トータルカウンタとは
トータルカウンタとは、動作の回数や物体の数をカウントして表示する機器です。
カウントした数値を表示する機能のみのカウンタであり、工場機器の生産台数や動作回数を目視確認する用途で使用されます。カウントはリセットボタンなどでリセットするまで保持します。
カウント数に応じた制御出力は持ちません。カウント数を設定して出力したい場合はプリセットカウンタを使用します。
トータルカウンタの使用用途
トータルカウンタは産業用途に広く使用される機器です。以下はトータルカウンタの使用用途一例です。
- 真空遮断器の動作回数確認
- 大型脱水装置の運転回数確認
- プレス機やコンベアの搬送バッチ数確認
基本的にはバッチで運転する産業機器に使用します。真空遮断器などは運転回数によって寿命や整備頻度決める場合があるため、トータルカウンタが付属することが多いです。また、巨大遠心分離機やフィルタプレスなどは運転回数をカウンタでカウントする場合が一般的です。
トータルカウンタの原理
トータルカウンタのカウント方式は2種類あります。
電気回路の接点信号やパルスでカウントする電子カウンタと、カウンタ内に内蔵されている電磁石の磁力によってカウントする電磁カウンタです。用途などに応じて使い分けます。
1. 電子カウンタ
ロータリーエンコーダや光電スイッチなどの検出装置パルス信号を入力するカウンタです。デジタル回路データを保存するため、内部では2進数として処理されます。表示は7セグメント表示が一般的です。
パルス幅などの出力感度や不感時間などの設定が可能な製品も多く販売されています。電磁カウンタに比べて検出速度も高速です。ただし、多くの場合は動作に電源が必要です。バッテリや電池で動作する製品も販売されています。
2. 電磁カウンタ
検出装置が発するパルスの電気信号によって、カウンタに内蔵されている電磁石が動作させるカウンタです。電磁石の力で文字盤を動かしてカウントします。
機械的な動作によってカウントするため、外部電源が不要な製品が一般的です。検出装置からのノイズの影響を受けにくい点が特徴です。ただし、カウンタの応答性については、電子カウンタに比べて遅くなります。
トータルカウンタの選び方
トータルカウンタは入力方式や電源方式などに応じて選定します。
1. 入力方式
入力方式はカウントに使用する入力種類です。一般的には無電圧接点入力が使用されます。
トランジスタ接点を入力できるカウンタも販売されています。その場合、トランジスタの入力電源を選定する必要があります。
2. 電源方式
トータルカウンタ自体に電源が必要な場合は供給する必要があります。電池式であった場合には外部電源を必要としません。ただし、電池式の場合は使用時間に応じて電池が切れてしまう場合もあります。
電源を供給する場合、主な電源仕様はDC24V、AC100V、AC200Vなどです。商用電源をそのまま使用したい場合はAC100VやAC200Vを選定します。制御電源としてDC24Vを有する機器の動作カウンタとして使用する場合はDC24V仕様を選択する場合もあります。
3. 取付方法
トータルカウンタは制御盤盤面に表面取付することが多い製品です。カウンタ裏面には端子台などが取り付けられ、制御盤などの内線と接続されます。
トータルカウンタに合う穴を開口してねじを切り、ねじなどで固定します。制御盤内部保護のために接続表面にはゴムパッキンが付属します。パッキンを介して固定することで気密性が増し、制御盤内への水滴侵入を予防します。メーカーによっては取付枠や取り付け用金具が別途販売されています。
4. リセット方法
トータルカウンタにはリセットボタンが付いており、カウントをリセットしたい場合はリセットボタンを押すことでリセット可能です。無電圧接点を接続してリセット可能な製品も販売されています。接点出力でリセットさせたい場合はリセット接点付きの製品を選定します。
参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/glossary/component/counter/index.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/11/95/index.html