ガイドスコープ

ガイドスコープとは

ガイドスコープとは、天体観測や天体写真撮影において、望遠鏡が長時間にわたって正確に天体を追尾するために使用される小型の望遠鏡です。

天体観測では、地球の自転により天体が常に動いて見えるため、特に長時間露光を必要とする天体写真撮影では、天体がフレームから外れないように高精度の追尾が必要です。ガイドスコープは、メインの望遠鏡に取り付けられ、追尾対象の天体をモニターして、微小な位置ズレを補正する機能の一部を担います。

ガイドスコープは通常、オートガイダーと連携して使用されます。オートガイダーは、ガイドスコープが捕捉した天体の動きをリアルタイムで検知し、赤道儀と呼ばれる望遠鏡の駆動装置に補正信号を送り、追尾のズレを最小限に抑えます。ガイドスコープが捉えた天体をオートガイダーが観察し、赤道儀の動きに対して誤差を指示することによって、クリアでブレのない天体写真を撮影することができます。

ガイドスコープの使用用途

ガイドスコープは、主に天体撮影に使用されます。特に長時間露光が必要な、ディープスカイオブジェクト (銀河や星雲など) を撮影する際には、地球の自転による天体の微小な動きを正確に追尾することが不可欠です。通常の赤道儀では、自動追尾機能を備えていても、完璧に天体をフレームの中央に保持するのは難しく、わずかなズレが撮影に悪影響を与えます。ガイドスコープとオートガイダーを使用することで、天体の動きに合わせて望遠鏡の位置を微調整し続けることができ、長時間の撮影でも画像が鮮明になります。

ガイドスコープの種類

ガイドスコープに明確な種類はありませんが、目的に応じて以下の2つに大別できます。

1.ミニガイドスコープ

直径30mmから50mm程度の小型で軽量なガイドスコープです。軽量で持ち運びが容易で、ポータブルな望遠鏡と組み合わせて使われます。コンパクトながらも十分な精度を持っており、アマチュア天文家に人気です。

2.標準的なガイドスコープ

口径が60mmから80mm程度のガイドスコープで、より高精度なガイドを行うことができます。主に中型から大型の望遠鏡と併用され、長時間露光でも安定した追尾が可能です。ガイドカメラと組み合わせることで、高精度の天体写真撮影が可能になります。

ガイドスコープの選び方

ガイドスコープを選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。

1.口径と焦点距離

ガイドスコープの口径と焦点距離は、メイン望遠鏡とのバランスが重要です。口径が大きすぎると重量が増し、追尾装置に負荷がかかる可能性があります。一方で、小さすぎると十分な精度が得られません。一般的に、ガイドスコープの焦点距離は、メイン望遠鏡の焦点距離の1/3から1/2程度が推奨されます。

2.オートガイダーとの適合性

ガイドスコープはオートガイダーと組み合わせて使用するため、オートガイダーの感度や解像度がスコープの性能に適しているか、確認が必要です。特に低光量の天体を追尾する場合には、感度の高いカメラが求められます。

3.重量とサイズ

ガイドスコープは、メイン望遠鏡に追加で取り付けるため、重量やサイズへの考慮が必要です。特に大型望遠鏡の場合、追加重量によって追尾精度に影響が出ることがあります。軽量なガイドスコープを選ぶことで、負荷を抑えつつ高精度のガイドが可能になります。

ガイドスコープのその他情報

オフアキシスガイド

オフアキシスガイドとは、メイン望遠鏡の視野から一部の光を取り出してガイドを行う方法です。ガイドスコープは使わず、オフアキシスガイダーという装置を用います。ガイドスコープが不要なため、重量を抑えたい場合に有効です。ただし、取り扱いがやや難しく、セットアップに時間がかかる場合があります。

カーエアコンホース

カーエアコンホースとは

カーエアコンホースとは、自動車のエアコンに使用されている冷媒を運ぶためのホースです。

自動車のエアコンは、エアコンシステム内に冷媒であるガスを循環させ、圧力を加えてガスの気化と液化を繰り返すことで動作しています。カーエアコンホースには、高圧配管、低圧配管などの種類があります。通常、ゴム・樹脂などを用いて製造されている製品です。材料の環境対応、軽量化、長寿命化など様々な試みが成されています。

カーエアコンホースの使用用途

カーエアコンホースは主に自動車のエアコンの冷媒 (エアコンガス) の循環に使用されています。

カーエアコンは、エアコンガスの圧縮、冷却、霧状化と、空気とエアコンガスとの熱交換で動作しています。カーエアコンホースは、このエアコンガスが循環する配管として使用される部品です。使用される主な冷媒の種類には下記のようなものがあります。

  • R-134a (HFC134a): 長らく最も普及してきた冷媒です。温暖化を促進する性質があることが知られているため、R1234yfへの移行が進んでいます。
  • R-1234yf: エコロジーなガスとして、現在の新車にはほとんどこの冷媒が搭載されています。R-134aの次に普及が進んでおり、温暖化を促進せず、オゾン層も破壊しません。ただし、R-134aと比べて高価です。
  • CO2冷媒: フロン系冷媒に比べて市場シェアは少ないものの、環境対応型の冷媒として着目されています。温暖化への影響度はR-134aの1300分の1であり、塩素を含まない
    ためオゾン層を破壊することもありません。

カーエアコンホースの原理

1. カーエアコンの原理

カーエアコンを構成する主な装置は、コンプレッサー (圧縮) 、コンデンサー (冷却) 、レシーバーとバルブ (霧状化) 、エバポレーター (熱交換) などです。カーエアコンホースは、これらの装置を繋いでエアコンガスを循環させます。動作の原理は下記の通りです。

  1. 圧縮: コンプレッサーはエアコンガスを圧縮する機械です。エアコンガスは圧縮によって、低温低圧の気体から、高温高圧の半液体へと状態が変化します。
  2. 冷却: コンプレッサーで圧縮され半液体となった冷媒は、コンデンサーによって冷却されます。コンデンサー内は、細い管が何重にも折りたたまれた表面積の大きい構造です。効率的に放熱が行われ、冷媒が低温高圧の液体になります。
  3. 霧状化: 冷媒がレシーバー (レシーバータンク、リキッドタンク) に溜められ、エキスパンションバルブを通して噴霧されます。圧縮し高圧となっている冷媒を瞬時に膨張させ、低温低圧の霧状にします。
  4. 熱交換: 低温となった霧状の冷媒はエバポレーターに送られ、空気と熱交換します。冷却された空気は車内に送られ、車内温度を下げます。また、エバポレーターは除湿も可能です。水蒸気を含んだ空気を冷却すると、エバポレーター表面が結露し、この水滴を排水することで、車内に供給される空気に含まれる水蒸気量を減らす仕組みです。

2. カーエアコンホースの機能

カーエアコンホースには、高圧配管と低圧配管があります。 

高圧配管は、低圧配管に比べて細い配管です。コンプレッサーとコンデンサーを繋ぐことに使用されており、圧縮ガスが通っています。高圧配管にはのぞき窓であるサイトグラスや、圧力スイッチがついています。

低圧配管は、高圧配管に比べて太い配管です。低温低圧のエアコンガスが流れており、エバポレーターとコンデンサーを結んでいます。

カーエアコンホースの種類

カーエアコンホースは、様々な種類が製造販売されている製品です。材質は、全体がゴムでできているオールラバータイプや、内面が樹脂でできているゴム・樹脂ハイブリッドタイプなどの種類があります。ゴム・樹脂ポリマーアロイを海島構造にすることで軽量化を図っている製品もあります。このような製品では、ゴムが持つ柔軟性・耐熱性を維持しながら、高いガスバリア性能を発揮することが可能です。

ホースの寸法には、内径8mm、内径11mm、内径15mmなどがあります。用途に合わせて適切なものが選定・使用されます。

翻訳サービス

監修:株式会社日本ユニテック

翻訳サービスとは

翻訳サービスとは、文章や音声を元の言語から他の言語に変換するサービスです。

翻訳サービスは、グローバル化に伴いビジネスを始め観光やイベントなど様々な場面で使用され、言語の壁を乗り越えた情報のやりとりを可能にします。

従来型の翻訳会社による翻訳サービスに加えて、ITの発達に伴いWeb上の翻訳サイトや翻訳アプリ、クラウド翻訳サービスが盛んに利用されるようになりました。近年は翻訳サービスにAIが搭載され、更にAI学習機能を追加した翻訳サービスの利用により、翻訳精度が格段に向上し人による翻訳に近づいてきています。

翻訳サービスを利用する際には、各翻訳サービスの特色を比較しながら利用目的に合った翻訳サービスを選択することが大切です。

翻訳サービスの使用用途

翻訳サービスは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 技術文書・論文の翻訳

企業や研究機関で、技術文書・論文などの専門的な翻訳がなされています。従来型の翻訳会社による翻訳サービスに加え、マッチング型のサービスやニューラルネットワーク型のAI翻訳サービスがよく利用されています。

2. 海外支社との日常的なやり取り

海外支社を持つ企業において翻訳サービスを導入することにより、日常的なメールや資料のやり取りがスムーズに行われています。今まで翻訳業務にかけていた膨大な時間を他の業務に充てることが可能になり、資料の情報共有化スピードも上がり業務効率アップに繋がっています。

3. 外国人からの問い合わせ

グローバル化に伴い様々な企業で、国内外の外国人からのメール等の問い合わせが増加しています。翻訳サービスを導入することにより、多言語にも対応が出来るようになり、業務の効率化が図れています。

4. Webサイトや動画の翻訳

Webサイトへの海外からのアクセス増加に伴い、Webサイトの多言語表示のニーズが高まっています。翻訳サービスの導入によりWebサイトの多言語表示を可能にし、記事を更新した際もすぐに多言語に翻訳できる様になっています。また、タグ部分の翻訳もありSEO対策を取ることも可能です。Webサイト内のテキスト翻訳だけでなく動画の翻訳・字幕作成機能なども利用されています。

5. Web会議

外国人とのWeb会議も近年盛んに行われています。翻訳サービスを導入することにより、PCなどの端末に向かって自国語で話すだけで音声を各国の言語に翻訳しテキスト表示を行い、リアルタイムのコミュニケーションを可能にします。

翻訳サービスの種類

以下に、翻訳サービスの主な種類を記載します。

1. 翻訳会社による翻訳サービス

利用者が翻訳会社に依頼すると、専門知識や技術を有する翻訳者が翻訳し、その後ネイティブなど複数人が翻訳結果を確認する従来型のサービスです。

費用が比較的高額で時間が掛かる傾向はありますが、プロの翻訳家による品質の良い翻訳が期待できます。

その一方で、機械翻訳をかけたあとに人が確認・編集する低コストのサービスを展開している場合があります。

2. 翻訳サイト・アプリ

多くは無料で利用可能な、機械翻訳機能が搭載されているサイトやアプリケーションです。

モバイル用のアプリでは、テキスト以外にも音声や画像に対応しているものが増えてきており、海外旅行やビジネスシーンでも使用でき、瞬時に翻訳可能です。翻訳精度はあまり良くなく意味が通じなかったり不自然になったりする場合があります。

3. マッチング型クラウド翻訳サービス 

Web上で翻訳依頼から納品まで行うクラウドソーシングサービスです。

利用者の翻訳依頼内容に応じ、適切な翻訳者をマッチングさせます。翻訳分野や精度、言語などに応じ費用や納期が変わります。

4. AI利用クラウド翻訳サービス (機械翻訳)

Web上で、AIを使用し機械翻訳するクラウドサービスです。

機械翻訳には、ルールベース型、統計ベース型、ニューラル型の3種類があります。

  • ルールベース型: 文法や構造、辞書に基づき厳密に翻訳し、意訳を含まない専門的な文章の翻訳に向いています。
  • 統計ベース型: 膨大な翻訳データを照らし合わせて翻訳するため、幅広い表現に対応した翻訳が可能です。
  • ニューラルネットワーク型: 人間の脳の仕組みをモデルとしたニューラルネットワークをAI学習に活用した翻訳方法であり、利用を続けることで翻訳精度が高まります。

ニュートラルネットワーク型をベースにしている近年のAI翻訳サービスは精度や自然さが向上しており、品質を一定程度確保しながら短時間でコストを抑えて翻訳することができますが、訳抜けや原文にない言葉が翻訳に出てくる湧き出しといった課題もあるため、最終的には人による確認作業が必要といえます。

翻訳サービスの選び方               

翻訳サービスを選択する際に主に考慮すべき4つの点があります。

1. 利用目的

翻訳分野、求める翻訳精度、言語の種類、サービスの利用頻度など利用目的を明確にします。

2. 機能

クラウド翻訳サービスにおける機能では、入出力出来るファイル形式を始め、過去の翻訳記録のメモリ機能、専門分野などでは辞書機能、API統合機能など様々な機能があります。

3. セキュリティ

機密性の高いデータを翻訳する場合、セキュリティとプライバシー保護の確認が重要です。翻訳会社であれば取得している認証、クラウドサービスでは二次利用に関する規約などを確認できます。

4. 費用と納期

翻訳精度や翻訳分野、言語、そして翻訳サービスの料金体系などにより、費用や納期が変わってきます。翻訳サービス導入前に無料トライアルなどを活用しながら、費用対効果のバランスを取って利用目的に合うサービスを選択することが大切です。

本記事は翻訳サービスを提供する株式会社日本ユニテック様に監修を頂きました。

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RPA開発

監修:株式会社日本ユニテック

RPA開発とは

RPA開発とは、業務自動化ツールであるRPAツールの開発、導入支援などを行うサービス全般です。

RPAとは、Robotic Process Automationの略称です。ここで言うロボットとは、コンピュータ内で動作するアプリケーションプロセスを指します。業務効率化、作業の正確性の向上などのメリットが期待されるツールです。RPA開発は、RPAツールの導入、シナリオ作成、導入後の運用などをサポートします。

RPA開発の使用用途

RPA開発は、定型業務を自動化するRPAツールを導入し、自動化のシナリオを作成することで活用されています。RPAが活用されている主な業務には下記のようなものがあります。

  • 請求書作成・発行などの伝票処理
  • 経費処理
  • 発注・納品処理 (受注・在庫確認/発注リスト転記/入金確認/消込)
  • 勤怠集計・通知 (長時間残業者リスト作成とアラートメール送信業務など)
  • 顧客情報のシステム登録
  • Web・SNS上の口コミ収集
  • ECサイトの商品情報更新業務
  • メールの自動配信
  • 問い合わせに対する自動返信対応
  • 広告や日次など各種データ収集とレポート作成
  • 競合の価格調査

これらの業務において、RPAツールは、

  • コスト削減
  • 業務効率の改善
  • ヒューマンエラーの低減
  • 人的リソースの最適化による人材不足の解消
  • 社員のモチベーションアップ

などの効果があります。

RPA開発は、RPAツールを導入する上で、適切な開発と適切な運用を行う用途で使用されています。自社で開発する場合には、ベンダーが行っている講演会や勉強会に参加し、導入するツールに関する知識を身につける必要がありますが、RPA開発サービスを利用することで、速やかに開発導入が可能です。

RPA開発の原理

1. RPAツールとは

RPAツールでは、パソコンで自動化させるために動かすプログラムをロボットと呼び、ロボットを動かす作業手順を予めシナリオとして記録します。

この際の記録方法には、録画開始などのボタンをクリックした後に、実際にロボットに覚えさせたい作業を一通り操作する記録する (レコーディング) 方法と、「ファイルを開く」「メールソフトを立ち上げる」「キーを入力する」などひとつひとつのコマンドを登録する方法とがあります。シナリオの記録が完了したら、ロボットが記録された作業手順に基づき実際にPC動作を実行します。

2. RPA開発の流れ

RPA開発は主に下記のような流れで行われます。

  1. 業務の洗い出し
  2. 要件定義
  3. シナリオ作成
  4. 動作テスト
  5. 運用
  6. メンテナンス

まず、RPAで自動化したい業務内容を洗い出し、手順などを整理します。業務の洗い出しの次は要件定義に進みます。要件定義とは、目的や実装の必要がある機能などについて、プロジェクトを始める前に整理することです。RPA開発の要件定義では、洗い出しをした業務の中で、自動化する業務と、実行するためにどういうロボットを開発するのかを決定します。そして、要件定義で整理された業務のシナリオ作成を行います。

実際の運用の前には動作テストが必要です。業務の洗い出しや要件定義で上がってきたすべてのパターンでの動作テストを繰り返し行います。

運用開始後は、定期的なメンテナンスが必要です。運用開始後のメンテナンスや活用支援もRPA開発のサービスに含まれる場合があります。

RPA開発の種類

RPA開発は様々な企業よりサービス提供されており、多様なサービスがあります。サービスによって、対応しているRPAの種類は異なっており、主なツールはWinActor、UiPath、BizRoboなどです。

導入・運用・運用支援まで一本化サービスになっているもの以外にも、必要なサービスをスポットで利用できる場合もあります。例えば、既に導入したRPAの本格展開や、活用を行うことも可能です。また、教育・トレーニングサービスでは、シナリオのポイント解説、ロボット実行者に向けた教育などを利用することができます。

本記事はRPA開発を提供する株式会社日本ユニテック様に監修を頂きました。

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RPAツール

監修:株式会社インテリジェンスワークス

RPAツールとは

RPAツールとは、パソコン上で行う定型業務・ルーチン作業をロボットを用いて自動化するツールのことです。

RPAとは、Robotic Process Automationの略称です。業務効率化、作業の正確性の向上などのメリットが期待されます。従来のRPAの設定にはプログラミング知識が必要でしたが、現在のRPAツールは、多くの製品でマウス・キーボード操作から普段の業務手順を記憶して再現することが可能です。

RPAツールの使用用途

1. 概要

RPAツールは、PCを使って行う様々な業務を自動化することが可能です。自動化ができるのは手順やルールが決まっている業務であり、主な業務には下記のようなものがあります。

  • 請求書作成・発行などの伝票処理
  • 経費処理
  • 発注・納品処理 (受注・在庫確認/発注リスト転記/入金確認/消込)
  • 勤怠集計・通知
  • 顧客情報のシステム登録
  • Web・SNS上の口コミ収集
  • メールの自動配信
  • 問い合わせに対する自動返信対応
  • 広告や日次など各種データ収集とレポート作成
  • 競合の価格調査

RPAに適している業務の特徴は下記の通りです。

  • 作業手順が単純で判断を伴わない
  • 同じ作業を繰り返す
  • 作業のルール・規則が決まっている
  • 決まったサイクルで実行する
  • 早朝や夜間、休日も作業が必要になる
  • 処理件数が多い

定型化されている作業や、勤務時間外に行う作業などがRPAに向いている業務といえるでしょう。

2. RPAツールの効果

RPAツールを導入することで、業務において下記のような効果が期待されます。

  • 自動化による業務効率向上と作業時間短縮
  • ヒューマンエラーがなくなることによる業務品質向上
  • 人的リソースの最適化と総合的なコストの削減

RPAツールは、定型作業を自動的に行うため、業務の効率化が行われ、作業時間短縮が可能です。工数を減らすことで、人的リソースを、判断を伴う業務やクリエイティブな業務に集中させることが可能です。作業時間短縮により、残業時間が削減できるなどのメリットも有り、従業員のワークライフバランスの改善にも貢献します。

RPAツールの原理

RPAツールの動作には、大きく分けて「記録」と「実行」の2ステップがあります。

まず、RPAツールを用いて、あらかじめ作業手順をシナリオとして記録します。この際の記録方法には、録画開始などのボタンをクリックした後に、実際にロボットに覚えさせたい作業を一通り操作する記録する (レコーディング) 方法と、「ファイルを開く」「メールソフトを立ち上げる」「キーを入力する」などひとつひとつのコマンドを登録する方法とがあります。

シナリオの記録が完了したら、記録された作業手順に基づきPC動作を実行します。RPAツールではこの記録された一連の実行作業をロボットと呼びます。ロボットは、人間の代わりに画面を操作して自動的に作業を進めます。手動実行の他に、スケジューリングを行うことで指定の日時になったら自動で起動させることも可能です。

RPAツールの種類

RPAツールには、大きく分けてデスクトップ型とサーバー型とクラウド型があります。導入する際は、それぞれの特徴を理解して適切なものを選択することが必要です。

1. デスクトップ型

デスクトップ型RPAとは、個々のパソコンに直接インストールしてロボットを稼動させるRPAツールです。RDA (Robotic Desktop Automation) とも呼ばれます。デスクトップ型RPAは、インストールしたPCでしか利用できませんが、サーバーに接続しなくても簡単に稼働できます。また、管理コストが安価であることも特徴です。ただし、場合によってはロボットの稼動中は、ほかのパソコン作業ができないため、時間を工夫する必要があります。RPAツールをスモールスタートで導入したい場合や、RPAツールを使う予定の従業員が少ない場合に適しています。

2. サーバー型

サーバー型RPAは、企業のサーバー内に構築します。サーバーにインストールし、パソコンと接続してロボットを稼動させます。サーバー上で複数のロボットを管理でき、複数の業務を横断的に管理することが可能です。大規模な組織における、大量のデータを素早く処理することに適しています。一方で、デスクトップ型やクラウド型と比べてコストが非常に高い傾向にあります。

3. クラウド型

クラウド型は、クラウドベンダーが自社サーバー内で構築・管理運用して提供しているサービスです。インターネットに接続していれば、デバイスを問わずアクセスして利用することができます。リモートワークや複数OSでの利用にも柔軟に対応でき、リモートワークや複数OSでの利用にも柔軟に対応でき、費用も比較的安価です。

本記事はRPAツールを製造・販売する株式会社インテリジェンスワークス様に監修を頂きました。

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SiCウェハ

SiCウェハとは

SiCウェハとは、シリコンとカーボンの化合物でできた半導体材料です。

SiCはシリコンカーバイドと呼ばれており、シリコン (Si) とカーボン (C) が結合してできた化合物です。非常に高い耐熱性や耐摩耗性を有しており、耐化学薬品性にも優れています。半導体業界では広く利用されている材料です。

SiCウェハの使用用途

SiCウェハは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. パワーデバイス

SiCは電力エレクトロニクス分野で先進的な材料です。SiCによるMOSFET (メタル酸化物半導体フィールド効果トランジスタ) は、高電圧かつ高温条件下で動作が可能なスイッチングデバイスです。電力変換回路の効率向上に寄与し、エネルギー損失を最小限に抑えることができます。

また、SiCによるダイオードは高電圧下でも高速スイッチングが可能です。電力回路においてスイッチング損失を低減するのに役立ちます。インバータやパワーサプライなど、電力関係機器で広く使用されています。

2. 通信機器

SiCは高周波デバイスにも活用されます。通信機器やレーダーシステムで使用されるデバイスとして効率的に信号を処理し、精度の高いデータ伝送を実現します。SiCは高周波特性に優れており、高い信号品質を維持することが可能です。

3. センサー

SiCは高温耐性に優れているため、過酷な環境で活用できる電子デバイス製造に利用されます。SiCウェハによって高温センサーなどを製造することもでき可能です。これにより、エンジンや航空宇宙分野などにおいて、厳しい条件下での計測や制御が可能になります。

SiCウェハの原理

SiCはシリコンとカーボンが結合してできた化合物です。高温でも安定して動作し、耐摩耗性にも優れています。高電圧にも対応できるため、電力エレクトロニクスに適しています。

SiCウェハ内でシリコンとカーボン原子は、電子を共有することで結合しています。シリコンとカーボンはそれぞれ4価の元素であり、4つの電子対を共有して強い結合を形成する仕組みです。様々な結晶構造の製品があり、物理的な特性にも影響を与えます。

SiCウェハの製造は、まず高純度のシリコンとカーボンを原料として使用します。SiCの結晶を成長させるためには、PVT (Physical Vapor Transport) 法やHTCVD (High-Temperature Chemical Vapor Deposition) 法を利用することが多いです。これにより、高品質のSiC単結晶を製造することができます。

成長したSiC単結晶をウェハ状に切断します。高密度の電子デバイスとして活用するため、結晶平坦性や厚さが均一である必要があります。切断したSiCウェハはさらに研磨され、表面を平滑化することでデバイス性能を向上させることが可能です。

SiCウェハの選び方

SiCウェハを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. サイズ

ウェハの直径と厚さは、デバイスの製造プロセスや最終製品の特性に直接影響を与えます。ウェハの直径には100mmや150mmなどのサイズがあり、直径が大きいほど一度に製造できるデバイスの数が増えます。大直径のウェハは製造コストの低減に寄与しますが、取り扱いや処理の難易度も上がります。

厚さについては、通常1mm~3mmの範囲で選定されます。厚さが厚いほど機械的強度が高くなりますが、ウェハの加工や処理においてコストが増加する可能性があります。デバイスの使用条件や要求される性能に応じて、最適な厚さを選ぶことが重要です。

2. 品質

SiCウェハの表面品質や内部欠陥は、最終的なデバイスの性能や信頼性に直接影響します。表面が平滑であることは、デバイスの製造精度を向上させるために重要です。表面の粗さや欠陥が多いと、デバイスの電気的特性や機械的強度に悪影響を及ぼす可能性があります。

内部の欠陥や不純物も、デバイスの性能に影響します。高品質なウェハは内部の欠陥や不純物が少なく、信頼性が高いデバイスを製造することが可能です。品質検査や欠陥評価を徹底した製品を選定します。

3. コスト

SiCウェハは高価な材料であるため、コストは重要な要素です。コスト対性能比を考慮し、要求される性能と予算をバランスよく調整することが求められます。また、技術的なサポートが可能な供給元を選ぶことで、製造プロセスやデバイス設計における問題を効果的に解決できます。

系統用蓄電池

系統用蓄電池とは

系統用蓄電池とは、電力網に接続して使うための蓄電池です。

電力需要がピークに達する時間帯に合わせて電力を供給することで、ピーク負荷を平準化します。これにより、電力供給が過負荷にならないように調整する役割を果たします。ピークとなりやすい夏季昼間などでは電力料金も上がるため、高価なピーク時には蓄電池から電力を供給することで、コストを削減することができます。

また、ピークカットに活用すると同時に、突発停電に備えて電力を蓄えておく役割も果たします。特に病院やデータセンターなど、電力供給が途切れると重大な影響が出る施設では非常に重要です。蓄電池がバックアップ電源として機能することで、緊急時にも電力を維持し、施設の運営を継続することが可能です。

系統用蓄電池の使用用途

系統用蓄電池は以下のような用途で使用されます。

1. 電力会社

電力会社では、系統用蓄電池を負荷平準化のために活用しています。電力需要が最も高い時間帯に合わせて蓄電池から電力を供給することで、電力網の負荷を均等に保ち、過負荷や停電のリスクを軽減します。

また、再生可能エネルギーの統合にも利用されます。例えば、太陽光発電のように、変動が大きい再生可能エネルギー源から得た電力を蓄え、発電量が不足する時間帯にその電力を放出することで電力供給の安定性を保ちます。これにより、再生可能エネルギーの利用効率を向上させ、電力網全体の安定性を改善します。

2. 商業施設

大規模な商業施設やショッピングモールなどでは、電力料金が高くなるピーク時に合わせて蓄電池から電力を供給することで、電力コスト削減に活用します。停電時のバックアップ電源としても活用することが多いです。事業継続性を向上させつつ、電気代の削減にも寄与します。

3. 病院

医療機器は電力供給が途切れると深刻な影響が出るため、停電時に備えてバックアップ電源が必要です。したがって、系統用蓄電池を使用することも多いです。これにより、医療機器が常に稼働し続けることができ、患者の安全性を向上させることが可能です。

4. 通信設備

データセンターでは常に安定した電力供給が必要です。系統用蓄電池はバックアップ電源として機能します。これにより、サーバーのデータ損失やシステムダウンタイムを防止しつつ、電力需要のピークカットにも寄与します。

系統用蓄電池の原理

系統用蓄電池は、電力を化学エネルギーや機械エネルギーとして蓄える装置です。必要な時にそのエネルギーを電力として放出します。

一般的な蓄電池は化学エネルギーを蓄積しています。リチウムイオン電池や鉛蓄電池などがその一例です。化学反応によって電気を生成し、充電時には化学反応が進行して蓄電します。充電可能な電池を二次電池と呼びます。

機械エネルギーを蓄積する蓄電池には、フライホイール蓄電池や圧縮空気蓄電池などがあります。フライホイールは回転エネルギーを蓄える仕組みで、圧縮空気蓄電池はエネルギーを圧縮空気として蓄えます。堅牢な構造の場合が多く、産業界では利活用を検討されています。

系統用蓄電池の選び方

系統用蓄電池を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 蓄電容量

蓄電容量は、蓄電池がどれだけのエネルギーを蓄えることができるかを示す重要な指標です。蓄電容量が大きいほど、多くのエネルギーを蓄えることができるため、電力の需要に応じた長時間の供給が可能です。具体的な容量は、電力需要のピーク時にどれだけの電力が必要かを考慮して選定する必要があります。

2. 電圧

電圧は、蓄電池と接続する需要機器に合わせて選定します。12Vや48Vなどの電池が販売されていますが、高電圧が必要な場合には直列に繋いで実現可能です。

3. サイズ

設置場所における物理的な制約を考慮して、適切なサイズの蓄電池を選ぶ必要があります。コンパクトな設計やモジュール式蓄電池が優れていますが、高価なことが多いです。大型の蓄電池を設置する場合、事前に十分なスペースと設備を確保する必要があります。

接眼レンズ

接眼レンズとは

接眼レンズとは、光学レンズを使った顕微鏡や望遠鏡、双眼鏡などにおいて、人が目で覗く部分に取り付けられるレンズです。

顕微鏡では対物レンズと接眼レンズによって観察物体 (試料) を拡大して観察できます。接眼レンズは、対物レンズが結んだ中間像を拡大して観察するためのレンズです。接眼レンズは人が目で覗くレンズであることから、接眼レンズはアイピースと呼ばれることもあり、英語ではEyepieceまたはOcularで表現されます。

工業製品として販売されている接眼レンズは、多くは顕微鏡用です。一部に望遠鏡用の接眼レンズもあります。顕微鏡には国際規格や日本産業規格、日本顕微鏡工業会規格などがありますが、製品としては規格品として汎用性があるものではありません。通常はそれぞれのメーカーの顕微鏡の専用品として販売されています。

接眼レンズの使用用途

接眼レンズは光学レンズを使った顕微鏡などにおいて、必須となる部品です。顕微鏡において接眼レンズとともに使われる対物レンズとともに、観察物体 (試料) の像を拡大するために使われます。接眼レンズと対物レンズの組み合わせによって、倍率が決まります。一つの顕微鏡に対して複数の接眼レンズと対物レンズを用意することによって、拡大倍率を変更することが可能です。

また一般的な顕微鏡において接眼レンズは、鏡筒内にチリやホコリなどの異物が侵入することを防ぐ役割も果たすものです。顕微鏡の取り扱い方法として、接眼レンズを先に取り付け、後に対物レンズを取り付ける、逆にレンズを外すときには対物レンズを先に外し、次に接眼レンズを外すのが、正しい使い方とされています。

接眼レンズの種類

顕微鏡に用いられる接眼レンズには、以下の種類があります。

広視野接眼レンズ

広視野レンズは視野数が20~22のものをいいます。視野数とは、接眼レンズで見る中間像の直径をmm単位で示したものです。視野数が大きいほど、試料の広い範囲を観察していることになります。

超広視野接眼レンズ

視野数が25以上の接眼レンズのことです。高倍率での観察においては、試料のどの範囲を観察しているのかを把握することが、特に重要になるため、超広視野接眼レンズによって観察しやすくなります。

ヘリコイド付き接眼レンズ

ヘリコイドとは螺旋体のことで、視度調整機能を有していることを意味するものです。ダイアルを回転させて視度を調整するピント機構があります。方眼やクロス線などが記された焦点板も併せて取り付けられており、観察者が焦点板に記されたパターンがはっきり見えるように調節することによって、近視や遠視の観察者でも眼鏡をかけずに観察ができます。

接眼レンズの選び方

接眼レンズは顕微鏡メーカーや製品ごとに、専用の接眼レンズが用意されています。それぞれの接眼レンズの性能については、鏡胴面に記されているのが一般的です。

種類

 記号で示され、例えば「W」は広視野、「H」はハイアイポイントといい、接眼レンズから離れていても観察できるため、眼鏡をかけたままでも観察しやすいレンズです。

倍率

対物レンズが結像する中間像を眼で見る時の倍率を示したものです。数字にxを続けた、例えば10xなどと表記されます。

視野数 

接眼レンズで見る中間像の直径をmm単位で示したものです。FN (Field Number) でも表示されます。視野数には15,18,20,22,25,26.5などがあります。

眼鏡の使用可否

眼鏡をかけたまま使用できるレンズには、眼鏡の形状を模した記号が付いています。

接眼レンズのその他情報

接眼レンズの鏡筒サイズ

接眼レンズは汎用品ではなく、メーカーや顕微鏡個々の専用品として、異なる倍率などの製品が用意されています。ただし接眼レンズの鏡筒と、接眼レンズを取り付けるスリーブの内径の寸法は、ISO 10937、「JIS B 7143 顕微鏡接眼レンズと接眼スリーブとのはめあい部」によって、基準寸法が23.2mmまたは30mmに規定されています。

ポータブル電源

ポータブル電源とは

ポータブル電源とは、内蔵されているバッテリーに電気を蓄え、様々な電化製品・電気機器に給電するために使用される電源装置です。

AC電源コンセントの差込口を複数備えており、携帯電話や身の回りの一通りの電化製品など、普通の壁付けコンセントと同じ感覚で給電することが可能です。災害時などの非常時に使用される他、キャンプやアウトドアなど、壁付けコンセントのない場所で使用されます。感覚的にはモバイルバッテリーと同様の仕組みですが、モバイルバッテリーよりも大きく、遥かに容量の大きい製品です。発電機と異なり、充電/放電で動作するため、発電機能はありません。

ポータブル電源の使用用途

ポータブル電源の主な用途には下記のようなものがあります。

  • 停電時の非常用電源として電力を確保する
  • 災害時の避難生活で電源として使用する
  • キャンプやアウトドアで電源として使用する
  • 車中泊で電源として使用し、電気を使う
  • 太陽光発電から充電した電源として使用し、節電に活用する

主には、電源のない場所で安定した電源を確保するために使用されます。例えば、停電時には、暖房器具 (冬) や、扇風機やポータブルクーラー (夏) などを稼働させたり、電気ケトルや電子レンジなどで簡易的に調理を行ったりすることが可能です。

また、キャンプ・アウトドアシーンでは、

  • スマートフォンを充電する
  • 照明器具で灯りをとる
  • 調理を行う
  • DIY機器を稼働させる
  • ポータブルクーラーを稼働させる

などにより、便利に使用することができます。

ポータブル電源の原理

ポータブル電源には現在主に下記の2種類のリチウムイオン電池が使用されています。

  • コバルト系・三元系 (NCM) のリチウムイオン電池
  • リン酸鉄リチウムイオン電池 (LiFeP04)

通常、概ね200Wh/20Ah (20,000mAh) 以上の容量があります。これは、モバイルバッテリーの数倍から数十倍です。 大型であり、モバイルバッテリーのようにポケットやカバンに入れて持ち運ぶことは難しくなっています。

本体にはインバータが内蔵されており、直流電力から交流電力へ変換することで電気を供給する仕組みとなっています。家庭用のACコンセントや車のシガーソケット、ソーラーパネルで充電が可能です。蓄えられた電力は、AC出力、シガーソケットのDC出力、USB-A・USB-Cなどの端子により、中小規模な電化製品と接続して給電することが可能です。

ポータブル電源の選び方

1. 容量

ポータブル電源は、様々な容量の製品があります。容量が大きくなるほど、サイズ・重さ・価格が上がるため、用途に合った適切なものを選択する事が必要です。用途別の主な目安は下記の通りです。

  • 日帰りのアウトドア: 200Wh~
  • 宿泊するキャンプ:  500Wh~
  • 災害や停電時における非常用電源:  1,000Wh~

2. 充電

主には、ACコンセントや、ソーラーパネルからの充電が可能です。それ以外では、シガーソケットやUSBポートからの充電に対応したモデルもあります。車中泊など、車内での充電や、屋外での充電を利用シーンとしているかなどが選定要素となります。

3. 消費電力

ポータブル電源に接続して使用する電化製品の消費電力が、ポータブル電源の定格出力を超えると、電化製品の運転が止まってしまいます。ポータブル電源を選定する際は、使いたい機器の消費電力を確認することが必要です。接続機器の上振れ幅を見越して、ポータブル電源は1ランク上の出力製品を選ぶことが良いとされます。例えば、接続機器側消費電力が1,000Wの場合、ポータブル電源側は出力1,500W以上のものが適切です。

4. 出力数・安全性

出力ポートは、AC100Vコンセント、USB、シガーソケットなど必要なものが備わっているかどうか、必要な数が足りているか、確認することが必要です。特に、災害時の使用を想定している場合、人数分のスマートフォンが充電できるかや、暖房器具を使いながら電気ケトルが使用できるか、など具体的な使用シーンを想定しながら適切なものを選択することが必要となります。

安全性の上では、電気用品安全法 (PSE) マークがあるか、防災製品等推奨品認証を取得しているかなどが目安になります。充電可能回数も事前に確認しておくと安心です。

和紙壁紙

和紙壁紙とは

和紙壁紙とは、伝統的な製法で作られた和紙を用いて製造された壁紙 (クロス) 製品です。

やわらかな風合いに優れており、天然素材を漉き込んだり、伝統的な土壁風の意匠を用いたりと、製品によってそれぞれ個性ある雰囲気づくりが可能です。また、機能性にも優れており、調湿作用、調光効果、吸音効果などを期待することができます。

和紙壁紙の使用用途

和紙壁紙は、インテリアに和風の風合いを持たせたい場合に使用されることが多いです。全体的に光の反射も明るくなり、柔らかい印象になります。

和室に使用すると、襖や障子、調度品と統一性の取れた、美しい空間を演出することができます。また、吸音性や調湿作用があるため、寝室にも適しています。リビングをはじめとするフローリング貼りの洋室に使用すると、和洋折衷のモダンな印象の空間づくりが可能です。アクセントクロスのように色を切り替えて使用する方法も効果的です。天井に施工することで、照明の光を柔らかく反射させる使用方法もあります。

ただし、和紙壁紙は水には弱く、水性汚れや油汚れはシミになります。そのため、水回り全般や、ペットのいるお部屋や子供部屋などの汚れやすいお部屋にもあまり適していません。トイレなどの匂いがこもりやすい場所も、壁紙が匂いを吸着してしまうので避けたほうが良いとされています。

和紙壁紙の原理

1. 原料

代表的な伝統的和紙の原料は、楮 (コウゾ) 、三椏 (ミツマタ) 、雁皮 (ガンピ)です。コウゾは、クワ科の植物で1年に約2~3メートルにもなり、毎年収穫できる素材です。維が長くて太く、丈夫な紙ができます。ガンビは栽培が難しいため、自然のものが原料にされています。繊維が細く、強くて粘りがある素材です。ミツマタは、原料として収穫できるまでに3年ほどかかりますが、繊維が丈夫で細くつやがあります。

また、ケナフや亜麻など非木材紙を原料としたクロスも製造されています。ケナフは、成長が非常に早く短期間で多くの収穫が可能です。木の5倍以上の炭酸ガスを大量に吸収して固定する環境改善作物でもあります。上質で強く、風合いの良い紙を作ることができます。

その他、麻、イネワラ、オクラ、竹幹、熊笹、竹皮、炭などが原料として使用されることがあります。

2. 性質

和紙には和紙の繊維が手触りの優しさや絶妙な色合いがあり、独自の質感による美しさがあります。自然素材であることから、燃やしても有害ガスが出ることがなく、土に埋めればそのまま自然に還ります。また、化学的な処理を最小限に抑えた製造工程により、ホルムアルデヒドをはじめとする化学物質の放散も無く、シックハウス症候群の恐れがありません。

機能面では、

  • 調湿作用
  • 調光効果
  • 保温効果
  • 吸音効果

などの効果が期待できます。調湿作用により結露やカビが発生しにくく、夏は涼しく冬は暖かく過ごすことができ、 繊維が光を乱反射させるため照明の灯りや太陽光も柔らかく感じられます。

和紙壁紙の種類

1. 概要

和紙壁紙には様々な種類の和紙が使用されます。前述の通り様々な原料が用いられている他、色合いも白系、茶色系、灰色系、緑系、青系など様々なものがあります。また、金箔入や熊笹入りなど、異素材を漉き込んだものを選択することも可能です。

和紙壁紙で用いられている代表的な種類には、土佐和紙、柿渋和紙、漆和紙などがあります。

2. 土佐和紙

土佐和紙とは、高知県土佐市で作られる伝統的な和紙です。古い起源を持ち、平安時代より作られてきたと言われています。日本の伝統工芸品として指定を受けており、土佐和紙を代表する「土佐典具紙 (とさてんぐし) 」と「清帳紙 (せいちょうし) 」は国の無形文化財にも指定されています。

和紙壁紙としては様々な色が用意されており、麻や藁などを漉き込んだものも選択することが可能です。

3. 柿渋和紙

柿渋和紙は、柿渋を塗った和紙素材です。柿渋とは、未熟な青柿の汁を発酵させて作られた液で、古い柿渋は塗料に適しており、色が濃く艶のある仕上がりになります。

和紙に柿渋を塗ることで、耐久性を高めることが可能です。 また、松煙墨や、赤色顔料のベンガラを混ぜる場合もあります。柿渋には、防虫、抗菌、防腐、消臭、防水など、様々な効果があり、柿渋和紙にもこれらの効果が発揮されます。

4. 漆和紙

漆和紙とは、コウゾを主原料とした和紙に、漆を塗ったものです。非常に強い和紙を作ることができます。

漆和紙の壁紙は、濃い目の色が多く、華やかで重厚な雰囲気をも演出することが可能です。また、表面が立体的になっているため、明かりが当たると陰影を楽しむこともできます。