高さ測定器

高さ測定器とは

高さ測定器とは、機械加工部品などに対して、ある基準面からの高さ方向の距離を計測するための測定器です。

一般的には、ハイトゲージとも呼ばれています。高さ測定器は測定対象物の高さを測定するだけでなく、ケガキをすることも可能です。定盤の上など、高さ測定器が置かれている水平面上を基点として、この基準点からの高さを測定します。

測定時は、バーニヤと呼ばれる副尺を使用し、精密に高さを測定することができます。また、高さ測定器は、スクライバと呼ばれる測定子を使用します。スクライバは硬い材質で先端が尖っているので、測定物に定盤と平行な線を、正確な高さでケガキが可能です。

高さ測定器の使用用途

高さ測定器は主に、金属加工製品の製造品質確認や製品開発の現場で使われます。例えば、加工した金属製品の高さが図面規格内であるかどうかを確認するために、高さ測定器が用いられます。

高さ測定器を用いれば、定盤などの平面上からの高さを正確に測ることが可能です。バーニヤと呼ばれる副尺を用いて目盛を読み取るため、0.01mm単位で高さを測ることができます。簡単な操作で高さを精密に測定できるのが特徴で、測定室からラインサイドまで幅広い場面で使用可能です。

また、高さ測定器は先端が硬く鋭い材質でできており、高さ方向の線をけがくこともできます。ケガキは先端が動かないように、スライダの止めねじをしっかりと締めて固定して行うことが重要です。

高さ測定器の原理

高さ測定器は、本体ベース、目盛が描かれている本尺、本尺を取り付けた柱、微小な読み取りを行うバーニヤ、高さ測定のため上下動させるスライダ部、測定子にあたるスクライバで構成されています。

高さ測定器は測定対象物とともに、定盤の上に置いて使用する測定器です。測定作業では、まず上からスライダを下ろしていき、スクライバ底面を測定物に接触させます。この高さが測定値になります。数値の読み取りは、本尺目盛とバーニヤ目盛の重なった箇所を読み取りますますが、目盛の読み方はノギスとよく似ており、少し慣れが必要です。

正確に測定を行うには、スクライバに必要以上の測定力をかけず、目盛は正面から読むことが重要です。また、ベース底面とスクライバが平行になっている必要があります。スクライバの固定が不十分であったり、定盤などの平面度が確保されなかったりする場合、安定した測定ができません。

高さ測定器は長年使用していると、経年変化などにより柱が傾いてくることがあります。スクライバを取り付ける箇所にてこ式ダイヤルゲージなどを取り付け、直定規などの側面に当てた状態でスライダ部を上下させて値の変化を見ます。柱が傾いているときは、調整もしくは修理が必要です。

高さ測定器のその他情報

1. 高さ測定器の誤差要因

高さ測定器での測定では、さまざまな原因により測定誤差が発生します。例えば、測定力のかけ過ぎ、測定物と測定器の温度差による熱影響、目盛を読み取る角度による視差の影響などがあります。特に測定器の構造による誤差が避けられないのは重要なポイントです。

測定器の構造から生じる誤差の主な原因は、柱の曲がりとスクライバの傾きから生じるものです。スクライバの傾きは、その測定方法と構造の上から避けることができません。高さ測定器は柱に取り付けたスライダからスクライバが伸びているため、スクライバの取付時に傾きが生じるだけでなく、経年変化により部品に隙間やガタが生じ、それがスクライバを傾かせる原因になります。

また、スクライバや取り付けるための部品の自重によるたわみも、スクライバの傾きの原因になります。これらの構造上の誤差は、新品であっても一定量は生じています。その誤差が測定器の分解能より小さい場合は懸念する必要も少ないですが、経年変化により誤差が大きくなった場合は注意が必要です。

そのため、日常点検だけでなく、校正事業者として認証を受けたとところで校正を行うなど、定期的な管理が欠かせません。

2. 高さ測定器使用上の注意

本尺、ベース底面は使用前と使用後に清掃を行い、キズや錆、油などによる摺動の悪化を防ぐことが必要です。メーカや製品によっては、スクライバの測定面と高さ測定器のベース底面の平行度を規定しているものもあります。使用時の定盤の上や保管場所にゴミや切粉などがあると、ベース底面にキズやカエリが生じ、平行度の悪化原因になります。

急激な温度変化が生じる場所に保管することも、望ましくありません。熱影響による膨張と収縮の繰返しにより、精度の悪化だけでなく測定器そのものの変形の原因となります。

窓や壁の近くで断熱性能が不十分な箇所にあれば、気温差による熱影響を受けます。室内で直射日光が当たらない場所である場合も、決して油断はできません。

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