水糸とは
水糸は、建築工事の際に水平線を示すために使用されています。水糸は釘に引っ掛けて使用するのが一番やりやすい方法です。水糸を引っ掛けた釘をブロックやコンクリートに浅く打ち込んで固定します。他に、板に巻きつけたりして使用する場合もあります。水糸を使用することで、分かりづらい空中の2点の間の直線を可視化することができます。なにもない空間でも見やすいように、イエローやピンクなど比較的カラフルな色が多いです。
水糸の材質や太さなどは様々な種類があります。
水糸の使用用途
水糸は、水平線を知る用途で使用されているので、レンガやブロックを積む外構工事や、型枠を作る工事、土木工事、測定などでよく利用されています。水平線や平行を確認するには、対象の木材やレンガのギリギリの近くで水糸を張るほうが見やすいですが、水糸がたるまないように、かつ他の木材等に触れないように張ることが重要です。他の木材等に触れてしまうと水糸がずれてしまいます。
DIYにおいても水糸を利用してできる真っ直ぐな線を利用して水平や平行を見るために使われています。
水糸の原理
水糸の材質には合成繊維と天然繊維があります。
合成繊維にはポリエステルやポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレンがあります。合成繊維は耐水性が高いです。ナイロンは幅広い用途で使用されています。ポリエステルは伸びにくくて丈夫という性質があります。ポリプロピレンはポリエステルよりさらにです。
天然繊維には綿や絹があります。水には強くありませんが、タコ糸などの代用にしたり、他の用途に応用が利きます。
水糸は作業に合わせて付けたり外したりする作業を繰り返します。そのため水糸の結び方は、外しやすく丈夫な結びにすることが大切です。わっかを作って釘にかけたり、釘に巻きつける方法が簡単です。板に水糸をぐるぐる巻きにして固定する場合もあります。
細い水糸は、太い水糸よりも結びやすく、糸が軽いのでたるみにくい特徴があります。ただ、細い分空間で見えづらく、切れやすいというデメリットがあります。場合によっては手で切れる細い水糸のほうが使いやすいこともあります。太い水糸のほうは丈夫なので手ではなかなか切れません。
水糸の由来
水糸という言葉を知っているかたはいらっしゃると思いますが、なぜ水糸と呼ばれるのか、その由来を知る人は多くないと思います。
何も知らいない人が水糸と聞くと、釣りに使用する糸のことかと誤解するかもしれません。
少し道にそれますが、ここで水糸と呼ばれる由来について解説します。
新しく建造物を建てるときに地鎮祭が終わると職人による基礎工事に入ります。
このとき配筋検査と呼ばれる、鉄筋コンクリートの鉄筋が正しく配置されているかどうか確認します。この検査を実施していないと、耐久性や強度に悪影響があるか分からず、最悪の場合は建造物を支える土台に問題が発生します。
配筋検査では、建造物の正確な位置だしのため、水盛・遣方(みずもり・やりかた)という作業を実施します。建造物の位置と基準になる高さを決めるのが水盛、板を定規替わりに設置することを遣方と呼びます。
この水盛は、昔木で作った桶に水を張って水平かどうか測定したことに由来しており、水平線かどうかを示すときに使用される糸も、水糸と呼ばれるようになりました。
水糸からレーザーへ変換
近年では水糸の代わりに、レーザー水糸器と呼ばれるものが使用されています。
レーザー水糸器はその名前の通り、水糸を張る代わりにレーザー光を出して水平かどうか計測します。レーザー水糸器を使用するメリットは以下のような項目があります。
1.計測誤差の解消:水糸は手作業で張るため、どうしてもたるんだりして誤差が生じやすかったです。レーザーは直線上に出るため誤差の問題が解消されました。
2.計測作業のスピードUP:レーザーの角度を調節し、対象物にレーザー光を当てるだけなので、水糸比較すると大幅なスピードUPとなります。
3.1人での計測作業:水糸では最低2人必要でしたが、レーザー水糸器は1人でも計測可能なため、作業の効率化につながります。
以上のようにレーザー水糸器には様々なメリットがあります。しかし従来の水糸も安価で、柔軟な使い方もできるので、今後とも現場では両立して使用されていくと考えます。
参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/seni/
https://diy-ie.com/ch-mizuito.html
http://www.kakusin-no.co.jp/20151127-kiso/
https://www.rex-rental.jp/large/190/middle/090/product/10216