ケガキ針とは
ケガキ針とは、金属材料を使用した部品や、無垢の金属及び樹脂材料などの裁断や穴あけ加工の前工程として、加工する位置に目印をつける工具です。
金属部材や樹脂部材など大変硬い素材に傷をつける必要があるため、ケガキ針の針部分に使用される素材は、鋼や超鋼、炭素鋼、あるいは工業用ダイヤモンドなどの硬い素材です。ケガキ針の多くは計測機器製造及び、工具製造メーカーなどから販売されることが一般的です。
ケガキ針の使用用途
ケガキ針はガラス、樹脂、強化樹脂、アルミニウム、銅、真鍮、鋼、超鋼、ハイテン材など様々な素材に引っかき傷をつけて、裁断、切断、穴あけなどの加工目安にする用途で使用されます。使用する際は、スコヤや定規、金尺、コンベックスなどと一緒に使います。ガンプラのスジ彫りをする際にもケガキ針を使用すると作業しやすいです。
ケガキ針には直針と呼ばれるタイプと、曲針と呼ばれるタイプがあり、両方が本体の両端についている製品もあります。ケガキ針の針部分とは反対側に位置する部位に金属製のへらが付いているものがあり、金属錆を落としたり、バリエッジなどがある場合に表面を削り滑らかにできるタイプのものもあります。
ケガキ針の原理
ケガキ針の針の先端には、はがねや、超鋼、炭素鋼などが使用されています。超硬を使用したチップや、工業用ダイヤモンドを使用したチップが先端に装着されているものもあります。これらのチップは耐摩耗性に優れ、欠けにくいです。また、先端は特にニッケルやクロムめっきで錆に強くして、先端を保護する処理も施されています。
ケガキ針のその他情報
1.ケガキ針の使い方のコツ
ケガキ針で加工目安の引くときは金属製のスケールや、スコヤなどを使用してガイドを設けます。
ケガキ針で引いた傷が見にくい際は、実際に傷を付ける前に、あらかじめ専用のペイントマーカーや現像材などで目印を付けると傷つけた場所が特定可能です。
ケガキ針によって直線を引く場合は、途中で止めずに一気に引き切ります。何度も線を引き直すと線が複数発生し、加工精度が落ちる可能性があります。ケガキ針には、一方が直針形状で、もう一方側が曲針形状になっているものが一般的ですが、糸通しをする為の穴が付いた製品もあります。
片一方がへら形状となっているバチケガキと呼ばれるものは、直針形状のもう一方側がへら形状のため、金属部品や金属無垢材の錆や不要な塗料を落とす用途で使用可能です。
ペンシルタイプのケガキ針はペンを持つ感覚で使用できるため便利です。ペンの後端にノック機構が付いているノック式は、ケガキ針の針部分を収納できるため安全性が高いです。摩耗した際に先端の針の交換が可能な製品も存在します。
2. ケガキ針工具の種類
ケガキ作業を行うための工具には、主に下記のような種類があります。
ポンチ
先端が円錐状で、穴あけ加工前にドリルの刃を受けやすくするための仮穴空けを兼ねて目印が打てます。ボール盤などで穴あけ作業をする前に使用されることが多いです。また、大きめの穴を空けるために、先端以外は強固な造りになっていることがほとんどです。
ケガキ針
一般的な金属部品や、金属無垢材、プラスチック材に傷を付けて加工目安を付けるものです。歯科衛生士が使用する歯石を除去するための器具のような形状をしております。
ペンシル型ケガキ針
ボールペンのような持ち手が手に馴染む形状です。繊細な箇所のケガキ作業や、多少のフリーハンドケガキであれば対応可能です。
コンパス
文房具として使用されるコンパスの鉛筆部分が、ケガキ針の硬い針状になっているタイプです。曲線が描きやすいですが、力加減が難しいです。
トースカン
定盤の様な場所に固定し、可動部を動かして水平方向に直線をケガクものです。台座の固定には一般的に強力なマグネットが用いられるため、定盤で使用されることが多いですが、非金属タイプの場所でも暫定的に使用される場合もあります。
参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-26095/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/quality_control/qc01/a0378.html