牽引ベルト

牽引ベルトとは

牽引ベルトとは、重い物の牽引に使用する強度の高いベルトです。

素材には一般的にポリエステルやナイロンといった強力な合成繊維が使用されます。これらの化学繊維は水分や化学薬品などに対する耐性もあり、屋外や過酷な環境下での使用にも有利です。ベルト構造は高強度の繊維を密に織り込んだものが主流ですが、製品によっては複数の層を重ねて縫い合わせたタイプもあります。

ベルトの両端は牽引する対象物へ安全に取り付けるため、ループ状に加工したり、金属製フックが取り付けられたりします。この端部には大きな力が集中するため、頑丈に縫製・補強されている点が特徴です。ベルトには破断荷重といった、安全に使用できる限界の力が明示されているため、牽引する対象物の重量に対し余裕を持ったベルトを選ぶことが重要です。

牽引ベルトの使用用途

牽引ベルトは以下のような用途で使用されます。

1. 公道

牽引ベルトの最も一般的な用途は自動車のトラブル対応です。乗用車やトラックが路上で走行できなくなった場合、他の救援車両が牽引ベルトを使って修理工場や待避場所まで移動させます。 また、雪道やぬかるみ、砂地などでタイヤが空転して動けなくなった状態からの脱出にも不可欠です。緊急時の備えとして車載工具の一つに加えるべき備品です。

2. 産業・建設現場

建設現場や物流倉庫といった産業分野でも牽引ベルトは重量物の運搬に欠かせない道具です。スリングベルトやリフティングスリングとして使用します。クレーンの先端に取り付け、重い資材や機械を吊り上げて所定の位置へ移動させるような用途が主流です。 鋼材や大型の機械設備などを安全に運搬する際に用います。

3. レジャー・オフロード

レジャー活動、特にオフロード走行においても牽引ベルトは必需品とされています。山道や砂漠など、舗装されていない悪路を四輪駆動車で走行する際、予期せぬ地形の変化によって車両が走行不能な事態が発生しがちです。 そのような状況下では仲間の車両と牽引ベルトで連結し、互いに助け合いながら難所を走破するために使用します。