」で表されます。電圧制御においてはパルス電圧とデューティサイクルを積算したものが実行電圧となり、デューティサイクル100%の場合、直流電源を使用したときと同じになります。

PWMを用いて電圧制御を行う場合、電源がオフになる時間が生じるため、定常的に働く直流電源を使用するよりも電力効率がよくなるという特徴があります。また、マイコンなどのデジタル回路において、パルス波を合成するだけで疑似アナログ信号を生成できるので、D/Aコンバータなどを使用せずにデジタル回路だけで構成されたアナログ変換回路を構築することが可能です。

PMWのその他情報

1. 制御

電子回路で負荷を動的にコントロールする場合、負荷を定電圧で制御する方法と負荷を定電流で制御する方法の他に、負荷をPWMで制御する方法があります。

最近では環境問題、エネルギー問題などから、よりエネルギー効率の良い方法がトレンドとなっています。定電圧制御や定電流制御など、リニア方式の効率が悪い理由は下記の通りです。

  • 安定させるためのマージンが数Vは必要であること
  • 電圧または電流をしぼる場合、しぼった成分は回路内で消費されてロスとなること

例えば、最大電圧10V電流容量2Aの安定化電源を5V2Aで使用する場合、電源回路のパワー部で消費されるロス電力は、パワー部の入力電圧を12Vとすると、(12V-5V)x2A=14Wとなり、負荷で消費される電力は5V×2A=10Wとなります。

負荷で消費される電力の1.4倍の電力が回路内でロスとして消費されます。無駄な電力消費である上に、使用部品も大きくなり、コスト、サイズ、重量がアップしてしまいます。

一方、PWM制御では出力電圧は変えず、パルスの幅を出力に応じて可変する制御法であり、例えば10Vでデューティー比50%のPWMだと、見かけ上の駆動電圧は5Vとなり、理論上の損失はなく、実際の効率は非常に良くなる手法と言えます。

2. デューティー比

PWM制御ではデューティー比という言葉がよく出てきます。これは、パルス幅/周期で、デューティー比50%のPWM波形ではHとLは同じ幅です。

デューティー比を変えると見かけ上の電圧が変わります。例えば、10VのPWMでデューティー比を0%→25%→50%→75%→100%と変化したとき、負荷への見掛け上の電圧は0V→2.5V→5V→7.5V→10Vとなります。

マイコンなどでアナログ信号を出力するにはD/Aコンバーターを必要としますが、PWMを使えば疑似的にアナログ信号を作り出すことが可能です。PWMのスイッチング周波数を適度に取り、マイコンなどでプログラマブルにデューティー比を加減すると、マイコンのI/O端子で、デジタル信号レベルまでの任意のアナログ信号を作り出すことが可能です。

この場合、I/O端子に適切なLPFを挿入し、PWMのスイッチング周波数成分およびその高調波成分を取り除く必要があります。

3. PWM制御のノイズ

PWM制御がモーターの動作の制御やインバーターの高効率化のためによく用いられていることは前述の通りですが、ユーザーを悩ませる課題にPWM制御によるノイズ問題があります。PWMはトランジスタの高速のON/OFFでデューティー比を含めて制御しますので、様々なスイッチング周波数のノイズを生成します。

この周波数はおおよそ30~40MHzで、周囲の人や環境への騒音問題だけでなく、低周波数帯を用いるAMラジオやセンサーなどに雑音として影響を与えます。そのため、何らかのノイズ対策を要することが多いです。具体的な対策として、インバーター装置の場合、装置を筐体で覆う、電源ケーブルを短くする、フェライトやLCチョークなどのノイズフィルタを挿入するなどが挙げられます。

PWM制御ではこのスイッチング周波数をユーザーが変更可能な場合もあるため、試してみるのも一つの手です。スイッチングのキャリア周波数を下げると全体のスイッチングノイズ自体は低減できますが、一般にモーターの騒音は大きくなります。

スイッチングキャリア周波数を低周波数から高周波数まで積極的に分散させる変調方式を採用することで、モーター固有の発生ノイズを低減させている製品事例もあります。

参考文献
https://synapse.kyoto/glossary/pwm/page001.html
https://dotstud.io/docs/pulse-width-modulation/

振動計

振動計とは

振動計

振動計(英語: Vibration meter)とは、被測定物の振動の大きさを測定する装置です。振動の大きさは、変位、速度、加速度の3つの尺度で表すのが一般的です。

測定したい振動の種類や評価したい項目によって、どのパラメーターを測定するかを選択することが重要です。加速度を計測する際は、加速度計と呼ばれることもあります。

振動計の使用用途

振動計は研究開発、生産現場、環境保全などの分野で広く使われています。研究開発の分野では、例えば製品の開発段階で部品などの振動特性を計測して、共振、破損、異常音などを未然に防止します。

生産現場では、製品の出荷検査の一つの方法として、例えばエンジンの振動測定により良否の判定を行います。また、輸送による破損等を防止するため、輸送中の振動を試験機で再現して梱包などを改善します。

また、タービン発電機などでは、稼働中の振動をモニターして、故障を早期に発見することを行っています。環境の分野では、工場や工事などから発生する振動による公害問題の解決には、振動測定が必須です。

なお、人体に対する振動の影響は、基準加速度に対する比率を表す振動レベルを測定して判断します。振動レベルは、ISOやJISに定められており、自動車や鉄道車両の乗り心地の判断にも使用されます。

また、地震の振動を測定して警報を出すことや、地震の振動波形を測定して、建物の耐震・免振構造の評価に使用します。

振動計の原理

振動計における振動の検出は、ピックアップと呼ばれるものを使用します。ピックアップには圧電式、電磁式、機械式、光学式、電磁波式などがあります。

1. 圧電式振動計

振動によって生じた力が、ピエゾ素子の圧電効果によってその力に比例した電圧に変換されます。ピエゾ素子の表面のひずみを計測するせん断型と、ピエゾ素子におもりを載せた単純な構造の圧縮型の2種類があります。小型軽量で、周波数の高い領域まで測定できます。

2. 電磁式振動計

磁石とコイルによって構成されており、振動によって磁石とコイルの位置関係に応じて発生する電磁誘導で生じた電流の変化を測定します。

3. 機械式振動計

MEMS(micro electric mechanical system)半導体素子を使用して、可変電極の変位に応じた静電容量の変化を測定します。

4. その他の振動計

レーザー光を照射して変位を測定する光学式、及びマイクロ波ドップラーレーザーを使用して相対的な変位を測定する電磁波式の振動計もあります。これらの方式はピックアップを振動体に装着する必要がなく、微小物体や高温の物体及び液面などの振動計測に適しています。

振動計のその他情報

1. 振動計の使い方

ピックアップの固定方法は、非測定物に密着するようにスタッドボルトなどでしっかり固定することが推奨されます。取り付け方法がしっかり固定していないと、フィルタとなってしまい正確な計測ができなくなることがありますので注意が必要です。

スタッドボルト以外の固定方法としては、接着剤を用いる方法やマグネットを用いる方法などがあります。振動を解析する場合、周波数解析が広く用いられます。測定された波形が、どのような周波数がそれぞれどれくらいの強度で含まれているかを調べる方法です。

2. 振動の単位

機械振動の定義は、機械系の運動または変位を表す量の大きさが、ある平均値または基準値よりも大きい状態と小さい状態を交互に繰り返す時間的変化とJISで規定されています。振動は、振幅・周波数・位相の3つの要素からなっています。振動を測定する場合、変位・速度・加速度の3つパラメータがあり、その測定に振動計を用います。

振動の実用単位は

  • 変位:cm、μm(=10-6 m)、nm(=10-9 m)
  • 速度:cm/s、mm/s
  • 加速度:cm/s2、Gal(ガル=cm/s2)、G(ジー=9.80665m/s2) です。

また、環境振動の測定として用いられる振動レベル計については、人体の振動感覚特性に基づいた測定値である振動レベル(dB)によって環境振動の大きさ評価が行われます。これは騒音レベルと同じ考え方で、物理的振動量に人体の感覚特性による補正を行ったうえで、得られた測定値を評価対象としています。

  • 振動レベルL=20log(V/ V0) [dB]
  • V0:基準振動加速度
  • V:振動加速度の実効値(r.m.s.)

V0は、日本では、10-5 m/s2、海外では、10-6 m/s2が使われています。

参考文献
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/measure/article-26
https://svmeas.rion.co.jp/support/st_vibrations.aspx
https://www.torex.co.jp/technical-support/application-note/design-guide-for-dcdc-converter/whats-dcdc-converters/
https://svmeas.rion.co.jp/support/st_vibrations.aspx

RFID

RFIDとは

RFID

RFID (radio frequency identifier) とは、近距離無線通信を用いた自動認識技術の総称 (概念) です。

読み取り機を用いて電子情報を入力したRFタグを非接触的に複数同時に読み込むことが可能で、情報の入力・消去・書き換えのすべてを行える点が、バーコードやQRコードを用いた光学式の読み取りと大きく異なります。

ただし、読み取り機の設置は現在まだ非常にコストがかかるため、個人が経営する飲食店や商店では導入のハードルが高いです。

RFIDの使用用途

RFIDの身近な使用用途は、鉄道会社などが発行する交通系ICカードやプリペイド型ICカードなどです。運転免許証に埋め込まれたICチップもRFIDタグであり、偽造防止のために氏名・生年月日・現住所・本籍地・顔写真・免許の種類・免許証番号・免許取得年月日などの情報が書き込まれています。

他にも、アパレルメーカーや流通、医療分野など、大量のデータを同時に扱える利便性を考慮して、在庫や流通商品の様々な情報管理のツールとして活用されています。

RFIDの原理

RFIDは近距離無線通信を活用し、RFタグと読み取り機との情報のやり取りや管理を一括に行えます。RFタグ内には、通常はメモリと通信用信号の送受信のためのアンテナが内蔵されており、RFタグを媒体とした情報の入出力はこれらのアンテナやメモリを介して行われています。

また、RFIDには大きくわけてパッシブ型とアクティブ型があり、RFタグ内にバッテリーが内蔵されているかどうかの違いがあります。

1. パッシブ型

パッシブ型では読み取り機から発せられた電波を動作電力として利用し、RFタグはメモリに入力された情報を送信します。情報のやり取りはあくまで読み取り機からの応答が起点になります。

2. アクティブ型

アクティブ型では、バッテリー内蔵のRFタグが積極的に情報の発信を行い、読み取り機がそれを受信します。読み取られた情報はコンピュータに格納され、閲覧したり編集したりと、管理することが可能です。

 

上記のように、RFIDは無線通信で非接触的な読み取りができることから、RFタグと読み取り機の距離がある程度離れていても情報の読み出しが可能です。また、複数のタグを同時に読み込めることも、バーコードなどを利用して光学的にタグを読み取る技術には無い特徴と言えます。

例えば、アパレルメーカーの在庫管理で導入する場合、衣服を一枚ずつケースから取り出してバーコードで読み取る必要がなくなります。

RFIDのその他情報

1. RFIDの価格

RFIDを利用する際は、RFタグとリーダーが必要です。かつて高価だったRFタグの価格も近年では低下傾向にあり、安いものでは1枚10円程度から購入可能できます。金属の読み取りにも対応したタグであれば、1枚100円程度です。

RFIDタグの普及に伴い、RFタグの価格は現在も下落傾向にあり、特にパッシブ型を中心に将来的には1つ1円程度まで下がるのではないかともいわれています。最近では、コンビニエンスストアの商品管理などにRFIDを導入し、受発注の効率化や業務コストの削減を行う試験的な試みも行われており、この価格 (1円以下) は経済産業省とコンビニ各社とのRFID化のコンビニへ適用に向けて合意した際の条件とされています。

リーダーについては性能により価格が異なりますが、ハンディタイプであれば20万程度、物流倉庫に利用するようなゲートタイプであれば数百万程度が目安の価格帯です。限られた性能をもつリーダーであれば、1万円程度からでも購入可能ですが、読み取り性能や端末の耐衝撃性が低いなど、利用用途が限られることに注意が必要しなければなりません。

また、RFタグ・リーダーに加えて商品管理等のソフトウェアをセットで販売する業者もいます。この場合の費用は、導入するシステムに応じて個別の見積りが必要です。

2. RFIDの利用周波数と規格

RFIDは利用する周波数に応じて「LF帯 (130KHz帯) 」「HF帯 (13.56MHz帯) 」「UHF帯 (900MHz帯) 」「ISM帯 (2.45GHz) 」などの定義がされており、各規格に応じて、伝送距離や通信の安定性が異なるだけでなく、アンテナのサイズにも密接に関係します。

また、RFIDの技術体系の一部であるNFCは、そのうちHF帯の通信方式を用いて独自に定義された規格であり、マイナンバーカードやSuicaなどの交通系電子マネーに利用されている非常に身近なRFIDです。RFIDのうち860~960MHzの極超短波帯を利用したUHF帯は、最大で10mまで通信可能であるのに対して、NFCが利用しているHF帯では、約10cmという近距離通信を実現します。

通信距離が短い分、NFCでは機器の薄型化や小型化が実現できる点がメリットです。NFCは業界標準団体である「NFCフォーラム」で策定された技術仕様であり、交通系電子マネーの他、スマートフォンにも搭載され非接触決済などにも利用されています。

 参考文献
http://www.sk-el.co.jp/sales/rfid/glossary/a01.html
https://asreader.jp/blog/rfid%E3%81%A8nfc/
https://www.wantedly.com/companies/company_9259596/post_articles/199313
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/category/apparel/sp/solving-problems/archive/201125-01.html
https://www.denso-wave.com/ja/adcd/fundamental/rfid/rfid/index.html

リニアモータ

リニアモーターとは

リニアモーター (英: linear motor) とは、直線運動をする電気モーターのことです。

一般的なモーターが回転運動を発生させるのに対し、リニアモーターは直線運動をします。磁石の吸引・反発、あるいはローレンツ力を利用して推進力を発生させる駆動装置です。

従来のモーターを使用して直線方向に駆動するには、様々な部品の組み合わせが必要ですが、リニアモーターによって煩雑な仕組みを使用しなくても、直線運動を容易にできます。

リニアモーターの使用用途

リニアモーターの応用として、良く知られているのはリニア新幹線を始めとするリニアモーターカーです。リニア新幹線などは、磁石の反発により車体はレール上に浮遊しているため、摩擦力による駆動力のロスが極めて少ない点が特徴です。そのため、高速で移動することができます。

東京都の都営地下鉄大江戸線や、神戸市営地下鉄海岸線などの車両は浮上式ではありませんが、駆動するのはリニアモーターです。近年、産業機器などの駆動部にリニアモーターを採用する例が増えています。

精密さが必要な工作機械や半導体製造装置、宇宙船、加速器、リニアモーターガンなどに使用される場合が多いです。民生品では、自動車用電動カーテン、ひげそり器、カメラのオートフォーカス、回転すし店などが事例として挙げられます。

リニアモーターの原理

リニアモータは、磁石の吸引・反発又はローレンツ力を駆動原理としています。この点は従来のモーターと同様ですが、リニアモーターは直進運動を発生させるために、従来のモーターを切り開いたような構造です。

動作原理により、リニア誘導モーター、リニア同期モーター、リニア直流モーター、リニアステッピングモーターなど多くの種類があります。

1. リニア誘導モーター

誘導モーターと同様の原理、即ち電磁誘導によるローレンツ力を駆動力とする方式です。磁極がNS-SNと並んだ磁石上に電磁石を配置し、電流を流すことで駆動します。高精度が必要な産業用のリニアモーターには、この方式が多く使われます。

2. リニア同期モーター

同期モーターと同様の原理、即ち磁極同士の吸引・反発力を利用する方式です。直線的に並んだ固定磁石の磁極を可動電磁石の運動に合わせて変化させることにより、直線運動の駆動力を得る方式です。

リニア同期モーターは、他の方式に比べ、効率が高い特徴があります。リニアモーターカーでは、電力消費を抑えるために多くは同期モーターです。なお、磁気浮上式のリニアモーターカーでは、車体側の電磁石に、超電導磁石を使用することで電力の供給を最小限に抑えます。

3. その他の方式

リニア直流モーターは、アクチュエータ等に使用されます。リニアステッピングモーターの用途は、カメラのオートフォーカスをはじめとする光学機器等の精密制御です。また、ピエゾ素子によって駆動するリニア圧電モーターは、効率は低いですが高精度の制御が可能で、精密機械等に使用されます。

リニアモーターのその他情報

1. リニアモーターの速度と精度

リニア新幹線への応用では、高速化のメリットが大きく、リニアモーターの性能面や制御技術の開発が進んで実用化の目途が付いています。リニアモーターのメリットは、減速機構が不要で高精度送りが可能であること、長軸化・複数モーターを配置し同時に稼働できることなどです。

一方、デメリットは、外乱影響の制御が難しい、高推力が得にくい、点検保守が難しいなどがあるが、年々改良が進んでいます。このような状況の中で、高速化とともに、高精度化が注目されるようになり、研削盤旋盤などの工作機械への活用が進んでいます。さらにリニアモーターは、環境保全の観点から、今後の可能性として、油圧式の大型機械への採用などです。

2. 超電導リニアの冷却について

磁気浮上式のリニアモーターカーの駆動に多いのは、超電導磁石を使用する事例です。4K (-269℃) の低温では電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用することにより、電気エネルギーのロスがなく、強力な磁界を発生することができます。

常に超電導状態を維持するためには、冷却する仕組みを搭載する必要があり、従来は、液体ヘリウムを使って冷却しています。価格や大掛かり装置がデメリットです。近年、超電導磁石を構成するコイルの材料を変更することにより、液体ヘリウムを使わずに直接冷却することが可能になってきました。

使用される材料は、ビスマス系銅酸化物で、超電導状態になる温度が従来より高く、20K (-253℃) の冷却で可能です。高温超電導磁石と呼ばれる磁石です。高温超伝導磁石を冷却する為の装置は、断熱膨張を利用して直接材料を冷却する方式を採用し、軽量・コンパクト化が図られています。

参考文献
https://www.sodick.co.jp/st/tech/linear_motor.html
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor2.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/2/75_2_242/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsj/39/12/39_12_651/_pdf
https://diamond.jp/articles/-/234426?page=2
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/ninja/123

パーツフィーダ

パーツフィーダとは

パーツフィーダ

パーツフィーダ(英語:parts feeder)は、工場の生産ライン上で部品の補給を自動的に行うことができる装置です。

自動部品供給装置とも呼ばれます。組立機・包装機協働ロボットや検査機など、自動化システムと一緒に使われます。

一般に部品を振動させて、バラバラの向きの各部品を同じ向きに整列させて供給できるようにします。これにより、組み立て・梱包・包装など様々な工程を効率よく行うことができます。

画像処理装置や人工知能と組み合わせて部品の検査を同時に行ったり、次の工程の装置と組み合わせたりすることで、作業の正確性を向上させ、人的コストや設置コストを削減するのに貢献できます。

パーツフィーダの使用用途

パーツフィーダは工場生産の効率を向上させるために導入します。機械部品や電子部品の他、医薬品や食品の製造においても利用されています。パーツフィーダの利用は、部品の供給を自動化することによる作業効率の上昇だけでなく、画像処理装置や人工知能などと組み合わされることもあります。

部品の自動供給と同時に部品の検査を行うことを目的としており、作業の正確性と製品の品質を向上させます。ワッシャーとボルトを合わせて供給するなど、複数の部品を組み付けて供給したり、組み付けてある部品を分解して供給するパーツフィーダーもあります。

パーツフィーダの原理

パーツフィーダでは部品を振動させることで整列を行っています。部品を振動させる部分は振動体、または発振体と呼ばれ、パーツフィーダの心臓部です。振動の方式は主に電磁石を利用した電磁式で行われ、発生した振動は板ばねを通して増幅され更に大きな振動を起こします。

他にもピエゾ素子を用いたピエゾ式などの方式もあります。供給される部品は、まず部品を入れる容器であるボウルに入れられ、振動体がボウルを振動させることで部品の整列を行います。整列した部品はシュートに送られ、次の工程の機械に供給されます。

ボウル内の部品はホッパーという装置により監視されています。ホッパーはボウル内の部品の数を検出し、供給を制御します。ホッパーには、電磁式・コンベアー式・シリンダー式等様々な種類があります。ホッパーは、ボウルへの部品の入れ過ぎや不足を防止し、パーツフィーダの部品供給能力を安定化させる働きをします。

パーツフィーダは様々なセンサーやオプションパーツを組み込むことができるように設計されており、目的に応じてカスタマイズできるようになっています。

パーツフィーダの選定

パーツフィーダのボウル部分には、様々な駆動パターンが使用されており、パーツに従って適切なパーツフィーダを採用する必要があります。

一般的なパーツフィーダは、電磁式パーツフィーダですが、その他にもモーター式・圧電素子式・複合回転円盤式など様々なタイプのものがあります。それぞれの長所・短所があるため、使用条件やコスト等を把握した上で最適なパーツフィーダを選定することが非常に重要です。

パーツフィーダの種類

パーツフィーダの種類は、電磁式・モーター式・圧電素子(ピエゾ)式・複合回転円盤式などがあり、それぞれの特徴があります。

1. 電磁式パーツフィーダ

電磁式パーツフィーダには、半波方式・全波方式・高周波パーツフィーダ・デュアルモーションなどの種類があります。

  • 半波方式: 1分間に3,000回~3,600回の振動数となっているため、振幅が大きく高い搬送能力があり機器の取り扱いも容易で、選別の簡単な部品に採用されることが多く、全波方式よりも機器価格が有利です。
  • 全波方式: 1分間に6,000回~7,200回の振動数となっており、振動が細かいため、微小なものや選別の難しい部品に適しています。
  • 高周波パーツフィーダ: インバータコントローラを使用することで、250Hz~350Hzの周波数で細かい振動数を発生させます。微小なワーク向けに適しています。
  • デュアルモーション: デュアルモーションは、水平方向と垂直方向の2つの振動系を設けることにより、楕円運動を発生させます。そして、縦振動と横振動を別々に制御することにより、迅速な供給と滑らかな搬送を可能にしています。また、振動方向を縦横のどちらかを選択することもできます。

2. モーター式パーツフィーダ

モーターにより水平運動のみで駆動するパーツフィーダで、騒音が少ない特徴があります。

3. 圧電素子式パーツフィーダ

圧電素子を使って駆動します。振動調整が不要で、省エネルギーが見込めるパーツフィーダです。

4. 複合回転円盤式パーツフィーダ

振動を使わず、回転円盤を使用して、部品を緩やかに回転させて、整列供給出来るようにしたパーツフィーダーです。低振動・低騒音かつ高速供給が可能です。

参考文献
http://kachitas.net/parts/
https://www.shinwa-gikencorp.co.jp/partsfeeder/
https://pfd.co.jp/basic/body/

インバーター

インバーターとは

インバーター

インバーター (英語: inverter) とは、入力された電流を交流電流へと変換する装置です。

入力する電流には、直流と交流どちらのケースもあります。後者の場合、入力された交流電流は一度直流に変換された後、電圧や周波数が変調した別の交流電流に再び変換されます。

インバーターはその構造を構成する回路の一つであるインバーター回路と区別するために、インバーター装置と呼ばれることもあります。

インバーターの使用用途

インバーターは、モーターを利用した電気製品によく利用されています。なぜなら、インバーターは主にモーターの回転の制御に使われているからです。

インバーターを利用した最も身近な製品はエアコンです。インバーターはコンプレッサ部分に搭載されており、モーターの回転の強弱をコントロールしています。インバーターがなければ、エアコンの温度調節は運転のオン・オフだけで行わなければなりません。

インバーターを用いることによって、運転のオン・オフではなく、運転の強弱によって温度を管理することが可能になります。電源のオン・オフは大量の電力消費を伴うので、インバーターは省電力化に貢献していると言えます。そのため、現在販売されているエアコンにはインバーターが搭載されている場合がほとんどです。

インバーターの原理

インバーターは大きく、コンバーター回路、コンデンサー、インバーター回路の3つによって構成されています。インバーターでは、交流電流を別の電圧や周波数が変調した交流電流に変換するには、入力電流を一度コンバーター回路に通して直流電流に変換します。

この変換は、ダイオードを用いて整流することで達成されます。整流された電流は、コンデンサーに蓄えられ、充電・放電を繰り返すことで更に整形されます。

こうして擬似的な直流電流を作り、続いてインバーター回路に入力します。インバーター回路では、パルス幅変調 (PWM) というパワートランジスタのスイッチングによって、幅の異なるパルス波を発生させています。

これらを合成することによって、擬似的な正弦波を作り出すことが可能です。パルス電圧を生成する場合は電圧型インバータ、パルス電流を生成する場合は電流型インバータと呼びます。生成するパルス幅の組み合わせを制御することで、電圧や周波数を自由に変えられます。

インバーターのその他情報

1. インバーター制御のメリット・デメリット

メリット
インバーターを採用する理由の多くは、省エネ化を目的としています。回転機構を持つ機械にインバーターを搭載すると、モーターの回転数を必要な分に合わせて調整が可能なため、過度に機械を稼働させずに済み、省エネ化に繋がります。

また、エアコンやオイルコンなどの流体の温度調節を行う機械に搭載することで、温度制御の精度が向上する点もメリットの一つです。従来の製品では、電源のON/OFFの切り替えのみで温度を管理していたため、消費電力が多いうえに設定温度との誤差が大きくなってしまう傾向がありました。インバーターはこういった問題を解消する装置として、非常に有効なものだったといえます。

デメリット
デメリットとしては、費用が高額になってしまう点や、インバーター内のコンデンサは消耗品のため、定期的に交換が必要になる点などが挙げられます。使用を検討する際は、デメリットもよく考慮したうえで、総合的に判断することが重要となります。

2. インバーターが壊れる原因

インバーターを長年使用していると、過電流トリップや過電圧トリップが起こりやすくなります。このような場合に考えられるのは、インバーターに内蔵されているコンデンサの「寿命」です。

インバーター内のコンデンサの多くは「電解コンデンサ」が使用されています。電解コンデンサは周囲の温度の影響を受けやすく、温度が10℃上昇すると、寿命は1/2になるとも言われています。

そのため、夏の暑い時期に連続稼働しているエアコンなどは電解コンデンサの消耗が急速に進み、最終的に故障してしまうケースが多いです。過電流・過電圧トリップの他にも、モーターの回転時に振動が出ていたり、異常な振動音がしたりする場合には、早期のインバーター交換が推奨されます。さらに劣化が進むと、電解コンデンサが膨らんできたり、液漏れが起きたりするケースもあります。

参考文献
https://www.fujielectric.co.jp/products/column/inverter/inverter_02.htm
http://energychord.com/children/energy/pe/inv/contents/inv_fund.html
https://www.takagishokai.co.jp/product-search/2016/06/02/57

メディアコンバータ

メディアコンバータとは

メディアコンバータ

メディアコンバータ(Media Converter) とは、電気信号によって情報を伝送するメタルケーブルと、光を媒体として情報を伝送する光ファイバーを接続するための装置です。

メディアコンバータは異なる媒体による信号を相互に変換するための装置を指しますが、ここでいう媒体とは電気信号と光信号に限定しています。即ち、メディアコンバータは、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換する装置であり、光メディアコンバータもしくはMCとも呼ばれます。

メディアコンバータの使用用途

メディアコンバータは、電気信号によって情報を伝送するメタルケーブルと、光を媒体として情報を伝送する光ファイバーを接続する際に使用されています。電気的な信号を伝送するメタルケーブルは、伝送距離が伸びると、信号が減衰するとともに電磁ノイズの影響を受けやすくなります。そのため、伝送可能な距離は100m程度に制限されてしまいます。

一方、光ファイバーによる光信号の伝送では、電磁ノイズの影響を受けることが無い上に信号の減衰も少ないため、長距離の伝送に最適です。しかし、電圧の変化を信号として伝えるメタルケーブルと、光の点滅を信号として伝える光ファイバーとでは信号の媒体が異なるため、両者を接続するには信号を相互に変換する必要があります。

そこでメディアコンバータを介在させ、2つの信号を相互に変換することで、それぞれのケーブルの長所を生かしたネットワーク回線を構築します。

メディアコンバータの原理

一般的に、一対のメディアコンバータはメタルケーブルで構築された2つのネットワークを繋ぐ光ファイバーの両端に設置されます。第1のメディアコンバータは、メタルケーブルの電気信号から光ファイバーの光信号への変換を行います。メディアコンバータに入力された電気信号は、レーザーダイオードなどの発光素子に伝えられ、信号に対応して変調された光信号として光ファイバーケーブルに出力されます。

第2のメディアコンバータでは送られてきた光信号を、受光素子により電圧の変化に変換して、元の電気信号に復元します。この仕組みにより、2つのネットワーク間に光ファイバーを介在させて、長距離でも確実な信号伝送が可能です。

また、メディアコンバータにはパケット信号の処理方法により次の2つのタイプに分類できます。

1. リピータータイプ

電気信号側の通信速度と光信号側の通信速度が等しいことが特徴です。通信速度が同じ場合、変換は遅延することなく実行われます。つまり、メディアコンバータは電気信号であるパケットを受信すると、その内容に関わらず直ちに光信号に変換して出力します。

信号の遅延時間がなく、伝送スピードが重要で信号の遅れが許容されない用途に向く仕組みです。また、どのようなパケットであってもそのまま通過するため、通信プロトコルに関わらず使用することが可能です。仮にエラーパケットが存在しても、それを破棄することはありません。機器トラブルに関する情報をモニター機器で把握して対応策に活用する場合に有効です。

2. ブリッジタイプ

ブリッジタイプでは、送信側から送られてくるパケット信号を送信側のメディアコンバータが一旦バッファ回路に受信します。その上で光信号に変換し、受信側のメディアコンバータへ送信するものです。

そのため、電気信号と光信号の通信速度が異なる場合でも対応可能で、スイッチタイプとも呼ばれます。また、何らかの理由で接続機器間の通信速度が変更されても、支障なく通信を続けられる点が特徴です。

リピータータイプと比較すると、バッフ回路を介するため伝送遅延が大きくなり、特に伝送するパケット長が大きいほど遅延が顕著になります。一方、ブリッジタイプであればバッファ回路に信号を受信した時点でエラーパケットを判定し、除去することも可能です。

メディアコンバータのその他情報

1. 一芯 / 二芯 光ファイバケーブルへの対応

光ファイバーの通信では一般的に二芯タイプを採用します。これは、送信側と受信側で各々専用の光ファイバーコアを使う通信方法で、通常2つのコアを一組にしたケーブルを用いて接続します。光が常に一定方向に向かうため、メディアコンバータの構造はシンプルです。

これに対して1つの光ファイバーコアで双方向に光を通す、即ち双方向通信となる、一芯タイプもあります。多数の光ファイバーを通す必要がある場合など、スペース的な制約がある環境に設置される際に使用するケースが多いです。一芯での双方向通信では、対向するメディアコンバータ同士で波長が異なる光源を使うため、受光素子も相手側の波長に感度を有するものでなければなりません。

つまり、一芯タイプのメディアコンバータでは、互いに異なる送信波長の光源を備え、受光部は相手側の送信波長に合わせた受光素子を備えたものを組み合わせて使う必要があります。

参考文献
http://www.sopto.com.cn/sp_news/show-427.html
https://www.allied-telesis.co.jp/products/list/convert/know.html