ケーブル保護チューブ

ケーブル保護チューブとは

ケーブル保護チューブとは、ケーブルやハーネスを保護するための製品です。

ケーブル保護チューブは外部の衝撃や摩耗からケーブルを保護します。例えば、工場内で機械に触れる部分や、頻繁に移動する機器の配線部分に使用されることで、ケーブルが引き裂かれたり擦れたりするのを防ぎます。これにより、ケーブルの断線や損傷が減り、長期間にわたって安定した動作を保つことが可能です。

また、化学耐性を持つケーブル保護チューブは、化学薬品が飛び散る可能性のある環境でも特に有効です。製造業や研究所での使用において、油や酸、アルカリに曝露されてもケーブルを保護して化学的な損傷を防ぎます。これにより、ケーブルの劣化を遅らせ、保守の頻度を減少させることが可能です。

ケーブル保護チューブの使用用途

ケーブル保護チューブは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 製造業

製造業では生産ラインの機械・装置の配線に使用されます。これらの配線は日常的に摩耗や衝撃にさらされるため、ケーブル保護チューブの役割が重要です。機械の移動部分やコンベア付近での配線を保護チューブで覆い、摩耗や断線から保護して故障を防ぐことが可能です。

2. 電気・通信業

地下に埋設された電力ケーブルや通信ケーブルは、物理的および化学的ストレスにさらされます。したがって、これらを湿気や土壌中の化学物質から保護する必要があります。ケーブル保護チューブによってこれらを覆うことで、長期間にわたって安定した電力供給。通信を維持することが可能です。ケーブル自体に保護チューブを施したコルゲートケーブルを使用されることも多いです。

3. 農業

農業分野では、ケーブル保護チューブが農業機械や施設での配線保護に使用されます。灌漑設備や温室内照明設備では、ケーブルが湿気や農薬にさらされることがあります。これらの環境に対応するため、耐水性や耐薬品性のあるケーブル保護チューブで保護することが必要です。

ケーブル保護チューブの原理

ケーブル保護チューブの主な原理は、ケーブルを物理的なダメージから保護することです。ケーブルの外側を覆い、摩耗や衝撃などの物理的ストレスからケーブルを保護します。たとえば、工場の機械部分などで鋭利な物体と接触するのを防ぎます。

チューブの材質はポリ塩化ビニルやナイロン及びテフロンなどです。ポリ塩化ビニルは耐水性や耐薬品性に優れたプラスチック素材で、柔軟性があり曲げやすい点が特徴です。ナイロンは高い耐摩耗性や耐薬品性を有し、耐久性が高い素材です。テフロンは耐熱性と耐摩耗性が高く、広範囲な温度に対応できます。

上記の通り、保護チューブの表面は一般的に樹脂素材で構成されます。これは、樹脂素材が電気的な絶縁性を有するためです。絶縁材料を使用することで、ケーブルが漏電やショートなどによって故障するのを防ぐ役割を果たします。

ケーブル保護チューブの種類

ケーブル保護チューブは以下のような種類が存在します。

1. プラントチューブ

プラントチューブは、金属製の渦巻状配管の外側をポリ塩化ビニルやポリエステルなどの素材で保護した柔軟なチューブです。内部に金属素材を使用しているため、ケーブルを物理的損傷や摩耗から保護することが可能です。工場などにおいて広く使用されています。

2. 波状樹脂管

波状樹脂管はポリオレフィンやナイロンなどで作られた、波状の表面を持つ樹脂製チューブです。波状の構造によってケーブルが曲がる際の摩擦を軽減し、チューブの柔軟性を向上させます。地中埋設配管などで広く利用されます。

3. スパイラルチューブ

スパイラルチューブはポリオレフィンやナイロンなどの樹脂で作られた、スパイラル状に巻かれたチューブです。スパイラル構造によってケーブルを束ねて保護することが可能であり、ケーブルを効率的に整理し、摩耗や振動から保護する役割を果たします。配線が電気パネルや配電盤内などで広く利用されます。

4. 熱収縮チューブ

熱収縮チューブは加熱すると収縮する特性を持つチューブです。チューブは加熱されることで収縮し、ケーブルや接続部品にしっかりと密着します。これにより、ケーブルを保護しつつ絶縁することが可能です。

操作用変圧器

監修:ヒラヰ電計機株式会社

操作用変圧器とは

操作用変圧器とは、機器の操作や表示に使用される変圧器です。

変電所や配電所などの電気設備は、一般的に3,300V以上の高電圧で電気を取り扱います。これに対し、操作・表示するための電気回路は200V以下の低電圧を使用することが多いです。操作用変圧器を使用することで高電圧を低電圧へ変換し、操作・表示に適した電圧へ変換することが可能です。

また、変圧器によって高電圧と低電圧の部分が物理的に隔てられ、電気的なショートやアーク放電のリスクが大幅に減少します。結果として、高電圧に触れる危険がなくなり、取り扱う際の安全性を向上させることが可能です。様々なサイズや形状で販売されているため、設置場所や用途に応じて適切な機器を購入することができます。

操作用変圧器の使用用途

操作用変圧器とは、機器の操作や表示に使用するために電源を供給する電源変圧器です。

代表的な使用例は電気設備の保守や運営において回路を開閉する場合や、系統側で異常が発生した際瞬時に事故箇所を切り離す遮断器を駆動させる電源供給です。

その他の用途として、高圧受電設備 (キュービクル) や配電盤内の電灯等、柱上開閉器や地中開閉器などに用いられるトリップコイル駆動用として、高圧モーターの始動盤、高圧電磁接触器等にも用いられます。利用している業界は多岐にわたり以下はその一例です。

1. 電力業

電力業界では発電所や変電所で重要な役割を果たします。発電所から送電される高電圧の電力は、操作回路が使用できる低電圧に変換する必要があります。操作用変圧器によって操作回路に対して安定した電力を提供することが可能です。

2. 製造業

製造業では、操作用変圧器が工場設備で欠かせない役割を有します。操作用変圧器によって高電圧を計装回路が要求する低電圧に変換し、適切な電圧で供給する役割を担います。これにより、機械の安定した動作が確保され、製造プロセスを安全かつ効率的に操作することが可能です。

3. 通信業

通信業では、操作用変圧器が通信機器やデータセンターでの制御に不可欠です。サーバーなどの機器は、低圧電圧の供給を必要とする機器がほとんどです。変圧器によって通信機器が要求する電圧まで降圧させて供給し、データ通信の信頼性を確保します。

操作用変圧器の原理

操作用変圧器の基本的な原理は、通常の変圧器と同様に電磁誘導です。変圧器は電磁誘導を利用して高電圧から低電圧へ変換する仕組みです。構造としては、一次コイルと二次コイル、コアによって構成されます。

一次コイルは変圧器の入力側に位置し、交流電流が供給されることで磁界を生成し、コアを通じて二次コイルに伝えます。コアは鉄などの高透磁率材料で作られており、二次コイルへ高効率に磁界を伝達します。二次コイルはコアから供給された磁界に応じて電圧を発生させる仕組みです。

コイル同士が混触しないために、一般的な変圧器ではコイルと鉄心は絶縁体で保護されています。絶縁体にはニスや樹脂、油紙などを使用します。これにより、コイルとコアの間で電気的なショートや漏れ電流の発生を防ぎます。

操作用変圧器にはモールド型が多く採用されます。モールド変圧器はコイルやコアが絶縁樹脂で完全に密封された構造です。油を使用しないため、コンパクトかつ安全性が高く、メンテナンスの必要も少ない点が特徴です。

操作用変圧器の選び方

操作用変圧器を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 変圧比

変圧比は、一次側と二次側の電圧の比率を示します。変圧器が変換する電圧を決定する指標であり、一次コイルと二次コイルの巻数比によって決定するパラメータです。操作回路電圧と合致する変圧比の機器を選定することが重要です。

2. 容量

変圧器の容量は、変圧器が処理できる電力の最大値を示す指標です。一般的にはボルトアンペア (VA) やキロボルトアンペア (kVA) などの単位で表示されます。変圧器が過負荷状態とならないように選定することが重要です。

容量が不足すると変圧器が過負荷状態になり、温度が上昇して故障の原因となります。大きすぎる容量を選ぶと、変圧器のコストが高くなり、損失電力も高くなるため経済的ではありません。適切な容量を選定するためには、使用する機器やシステムの電力要求を正確に把握する必要があります。

3. サイズ

サイズは変圧器の物理的な寸法と重量を示します。設置場所のスペースなどを考慮して選定する必要があります。大きな容量の変圧器ほど一般的にサイズも大きくなりますが、設置スペースに収まるかを確認することが重要です。

本記事は操作用変圧器を製造・販売するヒラヰ電計機株式会社様に監修を頂きました。

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超硬加工

超硬加工とは

超硬加工とは、非常に硬い金属材料を加工する技術です。

主に炭化タングステンや炭化チタンなどの硬質金属炭化物をコバルトやニッケルなどの鉄系金属で焼結して作られる合金、いわゆる超硬合金を対象とします。これらの材料は標準的な方法では加工困難ですが、超硬加工技術を使用することで高精度な加工が可能です。

超硬材料は非常に硬く、一般的な材料に比べて摩耗に対する耐性が極めて高いです。これにより、加工品を長期間使用できるため、頻繁な交換やメンテナンスの必要が減ります。結果として、コスト削減や生産効率の向上に寄与します。

超硬加工の使用用途

超硬加工は様々な産業で使用されます。以下はその一例です。

1. 鉱業

鉱業では、超硬加工が採掘ツールや破砕機の部品に活用されることが多いです。ドリルビットやカッターは、非常に硬い鉱石を効率よく破砕するために超硬加工で製作されます。これにより、ツールの寿命が延びるため、採掘作業の効率が向上しつつコスト削減に寄与します。

2. 金属加工業

金属加工業では高硬度の金属・合金を扱う際に重要な技術です。ドリルやエンドミルなどは超硬素材で作られることが多く、硬い金属や合金を効率的に切削することができます。耐摩耗性も高く、長期間の使用にも耐えるため、工具の交換頻度が低くなります。

3. 金型製造業

プラスチックや金属の成形に使用される金型は、高精度で長寿命である必要があります。超硬加工により、これらの金型を精密に製造することが可能です。プラスチック成形用金型やダイキャスト金型などを超硬加工によって高精度で製造することで、様々なニーズに対応することが可能です。

4. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では部品の性能と信頼性が極めて重要です。非常に過酷な環境条件に耐える必要があるため、超硬加工が重宝されています。

一例としては、航空機エンジンのタービンブレードです。高温・高圧の条件下で動作するため、耐熱性と耐摩耗性が求められます。超硬加工により、これらの部品を高精度で加工することで、長期間の耐久性を実現します。

超硬加工の種類

超硬加工にはいくつかの方法があります。超硬合金はその硬度と耐摩耗性から、切削工具や研磨工具、穴空けドリルなどの工具として広く使用されています。

1. 研削加工

ダイヤモンドを含んだ砥石を使用して、超硬合金を削る方法です。平面研磨や円筒研磨などがあり、高精度な仕上げが可能です。

2. 放電加工

電極と金属材料の間で放電を繰り返し、目的の形状以外の部分を溶かしながら加工します。複雑な形状の加工に適しています。

3. ラップ加工

ダイヤモンドパウダーなどのラップ材を使用して、超硬合金の表面を磨く方法です。高精度な表面仕上げが可能です。

4. 切削加工

ダイヤモンドなどの高硬度金属でできた工具を使用して、超硬合金を削り取る方法です。時間短縮が可能ですが、コストが高くなります。

超硬加工の原理

超硬加工は、ダイヤモンド等を用いて超硬合金を高精度で加工するための技術です。まず、超硬材料そのものが非常に高い硬度と耐摩耗性を持ち、加工対象が硬い場合でも効率的に切削が可能です。特にタングステンカーバイドやコバルト合金が多く使用されます。

超硬加工に使用する工具は、粉末冶金というプロセスで製造されます。タングステンカーバイドなどの粉末と、コバルトなどのバインダーを混合し、非常に高温で焼結します。焼結によって粉末が固化しつつ所定の形状に成形され、さらに高精度に研削することで製造される仕組みです。

ただし、超硬材料は非常に硬い性質から脆い面を持つことがあり、過剰な衝撃や荷重によって割れやすくなることがあります。そのため、取り扱いや加工時には十分な注意が必要です。

超硬加工サービスの選び方

超硬加工を代行するサービスを提供する企業も存在します。以下はそれらのサービスを選定する際の要素の一例です。

1. 対象材料

超硬加工業者を選定する際には、どのような素材に対応しているかを確認することが重要です。特定の素材に特化した技術・設備を有する企業が望ましいです。素材の特性に対する理解が深いことも確認します。

2. 加工精度

加工精度は超硬加工の品質に直結する重要な要素です。高精度な加工が必要な場合、使用する機械や設備の精度を確認する必要があります。過去の対応実績やサンプルをチェックし、実際にどれだけの精度を有するかを評価することも有効です。

3. 信頼性

サービス企業の信頼性は、プロジェクトの成功において重要な要素です。業界内での評判や信頼性を調査して評価する必要があります。業界団体への参加や認証、受賞歴なども信頼性の指標となります。

また、顧客サポートやアフターサービスの品質も確認することが重要です。問題発生時の対応やサポート体制が整っている場合、安心して依頼することができます。過去の納期実績や管理能力を調査し、遂行能力を確認することが大切です。

4. 価格

価格とサービスのバランスを考える必要があります。見積もりの詳細を確認し、価格に含まれるサービスや品質保証の内容を把握することが重要です。

チタン3Dプリンター

チタン3Dプリンターとは

チタン3Dプリンターとは、チタンを造形材料として使用する金属3Dプリンターの一種です。

チタンは、チタンは軽量で強度が強く、高耐食性、耐熱性、生体適合性などに優れることから、航空・医療用途を中心に様々な産業分野で3Dプリントに使用されています。チタンの3Dプリントは、チタン対応の一般の金属3Dプリンターが用いられる場合と、チタン専用の3Dプリンターが用いられる場合とがあります。

チタン3Dプリンターの使用用途

チタンは、強度と耐蝕性、耐熱性に優れ、軽量で生体適合性のある金属です。そのため、様々な産業で3Dプリンターに使用されています。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 航空宇宙産業: ジェットエンジン部品
  • 自動車製造: サスペンション部品、ブレーキペダル、マニホールドなどの各種部品、レースカーフレーム
  • 自転車製造: クランク、ブレーキハンドル、ステム、ディレイラーハンガー、フレーム
  • 医療: 人工関節・プレート・インプラント (脊椎、股関節、膝、四肢) や外科用具
  • 歯科用インプラント
  • 精密製品、電子部品: 時計ケース、スマートフォン部品
  • 治具・各種カスタム部品
  • ホビー・工芸品

工業製品においては、各種部品をチタン製にすることで製品の軽量化を図ることが可能です。また、医療業界においては、チタンの生体整合性を活かして患者一人ひとりに合ったチタン製インプラント・人工関節をプリントすることが可能です。脊椎、股関節、膝、四肢などの様々な分野で利用されています。3Dプリントによる多孔質構造によって骨との統合を可能とする特徴があります。

チタン3Dプリンターの原理

1. チタンとは

チタンは下記のような特徴のある金属です。

  • 軽量: 比重4.7g/cm3
  • 高強度
  • 高耐食性: 海水や塩水に強く錆びにくい
  • 耐熱性材料: 溶融温度1,660℃
  • 熱伝導率が小さい
  • 非磁性体
  • 生体適合性

このような特徴から、チタンは実用に耐える強度を持った金属部品として、様々な分野で活用されています。

2. チタンの3Dプリントの方法

チタンの3Dプリントは、主にレーザーパウダーベッド (粉末焼結) 、電子ビームパウダーベッドなどの方法で行われます。レーザーパウダーベッド融合 (LPBF) は、高出力レーザーを使用して金属粉末を加工する方法です。10μm〜60μm程度の小さな球状の粉末を敷き詰め、敷き詰めた粉末に電子ビームやレーザーを照射し、必要な部分のみを溶かして固めていき、形を造形します。

電子ビームパウダーベッド融合 (EB PBF) は、電子ビーム溶解 (EBM) とも呼ばれます。レーザーの代わりに、より高出力の電子ビームを使用します。

航空機部品や医療用インプラントの製造おいて、これらのパウダーベッド方式が使用されます。一方でバインダージェット (結合剤噴射) は、より小さな医療器具の製造に使用される方法です。

その他のプリント方法には、直接エネルギー堆積 (DED) 、迅速プラズマ堆積 (RPD) 、などの方法があります。

チタン3Dプリンターの種類

1. 概要

チタン3Dプリンターには複数のプリント種類の製品があります。代表的なものは下記の通りです。

  • 粉末焼結  (パウダーベッド融合)
  • 結合剤噴射 (バインダージェット) 
  • 電子ビームパウダーベッド融合 (EB PBF)
  • コールドフージョン
  • 材料押出方式

また、それ以外にも金属粉末射出成形方式を応用した独自技術の製品などもあります。また、医療用にインプラントを造形するには、規制当局による承認を受けたものを使用することが必要です。

2. チタン合金の種類

チタン合金には様々な種類があるため、用途に合わせて選択し、対応しているプリンターを選択することが必要です。主なチタン合金の種類は下記の通りです。

  • チタン6Al-4V、グレード5: 最も一般的なチタン合金3Dプリント材料です。航空宇宙や自動車分野などでの使用に適しています。
  • チタン6Al-4V、グレード23: 生体整合性があり医療用インプラントや義肢に一般的に使用されます。
  • チタンベータ21S: 強度、酸化抵抗性、クリープ抵抗性に優れています。医療用インプラントや航空機エンジン用途に最適です。
  • Cp-Ti (純チタン)、グレード1、2: 人体との生体適合性が高いため、医療分野での使用が一般的です。
  • TA15: アルミニウムとジルコニウムを添加した近アルファチタン合金です。高い比強度、耐荷重性と耐温性により、航空機やエンジン製造などに用いられます。

遠赤外線ヒーター

監修:ササキテック株式会社

遠赤外線ヒーターとは

遠赤外線ヒーターとは、遠赤外線による放射伝熱を利用して対象物を加熱する装置です。様々な産業・工業分野において、各種加熱・乾燥工程に広く使用されています。暖房器具として家庭用に使用されることもあります。

ヒーターから放出された遠赤外線は、空気中を透過して直接対象物に吸収され、物体中の分子を振動させることにより加熱します。プラスチック、ゴム、塗料、樹脂、食品など、様々な素材の物質・製品を加熱することができます。

遠赤外線ヒーターの使用用途

遠赤外線ヒーターは、様々な産業・工業分野の各種加熱・乾燥工程に広く使用されています。

主要な各産業における主な用途は下記の通りです。

  • 電気・電子工業: 液晶ガラスの印刷後の加熱・乾燥、洗浄後の乾燥、太陽電池の製造工程の加熱・乾燥、抵抗および導電ペースト、蛍光膜、プリント基板の乾燥
  • 情報産業: 半導体製造における加熱・焼成・乾燥、デバイス・磁気テープなどの製品の加熱
  • 機械・金属産業: 鋳型の乾燥、機械工具および部品などの塗装乾燥、カラー鋼鈑の焼付け
  • プラスチック工業: インフレーションフィルムの加熱、フィルムのコーティング乾燥、原料粉末、ペレットの乾燥、成型前予熱、塗装乾燥
  • バイオテクノロジー工業: 医療容器の洗浄乾燥、医療機器の硬化剤加熱
  • 自動車産業: 車体、部品の塗装焼付け、金属部品の接着塗装乾燥
  • 印刷・紙産業: 各種印刷の乾燥、紙の水分乾燥、刷板のバーニング処理
  • 食品産業: 食品の乾燥、焼付

遠赤外線ヒーターの原理

1. 遠赤外線の加熱の仕組み

赤外線は電波や可視光線などと同じ電磁波の一種で、可視光線よりも波長が長い目で見ることのできない電磁波です。赤外線の波長範囲である0.8μm 〜 1,000μm のうち、波長が3μm より長い範囲を遠赤外線と呼びます。

遠赤外線による物体の加熱とは、すなわち遠赤外線の吸収によって物体を構成する分子を振動させることを指します。私たちの身の回りの多くの物体(プラスチック、ゴム、塗料、繊維、食品などの高分子物質)は、2.5μm 〜 30μm の波長領域に吸収帯を持つため遠赤外線はこれらを効率よく加熱することができます。なお、金属の加熱には適していません。

2. 遠赤外線ヒーターの機構

遠赤外線ヒーターは内部に電熱線などの発熱体を封入し、表面にセラミックス物質などの遠赤外線放射素材を用いることが一般的です。電熱線に通電するとセラミックス表面温度が数百度に高まり、遠赤外線を放射します。

遠赤外線ヒーターの種類

業務用遠赤外線ヒーターには様々な形状の製品があります。面状ヒーター(パネルヒーター)のほか、棒状ヒーター (シーズヒーター) 、ランプ状ヒーターなど、用途に合わせて様々なものを選択することが可能です。

また、クリーンルームでの使用を想定した、特殊表面加工セラミックスによって発塵しない高機能製品もあります。

本記事は遠赤外線ヒーターを製造・販売するササキテック株式会社様に監修を頂きました。

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産業用モーター

産業用モーターとは

産業用モーターとは、工場や生産施設などの産業用途で使用される電動機です。

産業用モーターは工場環境で使用されることを想定しているため、過酷な作業環境で長時間の連続運転に耐えるように設計されていることが多いです。強固な構造材や耐腐食性の部品が使用され、機械的な摩耗や振動に対して高い耐性を有します。したがって、故障が少なく、メンテナンスの頻度も低い点が特徴です。

したがって、産業用モーターは信頼性の高い駆動源として、様々な産業分野で不可欠な存在となっています。

産業用モーターの使用用途

産業用モーターはほとんどの産業で利用される重要な機器です。以下はその用途の一例です。

1. 機械加工業

機械加工業において、産業用モーターは中心的な役割を持つ機器です。加工機械では旋盤やフライス盤などの工作機械に搭載され、精密加工の駆動源として活用されます。これらの機械は高精度な動作が必要なため、安定したトルクと回転速度を有する産業用モーターが不可欠です。

2. 化学産業

化学産業では、産業用モーターがポンプや冷却装置に使用されます。ポンプは化学薬品を安全に移動させるために重要な設備であり、腐食性の液体や高圧条件に耐えるために堅牢な産業用モーターが使用されます。冷却装置には冷却ファンやコンプレッサーを内蔵していますが、ほとんどの場合は駆動源が産業用モーターです。

3.物流

物流業では、産業用モーターがコンベアやエレベーターに使用されます。コンベアは倉庫や物流センターで荷物を効率的に運ぶための装置で、モーターがコンベアのベルトやチェーンを駆動します。これにより、荷物を自動化で移動でき、作業効率を向上させることが可能です。

エレベーターやリフトも、物品や荷物の昇降に使用される重要な機械です。産業用モーターを使用することで、荷物を安全かつ効率的に上下移動させることができます。

4. 医療

医療業界では、産業用モーターが診断機器や手術機器に使用されます。MRIやCTスキャンなどの診断機器は精密な動作が必要なため、サーボモーターやステッピングモーターなどの産業用モーターで駆動する場合も多いです。また、手術ロボットの駆動装置にも精密動作が可能な産業用モーターを使用します。

産業用モーターの原理

産業用モーターの基本的な動作原理は、磁場の生成とその相互作用に基づきます。

モーターはステーターと呼ばれる固定された部分と、ローターと呼ばれる回転部分から構成されています。ステーターにはコイルや永久磁石が主要部品で、ローターに対して磁場を生成する役割を担います。ローターにも電流が流れるコイルや永久磁石が設置されており、ステータの磁場とローターの磁場との相互作用が、ローターを回転させる仕組みです。

電源の種別により、ステーターが生成する磁場の種類が異なります。交流電源を使用する場合は、ステータが生成する磁場は電源周波数に基づいた回転磁界です。回転磁界の回転に合わせてローターが回ります。

ブラシ付き直流モーターなどの場合は、ステータに定方向の磁場が生成されます。ローターに流れる電流を整流子などで可変させることにより、ローターが回転します。

産業用モーターの種類

産業用モーターには以下のような種類が存在します。

1. 誘導モーター

誘導モーターは電磁誘導に基づいて動作する産業用モーターです。ステーターに流れる交流電流によって回転磁場が生成され、ローターに誘導電流を生じさせて回転させます。ローターとステータ共にコイルで構成されており、故障部品が少なく堅牢な点が特徴です。産業用モーターの大部分はこの誘導モーターです。

2. 同期モーター

同期モーターは、ステーターの回転磁場とローターの回転が完全に同期するように設計されたモーターです。ローターには永久磁石を埋め込むことが多く、精密動作が可能な点が特徴です。この特徴から、精密加工機用のサーボモーターなどの用途で広く利用されます。

3. 直流モーター

直流モーターは、直流電流を使用して動作するモーターです。ブラシ・整流子によってローターの電流方向をスイッチングして動作し、可変速が容易な点が特徴です。また、バッテリーなどの電源をそのまま活用できるため、可搬式の装置の駆動源に適しています。この特徴から、電動工具や路面電車に活用されることが多いです。

コーススレッド

監修:株式会社大里

コーススレッドとは

コーススレッドとは、主に木工用のねじの一種であり、木材と木材同士を高い締結力で固定したい場合に多く用いられます。

コーススレッドの名称のコースは「粗い」、スレッドは「ねじ山」を意味する用語であり、コーススレッドとは粗目ビスということにまります。コーススレッドは、釘の代替えになる締結用部材です。

コーススレッドは木ねじで必要となる下穴加工が不要であったり、熱処理によって硬く強度もあることから、インパクトドライバーを使用することもできます。ねじが粗いことによって1回転で進む深さも長いため、作業を効率的に進めることができるねじ部品です。

コーススレッドの外観上の一番の特徴は、細長いねじであり、使用する際には適切な長さを選択する必要があります。全ねじタイプと半ねじタイプの使い分けにも、注意が必要です。

コーススレッドの使用用途

コーススレッドは主に、木材を使った建築工事で多く使われます。

木材

特に2×4や2×6といったツーバイ材を用いた建築において、多く用いられる締結部品です。

ツーバイ材以外でもDIYで木材を使用した作業をする場合、例えばウッドデッキを作るような場合にも、コーススレッドは多く用いられる締結部品です。

コーススレッドは強い締結力が得られるのが特徴であり、木材などの固定には使いやすい締結部材です。木ねじに対して3~5倍ほどの締結力が得られるとされています。ねじ山がねじ込まれた部材に引っかかることになるため、釘に対しても大きな引っ張り力に耐えられます。

コンクリートパネル、石膏ボード

木材以外ではコンクリートパネル、石膏ボードの固定にも、コーススレッドは広く使われています。

コーススレッドの原理

コーススレッドの原理として、下穴が不要であることの理由と、締結力が得られる原理に分けて説明します。

1.下 穴が不要

コーススレッドを使う際に下穴が不要なのは、先端とねじ山が鋭く尖った形状になっているからです。締結作業によってねじ込まれる力によって、相手材を切り裂くことで、自らが入り込む空間を確保します。ねじ込まれた後は相手材との摩擦力によって、逆回転して抜けることを防いでいます。

2. 締結力

次に締結力が発生する原理は、コーススレッドがねじ形状によって、先端方向に向かおうとする力が働き、部材と接している部分の摩擦力によって、締結力が保持されることです。金属などに用いられる一般的なねじ締結においては、ねじ本体がバネになって伸ばされ、元に戻ろうとする力が締結力の源になっています。コーススレッドの場合、バネ力も原理上働いているはずですが、バネ力よりもねじが前進しようとする力と、ねじ山が相手部材と深く引っかかっていることによって、大きな締結力を得ているものと考えられます。

コーススレッドの選び方

コーススレッドを選ぶ際には、長さや太さ、材質、全ねじと半ねじから選ぶことになります。

まず長さを決めるポイントは、固定しようとしている部材の厚さです。一般的には固定部材の厚さ+20mm以上の長さが推奨されています。固定部材の厚さが20mm以上の場合には、固定部材の2倍以上の長さが推奨されています。ただし長すぎて貫通し、コーススレッドの先端が飛び出さない範囲であることも大切です。太さは太いほど強度は高くなりますが、一方で部材に割れが生じる可能性が高まります。材質は大きく鉄鋼材製、またはステンレス製に分けられます。ステンレスは錆びにくい分、価格が高くなるため、使用環境によって選ぶことが重要です。

全ねじと半ねじは、長いコーススレッドは半ねじが多く、短いコーススレッドには全ねじの製品が多くなっています。全ねじの場合、固定物に埋め込まれた部分の影響によって、締結力が下がってしまう場合があります。特に高い締結力を望む場合には、固定物の厚さとねじが切ってある長さに気をつけることが大切です。

 

本記事はコーススレッドを製造・販売する株式会社大里様に監修を頂きました。

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防水キーボード

防水キーボードとは

防水キーボードとは、水や液体がかかっても故障しにくいように設計されたキーボードです。

パソコンのキーボードは、近年、作業状況を選ばない環境で使われることが多く、液体に浸る機会が多々あります。防水キーボードなら、こうした場合にも水などで洗浄することが可能です。また、キーボードは洗浄・清掃がしにくい構造のものが多かったため細菌やバクテリアの温床となり易く、食品業界や医療業界など、衛生環境が重視される場所でのPC操作には、洗浄や消毒(清掃)ができる防水性能に優れたキーボードが求められます。

1口に防水と言っても、各種ランクがあります。防水性能の等級は、国際電気標準会議 (IEC) が定めた防水・防塵規格で表示します。防水規格は、9等級の性能が定められ、IPX0からIPX8まであり、IPX4以下は防滴タイプ、IPX5~8は防水タイプです。汚れたとき水で手入れをする場合は、IPX5以上を選びます。

防水キーボードの使用用途

防水キーボードは、データーサーバ、制御装置、工作機械、産業機械、食品機械、射出成型機、製鉄機械、製紙機械などのデータ出力装置に使用されています。また、衛生を保つことができることから、医療現場でも使用されています。汚れたとき、水で洗えるのは、IPX5以上です。また一部のキーボードは薬品洗浄が行えます。

単なる防水性能だけではなく、粉塵がキーボード内部に侵入するのを防ぐ防塵性能を備えたキーボードは、埃や粉末が発生する環境でも使用されています。

防水キーボードの原理

最も一般的な方法は、キーボードの下面に水を受けるアルミ板を設けることで、バスタブ構造と呼ばれます。キーボードの上から水をこぼしても受け皿で水を受け止め、受け皿に溜まった水はキーボード底面の排水口から流れ出る構造で、プリント基板などへの水の侵入を止める効果があります。

また、表面に耐水能力を持つコーティング層を設けて内部に液体が入らないようにする方法もあります。
この他、各メーカーは独自の方法で、防水性能を発揮しています。

防水キーボードの種類

防水キーボードにも多くの種類があり、代表例を次に示します。

1.有線/無線キーボード

一般のキーボードと同じように防水キーボードにも各種接続形式があります。有線のキーボードでは主にUSB接続やPS2接続があります。昔ながらの接続規格であるPS2接続を用いるものもあります。

無線のキーボードではUSBドングルを用いるものやブルートゥース接続など多彩な接続方法があります。

2. 薄型小型キーボード

通常のキーボードよりも薄型であり引っかかりが少ない設計のキーボードです。シリコンゴムでキーボードすべてを覆うような構造のキーボードもあります。

3. ポインティングデバイス付きキーボード

クリーンルームでの使用や工場での使用時に場所的にマウス等が設置できない場合、ポインティングデバイスが機能を有するキーボードもあります。ジョイパッド形式やタッチパッド形式を持つキーボードもあります。

電子機器ケース

監修:コーワ株式会社

電子機器ケースとは

電子機器ケースとは、電圧測定機や照度計などをはじめとする様々な機器・計器を収納するためのケース・鞄類です。

電子機器を持ち運ぶために使用される鞄製品は、保護性や堅牢性など、一般の鞄とは異なる次元の機能性を有している必要があります。そのため、電子機器ケースは、一般のカジュアルバッグなどとは異なり、専門のノウハウを用いて製造することが必要です。合成樹脂や傷や水に強い合成繊維など、丈夫な素材を用いて製造されます。また、広義には、電子機器を格納する、プラスチック製・金属製のケース、基板ケース、アクリルケース、透明ケースなども電子機器ケースと呼ばれる場合があります。

電子機器ケースの使用用途

1. 鞄型

鞄型の電子機器ケースは、主に下記のような電子機器を格納・携帯するために用いられます。

  • 電圧測定器
  • 振動計測装置
  • 照度計・検査機・検針機
  • 免震機材
  • 自動車用故障診断機
  • 発破器
  • 携帯無線機
  • 医療用小型酸素ボンベ
  • ケーブル
  • 各種小型端末・タブレット端末

これらの製品は、電気計測器メーカー、電子機器メーカー、バルブメーカーなどの依頼によりOEM・ODMなどで製造されている場合が多いです。その他、消防局・消防団、設備保全コンサルタント会社、 鉄工会社、倉庫会社などの利用者側の需要により製造される場合があります。また、リモコンカバーや、ウェラブル端末を携帯して使用する、ウェアラブルスキャナグローブなども製造されています。

2. プラスチックケース・メタルケースなど

電子機器ケースとされているもののうち、プラスチックケースやメタルケースには基板ケースとして使用されるものや、据え置き型の機器ケース、携帯用ケースなどがあります。

下記は使用される機器の主な例です。

  • リモコン
  • 計測器
  • 通信機器
  • 情報収集端末
  • 各種実験・医療機器

防塵・防水用途でアルミダイカストボックスが使用される場合もあります。

電子機器ケースの原理

1. 概要

電子機器ケースは、保護性能や堅牢性能の付加、RoHS指令への対応などが必要です。

中の機器を損傷しないよう、外部には硬質で堅牢な素材が用いられ、内部には、機器を保護するためのクッション材などが使用されます。内装は、機器が動かないよう、機器の形状に合わせてクッション材を型抜きしたり、収納物を固定するための中仕切りを取り付けることなどが必要です。機器を固定するためのベルトが取り付けられる場合もあります。小物や説明書などを収納するためのポケットが取り付けられる場合もあります。

多くの品質項目や工場監査などをクリアする必要があり、非常に高い品質基準が必要です。通常の鞄とは全く異なる製造プロセスで製造されます。

2. 素材

電子機器ケースは、様々な素材が使用されます。

鞄タイプの場合、

  • ナイロン
  • ウレタンフォーム
  • 耐衝撃性コーポリマー
  • ナイロンパイル
  • ポリエチレンフォーム

などの合成素材が中心です。

また、鞄ではなく「ケース」という分類になる製品の場合、プラスチックやメタルなどが使用されます。産業用工業用には特にアルミニウム押出形材、鉄板を用いたメタルケースなどが使用されることも多いです。

電子機器ケースの種類

電子機器ケースは、格納するものに合わせた形状で製造される製品です。そのため、基本的には格納する機器ごとに種類が異なります。

また、ケースが機器の持ち運びを目的としているか、そうでないかにもよって、持ち手の有無や素材など、種類が異なっています。

持ち運びを目的としたケースは軽くて丈夫な合成樹脂・合成繊維などが用いられる方が多いです。表面にポリプロピレン生地などの堅牢な合成繊維を使用したセミハードタイプや、合成樹脂製のハードタイプなどの種類があります。また、ハンドル型の持ち手がついた鞄型の他に、ショルダーベルトがついている場合もあります。計測器など、ケースに入れたまま使用されることが想定される製品は、操作用に透明な窓がついています。

また、通常の機器の保護の他に、防水・防塵機能を付加したタイプでは、更に強固・機密性の高い仕様です。産業用・工業用の据え置き型のケースは重量のある金属が使用される場合もあります。

収納するものや利用シーンに合わせて、適切な仕様の製品が使用されます。

本記事は電子機器ケースを製造・販売するコーワ株式会社様に監修を頂きました。

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バリアブル印刷ソフト

監修:テキスト・アンド・グラフィクス株式会社

バリアブル印刷ソフトとは

バリアブル印刷ソフト (Variable Data Printing Software) とは、DTPソフトの一つです。DTPとは、Desk Top Publishingの略で、雑誌や書籍、パンフレットや広告などの紙媒体の原稿を、パソコンで行うことを言います。

バリアブル印刷ソフトはDTPソフトの中でも、紙媒体の印刷であっても個別に異なる情報やデザインに一部を変更しながら印刷できるソフトのことです。個別に変更するデータには、例えばダイレクトメールの宛先などがあります。

DTPソフトウェアの登場により、印刷物の製作が容易になりましたが、バリアブル印刷ソフトが普及することで、大量印刷物であっても個別の顧客向けの印刷物が手軽に製作でき、より高いメッセージが伝えられるようになりました。有効な拡販ツールの一つとして利用されるソフトウェアです。

バリアブル印刷ソフトの使用用途

バリアブル印刷ソフトは主に、ダイレクトメールなどの広告、案内状などの印刷に用いられています。バリアブル印刷ソフトによって変更されるデータは、住所や宛名などのテキスト、画像、バーコード、二次元コードなどです。バリアブル印刷ソフトは概ね決められたデザインであって、一部を個別に変更したい印刷物に対して利用されるソフトウェアです。年賀状を一般家庭でパソコンで作成することも広く普及していますが、年賀状印刷ソフトもバリアブル印刷ソフトの一つと呼ぶことができます。

バリアブル印刷ソフトの原理

バリアブル印刷ソフトは概ね決められたデザインから一部分を個別の情報や画像に変えて印刷するソフトウェアです。この役割を実現するために、大きく4つの機能があります。

1. 外部データとの連携機能

外部データは大量印刷において、個別に変更したいデータが含まれるもので、例えば住所や宛先、顧客情報などが挙げられます。外部データはCSVファイルなど、一般的な形式のデータが読み込めたり書き出せる機能があります。

2. テンプレートの設計

テンプレートは印刷したいデザインの全体像になります。どの印刷物にも共通するデザインであり、バリアブル印刷によって変更したい部分も指定します。

3. プレビュー機能

バリアブル印刷において、個別に変更したい部分が適切に設定されているのか? 外部データが正しく印刷データに正しく反映されているかなど、プレビュー機能で確認する作業は、バリアブル印刷において重要な作業です。

4. カラーマネージメント

カラーマネージメントはバリアブル印刷ソフトに限りませんが、一般的にパソコンの画面に表示されている色と、実際に印刷される色には差異が生じます。印刷物の色が希望の色にならない場合には、カラーマネージメント機能での調整が必要です。

バリアブル印刷ソフトのその他情報

バリアブル印刷ソフトのメリットとデメリット

1. バリアブル印刷ソフトのメリット

まず効率的に印刷物を作成できることです。外部のデータベースと連携して個別性の高い印刷物を手軽に製作できるため、印刷作業を効率的に行うことができます。二つ目のメリットはコスト削減効果です。バリアブル印刷ソフトの導入によって、印刷会社に外注しなくても、DMなどの印刷物を効率的に製作することができます。テンプレートデータも自社内で管理できるため、テンプレートの一部変更も、効率よく作業することができます。

2. バリアブル印刷ソフトのデメリット

デメリットは、導入コストがかかること、ソフトウェアを使いこなすための学習コストが必要なことなどです。導入コストや学習コストは、中長期的なソフトウェアの活用頻度を加味して判断することが大切になります。

本記事はバリアブル印刷ソフトを製造・販売するテキスト・アンド・グラフィクス株式会社様に監修を頂きました。

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