チップコンデンサ

チップコンデンサとは

チップコンデンサ

チップコンデンサとは、小型コンデンサをチップ部品としたものです。

まず、チップ部品は小型の表面実装型受動部品全般を指します。コンデンサー、抵抗器、ヒューズ、コイル、トランス等でチップ部品が作られていますが、全て固定電極を備えています。

もともと電子部品では、プリント基板の穴に挿入するために柔軟性のあるリード線が電極として扱われてきましたが、チップ部品は小さな固定電極を基板表面にはんだ付けすることが特徴です。チップコンデンサは耐熱性能や大きさの制約から、誘電体の中でも使えるものは限られ、次の4種類が製品化されています。

  • チップアルミ電解コンデンサ
  • チップタンタルコンデンサ(含む導電性高分子コンデンサ)
  • チップ積層セラミックコンデンサ
  • チップマイカコンデンサ

チップコンデンサの使用用途

チップコンデンサはリード付のものと比べて、部品のサイズが小さいことやリフローハンダ付けに対応すること等の特徴から、基板の小型化を進めるにあたり非常に有利です。この特徴から当初ノートPCや携帯電話、撮影機材など小型の製品に採用されましたが、チップマウンターの利用など生産性にも優れることから、家電製品や電子機器に広く使われる様になりました。

また、チップコンデンサは基本的にリード付のコンデンサと特性面で変わるところはありません。むしろリード線のインダクタンス成分の悪影響がなくなる分、コンデンサとして望ましい特性を示します。

採用に際しては以下に記す特性を踏まえた上で選択して下さい。

1. アルミ電解コンデンサ

アルミを電極として使ったコンデンサです。アルミ電極の表面に電気分解によって酸化皮膜生成し、これを誘電体として使います。安価でコンデンサの容量が大きいため、大容量コンデンサとして多く使われてきました。

しかし、周波数特性があまり良くないことや液漏れによる誘電体の損失が起こりやすい欠点もあります。常時通電の回路では高温下で寿命が短いことも問題になります。

2. タンタルコンデンサ

陽極にタンタル、誘電体に五酸化タンタルを用いたコンデンサで容量が大きい割に小型かつ軽量な点が特徴です。また、アルミ電解コンデンサに対して漏れ電流特性や周波数特性、温度特性等の面で優れています。

一方、レアメタルの一種であるタンタルを材料としているため、比較的高価なことが難点です。

3. 積層セラミックコンデンサ

誘電体に使われるセラミックの種類により、低誘電率型と高誘電率型に分類されます。低誘電率型は静電容量の変化が少ない反面、大きな静電容量は得られません。

高誘電率型では大きな静電容量が得られますが、印加する電圧や周囲温度に応じて容量が変化することが欠点になります。積層セラミックコンデンサは小型で熱に強いものですが、割れや欠けが起こりやすいため、取り扱いに注意が必要です。

4. マイカコンデンサ

天然の鉱物であるマイカを誘電体に使っています。誘電性が高く、薄く剥離する性質を持つため絶縁抵抗、誘電正接、周波数特性、温度特性に優れていますが、高価な上サイズが大きくなることが欠点です。

尚、チップコンデンサは小型であるがゆえに高電圧/高電流のパワー系設備には使えません。モーターや変圧器、発電機などに使われるコンデンサには、従来通りオイルコンデンサ等大型のものが使われます。

チップコンデンサの特徴

チップコンデンサの構造上の特徴は、前述した通り固定電極にあります。この電極では半田付け性を良好にするため、電極部材にニッケルめっきを施し、更にその上に錫メッキで覆う構造が一般的です。また、電極としてのリード線がないので小型化の面でも有利です。

一方、リフロー炉によるはんだ付けを前提としているため、240℃の雰囲気中に耐えられるようにチップコンデンサには耐熱性を向上させる工夫が盛り込まれていますが、それでも半田付けには注意が必要です。特に電解液を封止している電解コンデンサや外装を樹脂で固めるタンタルコンデンサは、半田付けの際に高温に晒されて、電解液や樹脂の熱膨張により素子の劣化、故障を誘発する恐れがあります。

フィルムコンデンサは極めて優れたコンデンサの特性を有しますが、チップ部品が無い理由として誘電体であるフィルムが上記の熱条件に耐えられないことが挙げられます。

チップコンデンサのその他情報

チップコンデンサの動向

チップコンデンサの世界でも日々性能が向上しています。特性面の改良はあらゆるタイプのコンデンサで進められていますが、そのような中でも需要が急拡大しているのがチップ積層セラミックコンデンサです。数量で全コンデンサ生産量の80%超を占めているとも言われ、スマートフォンには500個前後、ノートパソコンには1,000個前後も使用されています。

電子機器はもとより、電装化が進む自動車においても不可欠な部品です。その主な要因は、小型化と大容量化が挙げられます。チップ積層セラミックコンデンサのサイズは年々小型化し、今は0603タイプ (0.6×03mm) が主流ですが、0201タイプ (0.2×0.1mm) の実用化も既に始まっています。

小型化が進んで実装密度が高くなるほど基板の面積が小さくなり、製品の小型化に寄与します。一方、アルミ電解コンデンサやタンタルコンデンサ等の大容量コンデンサが主流の用途においても、材料の誘電率の向上、誘電体層の薄層化、多層化、高信頼性化が進むことにより、徐々にチップ積層セラミックコンデンサに置き換わりつつあります。

積層セラミックコンデンサでは、アルミ電解コンデンサの液漏れやタンタルコンデンサにおける発火等の恐れから解放され、使い易いことが大きなメリットです。このような状況から、今後もチップコンデンサは積層セラミックコンデンサが主役となって、様々な分野で使われるものと期待されています。

参考文献
https://article.murata.com/ja-jp/article/what-is-capacitor
https://ednjapan.com/edn/articles/1205/24/news099_3.html

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