監修:株式会社ユーピー
浄水器とは
浄水器とは、水道水や地下水に含まれる不純物を取り除くことによって、より安全で美味しく感じられる水を得るために設置する水の浄化装置です。
「JIS S 3201 家庭用浄水器試験方法」では、浄水器は活性炭,精密ろ過膜,逆浸透膜などのろ材を用いて水道水中の溶存物質などを減少させる機能をもつ水処理器具と記されています。水道水には消毒のために用いられた塩素や、原水中の有機物と反応して生成したトリハロメタンが含まれている場合があります。浄水器は水道水に含まれる残留塩素や、トリハロメタンなどの物質を除去または減少させるための器具です。
浄水器の使用用途
浄水器を使用する事で水道水や地下水に混入した異物(赤錆、塩素、化学物質)などを取り除き、臭いや癖が無い水に戻る事から一般家庭を含め食品製造や飲食業界など、幅広く使われています。 浄水器の使用は、限りある地下水の汲み上げに頼らない良水の取得方法です。
残留塩素の除去
水道水の残留塩素濃度が高くなるとカルキ臭やフミン質 (有機物質) と第三次化合した発癌物質のトリハロメタン濃度も上がります。水道水に於ける塩素化合物の除去に向けては浄水器の使用が最も確実な方法です。
トリハロメタンなどの有害物質の除去
塩素と原水の有機物 (フミン質) が反応して生成されるトリハロメタンなど、人体に悪影響を及ぼす可能性のある物質を除去します。トリハロメタンは発がん性の疑いが指摘されています。トリハロメタンを吸着する役割は主に活性炭が担う事から、トリハロメタンの長期的除去に向けては活性炭量が多い浄水器の選定が有効です。
PFAS対策
近年のニュース報道で、PFAS (ピーファス) やPFOS (ピーフォス)、PFOA (ピーフォア) といった言葉を耳にするようになりました。PFASは人工的に製造された有機フッ素化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの中でもPFOS (ペルフルオロオクタンスルホン酸) やPFOA (ペルフルオロオクタン酸) は、かつては幅広く使用され、環境や人体への影響が懸念されている物質です。近年の報道は、PFOSとPFOAが河川や地下水を汚染しているというものであり、PFAS除去に対応した浄水器も販売されるようになりました。
その他の不純物の除去
水道管のサビや泥など、目に見えない不純物を除去し、水の透明度を上げます。
浄水器の種類
浄水器の種類には、本体の設置形式による分け方もありますが、ここではろ材の種類で分けて説明します。
1. 活性炭式
活性炭とは、非常に多くの微細な孔 (あな) を持つ炭素素材です。表面積は非常に大きく、優れた吸着力を発揮します。浄水器において活性炭は粒状、粉状、繊維状やブロック状にして利用しています。
2. 中空糸膜式
0.4から0.01μmの穴を持つ中空糸膜や平膜などをろ過膜として、水道水に含まれる微粒子を除去します。複数のろ材を組み合わせるのが一般的です。また多くの浄水器は、上述の活性炭式と中空糸を組み合わせた方式が採られています。活性炭で残留塩素やカルキ臭、トリハロメタンなどを吸着除去し、ろ過膜で鉄サビ、カビ、細菌などを除去します。
3. 逆浸透膜 (RO) 式
通常は純水と不純水を半透膜で仕切ると純水から不純水側に水は移動しますが、不純水側に圧力をかけて純水だけを取り出すタイプの浄水器です。半透膜とは、動植物の細胞膜のように、水分子だけを通過させ、水に溶けた物質は通過させない膜のことです。なおROとは、逆浸透現象 (ReverseOsmosis) の頭文字を示しています。
4. セラミック式
ろ材に微細な孔を有するセラミックを使用した浄水器です。ろ材は一般的に使用にともなって不純物の目詰まりなどにより通過水量が低下し、フィルター交換が必要です。セラミック式でもフィルター交換は必要ですが、回収リサイクルが可能で、粉砕して陶磁器やレンガなどの別の製品に再加工することができます。
浄水器の選び方
浄水器はまず設置方法で選ぶことができます。取り付ける水道の蛇口に取り付ける蛇口直結型、冷蔵庫のドアポケットなどに収納するポッド型、長期間使用して丸ごと交換する据え置き型、すっきりとしたデザインが魅力のビルトイン型などがあります。他にはフィルターの性能を見て、除去したい対象に適したものなのかを確認します。また維持コストにも注意が必要です。フィルターの交換頻度やフィルターの価格から、長期的なコストの検討をする方法もあります。
本記事は浄水器を製造・販売する株式会社ユーピー様に監修を頂きました。
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